万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第二次世界大戦時の米英関係に見る日米同盟のメリット

2015-09-30 15:03:47 | 国際政治
中国の岩礁埋め立てに深刻な懸念…日米印外相
 先日、参議院で可決・成立した安保関連法案については、集団的自衛権の行使反対の立場から、違憲論を唱える識者が続出しました。その背景には、日米同盟強化に対する反対姿勢が垣間見られますが、第二次世界大戦時における米英関係は、日米同盟のメリットを再確認する歴史的教材となります。

 1939年9月1日、独ソ両軍によるポーランド侵攻が開始されると、イギリスは、フランスと共にポーランドとの間で締結されていた相互援助条約に基づいてドイツに宣戦布告します。しかしながら、破竹の勢いで進軍するドイツ軍を止めることは出来ず、1940年5月までに、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクがドイツの手に落ち、遂にフランス北部にもドイツ軍が侵攻します。危機的状況に直面したイギリスは、ヨーロッパ大陸からの退却を決意し、ダンケルクから35万もの兵員を輸送する大規模な撤退作戦が展開されたのです。首尾よく撤退作戦には成功したものの、戦局が好転する見込みもなく、孤立無援の状況下に置かれたイギリス政府が進めた政策が、アメリカを戦争に引き入れることでした。1941年8月には大西洋憲章が公表され、米英両首脳レベルでは参戦への筋道が付けられましたが、アメリカ世論が消極的であったことが障害となりました。このためイギリス政府は、MI6(秘密情報部)に世論工作の任務を託し、ドイツ脅威論を煽るなど、アメリカ国内の世論誘導に務めたのです。イギリス一国のみでヨーロッパ大陸を牛耳るドイツに対峙することはもはや不可能であり、アメリカこそ、唯一の頼みの綱であったからです。イギリスの苦悩は、同年12月の日本軍による真珠湾攻撃によって解消されますが、この時期、イギリスは、大ブリテン島へのドイツ軍上陸の悪夢に魘されていたのです。

 仮に、第二次世界大戦に先立って、米英間に軍事同盟が結ばれていたならば、イギリスは、アメリカの参戦に苦労することもなく、ドイツもまた、対英戦争を意味する軍事行動に踏み切ることを躊躇したかもしれません。そしてこの歴史的事例は、今日、中国の軍事的脅威が高まる状況下にあって、日米同盟が第二次世界大戦時当時のイギリスと同様の苦悶から日本国を解放していることに気付かされるのです。

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経済の相互依存は侵略の相互抑止ではない

2015-09-29 16:50:46 | 国際政治
中国、EUの投資計画に資金=加盟国以外で初
 政治的には対立する国家同士であっても、貿易やビジネスを通して密接な関係が構築され、相互依存関係に至ると、両国間には戦争が起きなくなるとする説があります。お互いに相手国を攻撃することが、自らの貿易相手やビジネスチャンスを潰すことになるからです。

 相手国に対して武力に訴えることが自滅行為となるならば、確かに戦争を回避する動機とはなります。しかしながら、この抑止力、双方に対して同等に働くのでしょうか。相互依存論の世界では、一先ずは、双方とも同質の国家を想定しています。ところが、現実の世界では、全ての国が同様の行動パターンを示すわけではなく、中国のように、法の支配を無視し、実力行使に基づく”既成事実化”を試みる国もあります。こうした国が出現した場合、経済の相互依存による抑止力は、覇権主義国に有利に作用する可能性があります。何故ならば、覇権主義国が、経済を人質に取った瀬戸際作戦を展開する一方で、覇権主義国と相互依存関係にある諸国は、戦争による経済的ダメージを怖れ、侵略を含む違法行為を武力で抑えることを躊躇うかもしれないからです。この場合、経済の相互依存は侵略の相互抑止とはならず、一方の国の侵略を黙認することになりかねません。

 戦争回避を期待して、政治的に対立している国との間の経済の相互依存を強めますと、逆に、自らの選択肢を狭め、身動きがとれない状況に陥る可能性があります。結果として、覇権主義国の戦略である”戦わずして勝つ”の実現を助け、国際社会に暴力支配をもたらすならば、相互依存論は”奴隷の平和論”になりかねないと思うのです。

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無意味となった”国連事務総長は小国から”の慣例

2015-09-28 15:21:25 | 国際政治
習、潘両氏「蜜月」際立つ=人権・海洋、対中批判かわす狙い―夫人も交えて国連外交
 ニューヨークの国連本部では、訪米中の中国の習主席と国連の潘事務総長の両人の”蜜月”ぶりが際立っていると報じられております。潘事務総長の御膳立ての下で、習主席は、”国連の主”のように尊大に振る舞っているようです。

 国連の事務総長の選出に際しては、これまで、小国出身の人物を選ぶという慣例が踏襲されてきました。”大国出身者を事務総長のポストに就けると、国連が大国の影響下に置かれ、中立性を損ないかねない”、というのがその主たる理由です。小国出身者であれば、出身国をバックに国連の権限が濫用されるリスクが低減されますし、大国にとりましても、お互いにライバル国に重要ポストを握られるリスクを回避することができたのです。ところが、藩事務総長の登場によって、この慣例は、無意味となったように思えます。小国出身であることは、必ずしも中立性保持の倫理規範遵守を保障せず、また、出身国が特定の大国に従属する場合があるからです。世界腐敗ランキングを見ますと、小国ほど腐敗指数が高い傾向にあり、期待とは逆に、小国出身者の方が中立性を蔑にするリスクが高くなります。そして、今般の国連での習・潘蜜月が示すように、近年の中国と韓国との急速な政治的な接近が、国連の中韓による”私物化”とも言うべき状況をもたらしているのです。

 こうした問題点を考慮しますと、次期国連総長の選出に際しては、”国連事務総長は小国から”の慣例を見直す必要があるかもしれません。少なくとも、権力の私物化傾向が強い、あるいは、腐敗指数の高い小国からの選出は避けるべきです。国の大小に拘わらず、人物本位の人選とすべきですし、全人類のために貢献する意思と高い政治倫理を備えた人物こそ国連の事務総長として相応しいと思うのです。

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国際社会にもある加害者の被害者偽装心理

2015-09-27 15:05:47 | その他
 昨日、NHKのBSプレミアムで、アガサ・クリスティー原作のドラマを放映しておりました。老婦人が冴えた頭脳で謎に満ちた事件を見事に解決してゆく”ミス・マープル・シリーズ”の一話ですが、推理小説から犯罪者心理の一面を学ぶことも少なくありません。

 推理小説ですので、先に犯人を明かしてしまいますと視聴者や読者の楽しみを奪ってしまいますので、ここでは題名を伏せて抽象的な表現に留めますが、この作品も推理小説の常道から逸れず犯人は、”意外な人物”となります。”意外な人物”、それは、”被害者”こそ”加害者”であったとする顛末です。ドラマの中で、作者は、登場人物に”加害者には、自らの罪を逃れるには、被害者を装うしか道がなかった…”とする趣旨の言葉を語らせています。そして、この結末に多くの人々が納得するのも、加害者が被害者を装う心理を理解するからです。被害者の立場に自らを置くことができれば、同情されこそすれ、疑いをかけられることも、罪を問われることもないからです。この心理、推理小説に描かれた架空の世界に限らず、実社会、そして、国際社会においても様々な場面で観察されます。昨日も、米中首脳会談では、サイバー攻撃問題も議題となりましたが、中国は、自らも被害者とする立場を崩さなかったそうです。”歴史認識問題”にあって、中国や韓国などが捏造までして被害性を殊更に強調するのも、その裏には、’自らの加害行為の責任から逃れたい’とする心理が働いているのではないか、と疑ってしまいます。

 犯罪者の心理を理解しますと、不自然さが漂う被害の主張に対しては、それを鵜呑みにせず、慎重に事実関係を調査する必要がありそうです。事実は小説よりも奇なり、というこもあるのですから。

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警戒すべき中国の”既成事実化戦略”

2015-09-26 14:02:55 | 国際政治
南沙滑走路完成、近く運用か=空域パトロール可能に―中国
 注目された米中首脳会談では、オバマ大統領と習主席の間でサイバー・セキュリティーについて相互自制の合意が成立したと報じられております。しかしながら、この合意、効果を期待することは出来るのでしょうか。

 米中首脳会談に先立って、習主席は、サイバー攻撃に関する国際ルール作りに取り組む姿勢を示している、とも報じられておりますので、二国間合意の解決となったことは、一歩、後退の観もあります。中国のサイバー攻撃の対象は、アメリカのみならず、日本国を含めた他の諸国にも及んでおり、これらの諸国の安全は、依然として中国からのサイバー攻撃の脅威に晒され続けるからです。加えて、中国が、アメリカとの合意を順守する保障もどこにもありません。アメリカ政府は、今後の中国の行動を注視するとして釘を刺していますが、過去の事例からしますと、中国の合意順守は期待薄です。公然と合意を破らないまでも、合意文書に”抜け道”を見つけたり、恣意的な解釈論を張って、自己正当化を試みることも少なくないからです。そこには、一旦、目標を設定した以上、あくまでもその実現を目指す中国側の頑なな姿勢が伺えます。そして、その実現手段として最も効果的なのが、”既成事実化”であることが、よく分かっているのです。この手法は南シナ海でも見られ、国際的な批判をよそに、中国は、埋め立て地の滑走路の運用に向けた作業を着々と進めています。仮に空域パトロールを開始するとしますと、これは、明白なる国際法違反行為となります。


 国際の平和や安全を語る時、”話し合いこそ唯一の解決手段”とする意見が聞かれます。そして、”話し合い万能論”を主張をする人に限って、中国脅威論を否定とする傾向にあるのです。しかしながら、合意というものが、強引な既成事実化の前には無力であることを考慮しますと、アメリカが、経済制裁を示唆しているように、中国の合意、並びに、国際法違反に対する対抗措置は準備しておくべきではないかと思うのです。

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疑心暗鬼の米中IT協力-”敵”か”味方”か

2015-09-25 10:27:34 | 国際経済
【習近平氏訪米】規制緩和で米企業に対中投資呼びかけ、経済界の取り込み図る
 訪米中の習近平主席は、冷え込む中国経済の立て直しを狙ってか、積極的にアメリカの産業関係者と接触を図っているようです。特に情報・通信関連企業に狙いを定めているのは、それが、中国の情報戦略の一環でもあるからなのでしょう。

 中国の情報戦略とは、高度で先端的な情報・通信技術を手に入れることで、国内にあっては国民に対して徹底的な情報統制・監視システムを構築し、対外的には、より巧妙なサイバー攻撃を実現することです。共産党一党独裁体制に対する国民の不満が高まり、かつ、安全保障をめぐって周辺諸国との軋轢が深まる中、情報を制することは死活問題でもあります。となりますと、中国が、”猫なで声”でアメリカのIT関係者に接近する理由も分かります。習主席の面会相手には、アップル社、マイクロソフト社、フェースブック社の創業者やCEOなどが顔を揃えています。しかしながら、この米中IT協力、米中双方が疑心暗鬼となりかねません。何故ならば、米IT企業は、双方にとりまして、”敵”か”味方”か判別が難しくなるからです。中国は、自国市場の規制緩和に言及しながらも、相手企業に対して何らかの条件を受け入れるよう要求するはずです。おそらく、情報統制システムに関する技術協力、中国当局への情報提供、高度なサイバー攻撃手段の開発協力など、中国の情報戦略に沿った内容であることが予測されます。仮に、米IT企業が中国が要求した条件を受託した場合、アメリカ政府、並びに、国民や企業にとりましては、自国の企業でありながらも米国IT企業が”敵”となりかねません(中国にとっては”味方”)。一方、米企業が、表面的には中国政府への協力を約しながら、その裏では米政府と密接な協力関係にあり、逆に、中国国内において自社の情報機器やネットワークを通して情報収集活動を密かに行としますと、米国IT企業は、中国の”敵”となります(アメリカにとっては”味方”)。

 習主席の訪米を前にして、アメリカ国内では、中国自身が”敵”か”味方”かの議論が起きたそうです。”情報を制する者は世界を制する”と称されるように、情報・通信の分野は国家の命運を左右しますので、”敵”か”味方”か判然としない米中IT協力は、波乱含みの展開となることが予測されるのです。

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中国の”爆買い”4.6兆円は安い買い物?

2015-09-24 15:34:44 | 国際政治
ボーイング機300機購入へ=習主席の訪米で大型契約―中国
 習近平主席のアメリカ訪問を前にして、内外のメディアでは、米中間には、サイバー・セキュリティー、南シナ海の埋め立て、為替操作などの問題が山積しているため、米中協調路線の再構築は困難との見方が大半でした。どの問題も、アメリカから譲歩を引き出すことは不可能に近い性質のものであったからです。

 こうした中、本日、米西海岸のシアトルで、習主席とアメリカのボーイング社との間に300機の購入契約が成立したとするニュースが飛び込んできました。総額4.6兆円に上る大型契約であり、中国の”爆買い”は、遂にアメリカにも及んだようです。この爆買いの裏には、上述した米中間の懸案があったことは想像に難くありません。習主席は、米中首脳会談に先立って、先手を打つかのように、上記の諸問題について、米中協力によるサイバー攻撃に対する国際法づくりや人民元取引の自由化など、何れも耳触りの良い言葉を口にしているそうです。しかしながら、過去の行動が示すように、中国の口約束が守られたことは殆どありません。サイバー攻撃に対する取り締まり条約についても、対米サイバー攻撃の”犯人”は中国の政府系組織ですのでので、自らを取り締まるような国際法の作成に中国が真剣に取り組むとは思えません。しかも、訪米中にあって、南シナ海において中国機が米軍の偵察機に異常接近したこと、そして、オフショア市場において中国当局が為替市場に介入したとする記事を報じられていました。となりますと、中国側の4.6兆円の”爆買い”は、”米中首脳会談の席では、具体的な行動の義務化を伴うような交渉や合意は避けたい”とする、アメリカに対するメッセージとなります。言い換えますと、”この場は、一先ずは習主席の言葉を信じるふりをすることで納め、今後とも中国のフリーハンドを認めよ”と言うことなのでしょう。

 中国の”爆買い”が、中国の覇権主義的な行動の黙認とのバーターを意味するとしますと、中国にとりましては、これは、極めて”安い買い物”です。僅か4.6兆円のコストで、サイバー攻撃で他国の情報を盗み、南シナ海でも軍事基地を手に入れ、自国本意の為替操作ができるのですから。そして、この憶測は、何れの国も、そして、国際社会も、公然の賄賂とでも謂うべき中国の爆買いに目が眩んではならないことを示唆しているのではないかと思うのです。

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シリア難民・移民問題-偽善が善を破壊する

2015-09-23 10:19:20 | 国際政治
EU、難民12万人受け入れへ…理事会で承認
 注目を集めてきたEUの難民・移民問題は、理事会における多数決採決という異例の措置をとることによって、加盟国受け入れ分担義務化が決定されたと報じられております。この問題、これで一件落着となるのでしょうか。

 命の危険がある人々を救うことは紛れもない善です。しかしながら、シリア難民・移民問題については、純粋に人道問題では割り切れない側面があります。何故ならば、受け入れ側と移民側の双方において、偽善が垣間見られるからです。受け入れ側の理由としては、ドイツの動機が、必ずしも純粋にヒューマニティーに基づく善意から発しているわけではないことです。ドイツ側の説明によりますと、移民受け入れの背景には、第二次世界大戦時のユダヤ人迫害で傷ついた自国のイメージの回復があるそうです。つまり、”人道国家”としての看板を得たいという名誉欲が、ドイツをして移民の大量受け入れに駆り立てたのです。加えて、好景気を背景とした低賃金労働力の獲得も指摘されております。一方、難民・移民の側はどうでしょうか。難民・移民の映像からも分かりますように、これらの人々は、斡旋業者に高額の密航手数料を支払える中・高額所得層に属しており、シリアでも恵まれている人々とされています。難民ではなく移民であるとする批判的指摘の理由もここにありますが、貧しい人々は、身に危険が迫りながら逃げるに逃げられず、苦境に甘んじております。真に人道的に救うべき悲惨な境遇にあるのは、むしろ、紛争地域にあって難民・移民にもなれない人々です。実際に、ヨーロッパに到着した難民・移民の身なりは比較的良く、高額であるはずのスマートフォンさえ携帯している姿も見られます。これらの他にも、この問題を巡っては、首を傾げざるを得ない側面が少なくありません。

 全てとは言わないまでも、偽善は、時にして、善をも破壊するものです。社会の安定や安全もまた疑いなき善でありますので(受入側の国民世論も分かれている…)、双方が偽善に満ちているシリア難民・移民問題の行く末は、深く懸念せざるを得ないのです。

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中国の軍事パレードは対米交渉目的か?

2015-09-22 16:05:19 | 国際政治
習主席きょう訪米 米中首脳会談へ
 本日、国賓としてアメリカを訪問した中国の習近平主席は、25日にはオバマ大統領との米中首脳会談に臨む予定とのことです。南シナ海での埋め立てやサイバー・セキュリティー問題など、米中間には問題が山積しておりますが、何れも容易に妥協できない問題ばかりです。

 両国間の合意が困難な理由は、アメリカが安易に中国の行動を追認した場合、国際社会における法秩序、並びに、アメリカの安全が著しく損なわれかねないからです。南シナ海における中国による軍事基地建設と事実上の領海化を既成事実として認めますと、海洋法秩序が完全に無視されることを意味しますし、サイバー・セキュリティーに関しても、国家の安全に直接に関わる重大問題であり、妥協の余地はないはずです。中国も、対米交渉に見込みがないことは分かっているはずです。そして、この困難さを良く理解しているからこそ、9月3日の対日戦勝70周年において、時代遅れと揶揄されながらも、派手な軍事パレードを敢行したのではないかと推測されるのです。軍事パレードでは、移動式大陸弾道弾ミサイルである「DF(東風)5B」や”空母キラー”と称される「東風21D」なども公開され、アメリカに対して核攻撃ができる能力を誇示しています。また同時期に、中国艦隊はアラスカ沖に姿を現しているのです。この軍事パレード、単なる”戦勝記念”とは考えられず、訪米日程に合わせた軍事的威嚇のためのデモンストレーションであったのではないでしょうか。

 安保法制に反対する人々は、”外交”や”話し合い”による解決を唯一の手段と見なしておりますが、現実には、中国のように軍事力をバックに交渉を自国有利に導こうと目論む国は存在しています。中国が戦勝軍事パレードという名目で”武力による威嚇”を試みたのであるならば、なおのことアメリカは、中国に譲歩してはならないのではないかと思うのです。悪しき前例とならないために。

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北朝鮮兵による銃撃事件-中朝開戦の予兆?

2015-09-21 14:15:03 | アジア
北朝鮮兵が銃撃か=国境越えた中国吉林省内―韓国紙
 昨年から、北朝鮮兵が、中国との間の国境を越えて中国人民間人を襲撃する事件が起きているそうです。中朝関係に隙間風が吹き、かつ、中韓接近も顕在化した時期にあって、北朝鮮兵による銃撃事件は、一体、何を意味するのでしょうか。

 兵士が越境する行為は通常の国家ではあり得ませんので、北朝鮮内部で異常事態が発生していることだけは確かなようです。第一に推測さえる異変は、北朝鮮のトップである金正恩氏による中国に対する冒険主義的な挑発です。近年、冷淡になった中国に対して、国境付近の”中国人民”を人質に取った脅しですが、人民解放軍の軍事行動を招きかねませんので、冷静に考えればリスクが高すぎます。となりますと、第二の推測は、北朝鮮軍の規律に乱れが生じており、末端の兵士が窮乏から盗賊化し、比較的裕福な中国人(朝鮮族?)からの掠奪を働いているとするものです。仮に、このシナリオが正しいとしますと、北朝鮮の体制が動揺を来しているのかもしれません。そして、第三のシナリオがあるとすると、それは、越境した北朝鮮兵士が中国の指令を受けて動いているとする推測です。北朝鮮軍の内部には反金正恩親中勢力が存在し、その部隊が、中国に北朝鮮に対する軍事介入を口実を与えるために事件を起こしたとも考えられるのです。グルジア紛争やクリミア紛争に見られたように、ロシアの如く、中国もまた、自国民保護を口実とした軍事介入を行う可能性は否定できません。そして、このシナリオであれば、事件を起こした”北朝鮮兵士”は、正規の北朝鮮軍の兵士であるかも怪しくなるのです。

 現在、水面下において、中国主導による朝鮮半島再統一政策が遂行されているとなりますと、実現への道にあって最も障害となるのは、北朝鮮の金体制の存在です。北朝鮮が自らのコントロールから外れ、体制の生き残りをかけて韓国を攻撃するようなことがあれば、この計画は水泡に帰してしまうからです。となりますと、不測の事態が発生する前に、北朝鮮を先に抑えてしまおうとする動機があっても不思議ではありません。果たして、この事件は、中朝開戦の予兆なのでしょうか。

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民主党は共産党の選挙協力提案に応じるのか?-中国の影

2015-09-20 14:50:45 | アジア
共産、他党と選挙協力=安保法成立で方針転換
 安保関連法案の成立阻止に失敗した共産党は、次なる闘争の場を来夏に予定されている参議院議員選挙に定めたようです。国政選挙での勝利による安保関連法の”白紙化”は、昨日、民主党もアピールしていましたが、この民主党の方針を意識してか、共産党は、野党間の選挙協力を提案していると報じられています。

 他党に対する選挙協力の提案は、各選挙区に独自候補を擁立してきた従来の共産党の選挙方針の転換をも意味します。この方針転換の背景には、一体、何があるのでしょうか。共産党は、”国民連合政府の樹立”まで言い出しており、万年野党の地位に甘んじてきたこれまでの姿勢とは打って変わり、政権担当まで視野に入れています。たとえ来夏の参議院議員選挙で野党側が過半数を超える議席を獲得したとしても、参議院は半数改選ですし、衆議院の議席数には変わりはありませんので、政権交代はあり得ないはずです。にも拘らず、”国民連合政府構想”を打ち上げるのですから、相当の自信が伺われるのです。民主党を軸とした野党との共闘への期待の表れかもしれませんが、左派政党間の協力として思い起こされるのが、中東欧諸国においてソ連邦が用いた政党再編の手法です。ソ連邦は、衛星国には共産党一党独裁体制を導入せず、左派政党を纏めて統一政党を結成し、この左派統一政党に指導的地位を与えるケースが少なくなかったのです。この手法からしますと、日本共産党に代表される左派政党の背後に、中国、あるいは、国際共産主義勢力が潜んでいるとしますと、日本国においても、”国民連合政府(左派統一政権)”の樹立を目指した、同様の政党再編の手法が採られる可能性がないわけではありません。

 このシナリオは現時点では憶測に過ぎませんが、共産党の提案に民主党が応じるか、否かが、その存在を推定する一つの判断材料とはなりそうです。両者が共に既に中国共産党の手の内にあるとしますと、両党の選挙協力はすんなりと成立することでしょう。民主党が共産党の選挙協力に応じる時、それは、日本国に共産化の危機が迫る時でもあると思うのです。

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安保法制-野党・中国共闘の構図

2015-09-19 14:07:54 | アジア
「時代と相いれず」=安倍政権へ不信感―中国
 昨晩の安保関連法案の成立を受けて、中国外務省の洪磊・副報道局長は、日本国が平和発展の道を放棄したとする談話を発表したそうです。遂に、安保法案反対活動の”黒幕”が表に登場してきた観があります。

 野党側は、来夏の参議院選挙で安保法制を争点とし、成立した新法を”白紙に戻す”動きを開始しているとも報じられております。国政選挙の争点とするには、野党側が国民に対案を示す必要がありますが、野党には、それができるのでしょうか。この点について、ネット上で極めて示唆に富む記事を発見しました。それは、野党が対案を提出できない真の理由は、本心では、集団的自衛権行使を否定することで日米同盟を破棄したいからではないか、というものです。本心を語った途端、国民の大半にそっぽを向かれるのが分かっているからこそ、対案を出せないというのです。そして、この構想は、日米同盟の弱体化を狙う中国の政策方針とも一致しており、反対デモにおいて在日中国人の参加が指摘される理由をも説明します。つまり、安保法制をめぐっては、日本国内の野党と中国が共闘して反対運動を展開する構図が見えてくるのです。

 かつての安保闘争では、条約の締結や改正で決着が付きますと、潮が引くように反対活動も勢いを失ってゆきましたが、21世紀の安保反対活動は、数世紀かけても国家目的を遂げようとする中国、さらには、千年恨むと言い放つ韓国も絡んでいることを考慮しますと、長期に亘り、執拗なまでに反対運動が続く可能性もあります。もっとも、国民の大多数が日米同盟を支持しておりますので、安保法制に対する国民の理解が進めば、来季の参議院選挙でも、野党有利とはならないことでしょう。安保関連法案の成立は、野党・中国連合の”終わりの始まり”となるのかもしれないのです。

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奇妙な野党の”採決強行論”

2015-09-18 10:15:13 | アジア
安保法案、参院委で可決=与党が採決強行―きょう成立めぐり緊迫化
 昨日、参院の特別委員会において安保法案が可決された件について、かねてより法案に反対してきた野党側は、”採決強行”として与党側を糾弾しております。しかしながら、この野党側の批判、安保法案の論点設定や経緯を考慮すれば、的外れであると思うのです。

 安保関連法案は、早ければ6月中での可決・成立が予定されておりましたので、既に2か月以上の時間が国会での審議に費やされております。予定が大きく9月中旬までずれ込んだ主たる理由は、憲法学者による違憲論の提起と、これを根拠とした野党側の”違憲攻勢”にあります。いわば、主戦場が”違憲問題”に移ったのです。しかしながら、1946年の憲法制定以来、憲法の解釈論争は、およそ70年間にわたって続き、今日に至るまで、政府、憲法学者共に、様々な解釈が唱えられてきました。安保法案違憲論も、数ある解釈の内の一つを依拠にしているに過ぎず、絶対的なものではありません。70年間にも及ぶ論争を今国会の会期中で決着が付けられるはずもなく、違憲論を主戦場に選んだ時点で、この問題は、早々、平行線を辿らざるを得なかったのです。ですから、これ以上審議を延長しても何らの妥協点も見いだせないと委員長が判断した場合、採決を採ることは、決して”強行”とは言えないはずですし、民主主義の手続きから逸脱しているわけでもありません。また、野党側が対案を出していない状況では、政策論争や修正の叩き台もないのですから、議論も深めようもありません。国会がひたすらに政府案を批判する場であるならば、野党は、既に、十分に批判し尽くしたのではないでしょうか。

 
 野党側は、法案の説明不足をも批判材料としておりますが、東アジア情勢、並びに、国際情勢が劇的に変化する中、対案も出さずに反対一辺倒で暴力的な法案成立阻止を試みる野党側に対して、国民の多くは、むしろ疑念を深めているのではないでしょうか。

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安保法案反対論者は反国連・反米・反国際法

2015-09-17 15:37:56 | 国際政治
「うそつき」飛び交う怒号=委員長囲み、一触即発―緊迫深まる参院特別委・安保法制
 安保関連法案の成立を阻止すべく、野党議員達が取り囲むように委員長に詰め寄る昨晩の光景は、”良識の府”であるはずの参議院のものとも思われません。”平和”を主張しながら暴力に訴える姿に、国民の多くも失望したのではないでしょうか。

 ところで、安保関連法案に反対する人々は、当法案が成立するれば、即、日本国が”戦争する国”になるかのように宣伝しています。しかしながら、安保関連法案は、集団的自衛権の行使に関する解釈変更を受けた法整備であり、その真価は、国連や日米同盟といった国際的な協力の下で発揮されます。ですから、日本国が”単独”で何らかの軍事行動を起こすことを可能とするわけではなく、この点、明らかに、安保反対論者は世論をミスリードしています。仮に、安保反対論者が国連や日米同盟において生じる武力行使に反対するとなりますと、その基本的な立場は、反国連であり、反米と解されます。また、集団的自衛権の行使は、国際法における合法行為ですので、侵略に対してこの権限の発動を認めないことは、国際法違反行為を暗に認めることを意味します。治安の維持には警察による力の行使を要するのと同じく、国際社会においても法秩序を守るためには、武力の行使は正当化されているのです。この文脈においては、安保法案反対論者は、反国際法の立場ですらあります。

 国連は、様々な欠陥を内包しつつも、普遍的な国際機関として人類に貢献してきましたし、日米同盟は、日本の国と国民の安全を軍事協力によって守ってきました。日本国は、国連、そして、同盟国であるアメリカに対して厚い信頼を置いておりますし、法案は、自動的参戦を定めているわけでもありません。また、日本国は、国際社会における法の支配を標榜し、国際法の整備・発展に尽くしてきました。安保法案反対論者は、こうした戦後の実績を否定し、将来を見据えた国際協力に基づく侵略の排除と平和貢献への道を閉ざそうというのでしょうか。安保反対論者の”独善”、あるいは、”偽善”は、参議院の光景のように、最終的には暴力主義に行き着くのではないかと思うのです。

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安保法案反対者は廃案から生じるリスクに応えない

2015-09-16 15:18:18 | 国際政治
【緊迫・安保法案】民主・岡田代表徹底抗戦を強調「1億人の民意を体現する」
 昨日、参議院特別委員会において、安保関連法案に関する公聴会が開催されました。民主党の推薦によりSEALDsの中心メンバーも招かれたため、図らずも反対デモの主旨説明の場ともなったのです。

 公聴会において、SEALDs代表は、安保関連法案の詳細については殆ど触れておらず、否、法案に対する漠然とした国民の不安こそが、反対デモに多くの人々が集まる要因であると説明しています。つまり、安保法案の内容のどの部分に国民が不安を抱く”危険性”があるのか、という点については具体的に指摘せずに、法案の制定手続き上の瑕疵や不満点に焦点をずらす作戦を選んだようなのです。例えば、”国民に対する説明が不足している”、反対デモの声も聴くべき”、”自民党の重要政策集における安保関連の記述が少ない”、”国会での審議で速記が止まる”、”11の法案を2本に纏めた”、”政治家が若者に希望を与えていない”、”政治家は個人として物事を考えるべき”…といった諸点です。どれも、安保法案の本質とは関係のない付随的な部分での批判であり、しかも、首を傾げざるを得ない批判点ばかりです。正攻法の議論には耐えられないと判断したからなのでしょう。政治家の政治生命よりも個人の命が大切とも述べていますが、政治生命とは、全国民の命を預かる責任者として果たさなければならない使命とは考えないのでしょうか。SEALDsの代表は、一通りの批判の後、国民に危機感や不安を与える法案であることを理由に、”廃案にするしかない”と言い切っているのです。

 それでは、SEALDsは、中国の軍事的脅威に対する漠然とした国民の不安に対して、どのように応えるのでしょうか。SEALDsが想定している安保法案が引き起こす”戦争”とは、”日本国が侵略を開始する”、あるいは、”アメリカの戦争に参加する”というものなのでしょうが、現実には、中国による侵略の可能性の方が格段に高く、その危険性は前者の比ではありません。安保法案が成立した途端、日本国が他国を攻撃するはずなく、一方、中国は、安保法案の廃案こそ好機と捉える可能性もありますので、常識的なリスク比較からしますと、安保法案成立によるリスク低減効果の方が高く、廃案にはリスク増大効果さえ予測されるのです。安保法案反対者が一方的に設定したリスクは、あくまでも過大に見積もった想定リスクに過ぎないのですから、政治的判断にあっては、目下直面している現実のリスクへの対応こそ最優先とすべきではないかと思うのです。

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