万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ビットコインとはコンピュータ発行の”私造通貨”では?

2014年02月28日 15時27分49秒 | 国際経済
金融相、ビットコイン「破綻すると思っていた」(読売新聞) - goo ニュース
 一昨日、ビットコインの取引所の一つであったマウントゴックスが取引を停止したことから、制度そのものの存続が危ぶまれているビットコイン。2009年からネット上で運営を開始したそうですが、”仮想通貨”というよりも、その本質は”私造通貨”なのではないかと思うのです。

 通貨偽造は、いかなる国でも重罪であり、その国の法定通貨を偽造した者には重い刑罰が科せられます。一方、政府が発効する硬貨や中央銀行が発効する銀行券ではなく、一般の民間人が通貨を勝手に発行するとどうなるか、と言いますと、私造通貨を取り締まる法律が存在しないのが現状です。それでは、ビットコインはどうでしょうか。ビットコインを入手する方法には、(1)難問を解いた報酬(25ビットコイン)としてマイナー(運営者)に提供される、(2)投機目的で対価(法定通貨)を支払って取引所で購入する、(3)何らかの物品やサービス…の対価として受け取る、のおよそ3つの経路があるようです(この分野の専門家ではありませんので間違いがあるかもしれません…)。(1)のみであれば、使用者が限定されておりますので、影響もまた限定的ですが、(2)の場合には、ドル、ユーロ、円といった法定通貨で対価を支払いますので、マウントゴックス社のように取引を突然に中止しますと、ビットコインの信用は一気に崩れ、手元に後に残るのは暴落したビットコインのだけとなります(取引所は入手した巨額の法定通貨と共に逃亡したかもしれない…)。また、(3)の場合でも、ビットコインを代金として受け取った側は、”使えない通貨”を掴まされたことになります。ビットコインの恐ろしさとは、あくまでも私造通貨であるため、法定通貨のような公的な信用保証がなく、バブルが消える如くに無に帰してしまう可能性があることです(法定通貨でも暴落することはありますが…)。中央銀行の金融政策によるマネーサプライのコントロールの対象外でもありますので、そのリスクは、法定通貨の比ではありません。マイナーへの供給の仕組みでおよそ10分ごとに25ビットコインが増加するらしいのですが、通貨供給がコンピュータのソフトウェアによって作動しているとなりますと、ビットコインは、コンピュータがネット上で自動発行する奇妙な私造通貨となります。

 ビットコインは、マネー・ロンダリングや違法薬物の支払い手段に利用されるといった問題をも引き起こしています。経済にとってビットコインは必要不可欠なものではありませんので、このリスクに満ちたシステムが出現した背景こそ調べてみる必要がありそうです。

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図書館における破損事件の謎-『アンネの日記』を深く読む

2014年02月27日 15時28分55秒 | 社会
 先月から今月にかけて、首都圏の多数の図書館において『アンネの日記』が破損された事件。日本国の右傾化を国際社会に印象付けたい中韓犯人説が噂される一方で、近年、日本にも出現するようになったネオナチに決まっている、と決めつける意見も見られます。

 『アンネの日記』を知らない日本人はほとんどおらず、私も、小学生の時に同書を読み、アウシュビッツの収容所で短い生涯を終えたアンネに涙したことを覚えています。アンネの過酷な運命は、ナチスによるユダヤ人弾圧がもたらした悲劇とされ、多くの人々は、ユダヤ人迫害による犠牲を象徴する書としてイメージしています。今回の事件にあっても、『アンネの日記』が標的となったのも、犯人は”ナチス礼賛者”とする見方が成立することを狙ってのことなのでしょう。しかしながら、手元に既に同書はなく、薄くなった記憶を辿ってのことですが、『アンネの日記』の内容は、フランク一家に隠れ家での生活を余儀なくさせたナチスに対する恨みつらみを延々と書き綴ったものではなかったはずです。むしろ、アンネの純粋で鋭敏な感性と卓越した観察力は、隠れ家で暮らす家族や同居人一家に対しても向けられており、アンネの知性に対する両親の無理解、男尊女卑的で窮屈な家庭、同居人一家の夫人の自堕落な処世術、…を批判し、嘆いてもいます。ナチスが外的な迫害であったとすれば、閉鎖された世界としてアンネを取り巻いていたユダヤ人社会とは、内的な抑圧であったということもできます。アンネの苦悩とは、ユダヤ人への迫害を憎みながらも、自らの身内であるユダヤ人をも全面的には肯定できなかったところにあるように思えるのです。

 表面的なイメージのみで『アンネの日記』を図書館で破いた犯人は、おそらく、この本を読んでいなかったのではないでしょうか。

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中国人”強制連行”の実態とは?-”華人労務者”の実像

2014年02月26日 15時10分52秒 | アジア
強制連行、中国人元労働者ら日本企業2社を提訴(読売新聞) - goo ニュース
 これまで中国政府は、先の戦争における賠償問題については、1972年の日中共同声明の第5項に基づき、解決済みとする立場をとってきました。しかしながら、韓国に触発されたのか、ここにきて、個人賠償請求権は放棄していないとする態度に転じ、中国国内で、中国人元労働者が日本企業2社を相手に訴訟を起こす事態に至っています。それでは、中国人”強制連行”の実態とは、如何なるものであったのでしょうか。

 人民網に掲載された昨年9月19日の記事によりますと、戦時下にあって中国大陸から日本国に”強制連行”された中国人は、(1)抗日将校の捕虜と(2)日本軍占領地で捕まった農民と商工業者の二つに大別されるそうです。しかしながら、日本国では、華人労務者と呼ばれており、資料によれば、(1)の捕虜は変わりませんが、(2)については、さらに二つのタイプに分けられます。この二つのタイプとは、(2)自由募集と(3)「行政供出」「特別供出」「訓練生供出」と呼ばれた行政関与タイプです。(3)のタイプが、いわゆる”強制連行”ということになりますが、このタイプの労務者集めは、日本国が支援していた汪兆銘政権(南京国民政府)が、日本国の要請を受けて実施したものです(南京国民政府の自国民に対する戦時徴用とも言える…)。また、中国側は、”奴隷的な労働”を強いられたと主張していますが、1943年の東条内閣における「華人労務者内地移入二関スル件」閣議決定では、「衣食住及び賃金、家族送金、持ち帰り金等の給与待遇等についても万全を期するごとく考慮せり」と定められました。また、その前提となった次官会議では、華人労務者の待遇が定められ、「契約期間は2年」「賃金を払う」「送金は自由」「故国への持ち帰り金も特別制限は加えない」とされ、華人労務者を雇用した企業に対しても、一日5円の支払いが求められたそうです。実際に、賃金を支払ったとする日本企業の証言もあります。外務省の報告書によれば、日本全国の135事業所で38,935人が働いていたそうですが、その内の6,830人が死亡していることから、全てではないにせよ、過酷な労働条件の下で働いた例があったことが伺えます。その点は日本国側も認めていますが、戦時下にあっては、日本人もまた食料や物品の不足が甚だしく(もちろん、中国本土でも貧困が蔓延していた…)、中国人労務者のみが”奴隷労働”とまで言えるのかどうかは、疑問なところです。

 仮に、中国側に異議があるならば、ICJで決着すべきなのですが、日本国の残忍性を殊更に強調し、個人の賠償訴訟をカードとして日本国に揺さぶりをかけたい中国の意図が見え隠れしています。”慰安婦問題”も曖昧さ放置したことが問題を拡大させた原因とりましたので、中国人の”強制連行”、即ち”華人労務者”の実態についても、実像を明らかにする努力を怠ってはならないと思うのです。

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内閣府が描く日本消滅シナリオ-日本人がマイノリティーになる日

2014年02月25日 15時44分58秒 | 日本政治
日本の人口「移民で1億人維持可能」 政府、本格議論へ(朝日新聞) - goo ニュース
 報じられるところによりますと、内閣府は、日本国の人口を1億人に保つためには、年間20万人の移民を受け入れる必要があるとする試算を公表したそうです。このまま放置すれば、2110年には、4286万人に減るとして…。

 内閣府の描くシナリオとは、日本消滅のシナリオに他なりません。人口1億人のうち、移民系日本人の数は5714万人となり、日本人の数(4286万人)を上回るのですから。普通選挙として制度化されている民主主義の原則に従えば、数における優位が政治を左右します。少数派に転落した日本人に不利な状況に一変してしまうことは、当然に予測しえる展開です。”移民系日本人”への配慮から、教科書や地図も書き換えられ、現在の国旗国歌さえ維持できるか分かりません。あるいは、沖縄において中国の工作活動を背景に日本からの独立を唱える一派が既に出現していますが、国民を二分する対立が分裂の危機へと発展し、国内が収拾のつかない混乱に陥ることも懸念されます。しかも、現在でさえ、生活保護世帯が増加しており、年間20万人の移民に提供できるほど、日本国内に職が有り余っている状況にもありません(むしろ、人員を要する製造拠点は海外に移転している…)。韓国併合から100年を越え、日韓が分離してから68年が経過しても、60万人とされる韓国・朝鮮人の人々は、日本国に同化するどころか、国内で反日活動に従事していることを考えましても、年間20万人のペースで日本国内に外国人を受け入れれば、日本国は破滅の道を歩みことは、誰もが理解できることです。

 先日、内閣府の職員が韓国へ渡航した後に変死するという奇妙な事件が発生しましたが、内閣府の内部には、周辺諸国からの工作員が紛れ込んでいるのではないでしょうか。人口減から日本国を救うと見せかけて、自国の消滅シナリオを平然と公表する内閣府こそ、政府は、本格的に調査をすべきではないかと思うのです。

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ウクライナ政変とソチ・オリンピック-ロシアは動きを止められたのか?

2014年02月24日 15時29分56秒 | 国際政治
ウクライナ政変 東西分裂、回避に躍起 欧米、地域不安定化を懸念(産経新聞) - goo ニュース
 2008年8月8日、北京オリンピックが開会されたその日に、ロシアはグルジアに軍事介入を開始しました。国際社会がオリンピックに注目している間の出来事でしたが、今般のウクライナ政変は、ソチ・オリンピック閉会式の目前で起きたことにおいて、コントラストを描いています。

 それでは、ウクライナ政変において、ソチ・オリンピックは、どのような意味を持つのでしょうか。ヤヌコビッチ政権と反政府勢力とが暴力的な衝突に至ったウクライナ情勢に対しては、ロシアによる軍事介入さえ懸念されていたそうです。事の発端も、EUとの連合協定締結に対して、ロシアが経済的支援を見返りに締結見送りを求めてウクライナに干渉したことにありますが、野党勢力が攻勢をかけるに際して、オリンピック閉会の直前が選ばれたとすると、オリンピックは、ロシアの軍事行動を止める働きをしたと考えることができます。実際に、ロシアに軍事介入の準備があったかどうかは分かりませんが、少なくとも、軍事介入のリスクが最も低い日と判断したのでしょう。北京オリンピックの時は、ロシアは参加国の一国に過ぎませんが、開催国ともなりますと、”平和の祭典”の最中に軍を動かすことは憚られるからです。政変の結果、ヤヌコビッチ政権は崩壊し、親EU派の政権が誕生しており、同政権を支えていた”ロシア政府のある高官は「大敗北を喫した」と述べた”とも報じられています。懸念されていたテロは封じ込めたものの、ロシアにとりましては、ソチ・オリンピック閉会の日は、北京オリンピックとは逆の意味で記憶に残る日となるかもしれません。

 それにしましても、軍事介入の可能性が、かくも軽々しく口にされている今日の国際社会は、危険に満ちているとしか言いようがありません(ロシアによる軍事介入の危機が完全に去ったわけではない…)。日本国もまた、2020年に東京オリンピックの開催を控えていますが、平和の祭典であるはずのオリンピックの度に軍事・政治的な事件が起きていることを考えますと、オリンピックの政治利用には要注意であると思うのです。

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韓国の国柄分析-声高な時ほど不利な時

2014年02月23日 15時58分43秒 | アジア
「竹島の日」式典に韓国が猛反発 日本大使館前で抗議集会(産経新聞) - goo ニュース
 昨日の2月22日、日本国では、竹島が正式に島根県に編入された日を祝して、竹島の日の式典が催されました。この式典に対する韓国の反発は凄まじく、”植民地支配の正当化”、”挑発行為”、”日本の右傾化”といった批判の言葉が飛び交っています。

 江戸時代にあって、江戸幕府の許可の下で日本国が竹島(当時は松島)を運営していたことは歴史上の事実であり、元禄期に李氏朝鮮との間で交渉の対象となったのも、現代の鬱陵島(当時の竹島)のみです。日本国に残されている古地図には記載がありますが、一方、韓国の地図には、一切、竹島を正確に記したものはありません。韓国が竹島に統治権を及ぼしていた証拠とする大韓帝国時代の1900年にの「勅令41号」でも、”独島”の名はなく、鬱陵島周辺の付属島と見なされる”石島”の名があるのみです(観音島とされる…)。”石島”が”独島”ではないことは、1905年に日本国が正式に竹島を編入した際に、この情報に接した鬱陵島の郡守が竹島を”独島”と呼んだことからも明らかです(しかも、竹島の正確な位置も把握していない…)。また、韓国側は、この時、この一件について調査をしたそうですが、その後、正式に抗議することもありませんでした。ICJへの共同提訴に応じない理由は、韓国には、歴史的にも法的にも根拠がないからに他なりません。常識的な国であれば、相手の国に根拠がある以上、その言い分を認めることになるのですが、韓国は、あくまでも日本国の要求に耳を貸そうとはしません。逆に、日本国に非があると責め立てているのです。侵略した加害国が侵略された側の被害国を罵るという、異常な現象が起きているのです。嘘か真か、韓国では、交通事故が起きると被害者に対して加害者である運転手が”お前のせいだ”と怒鳴る…というお話があるそうですが、自己が不利な時ほど居丈高になるのが、韓国の国民性なのかもしれません(”声闘”の伝統?)。ソチ・オリンピックのフィギュア・スケート女子の競技でも、買収の張本人と目されてきながら、韓国選手が銀メダルに終わったことに不満を爆発させて、逆に、再審判を要求しているそうです…。

 唖然とさせられるお話ばかりですが、政府レベルでも、韓国の国柄は政策や行動パターンに現れているようです。韓国政府の反応は一般とは逆なのですから、日本国政府も国際社会も、韓国の言い分を根拠あるものとして鵜呑みにしてはならないと思うのです。

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オバマ大統領・ダライ・ラマ会談―固有文化と人権保護だけでは守れないもの

2014年02月22日 15時45分43秒 | アジア
中国、米に「強い憤慨と断固たる反対」 ダライ・ラマ会談で抗議(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、米ホワイトハウスは、オバマ大統領とチベットのダライ・ラマ14世が会談したことを公表しました。会談の内容は、アメリカは、チベットの固有の宗教・文化・言語とチベット人の人権保護を強く支持するというものでしたが、この両者だけでは守れないものもあると思うのです。

 チベットはかつて吐藩国とも呼ばれ、中国の歴代王朝とは冊封関係が結ばれた時期がありながらも、チベット人によって独自の国家体制が営まれてきました。ところが、今日、国際社会で成立している民族自決の原則に照らして当然に独立国家となる資格がありながら、脅迫の下で締結された『17協定』によって中国に併合されています。第二次世界大戦は、アジア・アフリカ諸国の独立の転機となりましたが、チベットだけは、時代の流れとは逆に、中国によって植民地化されてしまったのです。今では、双方とも『17協定』の破棄を宣言していますので(ICJの勧告的意見でも無効…)、中国にはチベット支配の法的根拠は一切ないのですが、侵略して奪ったチベットに対して、ジェノサイドや宗教弾圧を容赦なく実行したのです。この悲惨な状況に対して、アメリカ政府のみならず、チベットの固有の文化と人権の保護は、中国を除いた国際社会の切実な願いでもあります。しかしながら、中国政府が、チベット自治区の行政を牛耳り、チベットの地に漢民族を大量に移住させ(民主化されても解決しない…)、かつ、チベットの天然資源を搬出している状況を考えますと、文化と人権の保護のみでは守れないものもあります。首都ラサのチベット人と漢人との人口比率は、既に漢民族の方が上回っているとも報じられていますが、国境管理の権限をなければ、移住という手段によってチベットは容易に中国の手に落ちます。また、中国の一部のままでは、チベット領内における天然資源に対する主権的な権利も回復できないのです。

 ダライ・ラマ14世は、独立は望まず、高度な自治を求めると述べておりますが、チベットの民族自決権を実現できる主権的な権限を回復しませんと、中国の頸木から逃れることはできなくなります。国際社会は、チベットそのものが抹殺されないよう中国を牽制すると共に、抑圧下に置かれているチベットの主権回復に向けてサポートしてゆくべきと思うのです。

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再検証に耐えられない河野談話-韓国の身から出た錆

2014年02月21日 15時23分38秒 | アジア
河野談話検証の中止要求=「歴史認識の根幹崩す」―韓国(時事通信) - goo ニュース
 韓国政府をバックとした国際的な”従軍慰安婦キャンペーン”が浸透した結果、アメリカでは、日系米国人の方々が、韓国系米国人から陰湿な虐めや嫌がらせを受けているとも報告されています。このまま世界各国に”慰安婦像”が設置されますと、日本人であるということだけで、未来永劫にわたって冷たい視線を投げかけられそうです。

 これまで静観気味であった日本国政府も、現状を危惧したのか、昨日の国会で河野談話の再検証に乗り出すことを表明しました。ところが、河野談話の再検討に対して、韓国は、「歴史認識の根幹を崩す」としてこの作業の中止を要求してきています。韓国の要求は、図らずも、河野談話が再検証に耐えないことを自ら明かすようなものです。歴史上の事実であれば、何度検証を繰り返しても、同一の結論に至るはずです。再検証を拒む態度に、最初の判断とは違う結果となることを予測し、それを阻止したい韓国側の意図が見えるのです。韓国の思惑とは裏腹に、河野談話の怪しさは、既に産経新聞社によってスクープされており、また、昨日の国会では、石原元官房長官もまた、強制連行を裏付ける証拠は見つからなかったものの、韓国側への配慮から河野談話の文章を作成した旨を証言しています。この頃、慰安婦問題は、韓国との間の懸案となっており、内外で様々な説が唱えられてきたことから、日本国政府は真相を究明すべく、徹底的な調査を実施したのでしょう。おそらく、軍隊による強制連行を命じる極秘命令書でも発見されれば、日本国政府は、謝罪と賠償に応じたかもしれません(もっとも、アジア女性基金を設立…)。努力もむなしく証拠は見つからず、唯一の根拠らしい根拠は、元慰安婦の証言のみとなったのです。これでは韓国側の感情は収まらない、ということで、日韓共同作文としての河野談話は作成されたのですから、元慰安婦の証言は韓国側の命綱なのです。

 スクープされた元慰安婦の証言にも、日本軍による強制連行の内容はないそうです。元慰安婦の立場を慮った非公開措置は、結局、韓国の捏造に隠れ蓑を与え、日本軍の残虐イメージ描写をエスカレートさせただけでした。日本国政府が、河野談話の再検証に踏み切らざるを得なくなったのは、善意を悪用した韓国の身から出た錆であると思うのです。

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ロシア・エストニアの国境画定は北方領土問題に波及するのか?

2014年02月20日 15時39分48秒 | 国際政治
 昨日、ロシアとエストニアとの間で国境画定条約が調印されたとして、各紙とも、ロシアにとっては最後の国境問題となる北方領土問題と絡めて報じていました。マスコミの大凡の論調は、ロシア側の言い分を紹介するかのように、”第二次世界大戦の結果をエストニアが受け入れた”というものなのですが、詳細を比べますと、エストニアの問題と日本国との北方領土問題との間には、著しい違いが見られます。

 エストニアは、ソ連邦からの独立後、1920年2月2日に調印されたタルトゥ条約で定めた国境線を回復すべきと主張してきましたが(ソ連邦による併合時に境界線が西に移動…)、EU加盟に際してロシアとの間に国境紛争が存在することを懸念し、領土要求を取り下げた経緯があります。この経緯だけに注目しますと、エストニアはソ連邦の占領によって領土を奪われたことになるわけですから、北方領土問題と類似しているように思われます。しかしながら、両者の違いを挙げるとしますと、以下の点を指摘することができます。

 第1に、タルトゥ条約は、帝政ロシア時代に併合されたエストニアの独立を革命後のソヴィエト政権が認めた条約ですが、北方領土問題は、一方の当事国である日本国は元より独立国家でしたので、分離独立に際しての線引き問題ではありません。また、ソ連邦からの再独立後のエストニアの領土要求も、基本的には、分離独立時における国境線の線引き問題として理解できます。

 第2に、問題となった地域には様々民族が興亡を繰り返した歴史があり、ロシア系のノヴゴロド領であった時期もあります。住民もエストニア人とロシア人が混住しておりましたので(同条約によって、相互に相手国領内の自民族系住民に選択権を付与…)、双方の先占の事実に基づいて1855年2月7日の日露和親条約で領有を確定した北方領土のように日本人のみの居住地域であったわけでもないのです。

 第3に、新聞では詳しくは報じられませんでしたが、ロシア・エストニア間の国境問題は、このタルトゥ条約の有効性をめぐって争われてきました。一方、北方領土問題は、日本国にとりましては占領地の返還問題であり(ロシアにとっては、第二次世界大戦の勝利を根拠とした領土割譲要求…)、日ソ中立条約がソ連の参戦の合法性に関する論点とはなっても、条約の効力が直接に国境問題に繋がるわけではありません。

 両国は、一先ずは、歴史的な解釈は棚に上げて同条約を締結するそうですが、少なくとも、ロシア・エストニア間の国境画定の方法を、そのまま北方領土問題に当て嵌めるには無理があります。日本国政府は、ロシア・エストニア間の国境画定に惑わされず、北方全島の返還を求める基本路線は堅持すべきではないかと思うのです。

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新日鉄住金に対する韓国の非道-特許侵害を特許無効で打ち消す驚愕の発想

2014年02月19日 15時38分41秒 | 国際経済
韓国ポスコ申し立てで、新日鉄住金の特許認めず(読売新聞) - goo ニュース
 本日もまた、韓国から、日本人の対韓感情がさらに悪化するニュースが飛び込んできました。驚くべきことに、韓国の特許庁が、ポスコ側の主張を認め、新日鉄住金の高級鋼材の製造技術に関する特許を無効とする判断を示したというのです。

 この事件の背景には、当製造技術をめぐる技術流出事件があります。中国に当技術を流出させた廉で訴えられたポスコ社員が、自己弁護のつもりで”実は日本の技術を流出させた”と白状したことから発覚した事件であり、証拠も揃っているため、新日鉄住金は、ポスコを相手取り、特許侵害を理由に損害賠償訴訟を日米で起こしています。一般の国であれば、純粋な司法問題として決着がつくのですが、韓国の対応は、国を挙げての”新日鉄住金虐め”のようです。日韓請求権協定を無視し、韓国最高裁は、戦時徴用の賠償を新日鉄住金に対して命じていますし(係争中…)、特許庁による特許無効の判断も、ポスコによる特許侵害事件に対する対抗策としか考えられません。特許侵害を特許無効で打ち消そうというのですから、驚愕の発想です。もちろん、悪しき意味で…。

 たとえ韓国の特許庁が当技術の特許を無効としたとしても、他の諸国で新日鉄住金の技術として特許が認められていれば、それ程のマイナス影響とはならないのでしょうが(アメリカでは、争われている4件のうち1件は既に有効と判断されている…)、韓国の発想は、自己破滅的ですらあります。以後、誰も、韓国という国を信用しなくなり、カントリー・リスクが急上昇するのですから…。韓国側は、日韓関係の悪化の原因は全て日本国にあると主張しておりますが、こうまで非道な行為が次から次へと露呈するのですから、誰がどう考えましても、韓国側に責任があると言わざるを得ないのです。

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日米韓軍事協力の前提条件は韓国の対中戦争への日米同盟側での参戦

2014年02月18日 15時44分42秒 | アジア
 昨日の記事では、アメリカによる慰安婦問題をめぐる日韓対立の仲裁案に関連して触れたのですが、本日は、日米韓軍事協力の前提条件だけをテーマとして取り上げたいと思います。

 今後、東アジアにおいて予測される軍事衝突のシナリオは、尖閣有事、並びに、朝鮮半島有事の何れにしても、国連安保理における”侵略認定”が極めて難しいものばかりです。中国が常任理事国として拒否権を握っている以上、安保理決議が成立することはないからです(半島有事の場合には、停戦協定の破棄による”国連軍”の再結成という展開も考えられますが、敵国となる中国が阻止に回る可能性は高い…)。このことは、東アジア有事にあっては、各国が、個別的自衛権、並びに、集団的自衛権によって対応するしか道がないことを意味しています。日米韓の軍事協力とは、少なくともこの二つの想定し得るシナリオへの対応となりますが、アメリカは、両有事ともに同盟国として関わるものの、日本と韓国は、基本的には一方の有事にしか当事国とはなりません。尖閣有事では日本国が、朝鮮半島有事では韓国が当事国となります。同盟国の同盟国という間接的な関係に過ぎない日本国と韓国が、国防上の理由で協力関係を強めるとすると、それは、朝鮮半島有事には日本国の自衛隊が支援する代わりに、尖閣有事に際しては韓国軍が援軍するというバーダーが成立する必要があります。朝鮮半島有事にだけ自衛隊が一方的に駆り出され、尖閣有事では、韓国軍が”我、関せず”とばかりに静観するという虫のよい態度では、相互性が成立しないのです。韓国は、朝鮮半島有事に際して日本国の援軍を求めるならば、尖閣有事に際しての日米同盟側での参戦を確約しなければならないことは、昨日の記事でも指摘しました。

 別の選択肢としては、尖閣有事には日米同盟で対応し、朝鮮半島有事には米韓同盟が動くというセパレート方式もあります(このケースでは、韓国は、日本国の後方支援も期待できない…)。何れにしても、日本国政府が、”蝙蝠”の如くに、米中の間を小賢しく泳ぎ、かつ、反日活動に執念を燃やしている韓国を一方的に助ける必要性は全くないと思うのです。

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韓国を北朝鮮から守るために日本国が屈辱に甘んじる本末転倒

2014年02月17日 15時31分12秒 | アジア
日韓改善 仲介に転換 米国務次官補、来月歴訪へ(産経新聞) - goo ニュース
 深まる日韓対立を懸念して、3月上旬に米国のラッセル国務次官補が日韓両国を訪問するそうです。慰安婦問題に執拗に拘る韓国に配慮してか、仲裁案まで準備しているとも報じらています。

 アメリカからしますと、北朝鮮が核施設を再稼働させ、中国もまた”防空識別圏”を拡大させている中、日韓の間に亀裂があるのでは、安全保障上の弱点となると考えているのでしょう。そこで、仲裁案で両国の対立を沈静化したいのでしょうが、仮に、仲裁の内容が、韓国の言い分を全面的に認め、日本軍が朝鮮人女性を戦場に強制連行したことを前提に日韓請求権協定の枠外で日本国に補償を迫るものであれば、この仲裁、日本国にとりましては、屈辱的な外交的敗北を意味します。しかも、中国との間で尖閣諸島をめぐって戦争が勃発した場合、韓国は中立を貫く方針ともされており、日米韓が共同で対応する有事とは、北朝鮮による軍事進攻への対応となります。つまり、日本国は、韓国を守るために屈辱に甘んじ、かつ、一方的に負担を強いられるという本末転倒な結果となるのです。なお、慰安婦問題を別に置くとしても、日米韓の結束が成立するには、最低限、中国との戦争に際して韓国が日米同盟側において参戦するとする確約が必要です(親中に寄っている朴政権は、確約できないのでは?)。

 アメリカの仲裁案の具体的な内容は明らかにされていませんが、日本国側の立場にも思い至っていただきたいものです。韓国が不当な要求を引き下げない限り、日本国側の対韓感情が改善されることはないのですから。

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河野談話のまやかし-慰安婦募集における”軍の関与”は悪徳業者の取り締まり

2014年02月16日 16時11分51秒 | アジア
 河野談話は、韓国のみならず国際社会では、日本国政府が、慰安婦の強制連行に日本軍が関与したことを認めた談話と見なされています。この談話を根拠に、国連や欧米諸国でも非難決議が採択されたのですが、日本国内において河野談話への批判が高まったためか、”これが動かぬ証拠”とばかりに当時の日本軍の陸軍省の文書を掲載するブログも見られるようになりました。

 証拠として掲載されていたのは、「軍慰安所従業婦等募集に関する件(以後、分かりやすいようにカタカナはひらがな表記…)」とする陸軍省兵務局兵務課起草の1938年3月4日付の文章であり、その文中に”統制”という言葉があることから、慰安所は軍の統制下にあったと主張したいようです。ところが、この文章、史料の原文を読みますと、全く”統制”の意味合いが違っています。この資料は、1992年1月10日に朝日新聞が最初に証拠として報じたそうですが、文面は、

「支那事変地における慰安所設置のため、内地においてこれが従業婦を募集するに当たり、警軍部諒解等の名義を利用し、(その)ために軍の威信を傷つけ、且つ、一般民の誤解を招く虞あるもの、あるいは、従軍記者応問者等を成して不統制に募集して社会問題を惹起する虞あるもの、あるいは、募集に任する者の人選適切を欠き、(その)ために募集の方法誘拐に類し、警察当局に検挙取り調べを受くるものある等、注意を要するもの等少なからざるに、ついては、将来これらの募集に当たりては、派遣軍において統制し、これに任する人物の選定を周到適切にし、その実施に当たりては、関係地方の憲…」

となります。この文章からは、少なくとも1938年当時、慰安婦の募集は朝鮮半島ではなく内地(日本国内)で行われていたこと、悪徳事業者が横行していたこと、軍部が慰安婦の募集に際して誘拐等の犯罪が発生しないよう措置を採る必要性を認識していたこと…などが伺えます。つまり、この資料は、日本軍が朝鮮人女性20万人を戦地に強制連行した証拠ではなく、逆に、現地の治安を維持するとともに、悪徳事業者による女性の被害を防ぐためにこそ、軍が”統制”を行ったことの証なのです。犯罪の取り締まりを実施した証拠が、逆に犯罪を行った証拠に仕立て上げられた結果が”河野談話”であるのですから、国際社会に丁寧に説明した上で、河野談話は、早急に見直すべきと思うのです。

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アメリカの”世界の警察官”の職務放棄の衝撃力-NPT体制も動揺する

2014年02月15日 15時59分59秒 | 国際政治
岸田外相、有事の核持ち込みを排除せず(産経新聞) - goo ニュース
 中国に対する融和政策の現れなのか、アメリカのオバマ大統領は、アメリカは常に”世界の警官”になるわけではない、と発言したことが波紋を広げています。何故ならば、”世界の警官”の役割こそ、国連安保理の常任理事国の地位やNPTにおける核保有を正当化してきたからです。

 特権には、義務が伴うものです。中世におけるヨーロッパの貴族達は、特権階級として羨望や批判の的になりがちですが、その代償として、外敵から攻撃を受けた時は、命を賭して戦いの矢面に立ち、領民を護る義務を果たさなければなりませんでした。現在の国際社会にあっても、権利と義務とのバランスは特権を正当化する根拠として見なされており、常任理事国や核保有国の地位は、その義務の重さに比例しています。そして、この特権国の義務こそ、”世界の警察官”の役割に他ならないのです。つまり、国際法に基づいて、国際社会の安全と平和を維持することこそ、”世界の警察官”の義務なのです。それでは、アメリカが、この職務を放棄した場合、どのような事態が起きるのでしょうか。国連安保理の拒否権の濫用が、侵略やジェノサイドをはじめ、特権国による国際法違反の行為の黙認を意味し、核兵器の独占が、他の一般の諸国に対する武力による威嚇に用いられるとすれば、他の一般的な諸国は、この体制を支持する理由を完全に失います。否、体制維持は、特権国の暴力に晒されるという意味において、危険ですらあるのです。国際社会は、”世界の警察官”が”世界の暴力団”に変貌する恐怖を味わうことになり、人類は、文明から野蛮へと一気に転落することになります。

 仮に、アメリカが、”世界の警察官”の職務を放棄するならば、国際社会は、迅速に状況の変化に対応する必要があります。まずは、無法化した世界において身を護るために、各国とも、核武装を含め、自己救済のための防衛力を高める必要に迫られます。また、個別対応ではなく、国際社会としての対応としては、”世界の警察官”の職務を5大国に限定せず、より広い国際協力体制の下で再構築を図るする方法なども考えられます。何れにしても、対応を誤りますと、国際社会は”暴力支配”となるのですから、日本国もまた、自国の安全、並びに、国際社会のより良き未来を真剣に考える時期に来ているのではないかと思うのです。

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中台閣僚会談―印象操作の言葉としての”中台分断”

2014年02月14日 15時14分37秒 | アジア
中台閣僚級会談 歴史的な一歩にはなったが(読売新聞) - goo ニュース
 中国と台湾の政策担当者が、初めて閣僚級の会談を設けたニュースを、日本国のマスコミは、揃って”49年の中台の分断以来”の画期的な出来事と報じています。ところが、よく考えてもみますと、この”中台分断”という表現、史実に合っていないと思うのです。

 台湾は、確かに清国の版図に併合されましたが、これは、1683年に施琅の遠征隊を派遣し、鄭氏台湾を武力を以って服属させたからです(1985年からは台湾省を新設…)。いわば、”征服地”なのですが、もとはと言えば、漢民族とは違う系統の人々が居住していることもあり、明時代には小琉球とも呼ばれ、日本国でも高山国と称されていました。近世には、ポルトガルやオランダが拠点を設けたり、鄭氏台湾が成立するなど、独自の歴史を歩んだのです。清国が台湾を直轄地としたのも、復明運動の拠点となることを怖れたからに他なりません。下関条約で日本国に割譲した理由も、清国側は、台湾を外夷の地と見なしていたからです。この条約により、1895年以降は日本領となりますが、第二次世界大戦後、国共内戦に敗れた蒋介石率いる国民党が台湾に逃れたとはいえ、台湾が正式に放棄されるのは、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月23日以降のことです。ですから、法的には中台が一つの国であったことはなく、あったとすれば、中華民国が進駐した1945年10月から大陸で中華人民共和国が成立した1949年10月1日までの中華民国政府による4年間となります(もっとも、内戦状態にあり、中華民国政府が台湾を含む全土に統治権を及ぼしているわけではなかった…)。とは言うものの、内戦の一方の勢力であった中華民国政府側が台湾に移ったのですから、元からあった一つの国が分裂したというよりも、二国並列状態に至ったとする方が表現としては適しています。

 マスコミが申し合わせたかのように、”中台分断”という表現を使う背景には、”一つの中国”を主張する中国側の思惑が見え隠れしています。あたかも、過去に中台統一国家が存在したかのような印象を植え付けるための…。”中台分断”という言葉の使用が、中国の情報統制が日本国内にも及んでいる証であるとしますと、工作活動による世論誘導にはより警戒を強めるべきではないかと思うのです。

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