万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第2回米朝首脳会談はどちらのイニシャチヴか?

2018-09-11 13:05:14 | アメリカ
2度目の米朝会談提案=正恩氏、トランプ氏に書簡
今月10日、アメリカのサンダース報道官は、記者会見の席で、トランプ大統領が、北朝鮮の金正恩委員長から二度目の米朝首脳会談の開催を求める書簡を受けとったことを明らかにしました。トランプ大統領は、この要請に快く応じる姿勢を見せていますが、何故、北朝鮮は、今の時期に二度目のトップ会談を申し出たのでしょうか。

 金委員長からの書簡を受けての開催となりますと、二度目の首脳会談の時期は、北朝鮮側が決定したこととなり、米朝関係のイニシャチヴは、一先ずは北朝鮮側が握る形となります。米研究機関やIAEA等の分析によりますと、6月12日の第一回米朝首脳会談以降も、北朝鮮は、核、並びに、ICBMの開発を秘かに継続しているそうですので、開発の進捗状況から判断し、北朝鮮側が、アメリカに対するさらに強力な交渉材料を手にしたとする自信を得ている可能性もあります。つまり、第一回首脳会談での合意、あるいは、口約束を半ば反故にし、第二回目においては、中国の黙認の下で開発に成功した核やICBMの脅しにより、より有利な条件をアメリカから勝ち取ろうとする、北朝鮮側の思惑が推測されるのです。

 このシナリオは、当事国であるアメリカ、同盟国である日本国、そして、国際社会にとりましてはまさに‘悪夢’なのですが、同会談が、公式には北朝鮮側からの要請とする体裁をとりつつも、アメリカ側の圧力によるものであると想定しますと、別のシナリオもあり得ます。先日、ポンペオ米国務長官の訪朝が、北朝鮮の非協力的態度を理由に突然にキャンセルされた一件は記憶に新しいところであり、また、先日、米高官の一人が、トランプ大統領が書いた北朝鮮への軍事制裁を示唆するツウィートの下書きを見て、あまりの脅迫的な内容に投稿を思い止まらせたとする旨の証言もあります(訂正:この情報は、米中首脳会談以前の段階のもののようです。)。一方の北朝鮮側の動きを見ても、先日の軍事パレードではICBMは登場せず、金委員長の談話でも、先軍政治路線時代には‘お決まり’であった好戦的な言い回しが影を潜め、経済発展を力説していたそうです。こうした北朝鮮側の軟化ぶりはアメリカへの配慮以外に考えられえず、上述したシナリオとは矛盾します。もっとも、第二回米朝首脳会談のその日まで、北朝鮮は、秘かに磨いてきた鋭い爪を隠しておこうとしているのかもしれませんが…。

 表向きは北朝鮮、あるいは、その背後の中国がイニシャチヴを採っているように見えながら、その実、第2回米朝首脳会談の真の発案者がアメリカであるとしますと、トランプ政権は、いよいよ北朝鮮に対して重大な選択を迫ろうとしているのかもしれません。それは、アメリカが納得する形で完全なる非核化を実行するのか、それとも、軍事制裁を覚悟するのか、という…。トランプ大統領としては、11月の中間選挙、あるいは、その先の再選への好影響を見越して、目に見える外交上の実績を国民に示す必要がありますので、この時期での第2回米朝首脳会談は、政治日程としても好都合です。そして、仮にアメリカ主導説が正しければ、第一回米朝首脳会談は、どちらかと言えば、金委員長に主役を獲られたような‘政治ショー’でしたが、今度ばかりはトランプ大統領も主役を譲ることなく、アメリカの有権者を意識した自らがヒーローとなる‘政治ショー’を演出するはずです。

 他のファクターが働いて、全く別の方向に向かう可能性もあるのですが、以上に述べてきたように、米朝両国にあって、どちらがイニシャチヴを握っているかによりまして、予測され得るシナリオは随分と違ってきます。何れにしても、第2回米朝首脳会談によって、第1回米朝首脳会談において残された‘曖昧さ’が拭い去られ、中国やロシアも絡み混戦模様が続く朝鮮半島情勢がより明確な輪郭を現すのではないでしょうか。

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軍事面でも表面化する米中直接対立-ポンペオ国務長官の訪朝中止

2018-08-26 15:48:48 | アメリカ
「米国は無責任」と非難=中国
先日、トランプ米大統領は、北朝鮮の非核化に十分な進展が見られないことを理由に、ポンペオ国務長官の四回目となる訪朝を急遽中止しました。表向きの理由は北朝鮮の合意不履行なのですが、この決断にこそ、トランプ政権の方針転換が窺えるように思えます。

 これまで、トランプ大統領は、北朝鮮問題を解決するに当たって、二国間の首脳会談を重視してきました。トップ同士が直接に顔を合わせ、タフな交渉を経て最後は握手で合意する、というスタイルは、ビジネス界出身の同大統領の得意とするところであったはずです。6月12日の米朝首脳会談は、まさにこのスタイルの典型的な事例と言えるでしょう。北朝鮮は、金王朝とも称される強固な独裁体制を敷いてきた国ですので、そのトップである金正恩委員長との間で合意が成立すれば、懸案であった北朝鮮の非核化も難なく実現するものと信じたのかもしれません。

 しかしながら、ビジネスとは些か異なり、国際政治の世界では、交渉相手の背後に様々な利害関係者が蠢いている場合が少なくありません。北朝鮮の場合には、建国や朝鮮戦争等の経緯があり、中国とロシアがその後ろ盾であることは疑いなきことです。言い換えますと、背後にあって北朝鮮を操る国家が控えている場合、金委員長は真の政策決定者ではないわけですから、トップ会談重視のトランプ流外交は通用しなくなるのです。

 実際に、中国は、既に国連の制裁決議を無視して対北支援に動いており、習近平国家主席は、訪中した金委員長に対して莫大な経済支援を申し出たとされています。また、東シナ海等における北朝鮮船舶による‘瀬取り’は、中国の黙認のもとで行われているとされ、制裁決議違反行為も相次いでいるのです。北朝鮮側も、8月25日の「先軍節」にあって、国営メディアは非核化問題には全く触れず、経済再建を強調していたとされますので、中国からの支援を期待しての変化なのかもしれません。

北朝鮮が中国のコントロール下に置かれている現状を見れば、ポンペオ国務長官が訪朝し、たとえ非核化に向けた具体的な措置を採る約束を北朝鮮から取り付けたとしても、中国の介入によって反故にされる可能性は極めて高いと言わざるを得ません。となりますと、北朝鮮の非核化問題を根本的に解決するには、中国こそ、アメリカが直接に対峙すべき相手国となります。

この推測を裏付けるかのように、中国外務省は、アメリカがポンぺオ国務長官の訪中中止と中国の非協力的態度を絡めた点を取り上げて、「米国の言い分は基本的な事実に反しており無責任だ」とする非難の談話を発表しています。おそらく、中国もまた、アメリカ側の方針転換を敏感察知し、逃げ道を模索しているのかもしれません。北朝鮮と同様に中国もまた、トランプ流の交渉術が通じる相手ではないことを考慮しますと、米中対立は、貿易戦争のみならず、軍事面においても表面化する可能性が高いのではないかと思うのです。

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‘米中構造協議’と言わない理由とは?

2018-08-20 14:58:12 | アメリカ
【米中貿易戦争】米中、11月首脳会談探る 米紙報道、貿易対立の打開狙い
 米中貿易戦争がエスカレートする中、アメリカのトランプ政権は、第二次世界大戦後に構築された自由貿易体制を脅かす‘反逆者’として集中砲火を浴びています。しかしながら、アメリカの保護主義、あるいは、二国間通商交渉重視への回帰は、今に始まったことではありません。

 自由貿易主義が、無条件に国際収支の均衡を約束しないことは、ブレトンウッズ体制の崩壊した1970年代において既に証明されております。変動相場制への移行には国際収支の調整機能も期待されたのですが、それでも焼け石に水であり、1980年代には、圧倒的な国際競争力を有した日本製品を前に、アメリカの産業は苦境に立たされます(変動相場制への移行は、各国政府に対する対外通貨政策の解禁ともなった…)。アメリカ国内で‘ジャパン・バッシング’の嵐が吹き荒れる中、日米間で開始されたのが日米構造協議であり、国際収支の不均衡は、二国間の通商交渉によって解決されることとなったのです。

 この時、日米構造協議というスマートなネーミングによって、日米交渉による貿易不均衡の是正が、自由貿易主義からの転換であることを強く意識した人々は少なかったかもしれません。むしろ、自由貿易体制には、構造的な不均衡をもたらすメカニズムがあることを、両国とも素直に受け入れていた節さえあります。結局、日本国側が円安是正、自主規制、並びに、内需拡大等のアメリカ側の要求を受け入れたことで、日米構造協議は一先ずは一段落します。しかしながら、自由貿易体制そのものが修正されたわけではありませんので、新興国の製品が日本製品に取って替ったに過ぎず、今日では、当時の日米間よりもさらに著し貿易不均衡が米中間で起きているのです。

 トランプ大統領は、対中貿易赤字を解消するために一方的な措置をとったため、中国との間で制裁措置の応酬となったのですが、ここに来て、米中首脳会談の兆しが見え始め、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によれば、11月の開催が模索されているそうです。となりますと、日米構造協議ならぬ、‘米中構造協議’となるはずなのですが、何故か、米中両政府のみならず、メディアを見渡しましても、こうした表現は見られません。

 何故、‘米中構造協議’という用語が避けられているのか、その理由を推測してみますと、一つには、こうした理知的な表現を用いては、自由貿易主義、あるいは、グローバリズムに内在する不均衡のメカニズムが人々の意識に上ってしまう点を挙げることができます。特に自由貿易主義体制に向けて不断に‘前進’することで経済覇権を握りたい中国にとりましては、構造的問題であることを示す‘米中構造協議’の名称はいかにも不都合です。そして、もう一つ、理由があるとすれば、それは、中国のケースでは、解決すべき問題は経済分野に限定されない点です。経済大国化を梃子にして、中国は、目下、「一帯一路構想」を掲げるなど、全世界を視野に入れた世界戦略を強引に展開しています。経済力は、軍事、あるいは、政治的目的を追求する道具に過ぎず、中国の真の目的が世界支配であるならば、アメリカが米中貿易戦争を仕掛けた背景には、中国による覇権確立の阻止という別の目的があると推測されるのです。この観点を加味すれば、‘米中構造協議’の名称は、その本質からは外れていることとなります。

 軍事力の裏付けがあるだけに、アメリカにとりまして、中国は、同盟国である日本国よりも遥かに手強い相手でもあります。日米交渉にあって日本国側が折れた理由の一つは、日米対立の安全保障分野への波及リスクもあったはずです。少なくとも、その名称の如何に依らず、米中間の関係は、軍事や政治上の対立も絡む故に、米中首脳会談で一件落着とはいかない気配がするのです。

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中国の対米‘貿易覇権主義’批判は敗北宣言?

2018-07-14 15:39:15 | アメリカ
米中摩擦の影響議論へ=21日からG20財務相会議
7月6日、終に米中貿易戦争の開戦の火蓋が切って落とされ、トランプ政権による対中制裁追加関税が発動されました。翌7日、中国の新華社通信は、アメリカの対中通商政策を‘貿易覇権主義’として批判する記事を掲載し、同記事では、貿易戦争で敗北するのはアメリカの側であると断言しておりますが、果たして、中国側の予測は当たるのでしょうか。

 同記事は、貿易には勝ち負けはないとする経済学者の見解から説き起こし、アメリカの巨額な対中赤字の発生は中国の国家戦略ではなく、主として米企業の経営戦略に起因する貿易構造や国際分業の結果であることを力説しています。そして、関税を手段とした対中圧力を‘貿易覇権種’と見なすと共に、米企業もまた、世界大で展開してきたサプライチェーンの切断という痛手を蒙ると主張しているのです。いわば、経済封鎖を実施した側が逆封鎖を受けて音を上げたナポレオンの大陸封鎖令の顛末を期待した中国側の勝利宣言なのです。

一方、中国以外の諸国では、米中貿易戦争の行方については、米中貿易の現状分析から中国を不利とする見解が大半を占めています。その理由は、対中制裁を実施するアメリカの狙いが、習近平政権が発表した野心的な産業プランである「中国製造2025」を潰すことにあり、先端産業分野において将来的に中国企業が覇権を握ることを阻止することにあるからです。乃ち、短期的には、上述した新華社通信の記事が指摘するように、中国からの輸入品の関税上乗せの影響から米企業や消費者も不利益を被るでしょう。しかしながら、長期的に見ますと、知的財産権に関して中国政府が実施してきた不公正な自国産業優先政策の下、アメリカの先端技術を貪欲なまでに吸収してきた中国企業が、価格のみならず、技術面でも米企業を凌ぐことが予測されるとなりますと、判断は違ってきます。

20年後において、中国政府、否、中国共産党の全面的なバックアップを受けて急成長を遂げた中国企業が国際競争力において一歩抜きんでた存在となり、‘グローバル市場’において独り勝ちとなる場合、米企業は、中国企業の攻勢を受けて国内市場からも撤退を余儀なくされるかもしれません。言い換えますと、中国企業優位となった将来における米企業の痛手は、今般の対中経済制裁発動によるダメージよりも遥かに深刻であり、そのリスクが予測されるからこそ、短期的な不利益を覚悟してまで、アメリカは、対中貿易制裁に踏み切ったと考えられるのです。いわば、‘肉を切らせて骨を断つ’という荒業なのです。

このように考えますと、新華社通信の記事は、アメリカの目的を直視せず、敢えて論点を逸らしたことにおいて、暗に自国の敗北を認めたのかもしれません。これを裏付けるかのように、以後、先進国に頼らずとも中国自前の技術革新が可能である、とする主旨の中国からの発信が目に付くようになりました。早、鼎の軽重を問うてしまった中国は、まずは経済面において苦境に立たされる結果を自ら招いてしまったように思えるのです。

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トランプ大統領への金委員長からの高圧的な親書

2018-07-13 10:47:36 | アメリカ
トランプ氏、金正恩氏の親書公開 ツイッターに投稿
7月の6・7日の日程で北朝鮮を訪問したポンペオ米国務大臣は、金正恩委員長がトランプ大統領に宛てて認めた親書を持ち帰ったようです。本日、同親書を受け取ったトランプ大統領は、ツイッターを介してその内容を公開しております。

 それでは、この親書、どのような内容が書かれてあったのかと申しますと、まずは、その曖昧模糊とした言い回しにうんざりさせられます。6月12日の米朝首脳会談を‘有意義な旅の始まり(a meaningful journey)’と表現し、美辞麗句で飾られながらも、肝心の非核化については、‘核’の一文字も述べられていません。「共同声明の誠実な施行」という言葉を見つけることはできますが、非核化プロセスに関する具体的な措置についても沈黙しているのです。米朝交渉上の実務的書簡としては期待外れなのですが、それでも、この北朝鮮の‘ファジー戦略’にあっても、その行間から北朝鮮の真意を読み取ることができます。

北朝鮮が込めた真意は、同親書の最後の段落に見受けられます。まずは、「大統領閣下に対する不変の信用と信頼が、今後の実際的な行動のプロセスにおいてさらに高まることを願いつつ…」とあり、今後の米朝関係は、アメリカ側の行動次第であると述べています。言い換えますと、北朝鮮の要求通りにアメリカが行動を採らない限り、米朝首脳会談で築いた信頼関係も揺らぐとトランプ大統領に迫っているのです。この発言から、米朝関係を緩和し、朝鮮戦争の終結から平和条約の締結へと導くのが、北朝鮮側の最大、かつ、最優先の目的であり、未だに行動対行動を原則とする「段階的非核化」の方針を捨てていないことが窺えます。そして上記の文章は、「米朝関係を促進させる歴史的前進が次回の首脳会談でもたらされることに確信を深めている」と続いているのです。つまり、9月中とも囁かれている二度目の米朝首脳会談も、アメリカの具体的な行動を見てから決めると述べているに等しいのです。

同親書から読み取れる北朝鮮の態度は極めて高圧的であり、しかも、罪の意識も欠如しています。アメリカのみならず、国連安保理における制裁決議の下で国際社会から非核化を迫られているのは北朝鮮の側にも拘らず、公然と開き直っているのです。北朝鮮は、核・ミサイル問題を巧妙に朝鮮戦争の終結問題と結びつけ、一般的な米朝二国間交渉に矮小化することで、国際法上の違法行為を棚に上げ、自国の非核化をディーリングの交渉材料に利用しているのでしょう。

常識的に考えれば、こうした慇懃無礼な親書を受け取った場合、怒りの方が込み上げてくるのではないかと思われるのですが、不思議なことに、トランプ大統領は、同親書を肯定的に解釈しており、ツイッターに「北朝鮮の金委員長からの非常に良い手紙だ。大きな進展がなされている!」と書き込んだそうです。トランプ大統領は、本心から同親書を高く評価し、金委員長が誠実に非核化を実行すると信じているのでしょうか。あるいは、既に北朝鮮は、アメリカの要求を丸呑みして非核化のための具体的な措置を開始しているのでしょうか(北朝鮮は、ポンペオ国務長官のCVIDの要求に触れて“ギャングのよう”と反発しているので、この線は薄い…)。北朝鮮以上に掴み難いのは、トランプ大統領の真意かも知れないと思うのです。

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北朝鮮のミサイル基地拡張疑惑-時間との闘い

2018-07-05 14:39:09 | アメリカ
北朝鮮、ミサイル工場を拡張か 米紙報道、衛星写真の分析で
 先月12日に鳴り物入りで開催された米朝首脳会談。共同宣言にも両国首脳が署名し、漸く合意に漕ぎ着けたものの、その行方には暗雲が立ち込めています。

 合意成立当初から北朝鮮の非核化の意思について懐疑的見方もあったのですが、この疑いの正しさを裏付けるかのように、ウォールストリート・ジャーナルは、北朝鮮が依然としてミサイル基地を拡張していると報じています。金正恩委員長が真剣に非核化に取り組んでいるとするトランプ大統領の楽観的な認識とは正反対であり、この情報が事実であれば、アメリカは、再度、政策転換を迫られることになりそうです。

 仮に、北朝鮮がミサイル基地の拡張を秘かに行っていたとしますと、その思惑は、アメリカ本土に対して核攻撃可能なミサイル、即ち、ICBM等の保有を急いでいるとしか考えられません。米朝会談直後、トランプ大統領の口から金委員長によるミサイル施設の破壊が約されましたが、実際には、秘密基地を拡張していたのですから、同委員長は、最初からアメリカを騙すつもりで米朝首脳会談に臨んだこととなります。おそらく、6月12日の時点では、ICBM等の長距離弾道ミサイルが未完成、あるいは、配備段階に至るほどには十分な開発段階ではなかったのでしょう。このため、対米交渉の立場も弱く、結果として、アメリカの要求を呑まざるを得ない状況にあったのかもしれません。

 そこで、北朝鮮は、米朝首脳会談にあって、一先ずは非核化への意思を明言することでアメリカに屈したポーズをとりつつ、対米核攻撃を可能とすべく、時間的な猶予を確保する戦略に出たのではないでしょうか。共同宣言では‘逃げ道’を残す文言となるよう巧みにアメリカを誘導し、その実、秘密裏にICBM等を完成させるという作戦です。アメリカが米朝合意の履行を信じている限り、この作戦が成功する可能性は高く、しかも、朝鮮戦争の終結という格好の対米交渉材料も手中にあります。こうした材料を駆使してアメリカを継続的に交渉の場に引き留めておけば、その間、北朝鮮は、狙い通り、ミサイル開発に勤しむことができるのです。

 9月には二度目の米朝首脳会談が設けられるとの報道もありますが、あるいは、北朝鮮は、この頃までに長距離弾道ミサイルの保有による対米核攻撃の能力を備える計画なのかもしれません。第一回目の会談では劣勢でしたが、今度は、対米脅迫の手段を手にして交渉の席に就くことができるのですから。こうした場合、時間との闘いになりますので、トランプ政権は、金委員長をこのまま信じ続けるのか、それとも、見切りを付けて軍事制裁をも視野に入れた厳しい対応に転換するのか、重大な岐路に立たされることになりましょう。上述した情報が事実であれば、後者一択となるのですが、時間が経過すればするほど、騙す側の北朝鮮が有利な状況となりますので、トランプ大統領が、再度、決断を下さざるを得ない日はそれ程遠くないように思えるのです。

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米ロ首脳会談の目的は対中協力要請か?

2018-06-28 16:14:32 | アメリカ
米ロ首脳、第三国で会談へ=プーチン大統領と合意―ボルトン米補佐官
日本国の国会では“モリ・カケ問題”で審議の大半が費やされる中、国際情勢は刻一刻と流動性を増しています。各国首脳によるトップレベル会談の頻度もペースも上がっておりますが、この流れは、一体、何を意味するのでしょうか。

 そもそも、国際社会において何らの問題も懸案もなければ、時間や労力を要する首脳会談の場を設ける必要はないはずです。伝統的に外交儀礼を重んじるアジアとは違い、政治において実務を重んじるアメリカの大統領が、かくも頻繁に首脳外交を展開するのは、異例といえば異例の事態です。既存の政治を批判し、型破りな行動で支持を集めてきたトランプ大統領がアメリカの外交スタイルを根底から変えた、とする見方も可能ではありますが、それにしましても、同大統領の動きは何かに追われているかのようです。

 ビジネス界出身の現実主義者でもあるトランプ大統領が首脳会談に奔走しているとしますと、そこにはそうせざるを得ない理由があるはずです。そして、その動機を対中包囲網の形成と想定しますと、同大統領の堰を切ったような積極的な外交攻勢も説明が付かないわけではありません。一見、対北融和政策に見える米朝首脳会談での合意も、アメリカ陣営への北朝鮮の取り込みと見れば対中戦略の一環となり得ます。予定されているプーチン大統領との米ロ首脳会談も、公表されるか否かは別としても、来るべき米中対立を見据えたロシアへの対中協力要請を目的としているのかもしれません。中ロの軍事的な結束は、アメリカ陣営にとりましては最大の脅威となるからです。ユンケルEU委員長やイタリアのコンテ首相との会談も、‘陣営固め’として理解されます。

 折も折、訪中したマティス国防長官と会見した習近平国家主席は、国際的な批判を浴びている南シナ海問題について、「祖先が残した領土は一寸たりとも失うことはできない。他人のものは少しもいらない」と語ったと報じられています。2016年7月12日の常設仲裁裁判所の判決によって、南シナ海の諸島に対する中国の領有権主張の歴史的、並びに、法的根拠は既に否定されておりますので、“祖先が残した領土”など南シナ海には存在しておりません。また、“他人のものは少しもいらない”と語りつつ、中国が、南シナ海のみならず、チベットやウイグルなどを不法に併合するに留まらず、日本国の尖閣諸島を含む周辺諸国の領域に対して領有権を主張していることも紛れもない事実です。中国は、自己弁護すればするほどその言行不一致が際立ち、自らが‘信頼できない国’、否、‘信頼してはならない国’であることを証明してしまっているのです。

 中国が不誠実な侵略的国家である以上、今後とも、米中関係が好転するとは考え難く、周辺諸国のみならず、全世界規模での中国脅威論が高まることでしょう。仮に、トランプ大統領が、ロシアから対中協力を取り付けることに成功すれば、同大統領は、北朝鮮に対して軍事、並びに、経済的圧力を極限までかけようとしたように、中国に対しても、制裁レベルを一段と上げてゆくことが予測されます(もっとも、裏の裏があり、全ての諸国が国際組織のシナリオの下に操られている可能性もありますが…)。日本国内にも親中派の勢力が影響力を保持しておりますが、中国が‘信頼してはいけない国’であることは証明済みですので、日本国政府も、中国との対立激化を前提とした政策への転換を図るべき時期が来ているのではないかと思うのです。

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米朝首脳会談は‘スタート’発言-トランプ大統領の真意とは?

2018-06-03 15:13:01 | アメリカ
非核化へ行動取るまで見返りなしと米長官
本日の朝刊一面は、各社とも、米朝首脳会談に関するトランプ大統領の発言が大きく取り上げられておりました。これまでの方針を転換し、6月12日に開催される米朝首脳会談では包括的な合意を目指さず、米朝交渉のスタート点と捉え直したからです。いわば、短期戦から長期戦へとアメリカの交渉戦略が変わったのですが、トランプ大統領の真意はどこにあるのでしょうか。

 実のところ、‘米朝首脳会談スタート論’は、既に北朝鮮側からの発言として報じられております。トランプ大統領の中止声明に対して逸早く反応した北朝鮮の金桂寛外務次官の談話の中にこの言葉を見出すことができます。同氏は“米朝首脳会談は‘良いスタート’として開催されるべき”と述べているのです。ここで意味する‘良いスタート’とは、「段階的な非核化」に向けた最初の一歩と解されるのですが、それでは、トランプ大統領も北朝鮮に歩み寄り、「完全な非核化」、即ち、‘完全、検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)’を諦めたのでしょうか。

 トランプ大統領周辺の様子からしますと、CVIDの放棄とは即断はできないようです。アメリカの交渉戦略の変更は、むしろ、必要に迫られた判断であった可能性の方が高いように思えます。その理由は、対中政策をも視野に入れたアメリカの世界戦略を考慮した場合、6月12日までの間に全ての問題において望ましい戦略を策定することは、時間的な制約から困難であるからです。おそらく、軍事的圧力の下で北朝鮮にCVIDを呑ませることは比較的容易なのでしょうが、同時に朝鮮戦争が終結されるとなりますと、それに先立って、その後の朝鮮半島におけるアメリカの関与や米韓同盟の行方をも予め決定しておく必要があります。また、当然に中国やロシアが、アメリカのプレゼンスの拡大を押さえるべく動き出すことが予測されますので、あらゆるシナリオに対応できるよう準備しておかなければなりません。特に、将来的には台頭著しい中国との衝突もあり得ますので、アメリカとしては、対中包囲網の一環として北朝鮮を手懐けるという選択肢もあるはずです(もっとも、北朝鮮には寝返りリスクがありますが…)。こうした米朝首脳会談に付随する問題は、短期間で解決することは難しく、アメリカは、十分な時間を必要としていると推測するのです。

 もっとも、長期戦の構えとなりますと、その間、北朝鮮が秘かに核・ミサイル開発を進展させかねず、過去の失敗を繰り返すリスクもあります。この懸念に対しては、突然の米朝首脳会談中止の知らせに北朝鮮人民軍は浮足立ったとされますが、最後の抑えとして米軍の圧倒的な軍事力を以って北朝鮮の開発再開を止めることでしょう。北朝鮮は、以前としてアメリカからCVIDの要求を受け続けると共に、米軍の爆撃を怖れる恐怖の日々が続くことになるのです。自らの望みどおりに米朝交渉の‘スタート’を切ったとしても、北朝鮮にとりましては、期待したような‘良いスタート’にはならないかもしれません。こうした米朝双方の手筋を見ましても、やはりアメリカの方が一枚上手ではなかったかと思うのです。

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米朝首脳会談平壌開催のリスク

2018-04-08 14:19:39 | アメリカ
北朝鮮、平壌で開催希望か=首脳会談めぐり米と秘密接触―CNN
報道に拠りますと、北朝鮮の金正恩委員長は、予定されている米朝首脳会談の開催地について、同国の首都である平壌を提案しているそうです。しかしながら、以下の理由から、トランプ米大統領がこの提案を受け入れるとは思えません。

 第1の理由は、アメリカ大統領が北朝鮮の地に足を踏み入れたら最後、暗殺リスクに晒されるからです。北朝鮮は、1983年に全斗煥韓国大統領の暗殺を狙ったラングーン事件を起こすなど、過去においても敵対国の要人の暗殺を企ててきました。一昨年のクアラルンプールでの金正男氏暗殺事件も記憶に新しいところですし、同盟国である韓国においてさえ、マーク・リッパート前米国駐韓大使が危うく暗殺されかけております。朝鮮半島にあっては伝統的に暗殺というテロ的手段が許容されており、こうした国柄を考慮しますと、トランプ大統領の暗殺リスクは十分に考慮されて然るべきです。

 第2の理由は、米朝首脳会談の交渉にあって、トランプ大統領の生命が対米脅迫材料となることです。北朝鮮国内にアメリカ大統領の身柄がある限り、北朝鮮は、その生殺与奪の権を握ったに等しい有利な立場に自らを置くことができます。金正恩委員長は、米国大統領を人質として、自らの要求をアメリカに側に呑ませるために、“命が惜しければ、○○せよ”と大統領自身や米国政府に迫る可能性も否定はできないのです。

 第3に挙げられる点は、米朝首脳会談が不調に終わり、決定的な決裂を迎えた際に起き得る不測の事態です。北朝鮮は、暴力主義国家ですので、米軍による対北軍事制裁が決定的となった時点で、トランプ大統領を人質にとる、あるいは、最悪の場合には、その場で殺害するかもしれません。前者であれば、米軍による軍事制裁を牽制することができますし、後者であれば、圧倒的な軍事力を擁するアメリカに対し一矢を報い、国民に対しても“敵国の大将の首を取った”と宣伝することができるからです。何れにしましても、大統領不在でアメリカ政府内部は混乱状態に陥りますので、北朝鮮がこの機会を逃すとは思えません。

 第4に指摘し得る点は、歴代中華帝国との間で冊封関係を結んでいた朝鮮半島の認識では、訪問する側であるアメリカが格下として位置付けられるリスクです。北朝鮮国内では、トランプ大統領が金正恩委員長に対して謁見のために平壌を訪れたと宣伝することでしょう。日朝関係を見ても、小泉元首相の訪朝以降、北朝鮮は日本国に対してむしろ高飛車な態度で接しています。トランプ大統領が訪朝すれば、内外に対してアメリカが同国に屈したかの如くの演出を繰り出し、劇場国家でもある北朝鮮派、自国優位な舞台設定を圧力として米朝交渉に臨むことでしょう。

 以上の諸点を考慮しますと、米朝首脳会談の平壌開催は極めて難しいのではないでしょうか。もっとも、もしかしますと、同会談での交渉は自国に不利と見た北朝鮮が、アメリカ側から断ってもらうべく無理難題を言い出しているのかもしれません。仮にこの見立てが正しければ、北朝鮮には、やはり、核放棄、即ち、アメリカが要求する“完全、検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)”の意思はないと考えざるを得ないのではないかと思うのです。

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アメリカ経済の“脱中国シフト”の政治的意図とは?

2018-04-02 12:41:59 | アメリカ
【米輸入制限】米経済に“自爆”懸念 雇用喪失14万人超 ブッシュ政権の二の舞いも
 今般、アメリカが、海外から輸入する鉄鋼とアルミニウム製品に対して高額の関税を課した理由として、一般的には、大統領選挙遊説中からトランプ大統領が主張してきた“アメリカ・ファースト”、即ち、アメリカに雇用を取り戻す雇用政策の一環として説明されています。しかしながら、その背景には、国際情勢の変化を睨んだ政治的意図が隠されているようにも思えます。

 かつて、国際政治学の世界では、国家間の経済的な依存関係が戦争を抑止し、平和をもたらすとする相互依存論が一世を風靡しました。ジャパン・ハンドラーの一人ともされたジョセフ・ナイ教授などがその代表的な論者でしたが、米中経済関係の現状は、まさに、分ち難い相互依存関係が成立しているように見えます。米企業が中国国内で製造したものであれ、安価な中国製品が大量にアメリカ市場に輸出されることで、中国は、貿易黒字大国となると共に、潤沢な外貨準備を背景に積極的な海外投資を実現し、国内の経済成長をも促すことができました。しかも、中国に製造拠点を構えた米企業や中国人留学生や研究者にも開放的なアメリカ国内の大学や研究所等から先端技術をも吸収できるのですから、中国経済の対米依存度はハイレベルです。一方、アメリカ側も、消費者は安価な中国製品を手にできますし、中国の貿易黒字がアメリカ国内への投資、あるいは、アメリカ製品の輸入代金として還流される限り、アメリカ経済を潤すことが期待されたのです。今般の関税引き上げでも、実際には、14万人もの雇用喪失となるアメリカの自爆行為であるとする試算もあり、米中相互依存関係を力説する向きもあります。もっとも、短期的には雇用喪失が上回るかもしれませんが、変化への対応力が高いアメリカ経済のことですので、時間が経つにつれイノベーションも起こり、中国製品の空白を埋めるかの如く、雨後の竹の子のように新たな製造方法や中国製品より安価、かつ、安全な製品が開発されるかもしれません。

 何れにしても、少なくともウィン・ウィンとなるプラス面のみを切り取れば、米中両国は持ちつ持たれつの経済的関係にあるとして説明されるのですが、こうした相互依存論を念頭に置くと、政治的観点からは、むしろ敢えて相互依存関係を解消させる選択肢があり得ることが理解されます。

何故ならば、今般、習主席独裁体制を固めた中国では、共産主義のイデオロギーの下で政治と経済がリンケージしており、このままアメリカ依存が継続されれば、国家戦略として経済力を軍事力に転用させた中国が、近い将来、アメリカの地位や安全をも脅かすことが予測されるからです。政経両面において凡そ100%のプラス率となる中国に対して、アメリカは、政経両面においてマイナス面が強く、特に安全保障面では凡そ100%のマイナスとなるわけですから、米中の相互依存関係の実態は、明らかに中国に有利です。どちらかと言えば、中国による対米依存の構図として描くことができますので、この一方的依存関係を断つことができれば、中国は、アメリカに挑戦する技術力も資金力も大幅に削がれるのです。

 トランプ大統領は、ビジネス界出身であるために、落としどころを見出す取引上手として見られてきましたが、案外、中国に対する政策変更の機敏さからは、経営危機や外部環境の変化に対して迅速な決断が下す辣腕経営者の顔をも覗かせているように思えます。おそらく知的財産権の侵害に対する対中制裁もこの文脈にあり、米中関係の抜本的な見直しと方向転換を意味する“脱中国シフト”には、近い将来における米中軍事衝突をも視野に入れた、中国に依存しない米国経済の再構築を急ぐトランプ政権の政治的な意図があるのではないでしょうか。

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トランプ大統領誕生の理由-国民を護らんとする姿勢では?

2018-02-27 14:49:12 | アメリカ
米大統領「私なら丸腰でも突入」 高校銃乱射事件で警官の対応非難
 南部フロリダ州の高校で発生した銃乱射事件では、警察官が4分間にも亘って校舎への突入を躊躇ったため、犠牲者を増やしたとする批判が湧いているそうです。当該警察官は辞職を余儀なくされましたが、この一件に関するトランプ大統領の発言が注目を集めています。

 その発言とは、「私なら武器を持っていなくても現場に突入した」というものです。マスメディアの報道ぶりは必ずしも好意的ではないようなのですが、些か無茶にも聞こえるこの言葉にこそ、アメリカの有権者を惹きつけ、トランプ大統領を誕生せしめた鍵が隠されているように思えます。

 丸腰で銃乱射の現場に飛び込む行為は、自らの命を落とすリスクと背中合わせです。否、確率からすれば、無防備な者を狙う卑怯な乱射犯に撃たれる可能性の方が高いかもしれません。誰もがしり込みし、自己犠牲を覚悟しなければならない行為には、他者の命を侵害者から護ろうとする人並み外れた勇気を要します。そして、古来、誰もがなし得ない故に、それを為した人は英雄とみなされ、人々から称賛と敬意を受けてきたのです。もっとも、今般のトランプ大統領の発言は今のところは言葉だけですので、実際にこうした場面に遭遇した時、自己犠牲的な行動を取るかは分かりませんが、たとえ言葉だけであっても、こうした発言に心を動かされる人は少なくないのです。

 そして、トランプ政権のモットーである“アメリカ・ファースト”も、しばしば利己主義や自国第一主義と解されていますが、選挙戦においてアメリカ人雇用の確保やテロリストの排除が訴えられたように、その本質において、国民保護の文脈において語られています。現代という不安定な時代にあって、トランプ大統領は、サイレント・マジョリティーの深層に隠されてきた”国民が政府に求めるもの”を把握し、それを提供しようとしたのです。

 その一方で、リベラル派は、斜め上からの視線で自己犠牲的行動を非合理的な愚かな行動とみなし、治安の維持や国民生活の安定よりも、犯罪者の人権を尊重し、国民に対しては痛みを伴う改革を押し付けようとしてきました。古来、国家の中心機能の一つであった保護機能は、あたかも時代遅れの如くに扱い、徹底した個人優先の思想を信奉し、破壊を伴う“変化”に絶対的な価値を与えてきたのです。

 トランプ大統領に対しては、フェミニズムの立場からは男性優位主義とする批判もありますが、自己を犠牲にしてでも無辜の人々を護る精神までもが“男らしさ”と共に葬り去られてしまうのでは、女性や子供のみならず、無防備で善良な人々は誰からの助けを得られず、お互いが“見捨て合う”という殺伐とした社会が出現することでしょう。トランプ大統領の発言は、しばし忘れられてきた自己犠牲の精神、そして、真の勇気とは何か、という問題を改めて提起しており、それは、アメリカ一国の問題ではないように思えるのです。

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消えた米朝極秘会談-米朝決裂か?

2018-02-23 15:40:39 | アメリカ
金与正氏を批判=「専制の中心」「邪悪な一族」―米副大統領
今月20日、米国務省のナウアート報道官は、今月9日の平昌オリンピック・パラリンピック開会式を機に計画されていたペンス米副大統領と北朝鮮高官代表団との間の米朝極秘会談が、北朝鮮側の直前の申し出によりキャンセルになった事実を公表しました。この一件、北朝鮮問題の対話解決の道が閉ざされたことを意味するかもしれません。

 北朝鮮側がキャンセルした理由とは、ペンス副大統領が、会談に先立って脱北者と面会したり、対北追加制裁に言及したことが挙げられています。おそらく、アメリカ側のこうした行動から、北朝鮮は、たとえ会談の席に着き、アメリカとの直接対話に臨んでも、自らの要求をアメリカ側が呑むはずはない、と判断したのでしょう。否、逆に、アメリカから核・ミサイル開発の放棄を強硬に迫られる事態をも予測し、耳を塞ぐために対話路線から自ら逃げ出したようにも見えます。

 突然にキャンセルされたアメリカも、北朝鮮には最早対話路線に戻る意思はない、とする確信を得たはずです。実際に、帰国したペンス副大統領の対北批判はエスカレートしており、金与正氏を含む金一族の独裁体制に対してその邪悪さを強調しています。一時は封印していた体制批判にまで及んだところを見ますと、アメリカが対北軍事制裁に踏み切った場合、“金王朝”の崩壊を目的に含める意思を示したのかもしれません。

 以上のように考えますと、米朝間の一連の動きは、双方ともが対話路線を諦めるに至る決定的な局面であったとも解されます。もっとも、アメリカが実際に軍事制裁を実行に移すならば、北朝鮮を油断させるために逆に“友好”を装うはずであるとする意見もあります(ただし、この推測は、極秘会談キャンセル以前のものであり、日本国を置き去りとした米朝極秘会談警戒論の文脈から主張された…)。となりますと、アメリカが拳を振り上げている現状は、逆に、米軍の軍事行動が遠のいたサインとなりますが、果たして米朝は、対話路線に戻ることがあるのでしょうか。平昌オリンピックにあって、北朝鮮の“異様さ”が全世界に報じられ、ペンス副大統領も指摘したように、その倒錯した“邪悪さ”を人々が深く認識した時、米国世論、並びに、国際世論の支持を背景に、アメリカが軍事制裁を決断する日がむしろ近づいたのではないかと思うのです。

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アメリカ銃規制問題-学校は無防備だから狙われる?

2018-02-16 16:04:49 | アメリカ
高校乱射事件で追悼集会=米フロリダ
アメリカでは、銃乱射事件が相次いでおり、昨日も、フロリダ州パークランド高校で17名の生徒が亡くなるという痛ましい事件が発生しました。銃乱射事件が発生する度に、銃規制問題が浮上しますが、遅々として進まないのが現状なようです。

 規制推進派からしますと、銃規制に消極的なトランプ政権にはもどかしさを感じていることでしょうが、銃乱射事件の現場が学校であるケースが多発している現実に注目しますと、銃の所有や携帯そのものを禁止する形態での銃規制が適切であるのか、疑問がないわけではありません。何故ならば、学校が“銃が規制された特別の場所”であるからこそ、無辜の人々の命を奪おうと目論む犯人から特に狙われている可能性があるからです。

 昨年11月にテキサス州の教会で発生した銃乱射事件では、銃を手に駆け付けた住民が応戦したため、犯人は殺害されています。この事件でも、犠牲者の数は26名にも上りましたが、仮に勇気ある住民の反撃がなければ、より多くの人々が命を落としたものと推測されています。教会もまた、学校等同様に凶悪犯の侵入を想定していない無防備な場所ですので、銃乱射犯にとりましては、計画遂行にうってつけの場所であったのでしょう。同事件によって、少なくとも銃を保持する一般市民による応戦の効果が立証され、銃規制反対派の勢いが増したとされています。

これらの事件から分かることは、学校であれ、教会であれ、アメリカでは、無防備な場所ほど無差別銃乱射の現場となり易いということです。そして、一般市民に応戦するチャンスがあれば、被害の拡大を止めることができたという事実は、単純な銃の保持禁止という方法では、この問題の解決が難しいことを物語っています。全米が、学校や教会と同様に、“無防備な場所”に転じかねないからです(銃刀法が制定されている日本国でも、取締りは完璧ではなく、特に暴力団等が銃を隠し持っているケースが多い…)。

広大な国土を有するアメリカでは、銃乱射事件が発生しても、警察官が即座に駆け付けて対処することはできません。こうした国情を考慮しますと、銃規制に慎重な反対派の見解も理解に難くなく、むしろ、無防備な場所を如何に凶悪犯から守るのか、という方向性での対策を練る必要あるかもしれないと思うのです。

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ティラーソン米国務長官の無条件対話提案―譲歩か、最後通牒か?

2017-12-13 15:52:30 | アメリカ
米国、前提条件なしで北朝鮮と直接対話の用意=国務長官
今月12日、ワシントンD.C.のシンクタンクでの講演においてなされたティラーソン米国務長官による北朝鮮に対する無条件対話の呼びかけは、北朝鮮問題が緊迫化する中、様々な憶測を呼んでおります。核・ミサイル開発・保有の放棄を前提としてしか対話には応じない、とする従来の方針が転換されたことにもなりますが、果たして、この発言の意図するところは、何処にあるのでしょうか。

 無条件対話への転換は、強硬姿勢を貫いてきたアメリカ側から軟化の姿勢を示し、北朝鮮側に歩み寄ったようにも見えます。しかしながら、この発言、二つの解釈が成立するように思えます。

 その一つは、上述したように、アメリカが対話の窓口を自ら用意することによって、北朝鮮側の立場を尊重する形での、対話による解決を図るための意思表示とする解釈です。これまでも、同国務長官については宥和的との指摘があり、更迭論が囁かれるほど、路線をめぐるトランプ大統領との確執も指摘されてきました。特に中国への配慮が強く、今般の発言も、対話解決を求める中国に同調し、対話路線へと引き込むための誘導である可能性があります。再三指摘されてきたように、この解決方法には、(1)核・ミサイル開発の凍結合意に留まり、日本国や周辺諸国の安全は確保されない、(2)結局、北朝鮮に開発に時間的猶予を与え、合意が反故にされた過去二度の失敗を繰り返すこととなる、といった重大なリスクがあります。同長官は、北朝鮮による核・ミサイル開発への多額の投資に言及しており、“現実的な落としどころ”として、イラン核合意と同様に、完全放棄ではなく、暫定的な凍結、もしくは、米本土を射程距離に収めるICBM開発のみの放棄を選択するかもしれません。

 もう一つの解釈は、同長官の発言は、北朝鮮に対する事実上の最後通牒とする見方です。同長官は、同発言において、“危機発生時”、即ち、朝鮮半島有事において、北朝鮮の核使用を阻止する手段を中国と協議したことを明らかにしており、かつ、中国に対して米軍が北朝鮮領内に進軍したとしても、韓国領内に帰還させる旨を確約したと述べております(米中間で38度線の現状維持の合意か?)。戦後処理については、中国は、合意内容が漏れれば北朝鮮を刺激するとして協議の議題には載せるのを拒否しているとの情報もありましたので、米中間で、同問題の合意が成立しているとすれば、米軍による対北軍事制裁は、中国の容認の下で実施されることを意味します。つまり、北朝鮮は、もはや中国の支援に期待することはできず、残された道は、同長官の提案に応じて話し合いの席につき、その場で、核・ミサイル開発・保有の完全放棄を承諾するか、あるいは、勝利の見込みのない絶望的な対米戦争に望むかしかなくなります。

 講演会におけるティラーソン米国務長官の発言は、トランプ大統領の承認を得ているのか不明とされ、上記の二つの解釈も、憶測の域を出ません。しかしながら、同長官の発言の節々に、何れの方向であれ、中国の動向を含め、北朝鮮問題が重大な局面に達している様子が窺えるのです。

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トランプ大統領訪韓-韓国は中国の玄関口か?

2017-11-08 15:48:38 | アメリカ
米大統領、元慰安婦を抱擁=歴史問題クローズアップ―韓国
アメリカのトランプ大統領は、アジア歴訪の最初の訪問国である日本国を発ち、次なる訪問国である韓国に到着しました。北朝鮮問題の緊迫化を考慮すれば、大統領訪韓を機に日米韓の結束が謳われるはずなのですが、当地の様子は、一般の常識的予測とは随分と違っているようです。

 まずもって驚かされたのは、晩餐会(公式夕食会)における韓国人元慰安婦の招待、並びに、“独島エビ”のメニューです。大統領主催の晩餐会とは外交上の行事ですので、元慰安婦の招待は昨年末の日韓慰安婦合意に反する行為ですし、“独島エビ”は、明らかに日韓間の国際紛争である竹島問題を米韓関係に持ち込んでおります。“反日晩餐会”といってもよい程の過剰な反日演出なのですが、この意図するところは、何処にあるのでしょうか。

 韓国側には、少なくともトランプ大統領を賓客として温かく迎え、心置きなく楽しんでもらうつもりは毛頭ないようです。慰安婦問題も竹島問題もアメリカは当事者ではありませんので、晩餐会の席において日韓の対立関係を仄めかす言動があったとすれば、そこには、明らかなるホスト国である韓国側からの政治メッセージが込められていると解するしかありません。それは、両問題については、“アメリカには韓国側の立場を支持してほしい”、あるいは、“韓国と対立している日本国とは距離を置いてほしい”、というメッセージとなります。日韓ともに同盟国とするアメリカは、二者択一を迫るようなこの種のメッセージには当惑するしかなく、せっかくの晩餐会の豪華なメニューの品々も喉を通らなかったかもしれません。

 何かと日本国に対してライバル心を燃やしている韓国の世論からしますと、韓国側の政治的メッセージは前者であり、晩餐会における反日アピールは、韓国政府が“国民受け”を狙ったものとも推測されます。しかしながら、日韓関係の悪化は今に始まったことではなく、過去における歴代米大統領の訪韓に際にはこうした露骨な反日演出はありませんので、他の要因が強く働いたものと推測されます。そしてそれこそが、第三番目の訪問先となる中国の意向なのではないかと思うのです。

 トランプ大統領のアジア歴訪に先立って、韓国は、THAAD運用の対北限定や日米間の軍事同盟化の否定など、中国に対して決定的な譲歩を見せています。THAAD配備をめぐって冷却していた中韓関係は大幅に改善される見通しとなりましたが、このことは、韓国が軍国主義国家中国の軍門に下ったことを意味します。すなわち、米韓関係の手前、韓国側は、朴前政権と同様に“バランス外交”の名目を以って親中政策を採っていますが、対中包囲網の一翼を担う国として、日米ともに韓国に期待することはもはや不可能となったのです。

 直近の中韓関係の劇的な改善を考慮しますと、今般の韓国側のトランプ大統領に対する“反日晩餐会”の演出は、今般の訪中を機にトランプ大統領に“新たなる大国関係”への合意を迫ると同時に、対中包囲網となり得る日米、日韓、米韓の二国関係から日米韓の多角関係まで、全ての関係をずたずたに寸断したい中国にとっての“接客”の第一歩なのでしょう。トランプ大統領は、権謀術数が渦巻き、客人と雖も一瞬の油断も許されない中国という国の玄関口に、既に足を踏み入れているのかもしれないのです。

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