万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国の右傾化は防御的

2012年12月09日 15時43分03秒 | 日本政治
 近年、日本国が、尖閣諸島や竹島の領有権をめぐって周辺諸国と火花を散らしていることから、諸外国からは、日本の右傾化を懸念する声が上がっているそうです。右傾化と言いますと、どこかマイナス・イメージで語られることが多いのですが、今日の日本国の右傾化とは、敢えて言うならば、防衛的な右傾化、あるいは、正常化なのではないかと思うのです。

 中国や韓国・北朝鮮や国内の左派政党は、右傾化と表現することで、おそらく、日本国は、”危険な国家”というイメージを振りまきたいのでしょう。しかしながら、現在の日本国は、国際社会の秩序を重んじ、戦後に確立した主権平等の原則や民族自決権を尊重しています。中国は、日中戦争を”侵略戦争”と批判していますが、国際法が未整備であった戦前でさえ、日本国は、国民党軍や共産党軍と交戦状態にはあっても、中国大陸の領土を武力で併合してはいません(汪兆銘政権を支援…)。一方、左派が理想視する中国は、戦後に至ってからもチベットや東トルキスタンを事実上武力併合し、主権も領有権も奪っております(韓国は、竹島を武力で不法占拠…)。韓国・北朝鮮はもちろんのこと、思想的には左派でありながら、中国もまた、攻撃的で侵略的な国家なのです。今日の日本国は、逆に、軍事力を拡張させた中国や韓国・北朝鮮の領土的野心に晒されており、現在の日本国は、防御的な理由から右傾化しているのです。

 領土的な野心を伴う攻撃的な右傾化ではないのですから、それは、本来、危険な存在ではないはずです。もし、危険であると感じる国があるとすれば、それは、日本国に対して侵略的な意図を持つ国に他なりません。自らの野望を阻止される可能性が高まるのですから。日本国は、領土に関する解決方法も、第一義的には、ICJなどを利用した平和的な解決を模索しております。そして、相手が国際法を無視して武力行使を行う可能性があるからこそ、軍備の強化を必要としているのです。徒に日本脅威論を煽りますと、中国や韓国・北朝鮮の”攻撃的な右傾化”を助長することになるのではないかと思うのです。

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7 コメント

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Unknown (ねむ太)
2012-12-09 19:04:24
こんばんは。党首討論や政党の公約についてマスコミ各社の番組をチェックしていて思ったのですが、法曹資格をもつ党首が国際法違反の日本国憲法を変えるべきではないと主張するのは・・大いなる矛盾を感じるのですが。
憲法を変えて憲法に国防を明記し、自衛隊を軍隊として明記しなければシビリアンコントロールは働かないという事にさえ思いが至らず「憲法改正と自衛隊を国防軍にすることは外国で人を殺すことにつながりかねない」(大爆笑しました)
憲法という最高法規に軍隊として明記され、指揮命令系統が明確にされ最終的な責任の所在がはっきりするからこそシビリアンコントロールは効果的に働くのですけど
感傷的に血を流す、流さない、殺す、殺される、と単純な綺麗事だけで異国の地で働いたり旅をする国民の安全は他国の善意に委ね、救出は民間に委ねようとする姿勢は不誠実極まりない最低の考え方でしかありません
北朝鮮による静かな戦争(国民の拉致)も実効的な解決より、放置したまま年老いて亡くなられれば済むとでも考えているのでしょうか。(このような国民に対する侮蔑と重大な裏切りを平気で主張するような政党が国政の場にある事自体異常過ぎます)
集団的自衛権の行使もしないまま同盟国に防衛を委ね地位協定の改善などと幼稚園児なみの甘えでしかありません。
自衛隊を国防軍とし憲法に軍隊として明記して集団的自衛権の行使も可能にしてこそ初めて地位協定の改善や義のない戦闘に対して、はっきりと反対を言えるのです。
単純明快に一言で言えば、発令されていない命令は解除できない・・暴走しても止める手立てが無いということです。
北朝鮮による我が国に対する侵略行為(拉致)に対しては強硬な制裁措置でのぞむべきです。
北朝鮮が自衛隊・米軍の監視のもと我が国の公安・警察・被害者の家族会の立ち入り調査を認め、拉致に対する謝罪と賠償、遺骨の発掘調査・帰国を認め金一族は北朝鮮国民に対して謝罪し政権を国民に返し民主的な選挙で選出された人々による政治(民主化)が出来なければ国交正常化はするべきではありません。
中国や韓国・北朝鮮といった国際的な安全保障を脅かす国家が近隣に存在する以上、外交防衛・安全保障は理想より現実をみて真面目に議論されなければなりません。
バラエティ番組や情報番組で政治問題を取り扱い、何も知らない芸人やタレントにコメントをさせ、それなりに見識があると思われる作家やジャーナリスト(これほど怪しい肩書きもありませんね)に素人レベルのコメントを垂れ流させていれば、何も知らない素人やタレントが少し有名になったからと立候補するのも無理からぬ事ではありますが、それによって国会審議も論点がずれ、何時まで経っても何も決まらないのは当然といえば当然です。
どこかの路上ネズミ男の「チュー道」発言にもあきれ果てて国防や安全保障を考え軍隊や軍備を抑止のために備えるための議論のどこが右傾化なのでしょうか。
普通の国家では当たり前のことです。
市民フォーラムなどと銘打って交通の便がいい都市部で暇を持て余しているような人間の意見だけ聞き民意と称して国政レベルで実行しようとすれば予算は限りなく増大し国民の平和や安全は脅かされ・・・
基礎自治体や地方自治体に要望として出されるようなミクロの問題を国会で大まじめに議論しないでもらいたいものです。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-12-09 21:13:03
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 日本国は、軍隊を喪失した事による惨事を、身を以って経験した歴史を持ちます。先の大戦では、敗戦の報が伝わった途端に、満州国や朝鮮半島では空気は一変し、ソ連軍の侵攻もあって、日本人の居住者の方々は、家も財産も奪われ、命からがら日本国を目指して引き上げることになりました。その間、多くの日本人が無抵抗な状態で虐殺されたのですから、軍隊が存在しない場合に、何が起きるのかは、分かっているはずなのです。社民党を始め、左翼の政治家は、軍隊の基本的な役割が主権、領土、国民を”守る”ということにあることを認めずに、常に、他国を”攻める”ためにあると主張しています。つまり、軍隊の一面しか見ておらず(しかも、今日では、侵略は国際法上の違法行為…)、軍隊がなければ、自国を守ることさえできないことに、国民が気付かないようにしているのです(中国、韓国、北朝鮮のため?)。こうした左派の政治家達は、本心では、自国民が虐殺されても構わないと考えているのでしょう。選挙後に、新政権が発足しましたならば、ぜひ、こうした問題を、国民を前にして、国会で堂々と議論していただきたいと思うのです。
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真剣に国防を考えたら・・・・ (通りすがりのおじ様)
2012-12-09 23:12:33
右傾化と言うが、現状を踏まえて国防を考えるならば既に無理があると言っても過言じゃないと思うのだが・・・・

航空機による領空侵犯が行われ、自衛隊機がスクランブルに出る。

言葉による警告はしているのだが、あっちは発砲してこないと思っているから、悠々と飛行を続けるらしい。

更に言えば、あっちが発砲しない限りは威嚇射撃すらできない。

そんなに自衛隊員の命って安いものなのか?

他国(中国、韓国、北朝鮮)が右傾化と騒ぐのもうっとしいのだが、国内にいる日本人が特に識者と称してテレビに出てる連中が右傾化とか騒いでるのを見ると本当に識者なのかと疑ってしまう。

そんなに騒ぐのなら、スクランブルに出た自衛隊機に同乗して見たらいいのではないかと思う。

国を守るってそんなに甘いもんじゃないと分かるんじゃないかな。

愛国心の無い者に、国防も国の経済の建て直しも出来るわけが無い。

というかやる気も無いだろうって事でしょう。

散々他所の国に貢いでおきながら・・・・・
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通りすがりのおじ様 (kuranishi masako)
2012-12-10 14:55:59
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 軍隊は、危険だからいらない、と騒ぐ人々は、まるで、ディフェンスやキーパーはいらない、といっているに等しいのではないかと思うのです。守り手がいなければ、相手国に好き勝手に行動されてしまいます・・・。また、政治家が、自国よりも相手国の利益ばかりを考えて行動すれば、自国は、総崩れになってしまいます。当たり前のことが蔑にされている自国の現状に危機感を覚える国民が増えているのではないかと思うのです。民主党政権は、今回の総選挙において、国民の審判が下されることを、怖れているのではないでしょうか。
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Unknown (Suica割)
2012-12-10 20:53:58
まあ、法的に軍隊で無い組織でも正式に戦争は出来ます。(ジュネーブ条約に規定あり)
軍隊はネガティブリスト(禁止行為として挙げられたもの以外出来るシステム)、自衛隊はポジティブリスト(やっていいと明示されたことしか出来ないシステム)なので、自衛隊は軍隊とは違う組織です。
まずは、自衛隊をきちんとした憲法に基づく組織にするべきです。(今までは合憲といいながらもかなり苦しい解釈で認められていた。自衛権は放棄するとなっている交戦権のなかには無いという解釈。)
とにかく、今はしっかりとした国家防衛組織を作ることが必要です。
軍隊の暴走という悪夢を防ぐためにいろんな暴走阻止システムを組み込むことを各国はやっていることや日本の自衛隊はネガティブリスト方式のため、さらに暴走しにくいシステムになっていることを国民に伝えることも大事です。
思うに左翼の方は想像力が足りない方が多いように思います。
学生を戦場に送るなの意気は良いですが、他国の政府の強制で学生が戦場に送られるのが良いのか、他国のぐんくつの音が鳴るのが良いのか良く考えてもらいたいものです。
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Unknown (Suica割)
2012-12-10 20:56:57
すいません。自衛隊はポジティブリストだから暴走しにくいの間違いでした。
取り違えたみたいです。
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Suica割さま (kuranishi masako)
2012-12-10 21:21:00
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 ネガティブリストの軍隊と、ポジティヴリストの自衛隊とが戦った場合、どちらが有利であるかは、はっきりしております。しかも、中国や北朝鮮の軍隊は、ネガティブリストどころか、アブソリューティスト(禁止行為として挙げられたこともできるシステム)の軍隊なのです。最低限、自衛隊をネガティブリストとしませんと、公平で対等な戦いはできませんし(戦争もフェアでなければならない…)、アブソリューティストの国の軍隊に対しては、高度先端技術を用いるなど、技術面で優位性を確保しませんと、徹底的な破壊と殺戮の対象となってしまいます。万が一、自衛隊が敗北するようなことがあれば、次には国民の虐殺が待っているのですから、国民は、左翼勢力の甘言に惑わされてはならないと思うのです。
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