プロコフィエフの短編小説『紫外線の勝手』の翻訳、ただ今清書中。
この作品は、アメリカのとある街の摩天楼のどまんなかに
ある日忽然とピラミッドが現れる、という荒唐無稽な筋書き。
日本に向かうシベリア鉄道の車中で書き始め、
書き上げたのは1919年のニューヨーク滞在時である。
日本滞在時の日記には「(小説の)構想が4つ」とあるだけで
この作品について具体的に触れられていないが、
おそらくこの4つの構想のうちの1つが当作品であろう。
「もしも時空がねじれたら」というありがちなSF的命題を
作曲家は当時興味をもっていた古代文明を絡めて
独創的に描こうとしたものと思われ、日本滞在中には
エッフェル塔がバビロンの塔と呼応して歩き出すという
同じ系統の荒唐無稽小説『彷徨える塔』を書いている。
一方の『紫外線』は、構想のまま据え置かれ、
アメリカ入りしたのちに一気にイメージが膨らんだのに違いない。
なにせ、主人公は大金持ちのアメリカ人。
金儲けしか頭にないステレオタイプな資本主義者。
ピラミッドとファラオの出現という異常事態にあってなお
頭にあるのは投資のことだけ……。
目の当たりに見たアメリカのド資本主義は、
イデオロギーとは距離を置くプロコフィエフにとってさえ
よほど滑稽に映ったと見え、その皮肉っぷりは容赦ない。
これはシュール小説の名を借りた痛烈なアメリカ批判でもあり、
プロコフィエフのアメリカ観が垣間見える一作である。
この作品は、アメリカのとある街の摩天楼のどまんなかに
ある日忽然とピラミッドが現れる、という荒唐無稽な筋書き。
日本に向かうシベリア鉄道の車中で書き始め、
書き上げたのは1919年のニューヨーク滞在時である。
日本滞在時の日記には「(小説の)構想が4つ」とあるだけで
この作品について具体的に触れられていないが、
おそらくこの4つの構想のうちの1つが当作品であろう。
「もしも時空がねじれたら」というありがちなSF的命題を
作曲家は当時興味をもっていた古代文明を絡めて
独創的に描こうとしたものと思われ、日本滞在中には
エッフェル塔がバビロンの塔と呼応して歩き出すという
同じ系統の荒唐無稽小説『彷徨える塔』を書いている。
一方の『紫外線』は、構想のまま据え置かれ、
アメリカ入りしたのちに一気にイメージが膨らんだのに違いない。
なにせ、主人公は大金持ちのアメリカ人。
金儲けしか頭にないステレオタイプな資本主義者。
ピラミッドとファラオの出現という異常事態にあってなお
頭にあるのは投資のことだけ……。
目の当たりに見たアメリカのド資本主義は、
イデオロギーとは距離を置くプロコフィエフにとってさえ
よほど滑稽に映ったと見え、その皮肉っぷりは容赦ない。
これはシュール小説の名を借りた痛烈なアメリカ批判でもあり、
プロコフィエフのアメリカ観が垣間見える一作である。