万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ギリシャ危機―税金逃れより怖い現実逃避

2012年05月31日 16時05分23秒 | ヨーロッパ
「ギリシャ人は税金逃れ」 IMFトップ発言“炎上”(産経新聞) - goo ニュース
 IMFのラガルド専務理事が”ギリシャ人は税金逃れ”と発言したことに対して、ギリシャ国内では激しい反発が起きたそうです。ラガルド氏も、”ギリシャには同情する”と鎮静化に努めていますが、ギリシャでは、脱税が財政危機の原因となっていることは、周知の事実です。

 この発言に憤慨した人々は、きちんと納税している人々であり、誠実に納税義務を果たしながら、脱税者呼ばわりされたのではたまらない、ということなのでしょう。しかしながら、富裕層や政府との間にコネのある一部の人々が、脱税の常習者となっていることは、ギリシャ人にとりましても、深刻な問題なはずです。むしろ、ラガルド氏の発言を追い風として、脱税の摘発や徴税制度の改革に取り組むほうが、ギリシャの財政危機の克服には役立つはずです。氏の発言に感情的に反発したのでは、脱税者を擁護し、税制改革を遅らせることにもなりかねないのです。あるいは、こうした点を考慮しますと、氏の発言に反発した人々は、本当は、税金逃れをしてきた人々なのかもしれませんが…。

 事実を指摘された場合には、怒るよりも冷静に素直に受け止め、是正と克服に向けて歩み出す方が、結果がよいことがあります。税金逃れにも問題はありますが、現実からの逃避は、さらに問題を悪化させるのではないかと思うのです。

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生活保護の受給資格審査機関を設けては

2012年05月30日 17時26分18秒 | 社会
「生活保護」での"扶養の在り方"に関して冷静な議論を - 関係団体が緊急声明#マイナビニュース# - goo ニュース
 生活保護法によりますと、生活保護の申請を受けた際に、その可否を決定する主たる機関は、地方自治体の福祉事務所とのことです。生活保護については、きめ細かな住民への福祉を実現するために、大幅に地方分権されていることになるのですが、この方法には問題がないわけではありません。

 第1に、地方自治体ごとに、審査のレベルに違いが生じてしまうことです。審査が甘い自治体もあれば、逆に厳しい自治体もあり、この違いが、特定の地域に生活保護者が集住してしまう現象を招いているのかもしれません。

 第2に、地方自治体の福祉事務所やお役所の窓口ともなりますと、地元の政治家の口利きの影響を受けやすいという問題があります。しばしば、ネット上には、特定の政党の政治家に相談すれば、簡単に受給申請の許可が下りるとの情報が流されています。いわば、生活保護は、集票のための政治家の”政治活動”ともなっており、政治介入を受けやすいのです。

 第3に、地元密着型ですと、受給者と行政側との間に”慣れ合い”や”癒着”が生じる土壌ともなります。事件の当事者である河本氏も、受給に関しては、福祉事務所と相談していたと発言しており、”共謀”が疑われます。

 以上に述べたような問題を解消するためには、国レベル、あるいは、都道府県レベルにおいて、独立的な受給資格審査機関を設けてはどうかと思うのです(現在の受給者も対象に含めて…)。政治家の介入や、特定の圧力団体からの介入を排除し、中立・公平な立場から、厳格に受給資格を審査すれば、不正受給を減らすことができるのではないでしょうか。

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生活保護は家族同居で受けるべきでは

2012年05月29日 17時27分41秒 | 社会
 高額所得者である芸能人の河本準一氏の母親が生活保護を受けていた事件は、生活保護に関するもう一つの問題を明かすことになりました。それは、家族が、別居して世帯を形成して、それぞれが生活保護の支給を受けるのは、おかしいのではないか、ということです。

 ネット情報によりますと、河本氏の家族で生活保護を受けていたのは、河本氏の母親と姉、並びに、伯母なそうです。母と娘、並びに、姉と妹となりますので、本来、民法第877条に定められた相互に扶養義務を持つ関係となります。しかしながら、河本氏の家族は、世帯を分けていることで、別々に生活保護を受け取っていたそうなのです(生活保護を受けるために、故意に別居するケースもあるらしい…)。民法の730条にも、親族間の扶け合いが記されていますので、本来、これらの人々は、同居して一世帯を形成してもよいはずです。世帯を分けることで、家族の人数分だけ、生活保護費が個別に支給されるとなりますと、財政負担は数倍にも膨れ上がります。しかも、一般家庭であっても、被扶養者がいる家庭も多く、こうした人々までもが、それぞれが独立した世帯となって生活保護を申請するとなりますと、生活保護費は急増します。近年では、不況の影響もあり、引きこもり状態であったり、卒業後に就職活動を続けている成人を扶養している家庭も増えております。

 民法の規定に照らせば、生活保護を受ける場合には、少なくとも、扶養義務がある家族同士は同居し、家族を単位に支給すべきなのではないでしょうか。現状では、一般の家庭では、当然のこととして、親が、成人後であっても子を扶養していますが、この問題を見過ごしますと、将来的には、財政破綻に繋がるほどの受給者の増加が予測されると思うのです(既に、若者の間で、生活保護受給者が増加しているとも報じられている…)。

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橋下市長の原発稼働反対は市民への罰?

2012年05月28日 15時30分20秒 | 日本政治
大飯原発、フル稼働は節電開始に間に合わず(読売新聞) - goo ニュース
 本日のブログは、いささか不穏なテーマとなりますが、橋下市長のエネルギー政策を観察していますと、原発再稼働反対は、大阪市民への罰なのではないかと思えてくるのです。何に対する罰かと言いますと、大阪府民が、太陽光発電施設の設置義務化に反対したからです。

 橋下市長のブレーンには、太陽光発電発電推進派の飯田哲也氏やソフトバンクの孫氏の名が挙がっており、橋下氏は、筋金入りの原発反対派と言うよりも、再生エネ推進派なのでしょう。原発再稼働阻止の動機も、原子力発電を止めることが、再生エネ普及の追い風になると共に、大幅な再生エネ導入を正当化できるからです。ところが、橋下氏は、大阪府知事時代に、太陽光発電施設の設置義務化を提案したところ、世論調査を実施した結果、住民の88%が反対したために頓挫してしまった、という苦い経験をしています。政治権力を用いて住民に強制する試みでしたが、世論の反対の前に諦めざるを得なかったのです。こうした経緯を考慮しますと、橋下市長は、原発稼働停止により、暑さに音をあげた住民が太陽光発電施設の購入に走るのを待つか、あるいは、自らの方針に従い自発的に購入した人々さえ暑さが凌げればよいと考えているのかもしれません。罰を受けるのは、太陽光発電を導入しなかった一般の人々なのです。

 大飯原原発の再稼働は、節電の開始に間に合わないとも報道されていますが、関西のうだるような暑さの中で、涼しげな太陽光発電導入家庭と、無理な節電と熱中症のリスクを負わされた一般家庭とが、軒を並べている光景は、政治の失敗の象徴ではないかと思うのです。

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円・人民元直接取引―”中国版ブレトン・ウッズ体制”への布石?

2012年05月27日 15時06分49秒 | 国際経済
円と人民元6月にも直接取引…米ドル介在させず(読売新聞) - goo ニュース
 日中韓の貿易量が増加する中、東京に人民元の取引市場が開設され、米ドルを介在させてきた決済方式から、円と人民元の直接取引への転換が始まるそうです。一見、外国為替市場の自由化政策とも受け取られるのですが、中国側が、元の相場管理政策を継続するとしますと、日本国にとりましては、必ずしもメリットばかりではなさそうです。

 ブレトン・ウッズ体制崩壊後の世界は、変動相場制と固定相場制が併存する、不安的な状態にあります。日本国は、円の取引を自由化していますが、中国は、”調整可能な固定相場制”を選択し、人民元の変動幅には上限が設けられています。異なる通貨体制を敷いている二つの国が、直接取引を開始するとしますと、これまで以上に、日本国は、中国の対外通貨政策の影響をストレートに受けることになります。否、両通貨間の相場は、中国政府が、一方的に決定することになりかねないのです。人民元には金兌換性はありませんが、直接取引は、一定の変動幅は認められたとしても、人民元に対して各国通貨の相場が固定化される、一種の”中国版ブレトン・ウッズ体制”に、日本国が組み込まれる布石となるかもしれません。両国とも、基本的には輸出志向の傾向がありますので、中国は、元安に誘導して、圧倒的に優位な立場を確保するかもしれませんし、あるいは逆に、対外投資を拡大するために元高に誘導すれば、日本国企業は、中国系資本の格好のターゲットとなる可能性もあります。

 民主党政権は、日中韓FTAをも推進させたいようですが、相手国が、積極的に為替相場の管理を行っている場合には、相手国中心の体制に取り込まれる怖れがあります。ロンドンやシンガポールに先駆けての画期的な試みとされていますが、予め、将来を予測したリスク管理を準備しませんと、思わぬ罠に嵌るのではないでしょうか。

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EU財政危機―国債発行額に新基準を

2012年05月26日 15時45分16秒 | その他
EU首脳会議 ギリシャ残留を要求 域内の投資促進(産経新聞) - goo ニュース
 EU財政危機の発端は、ギリシャ政府による放漫な財政運営にありますが、ユーロ導入が、国債発行額の増加を促したことは否めません。ドラクマよりも、ユーロの方が遥かに国債発行には有利なのですから。

 そもそも、この問題は、ギリシャ政府が、自国の経済規模では返済不能なほど、国債を発行したことに起因しています。他の南欧諸国も同様の問題を抱えていますが、今後、このような問題が再発しないためにも、国債発行額に、新たな基準を設けてはどうかと思うのです。現行の財政規律では、(1)赤字国債がGDPの3%を超えないこと(2)累積政府債務の対GDP比が、参考値(60%)を超えないことが定められています。しかしながら、これらの対GDP基準では、財政規律としては間接的で効果は限られていますし、政府支出の削減はGDPの低下を招き、財政規律の維持がさらに困難となる状況に追い込まれます。そこで、新たに、税収に対する基準を設けるとしますと、より直接的な国債発行抑制効果が期待できます。税収額の方が、政府の返済能力をより正確に示すからです。

 ユーロ導入国では、中央銀行による加盟国国債の直接引き受けは禁じられていますので、導入国は、財政の健全性を保つ必要があります。制裁強化という方法もありますが、基準の見直しも一案なのではないかと思うのです。

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無法国家化する韓国

2012年05月25日 11時31分58秒 | 国際政治
 昨日、韓国の最高裁は、戦時中の徴用について、個人の損害賠償請求権が有効であるとする判断を、初めて示したそうです。請求権については、既に1965年に締結された日韓請求権協定で解決済みにも拘わらず・・・。いわゆる”従軍慰安婦”の賠償請求の承認に次いで(こちらは憲法裁とのこと)、韓国の裁判所は、再度、日韓請求権協定を効力を否定したことになります。

 韓国の憲法第6条では、「憲法に基づいて締結公布された条約、および一般的に承認された国際法規は、国内法と同等の効力を有する」と定めています。日韓請求権協定は、正式な手続きを経て締結されていますので、韓国国内おいても効力は保障されているはずなのです。しかしながら、最高裁は、”日本の判決は、日本の植民地支配が合法であることを前提にしているが、強制連行を違法とする韓国の憲法と真っ向から対立するため、承認できない”と述べ、韓国併合条約の無効と戦後に制定された現憲法の遡及適用を以って、協定の効力を否定しようとしているのです。これらの理由付けは、国際法の原則にも、先の憲法第6条にも反しています。法の番人であるべき最高裁が、率先して法秩序を破るのですから、韓国は、無法国家化したとしか、言いようがありません。

 中国や北朝鮮の無法ぶりは国際社会の脅威となっておりますが、先進国入りを自認している韓国までもが無法国家化するのでは、21世紀のアジアは、無法地帯ともなりかねません。日本国政府は、決着事項を自国の都合で蒸し返す韓国に対して、アジアに法秩序を構築するためにも、毅然とした態度を貫くべきではないかと思うのです。

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匿名ネット発言禁止法案―意見表明と情報提供のリスク度の違い

2012年05月24日 15時37分58秒 | 社会
匿名のネット発言を禁止する法案:ニューヨーク州(WIRED) - goo ニュース
 アメリカのニューヨーク州では、匿名のネット発言を禁止する法案の提出が検討されているそうです。匿名投稿による”サイバーいじめ”への対策なのですが、しばし、考えてみる必要もありそうです。

 ネット空間とは、意見表明の場であると共に、情報提供の場でもあり、また、見知らぬ者同士、あるいは、知人や友達同士のコミュニケーションの場でもあります。つまり、ネットとは、多機能ツールなのですが、これらの手段には、本人が負うリスクに、開きがあるのではないかと思うのです。パブリックな問題に対する意見表明や、公表された意見に対するコメントについては、発言者は説明責任を問われることがありますので、本名を名乗ることにも一理はあります。”サイバーいじめ”とは、自分は匿名のままで、反対意見を表明した相手を一方的に攻撃する行為であり、この法案は、こうした自分だけはリスクを負わない卑劣な行為を対象としています。その一方で、公益に資するようなネット上の情報提供となりますと、匿名でなければ、公表者の身に危険が迫ることもあります。一律に匿名禁止となりますと、ネットを通して事実を知らせようとする正義感に駆られた行為をも、葬り去ってしまうことになりかねないのです。また、先の意見表明も、政治的な弾圧の可能性がある場合には、本人に降りかかるリスクが高まりますので、匿名の投稿は、身の安全を守る手段ともなります。

 このように考えますと、一律に匿名を禁じるのではなく、公益とリスクとの関係を考えた細かな対応が必要なのではないでしょうか。”サイバーいじめ”は、腹立たしいものですが、正義の告発や勇気ある発言の道を閉ざしてはならないと思うのです。

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中東の春と中国―フェースブックは”二つの顔”を持つのか

2012年05月23日 16時08分03秒 | その他
米フェイスブック株、売り出しから18%超下落(読売新聞) - goo ニュース
 2011年は、中東諸国において民主化運動が発生し、相次いで独裁体制が崩壊に追い込まれました。その陰の立役者とされたのが、フェースブックを始めとしたSNSでした。

 ネット上のパーソナルなネットワークを経由した情報の伝達と共有がパワーとなって、中東諸国に劇的な転換をもたらしたのですが、その一方で、フェースブックの将来については、不透明感が増しています。上場したばかりのフェースブック株も、下落傾向が続いているそうです。その一つの要因には、中国との関係があるのではないかと思うのです。フェースブックの創設者であるサッカーバーク氏は、先日、中国系の女性と結婚したことが、マスコミを通して大々的に報じられていました。もちろん、祝福させるべきことであるのですが、フェースブックに、中国ファクターという不安要因が生じたことも否めません。中国では、親族間の結びつきが強く、この点は、婚姻は個人の問題として割り切る西欧諸国とは違っています。中国の民主化に貢献する可能性を秘めていると同時に、最悪の場合には、フェースブックが、民主化運動を怖れる中国側の情報統制に利用される可能性さえあるのです。

 中東諸国において民主化に貢献したフェースブックは、果たして、中国においては、どのような役割を果たすのでしょうか。フェースブックは、民主主義の味方と敵という、”二つの顔”を持つことになるのでしょうか。

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ロシアの先制攻撃はMDの必要性を証明する

2012年05月22日 17時38分21秒 | 国際政治
欧州MD運用 露反発「先制攻撃も」(産経新聞) - goo ニュース
 ミサイル防衛(MD)は、攻撃からの防御手段であることを考えますと、他国に対して、然したる脅威を与えるわけではないはずです。攻撃の意図を持つ国を除いては・・・。

 先日、NATO首脳会議において、欧州MDの初期段階の運用の開始が決定されたそうです。NATO側の宣言には、”MDはロシアの戦略抑止力を損なわない”との一文が加えられたそうですが、ロシアは、最新ミサイルの使用によるMD施設の先制攻撃まで示唆し、この計画を阻止する構えです。欧州MDの現段階では、移動式のICBMによる攻撃には充分に対応できないそうですので、ロシアは、今のうちに、暴力で破壊を試みようとしているのかもしれません。しかしながら、ロシアの”先制攻撃発言”は、実のところ、欧州MDの必要性を自ら証明しているようなものではないかと思うのです。核兵器を搭載したミサイルによって先制攻撃が行われるとしますと、最初の着弾の時点で、先制攻撃を受けた側は、破滅的な被害を受けるからです。防衛施設の攻撃をも辞さないとする国が存在するからこそ、MDは、脅威に晒されている周辺諸国にとって、不可欠な技術なのです。

 ロシアは、先制攻撃を示唆してMD配備を撤回するよう脅しているのでしょうが、恫喝は、むしろ、NATOにMD配備を急がせる方向に作用するのではないでしょうか。誰もが、核の恐怖による支配から逃れたいものなのですから。

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財政緊縮というより財政スリム化を

2012年05月21日 15時33分14秒 | 国際政治
G8閉幕 緊縮疲れ、どう成長(産経新聞) - goo ニュース
 ギリシャをはじめ、EU加盟諸国では、政府の財政緊縮策に対する国民世論の反発は、相当に根強いと報じられています。フランスの大統領選挙におけるオランド氏の当選の背景にも、国民の”緊縮疲れ”がありました。

 ”緊縮”という言葉には、経済活動を縮小させてしまうといった、負のイメージがあります。政府支出が減り、公務員数も減少すれば、GDPの低下と失業の増加が予測されるからです。しかしながら、国債の増発という手段で財政規模を拡大させたところで、財政危機が解決するはずもなく、デフォルトやユーロからの離脱の可能性が高まるに過ぎません。破滅的な展開を回避するためには、国債発行高を極力減らし、財政を均衡させる以外に道はないのですが、国民の多くは、財政緊縮に伴う痛みには耐えられないと、実施する前から、弱音を吐いているのです。それでは、本当に、財政緊縮策は、国民に耐えがたい痛みを与えるのでしょうか。これは、そうとばかりは、言えないのではないかと思うのです。何故ならば、民間企業にあっても、コスト削減や効率化を徹底すれば、事業パフォーマンスも財務状況も向上するように、政府もまた、メタボ状態からスリム化を図ることで、行政サービスを低下させることなく、財政状況を改善することができるからです。ギリシャのように公務員数が多い国の場合には、業種によっては民営化の余地があるかもしれず、民間企業の育成と雇用の創出に務めれば、GDPの低下と失業問題の緩和策にもなります。

 経済の活力を引き出す形で、財政スリム化政策を実施すれば、国民の痛みは、軽度に抑えることができるかもしれません。”緊縮”という消極的なイメージではなく、”持続可能”な新たな財政システムの構築過程であると積極的に捉えれば、政府も国民も、知恵が湧いてくるのではないかと思うのです。

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原発ゼロで電気料金2倍―暗い日本の未来

2012年05月20日 15時26分03秒 | 日本政治
リンク: 2030年の電気料金を経産省試算 原発ゼロだと最悪現在の2倍になる?? - 速報:@niftyニュース.
 経産省によって、将来的な電気料金の試算が発表されました。この試算によりますと、原発ゼロでは、最悪電気料金は2倍、15%稼働でも、最大72%増となるそうです。

 原発の再稼働問題については、夏季の供給不足が主たる判断材料とされてきましたが、長期的に見ますと、電気料金の大幅な値上がりの方が、はるかに破滅的な影響があります。中韓などの新興諸国が、原発を推進する中で、日本国だけ電気料金2倍となりますと、産業の空洞化は必至です。僅かに国内生産が残ったとしても、割高な製品価格と輸出量の全体的な減少によって充分な外貨を稼ぐことができなくなりますと、火力用燃料や再生エネ施設の輸入さえままならなくなります。もちろん、その頃には、国内産業が潰れているので、電力需要が減少しているから大丈夫、という意見もありましょうが、そうなれば、日本中、職場のない失業者で溢れかえることになります(生活保護費の急増で財政も破綻するか、大幅増税…)。電力料金の値上がりは、産業のみならず、国民生活を圧迫しますし、やがて、電化製品さえ使用できなくなるかもしれません。

 目下のところ、大飯原原発の再稼働をめぐっては、法的な権限がないにも拘わらず、地方自治体の長達が、再稼働阻止のスクラムを組んでいるようです。地方自治体の長達は、何としてでも原発という電気を消し、将来の日本を暗くしたいのでしょうか。

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扶養義務は生活保護に優先する―甘い給付審査

2012年05月19日 16時07分41秒 | 日本政治
河本母、報道に驚き生活保護辞退していた(日刊スポーツ) - goo ニュース
 経済の6重苦に加えて、東日本大震災の影響もあり、日本国の生活保護受給者の数は、毎月のように最高記録を更新しています。政府も、ようやく重い腰をあげてこの問題に取り組み始めましたが、生活保護の審査方法にも、増加の原因がありそうです。

 生活保護制度の審査の甘さが露呈する切っ掛けとなったのは、高額の所得を得ている芸能関係者の母親が、生活保護を受給していた事件でした。日本国の民法では、親子や兄弟間における扶養義務を定めており、扶養能力のある親族が存在する場合、本来、受給対象となるはずはありません。この事件のように、親と子の一親等の間柄でありながら、受給資格が認められたとしますと、不正受給であるか、または、審査の抜け道があったとしか考えられないのです。厚生労働省のHP上の説明では、親族の扶養義務が生活保護に優先される、とのことであり、申請に際しての調査にも「扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査」という項目を設けています。

 外国人の受給者が急増する背景にも、本国における扶養義務者の調査確認が困難という事情があり、不正受給問題と同じく政治問題化しています。日本国は財政危機にあり、国民負担も増加する一方なのですから、政府は、国民から集めた税金が適正に使われるよう、給付認定に際しての審査は厳格化すべきではないかと思うのです。

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ユーロ危機―関税同盟離脱というもう一つの処方箋

2012年05月18日 11時03分44秒 | 国際経済
日経平均、一時8700円割れ 4カ月ぶり 欧州不安で(朝日新聞) - goo ニュース
 単一通貨ユーロが誕生した日、ヨーロッパは、歓喜に沸きかえっていました。バラ色の未来が約束されたと・・・。誰が、近い将来、ユーロの存続をも危うくする危機が訪れると想像したでしょうか。

 ユーロ危機の発端が、財政危機にあったことから、識者からは、この危機を乗り越えるためには、豊かな国から貧しい国へのさらなる財政移転政策が必要であり、この仕組みを欠く場合には、ユーロ圏の存続は困難、との見方も提起されています。しかしながら、たとえ”財政統合”を推進し、一人勝ちとされるドイツが他のユーロ導入国を財政面で支える制度を構築したとしても、EUの経済が上向くかは未知数です。何故ならば、ドイツの財政負担の増大は、国家間における”貧困の罠”をもたらすとともに、ドイツ自身の経済成長力を削いでしまう可能性があるからです。ユーロ圏構想が練られていた頃は、域外の地域、すなわち、中国を筆頭とした新興国の経済競争力を過小評価していた面があります。たとえEUを枠組みに地域統合を進めても、より競争力のある地域に製造拠点や雇用が流出してしまうのでは、ざるから水がこぼれおちる如く、統合による経済効果は、半減されてしまうのです。その影響は、アジア新興諸国と製品分野などが競合するギリシャ、スペイン、ポルトガル…といった諸国ほど深刻です。ドイツでさえ、技術力における中国の猛追を受け、永遠にユーロ圏を背負ってゆけるのかどうかは分からないのです。

 ユーロ圏では、若者の失業率が平均して50%を越えております。大量失業の発生は、財政危機というよりも、グローバル・レベルにおける地殻変動がもたらしたものであり、部分的な手直しや応急措置だけでは、解決できるとも思えません。EUの危機に対するもう一つの処方箋は、誰も言い出しませんが、皮肉なことに、経済危機に直面する加盟国に対して、関税などについて、暫定的ではあれ、保護主義的な手法の導入を認めるといった、逆戻り政策かもしれないのです(関税同盟離脱…)。理想の追求が、現実を破壊する場合、本当は、どのようにすべきなのか、EUの混乱は、全ての人々に問いかけていると思うのです。

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ユーロからドラクマへは荊の道

2012年05月17日 17時01分35秒 | ヨーロッパ
ギリシャ、再選挙の投開票は6月17日(朝日新聞) - goo ニュース
 連立政権交渉が決裂したギリシャでは、来月の17日に再選挙が実施される予定とのことです。ユーロとギリシャの行方を決める運命の選挙となりそうですが、ギリシャのユーロ離脱に際しては、相当の混乱が発生することが予測されます。

 ギリシャが自国の中央銀行をESCBから切り離し、通貨発行権を回復すれば、ギリシャは、中央銀行による赤字国債の引き受けという手段を取り戻すことができます。高率のインフレを覚悟すれば、国内的には、財政問題の解決手段とはなるものの(対外的にはユーロ建ての国債償還・利払い問題は残る…)、もう一つの問題として、ユーロからドラクマへの移行に伴う混乱を挙げることができます。単一通貨ユーロの導入は、ドラクマをユーロと交換するだけで済んだのですが、ユーロからドラクマへの逆コースは、前者ほど簡単ではありません。まず、ユーロとドラクマとの間の線引きが困難です。ドラクマと交換される範囲としては、政府の財政、国有財産、ギリシャ国民並びに金融機関を含めたギリシャに籍を置く企業の資産…などが考えられますが、ギリシャの金融機関では、預金の引き出しが続いているところを見ますと、国民の多くは、ユーロ建てで資産を保持するための逃避行動に走っているようです(国民がユーロ建て=外貨建て預金を望む場合、政府は、ドラクマへの交換を強制できるのでしょうか?)。また、法定通貨としてドラクマを指定したとしても、市中ではユーロが依然として使用が継続され、ユーロとドラクマが併用される二重通貨体制が出現するかもしれないのです。

 ユーロ圏から離脱し、財政緩和政策を実施したとしても、ギリシャの現状が改善されるとは限りません(絶対に悪化するとは言えませんが…)。果たして、ギリシャ国民は、ユーロ離脱を選択するのでしょうか。

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