万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”第二の真珠湾攻撃”をしてしまった中国

2012年12月02日 15時33分00秒 | 国際政治
米、尖閣防衛を初明記 強い危機感、中国牽制(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、アメリカの議会上院で、尖閣諸島での防衛義務を追加するための、国防権限法の修正案が成立しました。異例の修正案が提出された背景には、誰もがわが耳を疑うような、中国側の爆弾発言があったそうなのです。

 中国が火消しに回っているためか、マスコミでは大々的には報じられていませんが、中国は、クリントン国務長官との会談で、”ハワイは中国領”とする趣旨の発言をしたというのです。これまで、アメリカ政府は、常に、中国に対しては配慮する姿勢を示しており、尖閣諸島問題についても、領有権については中立的な立場にあると表明してきました。しかしながら、この発言を聴いたアメリカは、中国という国が、自らが欲する領域に対して、国際法など無視し、平気で領有権を主張する国であることを、身を以って理解したのではないかと思います。クリントン国務長官は、中国が領有権を主張すれば、アメリカは、仲裁裁判所で自らの領有権の正当性を証明すると応じたそうですが、奇しくも、アメリカは、ハワイをめぐり、尖閣諸島問題を抱える日本国と同様の立場に立つことになってしまったのです(ICJでなくとも、日本国政府も、仲裁裁判所で自国の領有権の正当性を証明するという方法も…)。

 そして、中国のハワイ領有の主張は、71年前の真珠湾攻撃を彷彿させます。もちろん、当時の日本国は、現在の中国のように、ハワイの領有権を主張したわけではありませんが、この不意打ちと見なされた攻撃は、アメリカ世論を対日強硬論に一変させてしまいました。ハワイ領有の唐突な発言が、アメリカを対中強硬論に傾けたとしますと、中国は、事実上、”第二の真珠湾攻撃”をしてしまったのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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