万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

TPP協定交渉―試案提示方式にしては

2011年10月31日 16時09分47秒 | 国際経済
TPP、44道府県議会が消極的 意見書で反対・慎重(朝日新聞) - goo ニュース
 最近のブログ記事を読んでいますと、TPPの話題が頓に増えてきており、アメリカによる通商ルールの押し付けとして反対する意見も少なくありません。反米運動とリンケージしそうな勢いですが、幾つかの誤解もあるのではないかと思うのです。

 第1に、TPPの締結に際して、アメリカ議会の承認を要することを以って、日本国が、属国になるとする意見があります。アメリカ憲法では、条約や協定の締結には、議会上院の承認手続きを要しますので(第1条8節3項)、議会承認は、国内手続きの一環に過ぎません。日本国でも、条約の締結には国会の承認を要します(憲法第62条)。

 第2に、交渉に参加した以上、アメリカが、交渉からの離脱を許さないとする意見があります。しかしながら、交渉とは、当事者が条件や要望を出し合い、妥協点や合意点を見出す作業ですので、折り合いがつかない場合には、合意そのものが成立しません。おそらく、アメリカ側は、日本側が軽い”ひやかし”のように交渉参加してくることを牽制するために、こうした発言をしたとも考えられます。

 TPPに対して日本側が疑心暗鬼に陥るのも、実のところ、試案、あるいは、草案が公表されていないからではないかと思うのです(試案作成には、提唱国であるアメリカが作成する、参加国の代表による草案作成委員会がつくる、参加国の一国に委任する、全ての国に提出権を認める…といった方法がある)。たたき台があれば、参加各国は、具体的な点について、国内で議論を行うことができますし、交渉の場でも、つめた議論を行うことができます。通商政策とは、経済ならびに国民生活に直接に影響を与えますので、通商協定の締結は、よりオープンな形式のほうが望ましいのではないでしょうか。

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超円高による海外M&Aは大丈夫?―オリンパスの教訓

2011年10月30日 15時47分39秒 | 日本経済
オリンパス元社長の英国人「FBIと話をした」(読売新聞) - goo ニュース
 記録的な円高が続く中、政府も識者も、超円高を日系企業の海外飛躍に活かせ、とばかりに、しきりに海外企業のM&Aを奨めています。この政策、産業の空洞化を加速させる可能性も否定できないのですが、加えて、もうひとつ、M&Aにはリスクが伴うことを、オリンパスの事件は示しているのではないかと思うのです。

 オリンパスは、英国の医療機器メーカーのジャイラスを買収するに際して、ケイマン諸島に登記されているフィナンシャル・アシスタント「Axes」と「Axam Investments」の2社に、買収額の3分の1に当たる6億8700万ドルもの手数料を支払ったとされています。買収額が22億ドルとのことですので、この巨額手数料は極めて高額であり、終に、FBIも捜査に動くことになりました。しかも、この「Axes」は、すでにケイマン諸島での登記が抹消され、社長も雲隠れしているというのです。この事件、まだまだ謎がありそうなのですが、日本企業に、重大な警告と教訓を残していると思うのです。それは、海外買収には、予期せぬリスクが伴うと言うことです。オリンパス事件が示すリスクとは、第1に、M&Aには、投資助言会社の仲介を要し、怪しげな会社に依頼すると、法外な手数料を要求されること、第2に、手数料支払いが不当な場合には、刑事事件に発展する可能性があること、第3に、M&Aで得られる利益よりも、買収額が上回る場合があること(この件は、特に国内3社のM&Aで顕著)・・・などです。

 オリンパス側が、不当に高額であることを承知で投資助言会社に巨額の手数料を支払った、あるいは、何らかの目的のために、資金の迂回ルートにしたとしますと、オリンパスの責任は重大です。その一方で、しばしば、”バスに乗り遅れるな”方式で、企業が同じ行動に走ることがありますが、超円高を背景とした海外M&Aについても、オリンパス事件を教訓として、不正行為とならないよう、法に則って、慎重、かつ、注意深く進める必要がありそうです。

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中国―”正義の革命”が破壊した正義感

2011年10月29日 16時14分57秒 | アジア
世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」 2歳児ひき逃げ事件「我関せず」映す 中国社会にはびこる「義を見てせざる勇なき人々」(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 中国における道徳観や倫理観の欠如は、内外において深刻な問題を引き起こしているようです。政府レベルの腐敗も然ることながら、先日は、通行人の無関心から、二歳の幼い女の子が命を落とすという痛ましい事件も報じられています。

 革命には、常に正義がスローガンに掲げられるものであり、中国の共産革命もまた、この例外ではありません。既存の社会の腐敗や不正を激しく糾弾し、国民にその打倒を訴えることで、暴力革命を正当化したのですから。共産党が権力を独占する一党独裁体制は、正義が実現した理想の国家のはずでした。しかしながら、革命政府は、勢い余って、革命を成功させた原動力でもある国民の”正義感”をも破壊してしまったようです。あるいは、二度と正義感に駆られた革命が起きないよう、革命政府は、国民の心に備わっている”原動力”を意図的な破壊してしまったのかもしれません。何れにしても、国民の間に、他者を思いやる心も、そして、見返りを求めずに他者を助ける心も消えてしまったのです。後に残るのは、利己心だけ、ということになります。

 ”正義の革命”が、国民の正義感を破壊したとしますと、それは、何とも、皮肉なことなのではないでしょうか。

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北朝鮮への渡航自粛緩和―北への資金援助になるのでは

2011年10月28日 15時25分43秒 | アジア
北朝鮮への渡航自粛解除へ、W杯サポーター対象(読売新聞) - goo ニュース
 北朝鮮で開催されるW杯の日朝戦について、政府は、北朝鮮への渡航自粛を解除する方針とのことです。北朝鮮に対しては、厳しい経済制裁を課してきたのですが、この政策、北朝鮮への資金援助になりかねないと思うのです。

 第一に、サポーターの中には、熱心な日本チームのファンのみならず、北朝鮮への渡航を目的とした人々も紛れ込む可能性があります。現在、北への送金は、金額に上限を設け、申請を義務付けるなどの制限措置を採っていますが、”サポーター”が、多額の円や外貨を、直接に北朝鮮に持ち出す可能性は否定できません。渡航自粛を緩和するならば、出国に際して、所持金の規制を行う必要があります。

 第二に、北への渡航は、旅行会社が企画しているのでしょうが、比較的高額のツアーとのことです。このことは、北朝鮮側に、ツアー料金の一部として多額の資金が支払われるを意味しています。おそらく、北朝鮮側の窓口とは、政府系の機関か公社ですので、合法的に、経済制裁が緩むことになりかねないのです。

 親北朝鮮の民主党のことですから、北朝鮮でのサッカー戦は、国民から非難を受けずに北朝鮮を支援することができる、絶好のチャンスと捉えているかもしれません。北朝鮮を利することがないよう、出国の管理を整備するとともに、ツアーの適正価格や支払先などについて、調査すべきなのではないでしょうか。

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沖縄から見た本土と本土から見た沖縄

2011年10月27日 17時23分41秒 | 国際政治
首相、沖縄知事と初会談 アセスメントの年内提出表明(朝日新聞) - goo ニュース
 普天間基地移設問題は、鳩山元首相が残した負の遺産であり、同盟国であるアメリカが移設の実施を求める一方で、沖縄県が頑なにこれを拒否する状況に至ったています。

 事態がこれ程までに拗れた原因は、無責任な元首相の発言にあるのですが、沖縄県民の間にも、日本国政府に対する反感が高まっているようです。本土は、自分達を守るために沖縄を犠牲にし、耐えがたい負担を押し付けていると・・・。沖縄から見た本土は、利己的で身勝手な存在のようです。それでは、その逆に、本土から見た沖縄はどうでしょうか。多くの国民は、先の大戦で沖縄が戦場となったことに加えて、戦後も、沖縄に米軍基地が集中していることに対して申し訳ない気持ちを抱いています。しかしながら、本土から見ますと、沖縄県の安全保障に対する危機感の薄さには、危惧を覚えていることも確かです。隣国からの軍事的な脅威がひたひたと迫っており、地政学的にも要所となる位置、つまり軍事的な衝突が起きやすい位置にありながら、自ら防衛力の弱体化を望んでいるのですから。

 本土の人々は、沖縄県民の置かれている状況を理解すべきですが、同時に、沖縄県民にも、本土では沖縄をどのように見ているかを理解していただきたいと思うのです。基地移設問題は、こうした双方の努力なくしては、解決しないのではないでしょうか。

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トルコ地震―クルド人支援で国民統合を

2011年10月26日 15時23分06秒 | 中近東
トルコ地震 死者432人、なお不明多数(産経新聞) - goo ニュース
 トルコでは、大地震によって倒壊した建物から生存者を救出しようと、今もなお、懸命の捜索が続いています。地震発生から72時間が勝負とも言われており、一人でも多くの人が無事に救出されることを祈るばかりです。

 昨日までは、地震が発生した地域が、クルド人住民が多数を占める微妙な土地柄であることから、トルコ政府が、外国からの救援隊の受け入れを拒否していると報じられていました。国家建設のチャンスを逸したクルド人は、国なき民族としても知られ、しばしば、分離・独立運動を展開してきたことでも知られています。トルコ政府の警戒心も、こうしたクルドの歴史を背景としてのことなのでしょうが、大地震で被害を受けたクルド人を、トルコ政府があらゆる手段を尽くして救うことは、クルド人がトルコ政府に対して信頼を寄せる一つのきっかけとなるかもしれません。全てとは言わないまでも、危機にあってこそ、国民の間で連帯感が生まれることもあるのですから。

 ようやく、支援受け入れを表明したとの報道もなされ、国際的な災害支援も始まるようです。この報道が事実であるならば、日本国もまた、ハイパー・レスキュー隊の派遣を急ぐべきです。トルコ政府の、そうして、諸外国の助け合いの心が通じれば、困難な問題を、わずかなりとも和らげるかもしれないと思うのです。

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自由なリビア―反省なきシルトの人々

2011年10月25日 15時35分29秒 | 中近東
カダフィ時代懐古する住民=解放に沸くリビアで不気味な静寂―大佐故郷シルト(時事通信) - goo ニュース
 自由で民主的な国家の建設に向けて、その大事な一歩を踏み出したリビア。激しい内戦を闘ったために、国民統合も新政権の重大な課題もあります。こうした中、カダフィ派の中心地ともなったシルトでは、独裁時代を懐かしむ声が聞こえるそうです。”カダフィ時代には、自由があったが、今はない”と…。

 カダフィ独裁体制下にあっては言論や思想の自由が弾圧され、独裁者に対して国民が批判をしようものなら、過酷な運命が待ち受けていたことは、よく知られています。カダフィ時代のリビアには、自由は抑圧されていたのですが、一部の人々だけは、自由を謳歌したようです。それは、独裁者とその家族、そうして、その取り巻きということになります。独裁者の出身地に近いシルトは、まさに、この”取り巻き”であり、他の国民には許されない”自由”も”権利”も特別に与えられていたのでしょう。いわば、社会主義型の独裁体制における極少数の特権階級であったわけです。カダフィ氏の財産も15兆円にも上ると報じられていますので、シルト周辺にも特別に予算がつぎ込まれたことも想像に難くありません。こうした独裁体制における国家の”私物化”こそが、内戦を引き起こしたのであり、他の国民に対する冷淡な無関心と自己の自由と特権さえ享受できればよしとする利己主義こそが、国土を引き裂いたのです。

 シルトの人々が、カダフィ時代における独裁の悪弊も、他のリビアの人々の不自由と不幸をも理解していないとすれば、これは、大いに問題です。リビアの運命を担う新政権は、全ての国民の基本的な自由と権利が守られる、自由なリビアを建設することによって、シルトの人々を含む全リビアの国民に、この内戦の意義を伝えるべきと思うのです。

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TPP交渉―オープンな国際ルール造りの場に

2011年10月24日 15時30分10秒 | 国際経済
官房長官、TPP交渉離脱も選択肢との考え示す(読売新聞) - goo ニュース
 正直なところ、自国の市場開放とは、どの国にとっても”恐怖心”が付きまとうものであり、TPPについても、国内から不安の声が上がることは当然のことです。もしかしたら、自国の経済や一部産業が潰れてしまうのではないかと・・・。

 特に、TPPをめぐっては、アメリカの陰謀説や不平等条約説などが、まことしやかに囁かれています。標的として挙げられているのは、農産物分野を筆頭に、医療分野や金融・保険分野…などです。しかしながら、最初からTPPのルールを不公平と決めつける前に、TPPを、参加国間の公平なルール造りの場にするという発想があっても良いと思うのです。何れの国も相互理解可能な”恐怖心”があるのですから、できる限り公平性を重視したルールを作るとともに、セーフティーネットを設ければ、この恐怖心を和らげることができます。例えば、セーフガード条項を設けるとか、実際に壊滅状況が発生した場合の緊急避難措置を認めるとか、離脱条件を設けるとか、単純労働市場など各国とも反対の強い分野は例外的に除くとか(初期の段階では対象外であったはず・・・)、司法的な紛争解決機関を設立する、といった方法が考えられます。もちろん、輸出競争力に影響を与える外国為替政策に関するルール作りも必要かもしれません。

 TPPを公平な国際ルール造りと仕組みの構築の場として捉えますと、違った展開が見えてくるかもしれません。TPPの交渉内容を逐次情報公開するとともに、オープンな議論の下で交渉を進めることができれば、参加各国の国民もまた、TPPへの理解が深まると思うのです。

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独裁者カダフィ氏の最期―”処刑”か”戦死”か

2011年10月23日 16時26分37秒 | 中近東
「処刑」の証拠隠しか=カダフィ大佐遺体、傷口見せず―リビア(時事通信) - goo ニュース
 独裁者カダフィの死により、リビアでは、一日延期はされたものの、今日にもリビア全土の解放宣言が発せられる予定なそうです。配信される映像からは、リビア国民が、長期にわたる独裁体制からの解放感に沸く様子が伝わります。

 自由で民主的な国家の誕生は、国際社会にとりましても、大いに歓迎するところなのですが、マスコミの一部には、独裁者であったカダフィ氏が狙撃されて落命したことに対して、国民評議会側を批判する論調も見られます。批難のポイントは、刑事被告人を裁判なしで処刑した、つまり、犯罪者の人権を無視した、ということなのですが(国際刑事裁判所から訴追されている…)、この見方は、カダフィ氏を司法上の被疑者とする立場に立脚しています。しかしながら、この狙撃が、内戦という戦争状態で行われたことを考えますと、カダフィ氏は、戦死したことになります。カダフィ氏の肩書が”大佐”であれば、なおさらのことですし、国民評議会側の停戦の申し入れを拒否して、自ら闘うことを選択したのですから、銃撃を受けての死は、自ら選んだ道でもあります。有力な情報によりますと、投降するのではなく、”撃つな”と国民評議会の兵士に命令したそうですので、最期の最期まで、リビアの”最高指導者”を自認していたのでしょう。

 現在、国際社会では、政治と司法が混在しており、国際刑事裁判所の機能も不完全です。にもかかわらず、司法的な観点のみに基づいて、”処刑の証拠を隠した”として国民評議会を批難することには、著しい偏りがあると思うのです。

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外国為替特別会計は首相のポケット・マネーか

2011年10月22日 14時08分20秒 | 日本政治
 野田首相の訪韓により、両首脳の間で合意された日韓通貨交換枠の拡充(5兆4000億円規模)。この問題、ネット上では批難が湧き起こる一方で、マスコミでは、申し合わせたかのように、この話題を避けているようです。こうした不自然な状況も然ることながら、この事件は、外国為替特別会計に関する様々な問題を浮き彫りにしているようです。

 第1に、首相の一存で、外国為替特別会計の運用を決めることができるのか、という問題があります。この合意は、あくまでも首脳レベル合意に過ぎませんので、両国とも、議会の承認や立法化の手続きを経る必要があると考えられます。もし、可能であるとしますと、外国為替特別会計は、首相のポケット・マネーになります。

 第2に、外国為替特別会計そのものが、不透明であることです。毎年度の会計における剰余金は、一般会計に繰り入れられるそうですが、積立金についても、鳩山政権時代には、2兆9000億円が取り崩されたそうです。こうした措置は、国会で予算案として審議され、可決されていますので、通貨交換枠の拡充だけが例外的に、首相の裁量権のはずはありません。

 第3に、通貨交換枠として相手国に手渡させる円やドルは、どのように調達されるのでしょうか。もし、震災復興の遅れや増税論もある中で、上記の剰余金や積立金から支出されるとしますと、国民は納得しないでしょう。あるいは、通常の為替介入に際して行われるように、財務省が政府短期証券を発行するとしましても、国内のマネー・サプライを減少させるとともに、政府は、債務返済の義務を負うことになります。

 第4に、もし、ネット上で噂されているように、この政策が、韓国の債務返済を助けるために行われるとしますと、特別会計に関する法律の第71条の目的―”政府が行う外国為替等の売買等を円滑にするため”―から逸脱することになります。

 第5に、韓国側から枠の利用の要請があれば、日本国は、無条件にこの枠の利用を認めなければならないのでしょうか。ウォン安の是正という初期の目的とは別の目的に使われ、それが、日本国の国益に反する場合でも、拒否できないのでしょうか。

 一般の条約では、国家の代表者が買収された結果として締結された合意は無効となるのですが、野田首相も、民団の選挙協力と在日韓国人からの献金を受けています。通貨交換枠拡充の合意のみならず、野田首相の対韓政策一般についても、国会において真相を究明すべきではないかと思うのです。

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リビア内戦終結―独裁者はサイコパス

2011年10月21日 11時07分17秒 | アフリカ
「独裁者に復讐した」=カダフィ大佐を路上引き回し(時事通信) - goo ニュース
 40年間、独裁者としてリビアに君臨したカダフィ元大佐は、永遠にリビアの地から消え去ることになりました。独裁者のこの世からの退場を以って、リビア内戦は、ようやく終結することになったのです。
 
 カダフィ氏の最後については情報が錯綜しており、正確な状況は分かっていません。しかしながら、高速道路化の排水管に逃げ込んだこと、銃撃戦での負傷が原因となって死に至ったことは確かなようです。”撃つな”と絶叫したとも伝わりますが、独裁者とは、他者を平然と殺戮しながら、自分の命だけは惜しむようです。ところで、カダフィ氏の性格を分析しますと、サイコパスと呼ばれる病理の特徴が、明白に見られます。サイコパスを判断するチェックリストは、以下の通りです(Wikipediaより)。

1 口達者/表面的な魅力、2 誇大的な自己価値観、3 刺激を求める/退屈しやすい、4 病的な虚言、5 偽り騙す傾向/操作的(人を操る)、6 良心の呵責・罪悪感の欠如、7 浅薄な感情、8 冷淡で共感性の欠如、9 寄生的生活様式、10 行動のコントロールができない、11 放逸な性行動、12 幼少期の問題行動、13 現実的・長期的な目標の欠如、14 衝動的、15 無責任、16 自分の行動に対して責任が取れない、17 数多くの婚姻関係、18 少年非行、19 仮釈放の取消 、20 多種多様な犯罪歴

カダフィを含めて独裁者の多くは、高い率でこれらの項目に一致しています。サイコパスの人は、犯罪傾向が強いともされており、もし、こうした人物が、政治権力を掌握することにもなれば、国民は、この人物を排除しない限り、苦しめられ続けることになります。最悪の場合には、一方的に弾圧されたり、虐殺されかねません。

 今後、二度と独裁者が現れないためにも、国民が、人物を評価して選ぶことができる民主的な制度の整備は重要です。自由と民主主義を手にしたリビア国民が、戦後の混乱を克服し、独裁打倒に命を捧げ、内戦で犠牲となった人々のためにも、良きリビアを再建することを願ってやまないのです。

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ギリシャ―ポリス建国の精神で一から国造りを

2011年10月20日 17時13分19秒 | ヨーロッパ
混乱続くアテネ、若者ら暴徒化 20日にも市内デモ(朝日新聞) - goo ニュース
 苦心の末にユーロ導入に漕ぎ着けた時、ギリシャは、将来、自国を揺るがす財政危機が発生するとは予測していなかったことでしょう。ギリシャ神話のように、人間たちは、神々の気まぐれによる悲喜劇に翻弄されているかのようです。

 ギリシャは、神話で名が知られるのみならず、政治学の発祥の地でもあります。”ポリティックス”や”ポリシー”といった政治学用語は、古代ギリシャ諸国の都市国家、ポリスに語源を辿ることができます。古代にあっては、地中海沿岸には数多くのポリスが建設され、そのそれぞれにおいて、様々な政体の下で、政治が営まれてきました。アテネのように、民主主義の制度を発展させた国もあり、”デモクラシー”という用語もまた、古代ギリシャに起源があるのです。このことは、古代ギリシャ人には、高い統治能力が備わっていたことをも示しています。

 こうした歴史を振り返りますと、現在のギリシャは、古代のポリス建国の精神を忘却してしまったかのようです。古代ポリス世界では、自主独立と公共の精神の下で、市民達が、ポリスの政治に積極的に関わっていました。現代のギリシャにあっても、デモや暴動に走るのではなく、自力で自国を救おうとする決意の下で、国家再建に自発的に取り組む人々が必要なのではないかと思うのです。

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日韓通貨交換枠拡充―韓国救済の不可解な合意

2011年10月19日 16時16分07秒 | 日本経済
日韓通貨交換枠、700億ドルに拡充…首脳合意(読売新聞) - goo ニュース
 親韓派の野田首相は、訪問先の韓国における日韓首脳会談において、日韓通貨交換枠5倍に拡張することで合意したそうです。しかしながら、この合意、日本側にとりましては、あまりメリットはなく、しかも、不可解であると思うのです。

 第一に、日本側のメリットとしては、韓国政府が、ウォンとの交換によって、日本の外国為替特別会計から円を調達し、ドル売りウォン買い介入資金とするために、円売りドル買いで円をドルに替えるので、円安になると説明しています(円⇄ウォン⇒円⇄ドル⇒ドル⇄ウォン)。この操作をが行われるためには、ウォン安危機の存在が前提となります。公表されている2008年のデータでは、韓国は、世界第6位の外貨準備高があり、最近のマスコミ等の報道でも、サムソンや現代自動車などの業績は好調なはずです。もし、円安効果を持ち出すならば、それは、同時に、韓国が通貨危機にあることを説明しなければ、説得力がありません。また、平時にこうした操作が行われますと、為替操作行為を認めることにもなります。

 第二に、700億分のウォンを保有しても、日本国は、その使い道が限定されていることです。ドルやユーロといった国際通貨である場合には、外貨準備の運用は、幅広い選択肢を持ちますが、ウォンは、国際通貨ではありません。政府の外国為替特別会計に退蔵されるか、韓国の国債購入や債券購入などに使うしかないのではないでしょうか(交換した外貨準備や円が、一定の時期をおいて戻ってくるのかもわからない・・・)。

 第三に、日本国が保有するウォンを自国の対外通貨政策に使用する機会は、おそらく殆どないということです。何故ならば、日本国政府がウォン売りをしますと、ウォン安により韓国企業の輸出競争力を高め、自国の企業に不利益となるからです。ウォンが介入資金では、円の対ドル対ユーロの相場には影響を与えませんので、日本企業にとりましても意味がないのです。

 結局、この制度は、対等性を装った韓国救済のための措置と言えそうです。しかしながら、竹島で強硬な態度をとり、韓国政府のバックアップの下で大企業が日本企業の追い落としに邁進し、韓国のブランド委員会が日本国内のマスコミで韓国偏重操作を行っている状況にあって、日本国民の多くは、韓国救済に納得しないのではないでしょうか。首脳会談では合意したそうですが、合意内容の実施には立法化が必要ですので、国会では、これらの問題点を、とことん議論すべきと思うのです。

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アップルへの報復?―サムソン側のイメージ操作か

2011年10月18日 15時26分41秒 | 国際経済
サムスン、日本でも提訴 iPhone4S 販売禁止を申請(産経新聞) - goo ニュース
 急速なスマートフォンの普及を背景に、アメリカのアップルと韓国のサムソンが、特許侵害を理由に、相互に販売禁止を求める訴訟を起こす展開を見せています。スマートフォンについては、詳しくはないのですが、ネット上の情報によりますと、アップル社の製造を委託されたサムソンが、マルチタッチ操作といったデザインを含めてアップル社製品の”ばくり”を公然と製造・販売したことが、事の発端のようです。

 日本企業もまた、長年、韓国の”ぱくり”には、苦しめられてきたのですが、こうしたサムソン側の侵害行為を軽く見て、”報復”と表現することには違和感を感じます。これまでのところ、アップル側が起こした訴訟はサムソン側が敗訴しており、サムソン側に侵害行為があったことは、誰もが認めるところです。にもかかわらず、サムソン側の敗訴については、日本国内では、それほど大きくは報じられていません。その一方で、サムソン側の”報復”についての記事は、比較的素早い反応で報じられています。しかも、先に侵害行為があったにも拘わらず、その侵害者側が”報復”という言葉を使いますと、侵害行為の印象が薄らぎ、あたかも、不当な攻撃を受けたとするイメージが強くなります。自らも被害者であれば、加害行為は帳消しにできると言わんばかりなのです・・・。

 日本国の報道は、とかくに韓国側に寛大ですが、こうした行為を安易に許しますと、技術流出に繋がるのですから、日本企業にとっても重大な関心事であるはずです。サムソン側は、アップル社に報復すると息巻いているようですが、マスコミは、サムソン側の”ぱくり”の事実を公平に報じるべきではないかと思うのです。

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村木元局長へ賠償―幕引きが早すぎる

2011年10月17日 15時15分26秒 | 日本政治
村木元局長に3700万円賠償へ 国が違法捜査認める(朝日新聞) - goo ニュース
 郵便不正事件ほど、謎に満ち、また、日本国の闇が交錯する事件はないのではないかと思うのです。関連する人物や組織の名を挙げただけでも、一筋縄ではいかない事件であることは明らかです。

 本日、東京地裁は、冤罪とされた村木元局長に対して、国の違法捜査を認めて3700万円の賠償を支払うよう判決を下したと報じられています。国が、この判決を認めたため、結審となるそうですが、このままでは、事件の真相が闇に葬られてしまいそうです。前田元検事の改竄自体は違法行為なのですが、改竄されたフロッピー・ディスクそのものは、裁判では証拠としては採用されませんでしたし、報告書には、改竄前の日付が記されていたそうです。つまり、このことは、改竄という違法行為によって、村木氏が逮捕・拘留されたのではないことを示しています(判決では無罪…)。ですから、国家賠償の対象となることにも疑問がありますし、政府が、この判決を早々に認めたとしますと、いよいよもって、怪しいお話となるのです。改竄を行った前田元検事は、小沢氏の事件にも、朝鮮総連の事件にも関わっており、国側が控訴を見送った背景には、早期の幕引きを願う何らかの政治的な思惑があるのかもしれません。あるいは、この事件には、表には出ない、何らかの闇の組織が蠢いているかもしれないのです。

 郵便不正事件については、当時の局長であった村木氏にも局内の監督責任があり、氏は、被害者のみというわけではありません(私見としては、厚労省の偽証明書の発行こそ、日本国の信用を貶めた最大の汚点…)。日本国が健全性を取り戻すためには、こうした闇の事件の真相こそ、国民の前に明らかにすべきと思うのです。

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