万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

因果応報を信じない中国共産党

2008年05月31日 12時42分45秒 | アジア
S・ストーンさんを永久に無視=「大地震は報い」発言-中国メディア(時事通信) - goo ニュース

 ”宗教は麻薬である”と言い放つ共産党のことですから、当然に、地獄も最後の審判も信じてはいないことでしょう。しかしながら、特別の教義ではなくとも、人類の多くは、因果応報、つまり、他者を苦しめたり、悪さをした人は、いずれその罪穢れが自らに降りかかり酷い目に遭う、という罪と罰との因果関係を、無意識の内にでも感じてきたのです。

 罪に対する罰とは、現代にあっては、刑事罰の制度の下で、人間が行っています。一方、罪人を罰する制度がない時代にあっては、人々は、それを天に求めたかもしれません。そうして、現在の国際社会もまた、残念なことに、この制度未整備の状況にあるのです。そこで、S.ストーンさんは、四川大地震をチベット侵略と弾圧に対する天罰と見なしたのでしょう。四川大地震では、罪のない人々が多く亡くなりましたので、確かに、この発言は不謹慎な面もあるのですが、中国が、チベットを侵略し、弾圧した罰を受けるべきとする考え自体に誤りがあるわけではありません。

 今回の中国のS.ストーンさんに対するヒステリックな態度には、中国共産党の罪を認めようとしない頑なな意思と、因果応報を無視したい共産主義者の心情を読み取ることができす。しかしながら、やはり、中国の共産党政権には、遅かれ早かれ、自らが犯した罪を償うべき時がやって来るのではないか、と思うのです。

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日本国を誤爆するクラスター爆弾禁止条約

2008年05月30日 14時23分44秒 | 国際政治
クラスター爆弾全面禁止合意 専守防衛に空白(産経新聞) - goo ニュース
 
 クラスター爆弾禁止条約とは、人道を前面に押し立てた一種の軍備制限条約なのですが、軍事部門における一律のルール作りには、常に一悶着も二悶着もあるものです。何故ならば、軍備の制限が、特定の国に、自国の防衛にとって死活的な打撃を与えるからです。

 日本国もまた、クラスター爆弾禁止条約が、善意で攻撃しそうになっている国に他なりません。これは、誤爆と信じたいところです。報道によりますと、クラスター爆弾が禁止されますと、日本国は、戦争に至った場合には、敵国軍隊の上陸を阻止する有効な手段がとれなくなるそうです。いわば、”丸腰”になってしまうらしいのです。これでは、日本国と国民を守るための防衛力が、大幅に低下することは否めません。実際に戦わなくとも、条約というソフトな手段で、軍事力を削ぐことは可能なのです。

 クラスター条約の批准については、政府は、国際的な孤立化を理由に、前向きの方針を示していますが、アメリカもロシアも中国も参加せず、また、東アジアでは日本国のみが参加予定とのことです(全く理由になっていない・・・)。

 批准するならば、最低でも、1.代替兵器の導入までの期間については保有を認める、2.保有は認め、同条約加盟国との戦争に際してのみ使用を禁じる、3.自国領域内での使用を認めるといった留保条件を付けべきと言えましょう。

 もし、このまま批准となりますと、政府は、国民の安全を軽視していると取られても致し方がないのではないでしょうか。クラスター爆弾禁止条約が誤爆しようとしている日本国の安全について、政府は、より真剣に考えるべきではないか、と思うのです。

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君主制が危機に直面する時

2008年05月29日 17時33分21秒 | 国際政治
ネパール制憲議会で王制廃止決定、240年の歴史に幕(読売新聞) - goo ニュース

 人類史を振り返りますと、アテネ等の古代ギリシャの事例を除けば、君主制が、最も一般的な形態であったようです。おそらくそれは、君主が、国民を纏め、率いていくに最も適した存在であったからでありましょう。しかしながら、18世紀至り、アメリカの建国やフランス革命により共和制が打ち立てられるようになると、多くの国々で、君主制が姿を消していったのです。それでは、どのような場合に、君主制は廃止されてしまうのでしょうか。これには、幾つかの原因がありそうです。

 第一に、君主が、国民からの信頼を失うことにより、統合力を喪失した場合です。例えば、フランス革命におけるルイ16世夫妻は、その治世にあって国民と苦しみを分かとうとせず、しかも、革命に際して国外逃亡を企てたことから、国民から決定的に見放されることになりました(最初の案は、立憲君主制でした)。

 第二に、君主が、神聖性によって支えられている場合には、その神秘性を失うことによって、君主制が大きく揺らぐことがあります。フランス革命の遠因には、啓蒙思想に感化されたルイ15世が、国王に備わる神聖な力とされてきた病気を治す能力を、自ら否定したことがあります。

 第三に、君主自身が、国内の政治的な対立に巻き込まれることにより、反対派によって王位を廃されてしまうこともあります。このパターンとしては、イギリスの清教徒革命を挙げることができます。君主が、自ら政治的な実権を掌握し、恣意的に権力を行使しますと、内乱や分裂を招き、自らの地位さえも危うくするのです。

 第四に、第三と同様に、政治的な立場が原因となるのは、君主が戦争における敗戦の責任を問われた場合です。このケースは、第一次世界大戦で敗北したドイツやオーストリアの皇帝に当てはまります。

 もう一つ、政治的な理由を述べれば、第五に、君主が、国民を裏切り、敵国と結ぶ場合にも、君主制は重大な危機に陥ります。フランス革命に際しては、王妃のマリーアントワネットが、実家のオーストリアに助けを求めたことも、革命が過激化した原因となりました。

 第六に、国民の多数、あるいは、先鋭的な一団が革命思想に染まり、それを現実の行動に移した場合です。この場合には、たとえ、君主が善良であり、何らの落ち度がなくても、君主制は廃止されてしまいます。

 第七に、民主主義思想が、そのまま君主制の廃止に繋がるケースを挙げることができます。これも思想に起因しますが、植民地の独立や新国家が建設される場合には、アフガニスタンのように、王政復古ではなく、共和制が選択される場合があるのです。

 君主制には、世襲制に伴う問題点もありますので、上記の理由のみではないかもしれません。しかしながら、ネパールの王制廃止を見てみますと、少なくとも、1、3、6の条件は、揃ってしまったようなのです。現代では、君主といえども国民多数の支持がなくては存立が難しく、ネパール王制の顛末は、君主制の難しさを示すと共に、逆の視点から見ますと、現代国家における君主制の存立条件をも示しているように思うのです。

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中国人民解放軍は輸送能力不足?

2008年05月28日 15時59分52秒 | アジア
中国が自衛隊派遣要請=政府検討へ-四川大地震支援(時事通信) - goo ニュース

 災害における救援支援とはいえ、自衛隊が域外派遣されるのですから、中国に対する輸送機の提供は、決して小さな問題ではありません。しかも、実際には、中国人民解放軍の輸送能力が不足が生じているとも思えないのです。

 中国の軍事費の支出が増加の一途を辿り、人民解放軍の軍備が、現在では、我が国の安全保障を脅かすまでに拡大したことはよく知られています。また、急激な経済成長による歳入の増加も伝えられており、物理的な能力においても、財政上の能力においても、中国が、自力での対応能力に限界をきたしているとも思えないのです。それにも拘わらず、我が国に輸送機の支援を求めているとしますと、そこには、中国の巧妙、かつ、深慮遠謀な意図が隠されているのかもしれません。中国が、全人民解放軍を挙げ、かつ、国家予算をつぎ込んて救助活動を行えば、事済むことかもしれないのですから。

 二次災害の危険性も報告され、かつ、支援活動の長期化も伝えられる中、十分な情報もなく、また原則もなくして、なし崩しに派遣が決定されるとしますと、後に禍根を残すことになるのではないか(中国に対する一方的な貢献国への転落・・・)、と心配なのです。

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共産主義も自然には敵わない

2008年05月27日 17時40分43秒 | 国際政治
土砂ダム下流、最大130万人避難へ 四川大地震(朝日新聞) - goo ニュース

 共産主義者は、神を恐れぬどころか、自然の力をも恐れぬことにおいて、一頭抜きんでています。近代合理主義思想は、共産主義において科学万能主義と合流し、自然は、人間が科学技術を駆使して改造すべき客体となったのです。

 このためにか、共産主義国では、大型ダムの建設が国家の威信をかけて進められました。エジプトのアスワンハイダムも長江の三峡ダムも、この事例に漏れません。如何なる犠牲を払っても、共産主義者は、人間が自然を科学の力で征服した証として、ダムを建設したのです(長期的には、環境への悪影響やメンテナンス上の問題が指摘されていたにも拘わらず・・・)。大河を押し止めるようにして聳え立つダムの姿は、共産主義の自然に対する勝利宣言であったのかもしれません。

 しかしながら、人間は、本当に自然を征服できたのでしょうか。四川大地震では、労力をかけて建設されたダムの多くに亀裂が入り、加えて、土砂崩れで川がせき止められ、自然の”ダム”まで出来てしまいました。恐れるべきは自然の力であり、人間は、到底、この力には敵わないのはないでしょうか。中国共産党も、自らの限界を知り、自然に対して謙虚になりませんと、自然から思わぬしっぺ返しを受けるように思うのです。

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英語教育モデル校は教育実験なのか?

2008年05月26日 18時16分25秒 | 日本政治
英語 小3から必修 教育再生懇 「抜本見直し」提言(産経新聞) - goo ニュース

 海外の情報を吸収し、また、日本国の情報を海外に発信するためにも、英語は有効な手段です。このため、英語教育には力を入れるべきなのでしょうが(もっとも、日本国には明治以来の翻訳文化があり、一般の人々が、自国語で外国の専門書まで読める稀有な国であった・・・)、英語教育の開始に最も適した時期は何時か、という問題については、誰もが納得する回答は未だ得られていないようです(もしかしたら、個人差がある可能性さえある・・・)。

 そこで、教育再生懇談会では、全国の5000校のモデル校を選んで、実験的に年35時間の英語授業を行ってみよう、ということになったのでしょう。しかしながら、このモデル校方式には、幾つかの考えるべき側面があるように思うのです。

 第一に、早期の英語教育に選ばれたモデル校には、他の公立の小学校とは異なる教育プログラムが組まれるわけですから、特別の教育が施されることになります。これは優遇と捉えることもできますので、他の学校への配慮を必要とするかもしれません。例えば、他の小学校に対しても、特色ある教育プログラムを許すとか(理数系強化校とか、教養強化校とか・・・)、あるいは、モデル校制度そのものをやめるとか、全ての子供たちにチャンスを与えるという文脈において、公教育としての公平性を保つ方法を考える必要がありましょう。

 第二に、第一の問題とは反対に、小学校3年生から英語教育を始めたことが、何らかのハンディになることも懸念されます。教師がネーティヴ・スピーカーではない場合には、不正確な発音が身につくかもしれませんし、母国語の学習過程にあって外国語を学ぶと、両言語の混乱が起きるとする指摘もあります。

 学習時間とは無限にあるわけでもなく、また、教育は、後からやり直しができるわけでもありません。ですから、学校を選んで、教育を実験的に行う場合には、国民が納得するように、最大限に議論を尽くすべきではないか、と思うのです。

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冷やすべきは地球ではなく頭のほうか?

2008年05月25日 14時13分09秒 | 国際政治
「二酸化炭素犯人説」に異論も…50人で36時間、温暖化討論会(読売新聞) - goo ニュース

 京都議定書の締結以来、温室ガス削減問題は人類共通の緊急課題として、国内外において熱心な取り組みが進められてきました。ゴア氏を筆頭に、”今すぐに温暖化ガスを削減しなければ人類は滅びる”、という主張が、まことしやかにメディアを通して喧伝されてきたのです。

 しかしながら、温暖化の原因は何か、ということになりますと、科学者の主張と政治家の主張との間にも、温度差が見られることも確かです。今日では、科学者の論調も、”二酸化炭素犯人説”が主流となった観はありますが、それでも、この説は、相当に政治色がかかっているとする指摘もあるのです。

 専門の科学者ではなくても、冷静に考えてみますと、1.二酸化炭素の増加に伴いそれを吸収する植物の光合成も増えること、2.二酸化炭素よりも、メタンやフロンの方がはるかに温暖化効果が高いこと、3.地球の気温は、太陽の活動と地球のマグマの活動に影響を受けること、4.過去にはより激しい気候変動があったこと・・・といった疑問点が浮かんできます。その上、地球の冷却化現象を示すような報告が、ないわけでもありません。しかも、排出権取引制度のように、削減効果を期待できないどころか、企業負担の増加と排出権取引市場における投機を招きそうな制度の導入とセットとなるとしますと、さらに怪しさが倍増してしまいます。もし、大胆な削減を行っても、さしたる効果がなかったり、逆に冷却化が新たな問題となったりしましたら、一体、誰が、責任をとるのでしょうか。

 本当の原因は、誰にも分からないことなのに、温暖化ガス削減熱に浮かされた政治家や環境派の方々が、必死になって削減に向けてひた走っているようにも見えます。まずは、冷静で客観的な議論ができるよう、頭を冷やす方が先決なのかもしれません。 

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アメリカはノアの方舟か?

2008年05月24日 17時21分36秒 | 国際経済
米国が外国石油「依存症」から離脱へ――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

 経済予測ほど当たらない予測はないので、アメリカの脱外国石油のエネルギー政策の影響が、世界経済全体に与える影響を正確に判断することは、簡単なことではありません。それでも、ここでは、石油価格に絞って、その影響について考えてみようと思います。

 第一のシナリオは、長期的には、石油価格が下がるという見方です。これは、二つの要因、つまり、バイオ燃料や省エネ技術の導入による石油消費量の減少と、アラスカ等の石油採掘事業による増産により、需給バランスが供給の増加に傾くからです。なお、もしアメリカが、自国産の石油を自国企業に優先的に供給したり、あるいは、自国産の石油に対して輸出規制を設ければ、少なくともアメリカ国内においては、石油価格下落は相当に高い確率で起こりそうです。

 第二に、BRICsなどの新興工業国の石油需要の増加により、石油価格は下落しないという見方もできます。中国もインドも膨大な人口を抱えていますので、先進国並みの生活水準に追いつくまで、石油消費量は増加し続ける可能性があるからです。これは、アメリカの石油政策に関係なく、国際石油価格を押し上げます。そうして、この長期上昇トレンドに基づくシナリオには、投資家や金融機関を石油市場への投機に駆り立てるという副作用があるのです。

 第三のシナリオは、石油価格は、一定の上昇の後に逓減し、下落に転じるとする見方です。これは、石油価格の上昇による企業収益の悪化が、消費者の購買力低下につながり、企業活動を縮小させること、並びに、企業自身が技術開発により、脱石油体質を強化することによって生じます。

 石油価格の上昇は、全ての諸国にとって望ましいものではありません。そこで、最悪のシナリオを避けるためには、せめて、商品市場における投機マネーの流入を規制すること、並びに、エネルギー効率を上げる努力を続け、脱石油体質を強化することだけは、怠ってはならない政策と言えそうです。しもっとも、アメリカだけは、たとえ石油価格高騰の洪水が押し寄せてきても、最も被害を受けずに済むかもしれません。

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台湾のネットワーク参加のゆくへ

2008年05月23日 14時17分03秒 | 国際政治
太平洋を「内海」に 首相が新外交ドクトリン (産経新聞) - goo ニュース

 敢えて敵を作らない全方位外交は、耳に心地よく響きますし、誰からも反対されないという長所があります。しかしながら、大風呂敷を広げた政策ほど、えてして具体化の段階に至ると、とんでもない難題にぶつかるものです。

 福田首相の新外交ドクトリンもまた、実現へのステップを踏むに際し、多くの難問を抱えることになりそうです。その難題の一つに、台湾の参加問題があります。台湾は、80年代には既に新興工業国として頭角を現し、アジア経済において重要な地位を占める工業国に発展しました。現在でも、先端技術産業において、グローバル市場で大きなシェアを占める製品部門を持っています。もし、太平洋を”内海”と捉えるならば、地政学上の観点から見ても、台湾抜きのネットワーク構築はあり得ないと思われるのです。

 そこで問題となるのは、「経済・環境共同体」のような国際機構の構築をめざすとしますと(政治的にも問題はあります・・・)、中国が、台湾の加盟を拒絶する可能性が高いということです。中国は、台湾の国家としての地位が強化されることには悉く反対していますので、これを承認するとはとても思えないのです。

 はたして、この問題は、上手に解決されるのでしょうか。加盟問題の難航が予測される国際機構の構築は諦めて、台湾を含めた二国間ネットワークを張り巡らすという方法も考えられるのですが、経済関係を強化するならば、やはり、自由や民主主義といった価値を共有する諸国を中心に進めた方が安全ではないか、と思うのです。 

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米民主党の選挙戦略は正しかったのか?

2008年05月22日 16時22分10秒 | アメリカ
米大統領選 空気読まないクリントン氏 敗色濃厚なお抗戦 (産経新聞) - goo ニュース

 建国以来、アメリカ人のフロンティア精神は、政治の世界にも横溢しており、共和党が”強くて頼りになる正義の味方”をイメージしているとすれば、民主党は、”果敢に新しい世界を切り開いてゆく変革者”というイメージを国民に示してきました。しかしながら、今回の大統領選を見てみますと、民主党の路線が、どうやら限界に達しているようにも思えるのです。

 ケネディ大統領が、アメリカ史上初のアイルランド系、かつ、カトリック系の大統領であったように、民主党は、これまでにない”新しさ”を常に追求してきました。この路線の延長線上に、黒人初の大統領を目指すオバマ氏と、女性初の大統領を狙うクリントン氏が二大候補として擁立され、どちらの大統領が誕生したとしても、アメリカン・ドリームを実現するはずでした。アメリカでは、努力と才能があれば、如何なる困難を乗り越えても成功できる、という・・・。

 ところが、マイノリティー出身の候補者であることは、それだけに、反発を持つ層を作りやすいという欠点が忘れられていたようなのです。つまり、どちらの候補者にしても、国民の一部に強固な反対層を抱えてしまう可能性があるのです。しかも、選挙戦が長引くにつれて、議論が、黒人票や女性票の動向が伝えられるようになりますと、否が応でも、この問題を意識せざるを得なくなってしまいます。

 両候補の大統領としての資質が競われるのではなく、新しさを求める民主党の路線が、国民の注目をマイノリティー問題に集める結果をもたらすとしますと、かえって、社会的な分裂を引き起こすことになるかもしれません。大統領選挙が、国民分裂の要因になるとしますと、民主党の戦略は罪作りなように思えるのです。

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亡き人を悼む心が中国を変える?

2008年05月21日 17時53分24秒 | アジア
日本救助隊の犠牲者への黙とう、中国で絶賛(読売新聞) - goo ニュース

 共産党による中華人民共和国の建国をイメージしますと、荒れ狂う革命の嵐の中で、人民解放軍が、倒れる屍を踏み越えてひたすら前進する姿が思い浮びます。実際に、共産革命にあって反革命分子として命を落とした人々は、誰に葬られることなく、野に朽ち果てることになったのです。

 共産主義体制にあっては、反革命分子のレッテルを貼られたが最後、孫子の代まで迫害を受けるという体質は、一晩で変わることはないでしょうし、また、革命による虐殺と天災による被害は違うのかもしれません。しかしながら、四川大地震にあって、日本救助隊の黙禱という行為が心の琴線に触れ、中国の人々の心に、亡き人を悼むという気持ちが芽生えたとしますと、それは、中国が、人の命を尊び、延いては、人権を尊重する国に変化する兆しとなるかもしれないのです。テレビの報道にも、中国の人々が、犠牲者のために、静かに黙禱を捧げる姿が映し出されていました。

 これまでの共産主義教育によって、中国の人々は、すっかり暴力の残酷さに慣らされ、心が殺伐としてしまったようです。しかしながら、中国の人々が、人としての温かみを取り戻せば、あるいは、中国の人権問題が改善され、チベットに対する弾圧政策の誤りを悟ることになるかも知れません。もしそうなるならば、天は、災害という厳しい試練を与えるとともに、大いなる恵みをも与えたことになりましょう。

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戦々恐々のロシアのEU加盟

2008年05月20日 17時12分55秒 | ヨーロッパ
大前研一が予測! 「ロシアは必ずEUに加盟する」(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 
 EUが、経済戦略の一環として、ロシアを加盟国として迎え入れることは、そう不合理な政策ではありません。確かに、欧州市場へのエネルギー供給や資源入手ルートを確かにするためには、資源大国ロシアの取り込みは理にかなっているからです。しかしながら、EUの政策決定の仕組みや価値共同体としての性格を考慮しますと、EUとロシアの双方にとって戦々恐々の加盟交渉になりそうなのです。

 例えば、EUの理事会と欧州議会では、各加盟国に対して、主に人口を基準にして票数や議席を割り当てています。ここに、もし、ロシアが加盟するとしますと、現在のロシアの人口が約1億4千万人ですので、EU最大の票数と議席を獲得することになります。このことは、現在のEUの加盟国にとっては脅威ですし、反面、ロシアにとっても、票数や議席が最大であっても必ずしも自国の主張が通るわけでもありませんので、加盟に二の足を踏む原因になります。

 さらに、EUが、民主主義、自由、法の支配といった価値の共有を謳い、基本権の侵害などに対して制裁規定を設けていることも、EUとロシアとの摩擦要因になりそうです。ロシアは、チェチェン問題など、国内に不安定要因を抱えていますし、北方領土問題でも明らかなように、国際法を順守する姿勢が十分とも言えません。

 これらの諸点の他にも懸念材料はあるのですが、ロシアの早期EU加盟論は、経済決定論に基づいていると言えましょう。そうして、この楽観的な予測は、現在のロシアを見る限り、東アジア共同体と同質の問題点(共産主義国を含めた共同体?)を抱えているように思われるのです。

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韓国は国際司法裁判所への付託同意を

2008年05月19日 18時29分50秒 | アジア
中学解説書に「竹島は領土」明記へ、韓国は日本に抗議(読売新聞) - goo ニュース

 竹島問題をめぐっては、韓国国民の反日感情が先走り、ナショナリズムが事実を曇らせる現状が続いています。両国が平和的にこの問題を解決するためには、やはり、国際司法裁判所での解決を目指すべきではないか、と思うのです。

 そもそも、領土問題の解決は、日韓のみに関わる問題ではありません。我が国の中にも、韓国の国民感情に呼応するかのように、日本国に譲歩を迫る論調もありますが、もし、我が国に法的な領有の正当性がありながら、韓国の実効支配を認めるとなりますと、占領(侵略行為)に合法性を与えるという先例を作ることになってしまいます。一方的な譲歩が一般化しますと、実効支配>合法的領有となりますので、軍事占領を試みる国が増加するとも限らないのです。

 韓国は、国を挙げて日本国を批難するよりも、国際社会の一員として国際司法裁判所への解決の付託を決断すべきであり、また、日本国も、韓国を根気強く説得すべきと思うのです。
 
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死刑に宿る命を尊ぶ精神

2008年05月18日 13時56分11秒 | ヨーロッパ
死刑めぐる鳩山法相の国会答弁、EUが異例の抗議文(朝日新聞) - goo ニュース
 
 昨年12月に国連総会で、EUが共同提案者となった「死刑執行停止を求める決議」が採択されたこともあって、我が国でも、死刑廃止論が再び注目を集めるようになりました。とかくに、死刑制度は、”野蛮”とする議論が見られるのですが、必ずしも、死刑制度は、生命の軽視を意味しないと思うのです。

 何故ならば、死刑制度の背景には、”人としての最大の罪とは、他者の命を自分勝手な理由で奪うことである”、という考えがあるからです。命とは、失われてしまった限りは戻ってきませんし、取り換えがきくものでもありません。命あるからこそ、人は人として生き、自らの人生を歩むことができるのです。ですから、他者の存在を否定し、尊い命を奪った者は、罪相応の最大の罰が与えられるべきであり、無期懲役などでは軽すぎる、という論理もまた成り立つのです。つまり、命の軽視ではなく、命の尊重ゆえの死刑、ということになります。

 もちろん、政治や宗教的な理由による死刑、ならびに、冤罪による死刑はあってはならないことですが、利己的な理由に基づく殺人に対しては、死刑の宣告は、あってしかるべし、と思うのです。ヨーロッパ文明を育んだキリスト教では、懺悔をし、悔悛すれば、如何なる罪も許されることになるのでしょう。しかしながら、”死を以って罪を償う”という考え方にも、命を尊ぶ精神が宿っていることを理解していただきたいと思うのです。

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中国政府はチベット独立の覚悟を

2008年05月17日 14時40分35秒 | 国際政治
チベット旗、毛沢東がお墨付き…ダライ・ラマが秘話明かす(読売新聞) - goo ニュース

 チベットが置れてきた悲惨な状況については、チベット弾圧事件や聖火リレーを通して普く世界に広まり、どう弁明しようとも、中国によるチベットの領有は、侵略と植民地化以外の何物でもないことが白日の下にさらされつつあります。ドイツにおける、ダライ・ラマ14世の”毛沢東のチベット旗容認”の発言も、如何に中国政府がチベットとの約束と権利を踏みにじってきたのかを明かす証言ともなりましょう。

 事実が知れ渡った現状にあっては、もはや、中国は観念するしかなく、早晩、チベットの主権回復、あるいは、独立を認めざるを得なくなることが予測されます。もちろん、中国政府には、再び武力を用いて弾圧するという手段が残されてはいるのですが、これを行いますと、中国は、国際社会から今以上に激しい非難を浴び、厳しい政治・経済的な制裁措置が待ち受けることになるでしょう。つまり、事実上、国際社会から追放されてしまうことになるのです。それでも、国際社会とは袂を分かっても構わないと中国が判断したとなりますと、世界は、再び、軍事力が物を言う弱肉強食の時代に逆戻りすることになりましょう。

 もし、中国が、国際社会の一員でありたいと願うならば、チベットの独立容認は、必須条件であると思うのです。第二次世界大戦以降、日本国を含め、列強諸国の多くが植民地や海外領土の大半を失いました。それでも、その現実を受け入れ、政治・経済的な立場を維持する努力を続けてきたのです。中国もまた、植民地主義の終焉を受け入れ、帝国主義から脱皮すべき時期に来たっているのではないでしょうか。

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