万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

台湾が示す親中政策は選挙大敗への道

2014年11月30日 15時40分31秒 | アジア
与党・国民党が大敗=台北市長は無所属新人―台湾地方選(時事通信) - goo ニュース
 昨日、台湾では、地方統一選挙が実施され、投開票の結果、野党の民進党が与党国民党を抑える得票を獲得したそうです。国民との敗因は、言わずもがな、その親中政策にあります。

 台湾では、国民党の馬政権が、中国との投資・サービスの自由化協定の締結を進めたことから学生の反対運動を引き起こしています。経済分野とはいえ、巨大化した中国資本に台湾経済が飲み込まれ、街角の商店にまで中国人事業者が進出してくるとする危機感が、台湾人をして中国接近に対する警戒感を強めたと言えます。今回の選挙結果は、台湾全域に広がった反中意識の延長にあり、独立心の現れに他なりません。統一地方選挙は、来年に予定されている総統選挙の前哨戦にも位置付けられておりますので、総裁選も、民進党有利で展開することでしょう。急激な経済成長を遂げ、軍事力を蓄えたことで周辺諸国に対して強圧的な態度を取るようになった中国への接近は、民主的選挙が実施されている諸国にあっては、票を減らすマイナス要因としてしか働かないのです。中国の属国となることを望む国民などいないのですから(もっとも、事大主義の朝鮮半島は別かも知れない…)。しかも、香港での民主派デモは、中国が描いている「一国二制度」の実像を明らかにしてしまいました。

 日本国でも、来月14日には衆議院選挙が予定されておりますが、台湾の選挙結果は、親中政策のマイナス効果を示しております。日本国の政党も、台湾の選挙結果に学ぶべきではないかと思うのです。

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前代未聞の韓国人文化財窃盗対策としての博物館新設

2014年11月29日 15時59分59秒 | アジア
長崎県、対馬の仏像盗難対策で博物館新設へ 中村知事が表明(産経新聞) - goo ニュース
 長崎県では、対馬において韓国人による文化財窃盗事件が相次いでいることから、新たに博物館を新設し、寺社や個人から文化財を預かって保存することを検討しているそうです。窃盗対策の博物館新設とは、これこそ、前代未聞の事件なのではないでしょうか。

 奈良、京都、鎌倉…といった古都には、夥しい数の寺社仏閣があり、安置されている仏像だけでも相当な数に上ります。歴史・文化的な価値のみならず、市場価値も高い文化財であるだけに、窃盗団から狙われやすく、警備のための労力や設備も並大抵ではないと想像されます。しかしながら、純粋に劣化を防ぐために徹底管理が可能な場所に保管するということはあっても、窃盗対策のために文化財を博物館に納めるといった話は、つゆとして聞いたことがありません。何れの寺社仏閣でも、レプリカではなく、本物の仏像がそのまま信仰の対象として息づいており、地元の檀家や氏子の信者のみならず、内外の参拝客や観光客をも魅了し続けているのです。レプリカともなれば、興ざめする人も少なくないはずです。対馬において、このプロジェクトが実際に実施されるとしますと、島民の人々は、レプリカを拝むことになるのですから、たとえ窃盗対策であったとしても、もろ手を挙げては賛成できことでしょう。

 もっとも、年間30万人近く対馬を訪れるという韓国人観光客は、この新設の博物館を見て、少しは反省するかもしれません。何故ならば、新設の博物館こそ、対馬が韓国人窃盗に悩まされてきたことの証となるからです。そして、お寺から移されて展示されている御仏像もまた、物言わずとも、韓国人観光客を諭してくださることでしょう。

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税収の伸びで消費税増税10%上げを判断しては?

2014年11月28日 11時08分20秒 | 日本経済
税収 17年ぶり高水準 当初の想定上回り 51兆円台に(産経新聞) - goo ニュース
 今年度の一般会計税収の伸びは、17年ぶりの高水準を記録したそうです。消費税率の8%上げに伴う増収以外にも、所得税と法人税の伸びが顕著なそうです。後者の伸び率は、アベノミクスによる賃上げと企業業績の回復の効果が、数字で表れたとも言えます。

 ところで、政府は、増収分を商品券の配布?といった補正予算の財源の一部に振り向ける方針なそうですが、増収分を財政再建に充てれば、消費税率の10%上げは必要ないのではないでしょうか。今回の数字では、所得税と法人税も増収となり、国債の金利も低下傾向にあるため、利払いも減少しているはずです。つまり、この調子で歳入の拡大傾向が続けば、消費税率を10%に上げなくても、財政再建の目標を達成し、プライマリー・バランスの均衡が実現するならば、消費税上げの根拠とされてきた日本国の財政や日本国債に対する信用は維持することができるのです。消費税上げの延期に際して、安倍首相は、不景気を条件とした景気条項の撤廃を明言しましたが、逆に、好景気を条件とした景気条項を新たに設けてもよいのではないかと思うのです。

 来年度には、先日の政経労の三者合意により、さらなる賃上げが予定されております。この合意により、所得税のさらなる増収が見込まれますし、輸出関連を中心に企業業績も好転してきております。歳入の増加を条件とした消費税10%の見送りが、国民に対する”ボーナス”の約束ともなれば、日本経済の復活に向けての国民の活力をも引き出すのではないでしょうか(少なくとも、現在、アベノミクスの恩恵を受けていない人々にも確実なるメリットなる…)。

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産経前支局長の公判-裁判に勝っても負けても窮地に陥る韓国

2014年11月27日 16時16分41秒 | アジア
産経前支局長公判 市民団体の罵声、車に生卵投げつけ…一時騒然(産経新聞) - goo ニュース
 韓国の情報通信網法では、他人を誹謗中傷する内容をインターネットを介して流布した場合、名誉棄損罪が適用されるそうです。朴大統領に対する名誉棄損の罪状で、産経新聞社の元支局長が起訴されたのですが、公判の場で、韓国の保守系活動家に生卵をぶつけられたと報じられています。”韓国民に謝れ!”と…。

 この問題は、言論の自由や報道の自由に対する深刻な侵害になりかねないとして、日本国内のみならず、国際社会においても関心を集めております。おそらく、産経新聞社は、慰安婦問題について、韓国に不利となる報道を続けてきたことから、韓国政府は、近代国家の権力分立の原則を無視し、背後から政治的な報復手段として司法を操ったものと憶測されます。韓国の世論も、”日本憎し、産経憎し”の伝統的な”恨”一念から、検察による起訴を支持しているのでしょう。しかしながら、この事件で有罪判決が下されるとしますと、その先、どのようなことが起こるのでしょうか。大統領と国民は、有罪判決に溜飲を下げるのでしょうが、国際社会においては、韓国は、言論や報道の自由が侵害されている国として認定され、中国や北朝鮮と同列に扱われることになります。のみならず、名誉棄損の罪が政治的な報復手段の前例ともなりますと、韓国メディアも国民も、以後、この罪に怯える結果を招きます。当事件では、被告は日本人であり、卵を投げたのは保守系の活動家ですが、今後は、自国のメディアや国民も対象となるでしょうし、左派系の政権が韓国に誕生した場合には、逆に、国内の保守系の言論がターゲットとなるかもしれません。

 それでは、逆に、裁判所が無罪判決を出したならばどうなるのでしょうか。無罪判決の場合は、司法権を政治利用したが故に、内外から朴大統領の政治的敗北として受け止められ、政治的な基盤が弱体化することが予測されます。この事件、起訴した時点で、韓国は、自ら泥船に乗ってしまったに等しいのではないかと思うのです。

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移民の帰国を勧めない不思議

2014年11月26日 15時26分32秒 | 国際政治
「地中海を墓場にするな」=欧州議会で移民支援求める―ローマ法王(時事通信) - goo ニュース
 ”アラブの春”によって、政治的にはアラブ諸国の民主化が実現はしたものの、経済状況を見ますと、好転の兆しは見られないようです。深まる景気低迷が移民増加の原因であり、地中海にあっては、ローマ法王が指摘されているように、密入国船の沈没による海難事故が続いています。

 地中海が墓場となることを懸念して、ローマ法王は、EUの欧州議会において移民の受け入れと支援を求めたと報じられております。カトリックの最高権威として、ローマ法王は、キリスト教国に対して宗教的な使命感から人道的な措置を説いたのでしょう。しかしながら、真の問題の原因が送出し国にある場合、受け入れ側が移民枠を拡大したり、手厚い支援政策を実施したとしても、対策としては限界があります。しかも、現在、ローマ法王も語るように、ヨーロッパが衰退にさしかかっているならば、今以上に寛大な移民政策を求めることは酷でもあります。移民の増加は、雇用、財政、社会保障、教育…など、あらゆる面で受け入れ国側に負担のしわ寄せがいくからです。この問題は、送出し国の国民が、外国に移民せずして国内で仕事を見つけ、経済のメカニズムが円滑に動かないことには永遠に解決しないのです。先日も、イタリアに向かった密航船が、事業者によって故意に沈没させられた事件が報じられておりましたが、その原因は、現地の繊維工場の倒産による失業者の増加にあるそうです。

 ISISの如く、イスラム原理主義の影響が強まりますと、質素な生活の強要や女性のチャドル着用の義務化などにより、さらに経済活動が低迷する可能性もあります(不景気がさらにISISへの支持を高める悪循環に…)。アラブ諸国は、失業対策、あるいは、人口流出防止対策として、最も基本的な衣食住の分野からであれ、生産と消費の好循環を造りだすための方策を考えるべきなのではないでしょうか。そして、国際社会もまた、移民受け入れよりも、移民帰国の促進こそ支援すべきと思うのです。

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韓国人による対馬の仏像盗難の再発-悪しき前例をつくってはいけない

2014年11月25日 15時28分37秒 | アジア
 本日、対馬において、再度、仏像の盗難事件は発生し、韓国人4人が逮捕されたと報じられております。盗難事件の再発は、一昨年に発生した二体の仏像盗難事件に際して、日本国政府が、厳しい対応を示さなかったことにも原因があるようです。

 一昨年の仏像窃盗事件は、対馬に留まらず、日本全国から懸念の声が一気に広がったのは、韓国の地裁が、盗難品であるにも拘わらず、所有権を主張する韓国の寺院の訴えを認め、日本側への仏像の返還を仮処分によって差し止めたからです。しかも、この韓国の浮石寺、李氏朝鮮時代の仏教弾圧を無視して、13世紀頃、即ち、倭寇の時代に日本国が盗んだと主張し、裁判所も、日本国の観音寺に対して800年前に遡ってでも、合法的な取得の証明を求めたのですから、近代の法の精神に照らせばあり得ない処分です。また、韓国側は、韓国寺院からの差し止め請求のないもう一体の仏像についても、返還を渋ったままです。裁判所が盗品の返還拒否に加担しているのですから、韓国人は、チャンスがあれば、日本国からさらに仏像を盗もうとすることでしょう(逮捕された4人の中には、寺の住職を自称する者もいる…)。韓国の行為は、ユネスコ条約にも違反しており、文化財の国際的な保護をも蔑にしています。

 日本国政府は、韓国に対して仏像の速やかなる返還と取り締まりの強化を求めるべきなのですが、仏像盗難事件が再発した以上、指紋押捺制度の復活、犯罪歴のデータベース化、前科者の入国禁止…といった措置を採るべきなのではないでしょうか(韓国側の反応は、”戸締りをしっかりしていない方が悪い”なそうです…)。中国もまた、小笠原諸島に海賊を送り込んでおりますので、日本国政府が甘い対応を続けておりますと、日本国内は、中韓の窃盗団によって荒らされてしまうと思うのです。

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竹島問題をサンフランシスコ講和条約に従ってICJで解決する方法

2014年11月24日 15時11分09秒 | アジア
竹島防衛訓練を実施=局長級協議に冷水―韓国(時事通信) - goo ニュース
 本日、韓国は、竹島において海軍による竹島防衛訓練を実施したと報じられております。韓国が日本国を仮想敵国と見なしていることの証なのですが、この問題、領有権そのものではなくとも、サンフランシスコ講和条約の解釈上の紛争としてICJに提訴する方法があるのではないかと思うのです。

サンフランシスコ講和条約の第2条(a)では、列挙式から控除式に変更したために竹島の名称は見えませんが、同条約の作成過程にあって、厳正な調査がなされた結果、アメリカ政府は日本領であることを承認しています。初期の草案では韓国領とし記したものもあったそうですが、韓国による竹島…の領土要求が却下された経緯は、ラスク書簡にも記録されています。韓国政府は、竹島問題を国際社会にアピールする場合、古代や中世の資料を持ち出して歴史的根拠に関心が集まるように誘導するか、国内法である李氏朝鮮時代の1900年の勅令を持ち出しますが(”石島”を強引に竹島に牽強付会…)、国際法上の根拠を問われると返答に窮するはずです。無主地先占を主張するかもしれませんが、竹島は、江戸時代にあって日本国の”隠岐の松島(竹島の旧名)”であり、無主の地とも言えません。何れにしても、サンフランシスコ講和条約では、竹島は日本領と確定されたのですから、韓国の行為は、武力による現状の変更に他ならないのです。国際法では、講和条約によって確定した国境線を武力で変更することは許されておりません。つまり、歴史的根拠がどうあろうとも、韓国が、竹島を武力占領したこと自体が、国際法違反なのです。仮に合法性を訴えるならば、韓国は、サンフランシスコ講和条約において、竹島が韓国領として日本国から正式に割譲されたことを証明しなければなりません。

 サンフランシスコ講和条約の第22条では、条約の解釈をめぐる紛争の解決手段として、いずれかの紛争当事国の要請によりICJに付託することができるとしています。竹島は、韓国に武力占領されているのですから、韓国が否定しようとも、紛争であることは明白です。日本国政府は、第2条(a)の解釈、すなわち、竹島が日本国の放棄対象に含まれるのか、否かの判断をICJに求めることは可能なのではないでしょうか。

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ホワイトハウスからの慰安婦請願回答-無理難題では?

2014年11月23日 15時54分16秒 | 国際政治
昨日、e-mailにて、アメリカのホワイトハウスから、ようやく慰安婦問題に関する請願に対する回答が届きました。回答文を読んでみますと、オバマ大統領が訪韓した際の見解とほぼ同一の内容なのですが、この問題に関するアメリカ政府の重要な認識の変化を読み取ることができます。

 特に指摘すべき点は、文章の冒頭部分において、慰安婦問題を”the trafficking of women”と表現していることです。ヒラリー・クリントン前国務長官の時代には、”性奴隷”といった過激な表現も見受けられましたが、今回の文章では、”女性の人身売買”にトーンダウンしています。このことは、現在のアメリカ政府が、日本軍による強制連行ではなく、慰安婦募集に際しての民間事業者による不正行為として捉えていることが分かります。もちろん、この理解で正しいのかどうかは、ホワイトハウスに確認する必要はありますが(アメリカ政府は、返答を留保し、日韓に事実調査を求めるかもしれない…)、少なくとも、表現としては、商業的なニュアンスに比重を移しているのです。おそらく、アメリカ政府は、朝鮮半島における慰安婦の募集は主として民間事業者が行い、その際に、朝鮮人事業者による詐欺的行為があり、また、賃金等も支払われていた事実を掴んでいるのかもしれません。元慰安婦達の証言の殆どは、家族、知人、事業者…に騙されたというものばかりであり、仕送り、貯金、贅沢品購入…の余裕があったことも明らかにされています。

 韓国が主張してきた日本軍による強制連行説をやんわりと否定したことにおいて、回答文は日本国側の主張に沿うものではありますが、回答の主旨は、”我々は、被害者の心の傷を癒し、隣国諸国と関係改善に向う方法で、この問題に対して関わり続けるよう日本国を励ます。…”の部分にあります。この要求は、これ以上、慰安婦問題について譲歩のしようもなく、名誉回復が目下の課題である日本国にとりましては、無理難題ではないかと思うのです。

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大統領令による移民改革は反感を買うのでは?

2014年11月22日 15時29分48秒 | アメリカ
オバマ氏強権発動へ 大統領令で移民改革踏み切ると声明(産経新聞) - goo ニュース
 先の下院議会選挙において、共和党が圧倒的な勝利を納めた要因として、アンチ移民政策が指摘されております。民主党が掲げてきた移民改革法案も成立の見込みが薄くなったのですが、この窮地を脱するべく、オバマ大統領は、大統領令によって移民改革を実現する方向に舵を切ったようです。

 しかしながら、移民の是非は、先の記事でも指摘しましたたように、国民統合や社会統合の問題領域にあることを考えますと、大統領令による改革という方法は、国民から反感を買いやすいのではないかと思うのです。何故ならば、国や社会に新しいメンバーを迎えることは、移民する側の個人的、かつ、一方的な権利の行使ではなく、受け入れ側の国民全員の問題であり、後者の合意こそ最も尊重すべきであるからです。移民問題が社会問題として深刻化した理由も、一部の人々、政党、特定の利益団体、並びに、移民事業者…の都合のみで移民を受け入れてきたことにあり(あるいは、一方的な押し寄せ…)、全体としてのコンセンサスを欠いてきたことに求めることができます。況してや、救済の対象が密入国者となりますと、正式な手続きを経て制定された移民法に違反しているのですから、国民の反発も一層強くなります。国民のコンセンサスを欠きますと、国家や社会の崩壊を怖れる”危機感”と身勝手な移民に対する”迷惑感”だけが募ることになるのではないでしょうか。

 アメリカの政治制度には、国民投票の制度は設けられていないのですが、移民政策の決定方法として最も相応しいのは、受け入れ側のメンバー全員に是非を問う方法です。先の議会選挙が国民の民主党移民政策に対するNOの意思表示であるならば、やはり、大統領が命令一つで移民の制度改革を図る方法は避けるべきではないかと思うのです。

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面子のために相手国を騙す中国の伝統的行動パターン-二度あることは三度ある

2014年11月21日 15時33分45秒 | アジア
日中4項目合意「尖閣で日本の立場変更なし」 政府が答弁書決定(産経新聞) - goo ニュース
 数日前の日経新聞に、日中首脳会談の裏舞台に関する記事が掲載されていました。その記事によりますと、首脳会談の開催を説に望んでいたのは、日本側ではなく、ホスト国としての面子を保ちたい中国の習主席であったそうです。

 ところが、APECが開催日の直前になると、日中両国において四項目の合意文書が公表され、中国国内では、日本国が中国側に大幅に譲歩し、あたかも尖閣諸島に関しても領土問題であることを認めたかのような報道がなされました。”日本側譲歩”の流れが意図的に造られる中、日中首脳会談で両首脳は対面するのですが、案の定、習主席は、”会いたくはなかったが、日本側の求めに応じて仕方なく会ってあげたのだ”と言わんばかりに、露骨なまでに不快感を示しました。自らが要請しながら、相手国からの要望に応えたかのように振る舞う中国の行動様式は、これが初めてではありません。当記事によりますと、70年代の米中間の国交正常化に際しても、毛主席は、アメリカが言い出したかのように演出したそうです。そして、もう一つ、歴史に先例を求めるならば、第一次世界大戦後の「対華二十一か条の要求」の例があります。この時も、袁世凱政権からの要望を受けた要求であったにも拘らず、日本国が、中国に対して屈辱的な要求を迫ったとして中国国内の対日感情が著しく悪化しました。中国は、自らの面子を保つために、相手国を騙すという行動をしばしばとるのです。二度あることが三度ある理由は、中国固有の伝統と習慣に求めることができるかもしれません。

 APEC総会に際しては米中首脳間の対話もあり、習主席は、オバマ大統領に対して、”近代以降の中国も見てほしい”と述べたと報じられております。しかしながら、有効な対策を講じるためにも、五千年?に及ぶ権謀術数の歴史が染み付いた近代以前の中国こそ、よく理解すべきなのではないかと思うのです。

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アベノミクスの三本の矢-束ねる力が弱いのでは?

2014年11月20日 15時33分21秒 | 日本経済
日銀、政府との間に“すきま風”も 「約束違反。官邸にはしごを外された」(フジサンケイビジネスアイ) - goo ニュース
 アベノミクスを説明する際に登場してくるのが、毛利元就の”三本の矢”の故事です。元就は、三人の子息を前にして”1本の矢ではすぐ折れてしまうけれども、矢を三本束ねれば、決して折れることはない”と諭したと伝わります。

 アベノミクスにおける三本の矢とは、端的に言えば、一本目の矢:金融政策(量的緩和)、二本目の矢:財政政策(機動的出動)、三本目の矢:市場政策(賃上げ・経済成長戦略…)の三者を意味しています。これらの政策を同時に、かつ、効果的に実施すれば日本経済も安泰ということになりますが、問題がないわけではありません。経済の仕組みからしますと、三本の矢の間の繋がりが希薄なようなのです。一本目の矢は、民主党政権時代の超円高を是正し、輸出関連の企業の収益を改善したことにおいて、三本目の矢への波及ルートがあります。この場合、増収となった輸出関連企業が、賃上げ、円安によるマイナス影響を受けた部品メーカーに対する製品価格の値上げ容認、新たな製品開発分野への投資…などに資金を振り向けますと、一本目の矢と三本目の矢の結束がさらに強まります。しかしながら、日銀による量的緩和の主たる手段とは、金融機関に対する買いオペですので、市場に供給されたマネーは、一先ずは金融機関の手持ち資金となります。このことは、潤沢な資金を供給された金融機関が、二本目と三本目の矢に資金を供給しないことには、一本目の矢の効果が限定的となることを意味しています。二本目の矢との連携を強めるためには、金融機関が国債を購入して財政を支える方法も考えられますが、国債の信用を低下させるリスクがあります。そこで、財政への波及効果は、三本目の矢を経由したGDPの伸びに伴う歳入の増加にこそ期待されるのですが、成長なき増税では、逆にGDPを下げてしまう可能性があります。一方、企業への投資や融資ではなく、金融機関が株式市場で資金を運用するとしますと、株価は全般的に上昇し、民間企業の含み資産も増え、また、政府にとりましても、年金積立金の運用にはプラスの効果はあります。しかしながら、肝心の日本経済を支える企業活動や消費となりますと、GDPの落ち込みや国内の設備投資が伸び悩みが示すように、現状では、波及効果が薄いように見えるのです。

 金融機関に貯めこまれている巨額の手持ち資金が、マネー・ゲームの末の株式市場のバブルとその崩壊に帰結するのでは、元も子もありません。三本の矢の繋がりをフローチャートとして再確認し、束ねる力を強めることこそ、日本経済の復活と成長への道ではないかと思うのです。

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政労使の賃上げ合意―”三方よし”では?

2014年11月19日 15時29分41秒 | 日本経済
政労使会議 来春の賃上げ、年内に3者で合意へ(産経新聞) - goo ニュース
 ”三方よし”とは、江戸時代に近江商人の家訓から広まったものであり、”買い手””売り手””世間”の三者の全てが恩恵を受ける取引こそよしとするビジネス理念です。今般、来春の賃上げに関して政労使の三者による合意が成立しましたが、この合意も、”三方よし”なのかもしれません。

 賃上げは、得てして勤労者のみにメリットが集中するかのように考えられがちです。賃金の引き上げは、労働側が経営側に求める要求項目の筆頭でしたし、実際に、賃上げは”労働者が勝ち取るもの”と概念されてきました。しかしながら、経営側にも、賃上げのメリットがないわけではありません。何故ならば、市場経済にあっては、消費者の購買力の上昇こそが、自社の製品の販売数を伸ばす要因となるからです。労使関係は個別の企業の内部関係として見ればゼロ・サムになるものの、企業の多くが賃上げをすれば、市場全体の購買力が高まります。消費者の購買力が高いほど付加価値の高い製品にもニーズが生まれますので、新しい製品の開発投資についてもリスクが減少するのです(この点は、外国企業にとっても日本国は有望な市場となる…)。そして、賃上げは、”世間”、ここでは国家の財政健全化にも貢献します。賃上げに伴い所得税が増収となることに加えて、市場における消費が活発化すれば、消費税による税収も増えるからです。法人税については引き下げが検討されておりますが、それでも企業収益が大幅に改善されれば、歳入増加に繋がるはずです。

 10%への消費増税が延期されたため、当面は8%の消費税率が維持されますが、政労使の賃上げ合意は、延期によって指摘されている財政不安を緩和する効果も期待されます。”三方よし”の結果を得ることができれば、賃上げこそ、アベノミクスの矢の重要な一本となるのではないかと思うのです。

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解散総選挙の不思議-自民党は議席を減らしたい?

2014年11月18日 12時57分55秒 | 日本政治
首相、解散・増税延期表明へ…きょう午後会見(読売新聞) - goo ニュース
 APECの総会を転機とするかのように、日本国の政界では、突然に解散風が吹き始めました。しかしながら、国民の多くは、何故、今の時期に解散風が起きたのか理解に苦しむとともに、政界との距離感が深まり、疎外感をも味わっているはずです。

 消費税増税の延期を問うことが目的とも説明されておりますが、APECの開催期間に急展開しただけに、国民には知らされていない理由がある疑いもあり、不信感のみが募るばかりです。自民党にいたしても、解散そのものに反対する世論が強い中での選挙となり、公約次第では逆風も予測されます。現時点よりも議席数を減らす可能性が高いのですが、ふと、もしかしますと、自民党の内部には、意図的に議席数を減らしたい政治家が裏で糸をひいているかもしれないと思うのです。何故ならば、以前に、自民党は、中小政党の特別枠の設定を検討し、中小政党に対する議席優遇策を検討したことがあります。この案、憲法違反の疑いもあったことから立ち消えとなったようなのですが、どこか冷戦時代の東欧諸国の政党システムを髣髴させ(社会・共産主義体制における一党優位固定化制度…)、背筋が寒くなったのを覚えています。敢えて自党に不利な制度を自発的に提案するぐらいですから、自民党は、圧倒的な多数の犠牲を維持することに対しては、執着していないかもしれません。そして、この方針は、連立与党である公明党にとりましては、自党の存在価値を高めることができますので、有利な案ではあります。

 世論の反感が強い中での選挙となりますと、投票所に足を運ぶ国民も鈍り、投票率も低下することも予測されます。投票率の低下は、公明党や共産党といった組織票だよりの政党が議席を拡大させる結果を招きます。結局は、日本国の政界では中国との関係が強い勢力の影響力が増し、日本国民は、内外から追い詰められることにもなりかねません。杞憂であればよいのですが、日本国は現在、心配せざるを得ない状況にあるように思えるのです。


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”増税先送り解散”ではなく”景気条項解散”となる可能性

2014年11月17日 15時19分27秒 | 日本政治
増税先送りで「アベノミクス第2幕」が始まる 2005年の小泉郵政解散と似てきた?(東洋経済オンライン) - goo ニュース
 明日にも予定されている報じられる衆議院の解散総選挙。消費税増税の先送りが争点となるため、小泉郵政解散に似てきたとの指摘もあります。しかしながら、この選挙、”増税先送り解散”ではなく、”景気条項解散”となる恐れがあると思うのです。

 世論調査を見ましても、国民の過半数以上が、消費税増税、並びに、衆議院の解散には反対しています。ですから、安倍首相が消費増税の延期を決定し、かつ、衆議院の解散を思い止まったとしても、国民は、むしろ安堵することでしょう。しかしながら、自民党は、国民が望む通り消費増税の延期を打ち出すのだから、選挙に負けるはずはない、と読んでいるものと憶測されます。それ故に、明日の解散予測なのでしょうが、いざ選挙となれば、どの党も消費増税延期を公約に掲げるに決まっています。そして、およそ全ての政党が増税反対となりますと、選挙争点は、景気条項の削除の有無に移行します。報じられるところによりますと、自民党は、景気条項の削除を検討しており、1年半の延期後、如何なる経済状況にあっても増税を実行するとの方針なそうです。仮に、景気条項の削除を自民党が掲げ、他の野党が維持を主張するとしますと、選挙の構図は一変し、自民・公明党=増税派vs.野党=反増税派となり、自民とは、一気に不利な状況に陥ることになります。

 経済は”生き物”とも申しますように日々変化するのですから、政策判断にも柔軟性を与えませんと、硬直した政策決定が、致命的な打撃を経済に与えることがあります。”景気条項解散”となる場合には、自民党の楽勝予測は外れる可能性があると思うのです。

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自民党の親中傾斜は保守層の離反を招く

2014年11月16日 15時15分16秒 | アジア
中国が日中首脳会談を決断した3つの理由 自民党と中国共産党のパイプ復活が焦点(東洋経済オンライン) - goo ニュース
 東洋経済オンラインの記事によりますと、日中首脳会談が実現した背景には、日本国の自民党と中国の共産党との関係改善があるそうです。橋渡し役を務めたのは、福田元総理や連立与党である公明党の名が挙がっておりますが、自民党には、勝算はあるのでしょうか。

 当記事によれば、習主席の”二度目に会うときには友達になれる”という発言は、安倍首相に対する暗黙の”圧力”なそうです。つまり、日本国の首相が、今後、靖国神社に参拝せず、尖閣諸島でも譲歩すれば、次回の首脳会談では笑顔で歓待するということなのでしょう。しかしながら、日中首脳会談によって、日中両国民の相手国に対する感情が好転したわけでもなく(中国の世論調査では8割が日本国に対して否定的…)、中国船による尖閣諸島周辺での領海侵犯は続き、さらには、小笠原諸島沖では、再び中国のサンゴ密漁船が姿を見せたそうです。日中関係は、全く改善されていないのです。逆に、日中首脳会談における習主席のあまり尊大、かつ、大人げない態度に不快感を抱いた日本国民の方が多いはずです。香港の民主派デモの学生に対して門前払いしたとするニュースも伝わっており、一党独裁を是とする中国共産党と自民党との接近が、日本国民に評価されるとも思えません。日本国内における中国の影響力が強まるということは、親中派を除く一般の日本国民にとりましては、属国化が脳裏をよぎる忌まわしいことなのです。

 安倍首相は、帰国次第、18日にも解散総選挙を表明すると報じられておりますが、政権の盤石化となるかどうかは未知数です。少なくとも、自民党の親中派路線は、保守層の大量離反を招くのではないかと思うのです。

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