万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本押さえ込み論はアジアの不安定化肯定論

2012年12月23日 14時33分52秒 | 国際政治
正恩氏、ICBM開発加速へ…宴席で「重大だ」(読売新聞) - goo ニュース
 自民党政権の成立を前に、周辺諸国のみならず、欧米メディアでも日本の右傾化を警戒する記事が掲載されているそうです。その一方で、中国の急激な軍拡に加えて、北朝鮮も、核兵器のみならず、ICBMの開発に本格的に乗り出してます。

 日本国を非難する人々は、防衛力強化にブレーキをかければ、軍事的脅威が取り除かれると、本気で信じているのでしょうか。勢力均衡論が、パワー・バランスの実現による平和を説き、現実の歴史においても有効性が確認されている理論であるとしますと、日本押さえ込み論は、この原則に真っ向から反しています。何故ならば、中国や北朝鮮の軍備拡大に対して、抑止側が何らの対応もしなければ、当然、これらの諸国のパワーが上回り、勢力均衡どころか不均衡が増大し、アジアの平和は著しく不安定化するからです。日本押さえ込み論とは、逆から見ますと、アジアの不安定化肯定論なのです。しかも、中国や北朝鮮(韓国も怪しい…)は悪名高き無法国家であり、国際法を順守する気など、さらさらありません。国際法を無視するか、あるいは、法の抜け道を探し出し、相手国を出し抜くことばかりを考えています。日本国に対する批判は、いわば、暴力団の活動を野放しにする一方で、危険を察知して自衛を強化しようとしている一般人に対して、”自己防衛の強化は治安を乱す”として、反対してるようなものなのです。

 日本国が防衛力の強化を諦めるとしますと、誰が、中国や北朝鮮の脅威を取り除くのでしょうか。もちろん、日米同盟がありますので、中国は、短期的には、軍事行動に走ることには慎重となるかもしれません(もっとも、習体制では、可能性が0%とは言い切れない…)。しかしながら、頼みの米国も、財政問題などから防衛費の削減が迫られていますし、長期的には、中国が、軍事力で米国に追い付くのも時間の問題とされています。それでは、国連が、これらの無法国家を押さえてくれるのでしょうか。中国が、安保理の常任理事国であることを考えますと、国連に期待することもできません。平和とは、国家間のパワー・バランスと深く関わっているですから、日本国の防衛力強化の否定は、無法国家の軍拡肯定となることを、忘れてはならないと思うのです。

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コメント (2)
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