万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

二つの”革命シナリオ”に慄く中国

2010年10月31日 15時26分40秒 | アジア
日中に対話呼び掛け=緊張緩和措置求める―米(時事通信) - goo ニュース
 尖閣諸島沖での事件発生以降、日中関係は悪化の一途を辿り、緊張は高まる一方です。中国側の強硬姿勢の背景には、”深刻な国内事情”があるとも指摘されていますが、改革開放路線を選択したことで、現在の中国は、二つの”革命シナリオ”に慄くことになったのではないかと思うのです。

 共産主義国家とは、共産党による一党独裁体制を意味しますので、平和裏に体制を移行させる仕組みを備えていません。共産主義国家が、完全無欠の理想の国家である以上、共産革命が、最初で最後の革命なのです。しかしながら、現実は、理想どおりには行かず、また、完璧な体制などこの世には存在していません。共産主義体制の硬直性は、変化の激しい時代に身を置きますと、対応能力の欠如という弱点となるのです。

 平和裏に問題解決ができないとなりますと、二つの異なる方向からの”革命”が、中国の現体制に襲いかかる可能性があります。その一つは、共産党保守派による第二の”共産革命”であり、建国の理念に戻そうとする復古主義の一派です。江沢民派や次期主席とされる習近平氏に近く、”毛将軍”を温存している人民解放軍が担ぐグループがその担い手となりそうです(あるいは、党の外部で、経済格差の拡大に対する国民の不満を集めた新たな”共産”勢力が登場か…)。そうして、もう一つは、今年度のノーベル平和賞受賞者である劉暁波氏といった民主活動家が目指す、”民主革命”です。後者は、国民の要求の前に、政府が多党制の導入を受け入れた1989年の東欧革命に近い形態となりそうです。

 何れにしても動乱が避けられないならば、自由、民主主義、法の支配といった人類共通の価値観を掲げた民主革命のほうが望ましく、国際社会も、中国が民主化の方向性に向かうことを願っています。日本国政府も、将来を見据え、中国の民主化を積極的に後押しすべきと思うのです。

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会談拒否はガス田強行採掘の意思表示?

2010年10月30日 15時37分47秒 | アジア
中国首脳会談拒否 通信社の誤報、要因 「ガス田開発交渉再開に合意」(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、中国側が、日中の首脳会談を一方的にキャンセルした一件は、AFPの誤報が原因であったと報じられています。原因が誤報であれば、日中関係は心配するに足りない、とする見方もありますが、その逆に、問題はさらに深刻になったのではないかと思うのです。

 AFPが伝えた誤報の内容とは、”日中首脳会談では、ガス田開発交渉再開に合意する予定である”というものです。日本側としては、東シナ海で一方的にガス採掘に着手しているとみられる中国の動きは、何としても止める必要がありますので、当然に、この問題を首脳会談の議題にあげることを提案したはずです。ところが、突然のキャンセルという手を用いてまで、中国側が、ガス田問題に触れることを拒否したとなりますと、それは、中国側が、一切、日本国政府と交渉せず、ガス田の採掘に踏み切る可能性が極めて高いことを示しているのです。

 ガス田交渉が行き詰ったとなりますと、日本国政府は、中国と同様に、単独採掘に踏み切るしか自国の資源を守る手段はなくなります。誤報情報は、むしろ、中国の強引な姿勢を露わにしたのではないでしょうか。

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尖閣ビデオ―悪事を隠すことは禍のもと

2010年10月29日 15時18分46秒 | 国際政治
自民「尖閣ビデオ全編提出を」 2時間→6分「改竄可能性も」(産経新聞) - goo ニュース
 民主党政権は、6分間の尖閣ビデオの公開にさえ”及び腰”のようです。事件発生当初は、中国側もビデオの公開を求めていましたが、案の定、政府が衆議院にビデオを提出した途端に不快感を伝えてきたと報じられていますので、おそらく、中国側への配慮、あるいは、密約?が、民主党の消極的な態度の理由なのでしょう。

 しかしながら、自らが行った行為に対して責任を採ることが、現代社会の倫理にかなった態度であるとしますと、中国の要求を飲んで、ビデオを非公開としますと、悪事がまかり通る”暗黒社会”を認めたにも等しくなります。悪事を働いても、被害を受けた国に圧力をかけて”なかったことにできる”となれば、今後も、同様の事件が相次ぐことになります。誰にも咎められないのですから。尖閣ビデオの非公開は、中国の悪事に加担することであり、自らも危険な”暗黒社会”に引きずり込まれることになるかもしれないのです。

 相手の悪事を隠しますと、やがて、それは自らにも禍となって返ってきます。地獄の淵に立たされている日本国政府は、健全で道理にかなった国際秩序の構築に向かうべく、尖閣ビデオの全録画を内外に公開すべきと思うのです。

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尖閣ビデオ―公開用に既に”編集”されているのでは

2010年10月28日 15時59分49秒 | 日本政治
尖閣ビデオ 民主、一般公開見送る方針(産経新聞) - goo ニュース
 公開をめぐって議論が紛糾している尖閣ビデオ。政府から衆議院に提出されたと報じられていますが、既に、編集されているのではないかと思うのです。

 尖閣沖での事件は、海保の巡視船による中国漁船の追跡と船長の逮捕までの一部始終を録画してあるとされております。おそらく、全部で2、3時間はくだらないと考えられるのですが、提出されたビデオは、DVDで6分足らずとのことです。6分間の映像には、中国漁船の方から衝突してきた瞬間が映っているのでしょう。しかしながら、この場面だけでは、石原都知事の”仄聞発言”やネット上で噂されている殺人、あるいは、殺人未遂の蛮行があったのかを確認することはできません。政府が、日本国民が激昂することを怖れてビデオを未公開としてきたことを考えますと、情報を隠蔽したい政府の意図を読むことができます。

 ビデオの編集が、地検、あるいは、地検から政府の手に渡った段階の、何れの段階で行われたのかは不明です。検察のフロッピー改竄が検察の信頼性を地に落とすことになったように、政府のビデオ編集も、国民を失望させることになるのではないでしょうか。

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育休知事の狙いは価値観の破壊?

2010年10月27日 15時29分11秒 | 日本政治
広島知事の育休取得表明、8割以上が批判的意見(読売新聞) - goo ニュース
 広島県知事が、男性の子育て参加の促進を大義名分に、自ら育児休暇を採ったことが批判されています。この問題には、幾つかの重大な価値観の対立が潜んでいると思うのです。

 その対立構図とは、(1)公務対私事(2)男女役割分担論対フェミニズム(3)仕事対家庭(4)勤勉対ゆとり・・・などであり、この対立軸からしますと、知事は、”フェミニズムの影響を受けたプライベート優先のゆとりを大事にした家庭人”、ということになります。このモデル、知事やその支持者にとりましては、豊かな社会の男性の生き方としては理想なかもしれませんが、果たして、今後の日本国の男性の生き方として見習うべきなのでしょうか。どこか、社会に対して無責任で、ひ弱で、自己中心的なイメージを受けてしまうのです。

 実のところ、この”新しい男性像”は、旧来の日本人の男性像の正反対であり、知事の狙いは、旧来の価値観を破壊することのようなのです。しかしながら、何時の世でも、勤勉に働き、公人が公を大事にすることが、健全な社会と経済的な繁栄の基礎であることには、変わりはありません。内外から危機が忍び寄る時代に、このモデルが広がりますと、我が国の将来も危ういように思えるのです。

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日中関係―ゼロ・サム問題で隘路に

2010年10月26日 15時27分33秒 | 国際政治
自己中心の“中華思想”をいつまで貫けるか?世界規模で顕在化する中国リスクの行き着く先(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 我が国の経済界や識者が、中国の経済成長を評価するのは、市場の拡大が自国の経済にも恩恵をもたらすとするポジティブ・サムの発想に基づくものです。確かに、経済分野では、貿易や投資の増加は相互利益をもたらしますし、企業のビジネス・チャンスも広がります。

 しかしながら、政治の分野では、そうはいきません。政治分野では、得てして、国家間の関係は、ポジティヴ・サムではなく、ゼロ・サム関係となるからです。その最たるものが、領域の取り合いであり、中国が、尖閣諸島の領有権を主張したことで、日中関係は、抜き差しならぬ状況に陥いりました。経済分野では、バーゲニングを通した妥協や譲歩がありえますが、ゼロ・サム問題では、この解決手法はとれません。つまり、中国が、尖閣諸島の領有を諦めない限り、根本的な問題解決には至らないのです。迂闊な譲歩は、一方的な損失しか意味しません。

 尖閣諸島問題のみならず、中国では、政経一元論を採る共産主義を奉じているために、経済問題が、即、政治問題に転化されます。レアアースの輸出規制しかり、外国の国債買い漁りしかりです。近い将来、共産党保守派であり、習近平氏が国家出席に就任するとなりますと、我が国のみならず、国際社会は、中国の政治的なリスクとも前面から向き合うことになるかもしれません。

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中国に「08憲章」が実現する日は近いのか

2010年10月25日 16時50分42秒 | アジア
反日デモ拡大、中国内陸部に集中 格差不満、統制利かず(産経新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島沖の事件をきっかけとして、中国各地で連日のように発生している反日デモ。はじめは当局の統制が効いていたようですが、終に政府が最も怖れる事態、つまり、反政府のスローガンが掲げるデモが、宝鶏市で発生したそうです。

 急激な経済成長による社会の歪みは、既に多くの識者からも指摘されており、共産党の利権独占、政治腐敗、内陸部と沿岸部の経済格差の拡大、都市戸籍と農村戸籍の不平等など、問題点を数え上げたらきりがありません。その主たる原因が、共産党の一党独裁体制にあるとしますと、国民の不満が元凶と見なされた政府に向かうのは当然の成り行きです。中国のデモが、”官製デモ”から”民間デモ”へと移行してきているとしますと、このシナリオは、俄かに現実味を帯びてきます。

 そうして、一党独裁体制後の中国の新たな体制は、既にその骨格を現しています。ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が起草した「08憲章」が日の目を見る日は、案外、近いのかもしれないのです。

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岡崎氏は何処の国の公安委員長なのか

2010年10月24日 16時06分03秒 | 日本政治
岡崎公安委員長「反日デモ参加、国益にかなう」 稲田氏厳しく追及「不適切」(産経新聞) - goo ニュース
 慰安婦問題は、韓国が、国を挙げて取り組んでいる活動であり、アメリカ下院の委員会で非難決議が採択されたように、外国の政府に対しても積極的なロビー活動を行っていることで知られています。この活動が、韓国の国益のためにあるのは言うまでもなく、この活動への参加が、日本国の国益に適っていると考える人は、まずいません。

 ところが、こともあろうか、国家公安委員会という、日本国の国益を守る機関の長が、韓国の国益を図る活動への参加が、日本国の国益にかなうと公然と主張したというのです。特に慰安婦問題は、証拠がないにもかかわらず、韓国側の要請で”河野談話”に盛り込んだところ、あわや史実になりかけたいわくつきの問題であり、背後には、戦後補償を日本国に迫りたい韓国政府の利権がらみの思惑があったと指摘されています。人道主義の裏側には、韓国の国益が潜んでいることは、洞察力に優れた政治家であれば、当然に、見抜けるはずです。

 外国の国益のために働く人物、それも、そのことに気づきもしない人物が、国家公安委員長の職にあることは、日本国の国益にとりましては、害以外の何物でもありません。やはり、岡崎国家公安委員長は、この職にあるべきではないと思うのです。

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通貨安競争回避―セーフガードの対抗措置を認めては

2010年10月23日 15時19分04秒 | 国際経済
通貨安競争回避を議論=先進・新興国の調整焦点―G20開幕(時事通信) - goo ニュース
 現在開催されているG20では、通貨安競争を回避するために、各国政府に自制を求めることを基本方針とした共同声明案が検討されているそうです。アメリカ政府は、世界経済の不均衡を是正するための数値目標の設定も主張しているようですが、もう一つの方法として、不当な通貨安政策を行っている国に対して、正当な対抗措置を認めてはどうかと思うのです。

 通商法では、一般に、輸出先の経済に打撃を与えるダンピングに対しては、相殺関税や数量規制などの対抗措置をセーフガードとして認めています。一方、通貨政策の分野では、不公正な貿易や世界経済の歪みの原因となる行為に対する制裁措置についての合意が成立していません。このため、中国や韓国のように、何らの制裁も怖れることなく、また、他国からの是正の要求を無視して、自国通貨安政策を追求する国も登場してくるのです。

 原案では、自制や数値目標の達成を約しても、制裁規定がない以上、それが守られる保障はなく、何らの効果も生まないかもしれません。対抗措置の容認は、通貨安競争に歯止めをかける強力な圧力になると思うのです。

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中国の”侵略パターン”は読まれている

2010年10月22日 11時28分54秒 | アジア
中国が尖閣資源の共同開発要求 日本、即刻拒否(共同通信) - goo ニュース
 尖閣問題棚上げ論の提案のみならず、中国は、尖閣資源の共同開発まで要求しているそうです。中国政府は、こうした見え透いた提案に、相手国の政府が乗ってくると、本気で期待しているのでしょうか。

 最近の中国の行動パターンは、既に諸外国から読まれている段階にあります。尖閣諸島沖での事件も、工作漁船の展開(海上民兵?)⇒漁業監視船の派遣⇒相手国漁船の拿捕⇒実効支配という、”侵略計画”の流れの一環にあることは、西沙諸島や南沙諸島の事例から分かっています。そうして、”棚上げ”や”共同開発”の提案という手法も、実効支配までの時間稼ぎや領土問題化への布石であり、あわよくば、領域の折半まで持ち込もうとする、したたかな戦略に基づくものであることも明らかです。あるいは、東シナ海のガス田のように、中国側が、尖閣沖で一方的な資源採取を行う口実に使われるかもしれません。

 にも拘らず、もし、日本国政府が、中国の侵略的な意図を知りながら、”日中関係の改善”という甘い言葉につられて、中国の提案を受け入れるとしますと、それは、相当に愚かであるか、あるいは、売国行為の確信犯であるかのどちらかなのではないでしょうか。


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露骨すぎる人事介入―”禁じ手”を使う危険な小沢氏

2010年10月21日 14時51分03秒 | 日本政治
検察チェック機関に小沢系増加 罷免権限持つ適格審査会(朝日新聞) - goo ニュース
 検察審査会の「起訴相当」議決に対して効力の差し止めを申し立て、それが却下されると東京高裁に即時抗告し、そうして終に、小沢氏は、検察官の適格性を審査する適格審査会に手を回しているそうです。

 差し止め訴訟は、被告一般の権利の行使となりますので、まだ許されますが、検察官の適格審査会の人事に介入するとなりますと、これは、大問題です。何故ならば、一般の被告には不可能であり、人事権を握る政治家にだけが使える手段であるからです。それは、とりもなおさず、政治による不当な司法介入を意味しますので、良識ある政治家であれば絶対に使わない”禁じ手”です。政治家が自らの起訴を回避するために、政治権力を使ったとなりますと、権力の濫用が厳しく問われることになるのです。

 自己保身のために、見境なく”禁じ手”を使う小沢氏の姿に、国民の多くは、”やはり小沢氏は危険人物であった”という確信を強めたのではないでしょうか。

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仙谷発言の弁明の詭弁―アメリカは同盟国である

2010年10月20日 15時23分45秒 | 日本政治
尖閣で日中軍事衝突なら「日本助ける」 米国防総省高官(朝日新聞) - goo ニュース
 先日暴露された仙谷官房長官の”属国発言”に対する弁明として、”日本国は、以前からアメリカの属国であった”とする意見がネット上に散見されています。しかしながら、同盟関係にあるアメリカと、安全保障上の脅威となっている中国とでは、全く性質が違うと思うのです。

 尖閣諸島沖での事件は、中国が、日本国の領域を侵略する意図を持っていることを、誰の目にも明らかとしました。このことは、両国が、既に敵対関係にあり、日本国は、中国から自国の主権と領土を守る立場にあることを意味しています。この状況にあって、官房長官が、中国の属国化を容認するとなりますと、それは、主権平等の原則を放棄し、中国の軍門に下ることを認めたに等しくなります。つまり、官房長官の発言は、”売国発言”に他ならないのです。一方、日米同盟は、日本国の主権と領土を守る重要な柱です。米軍基地を置き、政策協議の場を設けているのも、日米同盟が、安全保障の要の役割を果たしているからです。加えて、日米両国は、自国のみならず、アジアならびに国際社会の平和と安定を維持する責務をも負っています。さらに言えば、アメリカは、戦後、占領地を返還こそすれ、日本国の領域に対して、国際法を無視して、一方的な領有権を主張したり、”海上民兵”を使った占有のための実力行使を行ったこともありませんでした。

 日米関係と日中関係では、安全保障を軸として見ますと正反対にあり、両関係を、同列に扱うことはできないはずです。そうして、仙谷官房長官への世論の非難は、言うまでもなく、現実の脅威である中国に対する卑屈な態度に向けられているのです。

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ノーベル平和賞は政治的価値判断である

2010年10月19日 14時18分37秒 | 国際政治
ノーベル平和賞騒動で見えた中国のアキレス腱 文化的手法で政治介入を狙う先進国の“懐事情”(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 ノーベル平和賞は、政治的に中立なのか、という問いかけは、”平和”という状態が、国家の政治判断や行動によって実現するものであることを考えれば、ナンセンスなのかもしれません。つまり、平和を口にすることは、政治を語ることでもあるのですから。

 劉暁波の受賞に対して中国がヒステリックに反応し、激怒しているのは、現在の中国の国家体制が、平和への脅威として認定されたに等しいからです。それもそのはず、旧ソ連邦の事例を持ち出すまでもなく、共産主義国家は、イデオロギーを大義名分に掲げて他国を一方的に侵略し、平和を乱してきた”実績”があるからです。今でも、チベットや東トルキスタンでは、中国による弾圧を伴う”植民地支配”を受けており、国際社会もまた、これらの人々に対して、救いの手を差し伸べることができない”もどかしさ”に苦しんでいます。中国の国内体制に目を向けましても、一党独裁体制が、国民の自由や権利を抑圧し、法の支配を蔑にしていることも事実です。劉氏が起草した「08憲章」が、平和的な手段による改革案であったことにも、ノーベル平和賞の姿勢が表れなのです。

 ノーベル平和賞は、特定の国の政府の意向を直接的に現すものではない、という意味においては、政治的に中立ですが、政治的な価値については、明確な価値判断を示しています。しかも、その価値が、自由、民主主義、法の支配といった、誰もが否定できない最も基本的な価値なのです(時には、議論のある価値に偏ることもありますが…)。このことは、中国が、多くの国々が獲得してきた共通性の高い諸価値と真っ向から対立していることを示しており、それは、まぎれもなく、平和への脅威に他ならないのです。ノルウェーのみが、中国の攻撃の矢面に立たされることのは酷なことであり、国際社会もまた、中国の暴力主義を封じることに協力すべきと思うのです。


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「日本に資格なし」―中国の言い訳は不当

2010年10月18日 17時51分31秒 | 国際政治
中国、為替問題で菅首相を批判 「日本に資格なし」(共同通信) - goo ニュース
 各国から厳しい批判を受けている中国の元安政策。中国政府は、日本も元安で利益を得ているとか、あるいは、日本国も円安誘導の為替介入を行っていると主張し、我が国を盾として国際非難をかわそうとしてるようです。

 元安によって不当に廉価となった中国製品の輸入を受けて、国内では、日本企業の多くが、価格競争で苦戦を強いられていますし、何よりも、生産拠点の移転による雇用流出の危機に直面しています。また、円高の有利性は、中国の資本市場が閉鎖的である限り、中国市場では十分には活かしきれない状況にあります。日本国の円高是正のための介入も、元を訪ねれば、中国の通貨安政策に日本経済が耐えきれなくなった結果でもあります。

 中国政府が、元安政策を放棄すれば、日本国も含めて多くの国々が、”近隣窮乏化政策”の如くに、為替介入を行う必要性が低下します。自国通貨安誘導政策は、全ての国が一斉に止めなければ意味がなく、このまま利己的な中国の通貨政策を放置しますと、国際経済の歪が大きくなるばかりと思うのです。


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日本のマスコミは中国共産党の”宣伝部”の支部か

2010年10月17日 15時15分16秒 | 日本政治
中国外務省、反日デモに「理解」と談話(読売新聞) - goo ニュース
 昨日、在日本中国大使館前で、尖閣諸島沖で起きた中国の侵略的な行動に対して、近年に類を見ない規模のデモが行われました。中国で起きた反日デモも、この反中デモのリアクションのようなのですが、NHKを始めとして日本国内のマスコミ各社は、産経新聞社を除いてこのデモを報じようとはしません。

 日中間には、マスコミ報道をめぐる密約があるとも噂されており、それは、中国国内での取材を認める代わりに、日本国内では、中国を非難する報道をしてはいけない、とする内容のようです。密約の当事者が、日本国政府なのか、それとも、マスコミ各社なのかは分かりませんが、この密約、れっきとした外国の報道統制の受入であり、憲法に保障した言論の自由にも反しています。もし、マスコミ各社の監督官庁に当たる総務省が、中国の意向を受けて、報道を規制しいるとしますと、憲法で禁じた検閲に当たる可能性すらあります。いわば、日本国のマスコミが、中国共産党の”宣伝部”の支部になったようなものです。

 中国とタッグを組んだ日本国政府の情報統制は、尖閣諸島沖ビデオの非公開方針にも伺われ、属国化の兆しがここかしこに見られます。国民が容易にネット情報に接することができる時代に、政府やマスコミが情報隠蔽を行いますと、両者に対する国民の不満が高まり、政府もマスコミも、やがて、国民から見放されるのではないでしょうか。

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