サムイズダート・ロシア

めざせロシア式菜園生活!ダーチャごっことロシア&北海道のお話あれこれ

第47回ばんえい記念

2015-03-23 | 勝手にばん馬メモ
年に一度、選び抜かれた人馬が重量1トンに挑戦する
ばんえい競馬の最高峰レース「ばんえい記念」を初めて観戦!

3月22日、朝から雪まじりの曇天にもかかわらず
帯広競馬場にはこれまで見たこともないほどの人が詰めかけていた。
  
ばん馬のリッキーちゃんとの記念撮影、音更の子供たちの駒太鼓など
朝からイベント尽くしで、競馬場なのに子供連れもいっぱい。
「リアル銀の匙!」と銘打って、帯広農業高校の出張売店では
手作りのチーズやパウンドケーキ、ジャーキーなどを販売。

展示コーナー「ばんえいギャラリー」には
中島健人くん始め実写版『銀の匙』出演者の
サインや写真も飾られていました。

出走馬はこの10頭。



選挙ポスターみたい(笑)。
調教師と騎手の意気込みが書かれております。

 
レース前の騎手インタビュー。
緊張感が高まる。

パドックに出走馬が姿を現すと、観客が殺到。
さすがに選ばれし馬たち、間近で見ると迫力の体躯。
広報担当ミルキーちゃんに先導されていよいよ入場。



ミルキーちゃんのおめかしと女性騎手の衣装は
重賞レースごとに変わるんだそう。

陸上自衛隊第5音楽隊がファンファーレを生演奏。


そしてついにスタート!1トンを挽く1トンの馬たち。
高さ1mの第1障害をいつもより手間取りながら乗り越えていく。


じりじりと第2障害に迫るや、全馬ぴたりと止まる!

ここからが騎手の駆け引き。じりじり…。

行ったー!高さ約1.6mの第2障害に続々と挑む精鋭たち。
通常のレースなら、このあとほどなくして決着がつくのに
ばんえい記念はここからが長い。
一喜一憂のドラマが始まるのだ。

1トンの重さに足をとられて膝をつく本命馬。
「ああっ!!」というどよめきが起こる。
ひとかき、ふたかき…足を踏ん張り、ようやく障害の頂上へ。
最初に抜けたのは10番フジダイビクトリー。
やんやの歓声とともに馬と並走してギャラリーがどっと動く。
トップでゴールを目指す10番、そのまま行けるかと思いきや
ゴール手前でまさかの失速~!


追い上げるは6番、1番。ところが~!
4番手で第2障害をクリアした8番が恐るべき脚力を発揮。
ワシワシと3頭ゴボウ抜きして、あっさりゴ~ル!!
残念10番は2着かぁ…。えっ、違うの!??

なんと10番(一番左)、ゴール上で止まっております~!
ばんえいは馬の鼻先ではなく、そりの後端まで入らないとダメ。
その間に後続馬がスタスタとゴールに入ってくる。

これがあるからばんえいは最後までわからない。
結局、1着8番キタノタイショウ、2着6番ニュータカラコマ、
3着に昨年の王者インフィニティー、10番は4着という結果に。
トップのタイムは3分49秒9。
通常のレースの2倍近くの時間を要して勝者が決まったのであった。

が!…レースはまだ終わっていない。
「ばんえい記念」の本当の感動劇はここからだという。
ゴールに詰めかけていたギャラリーは、いっせいに第2障害に駆け戻る。
まだ障害を越えられずにいる馬たちに声援を送るためだ。

もう馬券は関係ない。「がんばれ~!」の声が飛ぶ。
1頭、また1頭と障害を越えるたびに、沸き上がる大きな歓声と拍手。
場内は一体となって不思議な高揚感に包まれる。

最後に残ったのは、1トン初挑戦となる4番ファーストスター。
がっくりと頭を着き、立ち上がる気配もない。このままリタイアか!?
「もうそりを離してやれぇ~!」とヤジが飛ぶ。
数千の観衆が見守るなか、騎手の重圧たるやいかばかりのものか。
だが戦意喪失した馬を立て直すのも騎手の腕。
ようやく頭を上げた!立ち上がったぁ!

「おおっ!」とどよめき、拍手を送る群集。
が、また膝をつく。
「ああっ!…」と今度は消沈の声。
この「おおっ!」と「ああっ!」が何度か繰り返されたのちに、
ついに障害を駆け下り、ゴールした最後の人馬に
惜しみない拍手喝采が寄せられるのであった。

ここまでじつに13分27秒6。
勝ち負けではなく、死力を尽くした人馬を分け隔てなく称える。
いやあ、聞きしに勝る感動のレースでした。

明けて3月23日、前日のばんえい記念では入賞ならなかったが、
完走を果たしてこれがラストランとなった
ホッカイヒカル(牡11才)の引退式が…。

前日とはうってかわって、うららかな快晴。
花束をもって駆けつけたファンから感謝と労いの言葉で見送られ
牧場で余生を過ごすべく最後のパドックをあとにする。
馬主さんも調教師さんも晴れがましい笑顔でした。

……重いそりを挽かせるのは馬が可哀そう、という声は
都会の動物愛好家のみならず、地元住民の間でも根強くあるのだそう。
でも何が可哀そうで、何が可哀そうでないのかは、現場を見て、
その周辺の事実を知らなければ容易には語れないとつくづく思う。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 陸別路線バスの旅 | TOP | ロシアの熊がなぜここに!? »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | 勝手にばん馬メモ