独立以来、係争地となってきたカシミール地方をめぐり、目下、インド軍とパキスタン軍との間で戦闘が行なわれています。一先ずは小競り合いの段階なのでしょうが、パキスタン側の発表によりますと、同国は、中国製戦闘機をもってインド側のフランス製及びロシア戦闘機を撃墜したそうです。戦闘機の製造国を見ますと、ここにも‘陣営対立’の構図が浮かび上がってきます。インドは、兵器購入をロシアに頼ってきたものの、ウクライナ戦争を機にフランス製に傾斜していますので、撃墜されたとされるロシア製戦闘機は、過去に導入されたものなのでしょう。
それでは、今般の印パ間の武力衝突は、偶発的な出来事であったのでしょうか。実のところ、第三次世界大戦に誘導するためのシナリオである可能性には否定しがたいものがあります。何故ならば、巨大利権を握るグローバリストの存在を考慮しますと、戦争は、最大のビジネスチャンスであると共に、全世界に対して支配体制を構築する絶好の機会となるからです。状況証拠からしますと、三度の世界大戦を介して‘世界政府’あるいは‘世界統一’へと至るとする‘三段階方式’は、決して‘陰謀論’でも絵空事ではないのでしょう。
第一に、ウクライナ戦争やイスラエル戦争をもって第三次世界大戦へと誘導する作戦が、今や極めて困難となっている点です。ロシアとの紛争激化の過程にあって、常に、ウクライナのゼレンスキー大統領は、時には正義を訴え、時には脅し、時には哀願しながら、NATOを巻き込もうとして必死に努力してきました。しかしながら、ウクライナにあって天然ガス利権を有したが故に、最大の後ろ盾であったアメリカのバイデン前大統領が大統領職を去り、親ロ派ともされるトランプ政権が誕生したことから、ウクライナ戦争を第三次世界大戦への導火線とする路線が成功する見込みは殆どなくなっています。また、イスラエル戦争でも、挑発に乗ることもなく、アラブ諸国やイランは比較的に冷静さを保っています。そして、まさしくこれらの路線の断念と時を同じくして、印パ間での戦闘が始まっているのです。これは、余りにも‘タイミングが良すぎる’ように思えます。
第二に、第三次世界大戦は、‘世界大戦’と称するだけあって、文字通り全世界に戦争が広がる必要があります。第二次世界大戦にあっては、日独伊三国軍事同盟、並びに、独ソ開戦が戦火をユーラシア大陸全域にまで拡大する導火線ともなったのですが、予定されている第三次世界大戦にあっても、地域紛争や局地戦に留まることなく、‘飛び火’の仕組みを要するのです。この側面に注目しますと、地政学的にはユーラシア大陸の中心部に位置し、大国の勢力が相互にきしみ合い、既に領有権が争われているカシミール地方は、発火地点として適しています。しかも、上述したように、インドはフランス、パキスタンは中国に夫々接近しており、武器供給網を介して二国間対立の枠内に留まらない可能性があります。加えて、世界各地における紛争の常態化は、中国の軍事行動、すなわち、台湾侵攻のハードルを下げることでしょう。
第二に関連して第三に指摘し得るのは、何れの戦争や紛争にあっても、陣営対立の様相を呈している点です。各当事国は、それぞれが対立する二大陣営に属す形で闘われているのです。インドとパキスタンのみならず、中国と台湾も、二つの陣営間の戦争として闘われるはずなのです。実のところ、純粋に領土や国益をめぐる国家間の対立であれば、きれいに二つの陣営に二分されるはずもありませんので、この不自然な陣営の形成には、予めシナリオが仕組まれているとしか考えようがないのです。同陣営対立の激化は、ウクライナ戦争並びにイスラエル戦争をも、陣営対立として再活性化させることでしょう。
そして、さらに指摘し得るのは、インドもパキスタンも、かつては英国領、否、イギリス東インド会社の支配を受けたという共通の歴史を持つことです。宗教上の対立から両国は1947年に分割した形で独立したものの、宗主国であった英国あるいはグローバリストは、独立後も両国に対して一定の影響力を残したことでしょう。言い換えますと、両国とも、同一の‘勢力’によって背後から操られ易い立場にあったこととなります。
インドもパキスタンも核保有国ですので、この点についてはさらなる考察を要するのですが、少なくとも、第三次世界大戦シナリオの存在を想定した対応も必要となりましょう。否、日本国を含む各国とも、むしろ、少し離れた冷めた視線で今日の事態を冷静に観察しつつ、世界大戦への道を賢く阻止し、同路線の消滅を目指すべきなのではないでしょうか。三度目の世界大戦は、決してあってはならないと思うのです。