万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の”時空交錯提案”の罠-法的根拠なき瀬戸際政策

2012年12月25日 14時11分51秒 | アジア
尖閣諸島の「共同支配」提案 習指導部、安倍氏に圧力(産経新聞) - goo ニュース
 安倍政権の発足を睨んで、中国側は、”時空交錯案”という聞き慣れない提案を検討しているようです。中国政府の正式の提案ではありませんが、その実態が、尖閣諸島の共同支配であることだけは、間違いないようです。

 ”時空交錯案”とは、偶数日と奇数日とを日中両国で分けて、それぞれが、割り当てられた日に海上警備を行うと言うことのようです。両国の軍事的な衝突は起きないわけですから、一見、平和的な解決案のように見えます。しかしながら、中国は、この案を日本国に呑ませることで、尖閣諸島に対する主権の半分を獲得できるのですから、中国側が、日本国の領土を侵略しようとしている事実においては、何らの変わりはありません。中国が、尖閣諸島の領有権を獲得できる正当な手段があるとすれば、それは、ICJの判決において領有が認められる以外になく、法的根拠なき領有権の主張は、領土的野心の現れに他ならないのです。しかも、日本側が、尖閣諸島の領有権の強化に着手しようとすれば、軍事的な行動も辞さないと公言していますので、軍事的な圧力を背景とした瀬戸際政策でもあります。たとえ、日本国側が圧力に屈して中国側と共同管理の条約を結んだとしても、こうした威嚇行為を背景として締結された条約は、条約法条約において無効とされています。

 法的根拠なき瀬戸際作戦を許しますと、アジアは、戦わずして中国の手に落ちることになります。日本国政府は、決して、中国の巧妙な”時空交錯提案”に惑わされてはならないと思うのです。それは、ミュンヘンの融和と同じ過ちを繰り返すことになるのですから。

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コメント (6)
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