サムイズダート・ロシア

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忘れられたハイテック

2011-12-03 | モスクワ取材2010
ロシア人への取材やロシアのサイトを通して知ったには、
今ロシアのインテリアの先端をゆくのは、Хай-тек なんだそう。
おお!懐かしのハイテック!
国がバブルになると同じ嗜好をたどるのかぁ。
……と何の疑問ももたず、原稿に「ハイテック」と
書いていたら、校正時に出版社から赤が入ってきた。
「“ハイテク”ではいけませんか?」と。

いけません!ハイテクは機械系、ハイテックはインテリア!
そうですよね?と編集さんに聞くが、若すぎて知らないという。
そうか。なら手近な年配者に聞いてみよう。
ねえねえ、昔あったよね、ハイテックって言葉。
「そうだっけ?覚えてない」
ほら、コンクリート打ちっぱなしでモノトーンで、
バブル期のカフェバーとかで流行ったインテリア!
YMOとかテクノの時代。
「うーん、知らないなー」
えっ!あんなにメジャーだったのに!?
ならば同世代の友人Rなら覚えているだろう。が…。
「それってメジャーな言葉じゃないよ。
仲間うちでふざけて使ってた言葉では?
ハイテック♪多摩テック♪って…」
聞く相手を間違えた。一般人代表の友人T子に聞いてみよう。
「ああ、あったあった。ハイテクって言葉になる前に
ハイテックって言ってた気がする~。
でもインテリアのことだっけ??」

なんでみんなそんな薄い記憶しかないのだ!?
「ハイテックなカフェバー」というフレーズを
私自身、確かに記事に書いた記憶があるのに。
が、そんな昔の記事など残ってない。
一応ネットで裏をとっておこう、と検索したが、
みんな「ハイテク」表示になっている。
記憶をたぐり寄せると、確かにT子が証言したように、
「ハイテクノロジー」は当初「ハイテック」と略され、
それがいつしか「ハイテク」に統一されてきたような…。
ネットで見る限り、現在の「ハイテクなインテリア」とは
ハイテク技術が装備されたインテリア、みたいな意味で
使われているもよう。違う違う!これじゃない!

そこで、インテリアデザイナーの友人にも聞いてみた。
「うーん、バブルの頃はイタリア・モダンが主流。
ハイテックって知らないなー」
ぎょえー!じゃあ私の鮮明な記憶はなんなのだ。
まさか妄想!?
自信満々で、「ハイテックでよいのです!」と
校正を戻そうと思っていたのに、もう時間がない。

と。先のインテリアデザイナーの友人からメールあり。
「あったあった!」と送ってくれたのが、
一昔前の専門書からの引用文である。以下転載。

 ハイテクあるいはハイテックと呼ばれるデザイン手法は、80年代インテリアを特徴づける一つのキー・ワードである。鉄板、鉄パイプ、ワイヤー、鉄骨、ボルト、さまざまな配管の類や天井を透かして見せるパンチング・メタルのボード。そうした、まるで工場から直送されたばかりと思わせる生のままの工業素材が、インテリアの随所に使われたのである。
(『インテリアの近代』下村純一著、講談社現代新書より)

ああよかった、古老の妄想じゃなかった!とひと安心。
これで大手を振って校正を戻せます~。
にしても、あの頃あんなに流行ったのに
誰も覚えていなくて死語と化していたなんて。
この一件で、大昔よりもむしろ近過去の80~90年代、
ネット時代前の記録が意外とないものだと思い知る。
そして、これがモノなら押入れの片隅に残りもしようが、
建築は淘汰されたら存在そのものが消えてしまう
という運命に一抹の哀愁を感じたのでもありました。

さて、日本のバブルから四半世紀遅れで流行中、
ロシアのハイテック・インテリアの一例がこちら。

http://www.vzstudio.ru/rus/portfolio/publicrooms/bar
『ロシアの大人の部屋』にもご登場いただいた
インテリアデザイナー、ヴァルヴァラさんが手がけた
モスクワのクラブ Bar Ne Barの内装。
メタリックで宇宙的、天然素材より金属やプラスチック。
暗くてよく見えないと思いますが、天上には
懐かしの配管がのたくっています。

円形のハイテックな照明は、若い人に人気らしく、
一般住宅にも使用例が。
モスクワ大学学生のクリスチーナさんは
自宅アパートのキッチンと玄関にとりいれてました。
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