北海道の名付け親、松浦武四郎の資料展示を見たのは、
数年前、帯広の百年記念館だったかと思う。
びっしり地名が書き込まれた蝦夷地の克明な地図、
アイヌの風習を愛きょうたっぷりに描いた達者な絵、
六花亭のお菓子セットの名前にもなっている「十勝日誌」を始めとする
エリア別紀行文「○○日誌」シリーズなどなど。
幕末から明治にかけて、自分の足で全国各地を歩き倒し、
膨大な手書き資料を残した、そのダイナミックな足跡を前にして
大いにロマンをかき立てられたものである。
なのでNHKのドラマ『永遠のニシパ』を楽しみにしていたのだが、
なんじゃこりゃ連続の脚本で興ざめでした。
ドラマにも登場したアイヌの里、平取の二風谷(にぶたに)。
旅と著述に明け暮れていたという松浦武四郎が
どんな文章を書いていたか?
その一端がうかがい知れるのが、
自由訳「十勝日誌」。
嬉しいことに十勝毎日新聞社のサイトからダウンロード可。
厳寒の2月、石狩から山を越えて十勝に向かう松浦ご一行。
恐るべきタフさで、氷点下の吹雪の中、軽々と山越えしたかと思えば、
ここで一句…と歌を詠む。この余裕はなんなんだ。
そしてアイヌ民族に純粋な興味と尊敬の念をもって接する品位ある態度。
そんな武四郎の人となりが、数十ページの日誌の中からも読みとれる。
ところで六花亭のお菓子セット
「十勝日誌」は、
松太郎の日誌の装丁を模したものだが、初めていただいた時は
その箱の厚みと中に入っているお菓子の量にビックリ。
あれはたぶん最大の43個入り。
掘っても掘ってもお菓子が出てくる太っ腹。
贈って喜ばれること間違いなしのインパクトである。