北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

土地のポテンシャルをどう扱うか

2013-08-11 23:29:03 | Weblog

 掛川の友人から、「小松さん、掛川にいた時は何度誘ってもとうとうフライの世界に入ろうとしなかったのに、それがどうして手のひらを返したように釣りにくるっているんですか?」と訊かれました。

「う~ん、多分そのときはやることが多すぎて時間が取れなくて、最初からあきらめていたんだと思いますよ」 

「でも釧路だってそれなりに忙しかったでしょう。それなのに釣りの時間は取れたんですよね」
「そうだねえ、やっぱり釧路では『ここにいるんだったら釣りをしなくちゃ』と思うだけの、土地の力があったんじゃないですかねえ」

 趣味や道楽の世界は多々あるけれど、自然を相手にするものはやはり魅力あるフィールドが身近にあるかどうかが、魅かれるかどうかを左右するのだと思います。

 自分が楽しむだけなら室内でも良いけれど、自然を楽しむ趣味はどれくらい魅力的な自然かどうかは大きなポイント。

 昨日空知川で釣りをしていて、「こういう釣りが本州ではできないんですよ!北海道はやっぱり違いますね」という友人の声が耳に残っています。

 フライを楽しむならやっぱり北海道なんですね。


 【空知川の川霧】


   ◆   ◆   ◆


 ある友人が、地域観光の視察のために道内でも有名なリゾート地へいったそう。

 そこで様々な地域アクティビティを視察するなかで、サイクリングアクティビティを見ていると、どうも地域のポテンシャルをしっかり感じさせるようなプログラムがなかった、と言っていました。

「リゾート地なんだから美しい景色なんかがあるのじゃないですか?」
「ところが、それをちゃんと順序立てて紹介したり、一連の流れを物語のようにして興味を持続させるような組み立てがないんです」

「なるほど、北海道だと歴史や寺社仏閣なんかも少なくて、コンテンツが不足しているせいですかね」
「それもあるかもしれませんが、どうも『これだけのリゾート地に来たんだからそれで十分でしょう』と言われているような気がしました」

「ふーむ、確かにそうかもしれません。私がいた掛川でも地域を自転車でガイドする質の高いプログラムを、市民サイクリストが皆で考えて支えていましたよ。掛川なんて、すごいリゾートでもなんでもありませんが、お城があって神社があって、茶畑があって東海道がある。お地蔵さんがあって手掘りのトンネルがある。海があって山がある。そんな小さなコンテンツを紡いで再構成して、市民サイクリストがしっかりガイドする。自転車でのおもてなしって、こういうのを言うんだろうな、と本当に感じましたよ」
「そういうのが北海道のリゾートにはないんじゃないでしょうか。もちろん、優れたガイドさんもそれなりにはいますが、全体として、ガイドは土地のポテンシャルを楽しませてもてなすものだという価値観がまだ醸成されていない印象です。土地のポテンシャルが高いだけに、それに頼りきってしまっているということはないでしょうか」

「耳が痛いですね。しかし一方で、そういう質の高いもてなしガイドはビジネスとして成立するでしょうか」
「旅を『安かろう悪かろう』でも良いと思っている人は対象にならないでしょうけれど、質の高いものにはちゃんとお金を払うという層はあると思います。そんな時期が近付いているとは思いますがね」


 なかなか面白い北海道リゾートの感想でした。

 土地のポテンシャルに頼り切らずに、それを活かすような工夫と努力がもっと必要ということでしょうか。

 厳しい指摘ですが、よりよい地域リゾートをめざす努力は欠かせません。

 

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空知川リゾート

2013-08-10 22:51:03 | Weblog

 友人たちと3人で空知川へフライフィッシングに行きました。

 昨日は道央地域でもかなり強い雨が降って、情報ではニセコ方面の川は濁ってしまってダメとのこと。

 そちら方面は釣りにならないということで、道央でも空知地方の空知川へと向かったのでした。

 スカッと晴れ、というわけにはいかず、時々小雨がぱらつくような天気でしたが、空知川は全く濁りがなくびっくり。

 河畔林が豊かな川だけに、ちょっとくらいの雨では土砂の流出は簡単に食い止められるのかもしれません。

 川の水の温度が高いのか、川面には低いところに靄が立ち込めて幻想的な中、3人は川へと向かいました。

 川は流量が多くて、とても重い流れがぐんぐん体を押し込んでゆき、力のある川であることが良くわかります。

 
   ◆   ◆   ◆


 さて、空知川は川底に大きな岩の岩盤があって、苔などが生えて滑るようなこともないあたりは水質がきれいだからでしょう。

「今日は大きなドライでガンガン行ってみましょう」というアドバイスに従って、どでかいエルクカディスで川の左右の奥を狙います。

 3人の中での最初のヒットは私。23センチのイワナがかかってくれて幸先良好。少しずつ、魚のひそんでいそうな雰囲気が分かるようになってきたのが嬉しいですね。

 川を遡上しながらポイントポイントにフライを落とし込んでみますが、その後はなかなか反応が返ってきません。

 他の二人も、「生体反応が感じられないよ(笑)」と渋い顔をしていたのですが、そんなところへ私の一投に大きな感触が。

 ラインを手繰ろうとしましたが、竿がしなって簡単に手繰れません。

 これはかなりの大物と、糸を切られないことだけに気を付けて持久戦の構えで挑みます。

「大きそうだ!」ということで、仲間の二人も駆け寄ってきてタモ網を用意して救援の用意は十分。

 その後も右へ左へと糸を振りながら弱るのをじっくり待って、ようやく網ですくい上げてもらいました。

 釣り上げたのは、イワナでしたがサイズは53センチという大物!


 【久々の大物イワナ】

 釧路で冬にアメマス釣りをしたときに54センチのアメマスを釣ったことがありますが、それに続く大きさですし、冬のアメマスと、夏の渓流でドライで釣ったということの意味は大きな違いがあります。

 その後も午後に43センチのイワナが釣れて、今日のラッキーボーイは私でした。

 
     ◆  


 ところで、仲間の一人が一匹釣り上げたところ、「イトウだー!」と驚きの声を上げました。

「どれどれ」と走り寄ると、点々が印象的で全体にスリムな体つきの24センチのイトウがいました。本物を見るのは初めてなのでちょっと興奮です。

 
 【細かい点々が特徴のイトウ】

 一日たっぷり時間を使って、せせらぎの音に囲まれて魚たちに遊んでもらって、友達との会話を楽しむ。

 これが大人の遊びなんだな、と北海道にいることのありがたみを実感した一日でした。

 一緒に行った仲間たちにも感謝です。


 【川辺の昼飯もまた格別です】

 

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行楽のお供は正確な天気情報

2013-08-09 22:49:45 | Weblog

 夕方、札幌では一時とても強い雨が降りました。

「まずいなあ、傘を忘れてしまった…」とつぶやくと、課内の電気通信担当の若手が、「でももうすぐ治まりそうですよ」と言いました。

「お、どうしてわかるの?」
「国土交通省のリアルタイムレーダーを見ると、今は強い雨が降っていますが、もうすぐ通り過ぎそうです」

 ここでいう、リアルタイムレーダーとは、国土交通省防災情報提供センターのサイトからの情報提供。

 ここでは全国各地からの雨情報を集めて全国で一枚の図面に落とし込み、必要によって局地的な雨の様子も見ることができます。

 それを見ると、まさに今札幌では強い雨が降っているものの、もう雨の先頭は恵庭方面まで流れていて、雨の尻尾ももう札幌から抜け出しそうな様子が見えたのです。

【国土交通省防災情報提供センター】リアルタイムレーダー
 http://www.jma.go.jp/jp/contents/

 
 北海道には北海道開発局が設置して運用するCバンドレーダーサイトが四つあります。

 函岳(美深町)、ピンネシリ(新十津川町)、霧里山(釧路市)、乙部岳(乙部町)という標高1000m級の山の頂上にこれらは建設されています。

 地上から延々とケーブルを引っ張って、1000m級の山の山頂にレーダーを設置し、これを維持管理している人たちに心から敬意を表したいと思います。

 
 【函岳山頂レーダー】


   ◆   ◆   ◆


 さて、今日これらレーダーからの雨の情報は天気予報や洪水予報に欠かせません。

 そして昨今は、さらに雨量感知能力を向上させたXバンドレーダー施設が、人口の多いところなどを中心に整備されてきています。

 北海道では北広島市の河川防災センターに設置されていて、現在はレーダーで感知する情報と実際の雨を比較して、様々なパラメーターを調整する作業中。

 これがちゃんと情報を発信できるようになると、雨の変化の様子が時々刻々と把握できるようになります。

 CバンドとXバンドの違いは、Cバンドが高いところに設置して高い高度の雨を広範囲に観測を行うのに対して、Xバンドは低いところに設置して、まさに今降っている雨をもっと細かいメッシュで観測できること。

 もうすぐ札幌近郊ではより精度の高いXバンドレーダーによる観測情報が提供されることでしょう。

 行楽のお供には、スマホやパソコンから正確な天候情報の入手をお勧めします。

 
【XRAIN】XバンドMPレーダー
 http://www.river.go.jp/xbandradar/

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フライフィッシングでダイエット

2013-08-08 23:44:05 | Weblog

 昨日一緒に飲んだサイクルガイドのAさんですが、最も精力的に走っていた時にカロリー消費量の計測をしたことがあったそう。

 で、計測の結果、最も自転車を走らせたときの一日のカロリー消費量が7,800キロカロリーだったのだとか!

 これって成人男性の三日分のカロリー以上ではありませんか。

「こんなに消費するときって、一日の食事はどうしているのですか?」と訊くと、「一日五食くらいとるのですが、そのときはパンをくりぬいてその中にジャムを詰め込んだもので、ひたすらカロリーを摂取できるようなものを食べていました」
「ものすごい偏食ですよね(笑)」

「ええ(笑)、でもそうやってカロリーを取り続けていないとすぐに低血糖症になってフラフラになるんです。自転車の強者って、走るための筋肉はもちろんすごいのですが、内臓が強くない人は本当に強くなれません。走るスタミナはまさにそれくらい食べることと繋がっているんです」


   ◆   ◆   


 そんな会話を聞いていた別の友人が、「そういえば、我々の仲間にもサイクリストがいるんですが、登山をしたところ全く歩けなくて、周りから笑われていましたよ」と割り込んできました。

 するとAさんも、「そう、そうなんです。サイクリストは自転車に特化した筋肉しかつけていないので、実は歩くことも立っていることも辛いんです」
「自転車に乗る筋肉と歩いたり立っていたりする筋肉は別なのですか」

「そうなんです。以前、ツール・ド・北海道の開会前日の選手を招待したレセプションを目にしたことがありましたが、夕方に立食パーティをしていたのですが、それが選手たちからは不評でした。彼らは立っているのが辛いんです(笑)。見ていたらすぐに座り込む人もいましたよ」
「はあ、自転車選手の気持ちというのも素人の我々にはわからないものですね」


   ◆   ◆   ◆


 Aさんを始め、自転車に乗る人は皆スリムに見えますが、これはカロリー消費量が多いのと、筋肉がそういうつき方をするからなのでしょうか。

 自転車はダイエットにもよさそうですね。

 ところで、ダイエットと言えば渓流釣りもまたダイエットに良いのではないか、というのが私の感想。

 それは、足場の悪い石の上を歩き続けることからカロリー消費はそれなりにする反面、釣りの興奮でアドレナリンが出ているために、時間がたってもほとんど空腹感を感じずにいられるからです。

 お昼の時間だから食べておかなくちゃ、とお弁当などを食べますが、空腹感から食べることはほとんどありません。

 空腹を忘れて歩き続け、それが興奮のために全く辛くないというのですから、これはダイエットに最適なのではないでしょうか。

 私よりも釣り歴が長い皆さん、フライフィッシングはダイエットに通じるというこの私の仮説をどう感じられますか?

 

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サイクルツーリズム時代はすぐそこに

2013-08-07 23:45:28 | Weblog

 道内では指折りのサイクリングガイドとしてビジネスを行っている友人のAさんに久しぶりに会いました。

 Aさんは、海外で自転車武者修行を行ってツール・ド・フランス前座のU23カテゴリーで、欧州プロの座をかけて争うU23ワールドツアーのレースにも出場経験があるなど、自転車乗りとしては一級のキャリアを持った方。

 それに加えて、英語を話し、自転車整備の資格を持ち、北海道観光マスターももっているといい、自転車でおもてなしツアーをするための様々な準備を整えています。

 ツアーガイドとしては会社組織を立ち上げて、やはりガイドのできる仲間たちと共に国内外からのゲストを迎えています。

 最近は香港や台湾からのインバウンドがとても増えているということでしたが、夏休みの間は国内からのお客さんだけを相手にしているそう。

 その理由は、「夏休みの間は国内の移動も宿も高いので、外国からのお客さんには薦めていません。それよりは国内のお客さんにじっくり北海道を楽しんでもらって、それが一段落したらインバウンドの皆さんを迎えるという形が良いと思っています」とのこと。

 実際、彼のところには香港のツアーデスクが自転車を20台預けて、「これでこちらから送り込む客をガイドしてほしい」というくらいに信頼も得ています。

 また自転車に乗るスピードやスタミナも海外で鍛えた筋金入りなので、海外から来るトライアスロンの練習ツアーなどにも負けない実力があり、それがまた株を上げて人気を呼んでいます。

 そしてなんと言っても英語で会話ができることが強みで、単なる観光案内のガイドだけではなく、通訳を介している暇のない緊急時などには直接会話で対応をしなくてはいけないこともありえます。

 こうしたスキルの積み重ねが人気のガイドとして必要な要素なのです。


   ◆   ◆   ◆


 札幌を中心に活動するAさんですが、人気のガイドコースはどこですか、と訊いてみました。

 すると答えは、「東千歳一帯が人気なんですよ」とのこと。

 その理由は、信号のない緩やかな起伏を縫う道路があって、そこに牛がいて馬がいる。申し分なく北海道らしい風景と自転車の走行が楽しめるのだそうです。

 これは一度見てみなくてはなりますまい。


 今日は静岡県からも友人が来ていて、こうしたサイクルツーリズムを、夏は涼しい北海道、冬は暖かい静岡で展開するような相互協力の可能性を調査しているとのこと。

 富士山があり茶畑やお城がある中を走る静岡のサイクリングもまた地域の魅力満載です。

 自転車を旅のツールとして使えるようになると、視野が本当に広がります。

 いよいよサイクルツーリズムの本格的な勃興が始まりかけている予感がします。

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国産国消

2013-08-06 23:50:16 | Weblog

 もう15年も前に、ドイツへ視察へ行かせてもらったことがありました。

 ドイツでは初めて見るいろいろなことに目からウロコの一週間でしたが、通訳をしてくれた現地在住の日本人女性の方と話をしていて、スーパーで売られている牛肉の話になりました。

 ドイツでは、高いドイツの国内産牛肉と安い輸入牛肉が売られていましたが、その方は「輸入肉はどういう育てられ方をしているか分からないから、私たちは高いけれど国産の牛肉を買います」と言いました。

「では安い牛肉は誰が買うのですか」と訊くと、「それはトルコから移民で来た人たちでしょうね」とさらっと言うので驚いたのです。

 自分たちが作るものには安心と自信があって、それならば価格が高いことも許す、という考え方には、「安ければ安いほど良い」という、当時の日本の風潮よりもずっと進んでいると感じました。


    ◆    ◆    ◆
 

 相前後して、日本でもガット・ウルグアイラウンドで農産物の関税化移行とミニマムアクセスが導入されました。

 ウルグアイラウンド対策として細川内閣は、『事業費6兆100億円、国費2兆6,700億円のウルグアイラウンド農業合意関連国内対策事業費を予算執行した』と言われていますが、それはその後どのような効果を生み出したのか、どうも釈然としないところがあります。

 被害をこうむるであろう農家対策、農民対策、農村対策としての予算であったかもしれませんが、どうやらそれは国民向けの対策ではなかったようです。

 昨今のTPP参加問題で日本としては、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要5分野の関税維持を主張する方針とされていて、自民党でも5分野を関税撤廃の例外となる「聖域」として扱うよう政府に求めています。

 この先この交渉がどうなってゆくか分かりませんが、仮に求める成果が得られないままに開放されてゆくとしたら、それを防ぐのはわが日本国民の心の準備の要素も強いのではないでしょうか。

 今でも家庭がスーパーで農産品を買うときには、安い外国産とちょっと割高な国内産が選べて、国産を買うことはできます。

 しかしそうした『内食』はお米でも肉でも国内産を選べても、惣菜などの『中食』や、まして飲食店での『外食』となると、一体どこのどんな素材を食べさせられているかの表示もなければ選ぶこともできません。

 そんなことよりも関心は、宴会が3千円でできるか、4千円になるか、5千円になるかということの方が大きいものでしょう。

 各お店が、それぞれ自分たちが出す食材の産地表示などを丁寧に行って、それを店を選ぶ我々がどう考えるか、というような機会もきっかけもまだまだ少ないように思えます。

 居酒屋さんなどはときどき緑の提灯に星が描かれていて、地産地消度を表すような取り組みが行われています。

【緑提灯】 http://midori-chouchin.jp/

 TPPの議論で「入れさせるのか入れさせないのか」ということ並行して、「私たちが口にする食材をどう考えるか」というキャンペーンや運動論、価値観にももう少し火が着くような取り組みがあっても良さそうに思います。

 そうした後に初めて、単に安いだけではない安全で安心な食材を選ぶことの意味と意義が浸透して、TPPに負けない気構えにならないものでしょうか。

 ただそれにしても、国産へのこだわりが薄い砂糖や麦、あるいは海外物をありがたがる乳製品などは辛いかもしれません。

 もう充分に食料も輸入しないとやれない日本と分かっていながら、やはり食も一人一人の生涯学習が必要だと思うのです。

 

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函館の旅情

2013-08-05 23:41:21 | Weblog

 午後から久しぶりの函館出張。

 函館へのJRとなると、車両故障がなんとなく心配になりますが、そんなことはものともせずにしっかりと定刻での函館駅到着となりました。

 ただし車両は、スーパー北斗の車両ではなく代替の3両編成で、「臨時特急北斗」とされていました。

 物珍しさも手伝って、その姿を写真に収める鉄道ファンは多く、これはこれで今しか見られない人気便となっているかもしれません。

 特に先頭車両の最前列の席からは運転する様子が丸見えで、まるで運転手になったような気分になれます。これはこの席に座った人には素晴らしいプレゼントになったことでしょう。

 指定席はほぼ満席ということで、この時期に函館へ行きたい人たちのニーズは高いものがあることでしょう。

 
   ◆   ◆   ◆


 函館もまた、稚内と同様に起終点の駅です。

 稚内は、最果ての終着駅というイメージがありますが、函館にはここから北海道の旅が始まるという起点と、北海道の旅の終わりの終点という二つのイメージが重なて、やはり駅は旅情を掻き立てます。 

 中学校の修学旅行で訪れて、函館山から夜景を見たのはもう40年も前の事。

 町並みは変わっても、歴史は積み重ねられてゆきます。 

 


   ◆   ◆   ◆


 さて、大日本輿地図を起こした伊能忠敬は、現役を退いてから初めて測量の世界に飛び込みました。

 当時の時代は地球がどうやら球体らしいということはわかっていたものの、では地球の大きさはどれくらいかということに関心がもたれていました。

 これを知るには、ひとえに測量によって異なる2地点から北極星の角度を測ってその差から三角測量で割り出せそうだ、ということまでは分かっていましたが、そこに至る正確な測量を行ったものがいませんでした。

 そこで伊能忠敬は最初、江戸と北関東あたりの2地点で差を図ろうとしましたが、師匠から「そんな近くでは差が明らかにならない」とアドバイスを受け、地図作製のためという理由で北海道まで渡り、函館山から測量を開始しました。1800年の事です。

 結果として当時としては非常に精度の高い測量により現在わかっている大きさにほぼ近い球体の結果を得たのです。

 そういう意味で、函館は伊能忠敬の地図作りに置いてエポックメイキングな土地で、そんなことに思いをはせるのもまた旅のだいご味です。

 近世の歴史ってあまり学校では勉強する機会が少ないのが残念ですが、郷土史を紐解くとほんのちょっと前の先祖の姿がよみがえります。

 夏休みはそんな勉強にも良い時間ですね。  
 
    

 

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人気者になってね

2013-08-04 23:42:03 | Weblog

 本屋さんで立ち読みをしていたら、妻が道東の旅ガイドの雑誌を手にして見入っています。

 見ると、釧路、弟子屈、厚岸、根室地域の様々な飲食店やホテル、ペンションなどが紹介されいてなかなか充実しています。

 ページをめくっていると、海の眺めの良さそうな喫茶店を見て、妻が「あ、ここ連れて行ってもらったことがある!」と嬉しそう。

 あまり有名ではなく、知る人ぞ知るようなお店で自分が行ったことがあるところがこうして紹介されいるのはなぜか嬉しいものです。

 それは、こうしてメジャーになる前に実は自分はその良さをしっていた、という優越感なのかもしれませんし、はたまた、自分が可愛がっていたアイドルが出世してゆく喜びにも似た気持ちなのかもしれません。

 こういう気持ちは、いわゆる「ファン」ならではのもので、自分だけのものでいてほしい、と願う反面、もっと世間に知ってもらって有名になってほしい、という相反する自己矛盾を抱えているところでもあります。

 私は、こうして紹介されたお店やペンションは、有名になって人気が出ることがファンのためでもあると思って頑張ってほしい
と願います。

 自分のお店が繁盛することは、たくさんのファンにとって寂しくも嬉しいことなのだ、と信じましょう。

 期待される人間像には、期待に応える試練が待っているものですが、それを乗り越えるところに一つの美しい姿があります。

 いくら人気者でも、今の人気に満足してしまって向上心を失ってしまってはいけないのです。


   ◆   ◆   ◆


 道東に来た回数はそれほど多くない妻ですが、それなりのところには随分連れて歩きました。

 それでもまだまだ行ってみたいところは数多くあります。

 旅ガイドの本って、実に上手に作ってあって旅心をかき立てます。

 懐かしさと共に、郷愁を誘うひとときでした。 

 
 

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ラタン製家具って頑丈でした

2013-08-03 23:43:10 | Weblog


 【ちょうどこんな感じの家具でした】

 もう古くなったラタン(トウ)製の家具。

 五段で衣類などを収納する引き出しが入れられるタイプでしたが、角を結んでいるひも状の部分がほどけてきたので、「もうだめだね」と、捨てることに。

 捨てるにしても、大きいままでは捨てられず、袋に入るように分解することに。

 紐もほどけはじめているのですぐに分解できると思ったところ、これがどうしてどうして。紐は実はホチキスのお化けみたいな金具で固定してあるし、太い部材の結合部分は長いねじが打たれています。

「なんだ、簡単に壊れるような組み立てじゃないんだ」と思いながら、ホチキスとねじをはずそうとしましたが、ホチキスはドライバーでやっと浮かせてペンチで一個一個引き抜くのに大苦労。

 さらに木ねじのほうは、どうやら部材の中で錆びているものが多く、太目のもち手がついたもので全力でまわしてやっと回り始めるのが半分。

 残りはねじがバカになってしまうくらいにきつくて、大汗をかきました。

 おまけに"かすがい"に相当する斜めの部材にはホチキス針による隠し釘のようなものが打ってあって、これまた分解するのに時間がかかります。

 結局、たった130センチほどのラタン家具ですが、始めてから分解し終わるまでに、4時間もかかってしまいました。

 一見アジアンテイストのラタンでしたが、その裏には50本もの木ねじと150本以上のホチキス針、そして隠し釘が100本以上も使われていて、こんなに金属部材が出てくるとは思いもしませんでした。

 一見華奢に見える家具も、案外頑丈に作られていたというお話。

 結局、簡単に壊れたりしないようになっていることがよく分かったのですが、妻が一言、「こんなに頑丈だったら、紐が取れたくらいってなんでもなかったんだね…」

 まだまだ使える家具だったみたいです。ふー、疲れた…。 

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左と右の違い

2013-08-02 19:29:20 | Weblog

 「左進右退(さしんうたい)」という言い方があります。

 これは古来からの武道や神道での礼法で、進むときは左足から進み、退くときは右から退くという歩き方です。 

 神道の世界では、左が右より優先するという考え方が込められています。

 古事記では、男神イザナギが、死んでしまった女神イザナミを取り戻そうと黄泉の国へ行き、結局は失敗してほうほうの体でこの世へ戻ってきたときに、『筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐原(あわきはら)』という小川で禊(みそぎ)を行いました。

 そしてそのときに、体や持ち物を禊ぎ、清めるたびに様々な神様が誕生するのですが、最後に左目を洗った時にアマテラスオオミカミが、右目を洗った時にツクヨミの命が、そして鼻を洗った時にスサノオの命が誕生したと記されています。

 ここでも既に、左目から太陽神が出て右目から月の神が出てきたということで左がより尊いという考え方が見えてきます。

 神社の境内を歩くときも、左周りに回って帰ってくるのが良いとされています。
 
 ちょっとしたことですが、知っていると役立つこともあるでしょう。


   ◆   ◆   ◆

 さて、その昔バイクに乗っていた話を昨日書きました。

 バイクでは一度だけ、カーブを回りきれなくて側溝に滑り落ちる事故を起こしたことがありました。

 バイクでカーブを曲がるときは、車体をカーブの内側に倒して遠心力とバランスをさせますが、このときのスピードと車体の傾け方は練習で慣れるしかありません。

 私としては乗り慣れた中で、十分に減速していたつもりだったのですが、思いの外早く体を起こしてしまったようで、遠心力で曲がりきれなくてカーブの外側に走り出てしまったのです。

 幸い道路の左側は雑草の生えた斜面の側溝で、高さは2m程でしたが、ズルズルと滑り落ちるだけで大きな怪我もなく、ウィンカーの破損程度で済みました。

 ところで今思い返すと、このときのカーブは右カーブ。

 バイクの世界では、「左カーブよりも右カーブの方が曲がりにくい」ということが定説になっています。

 また、ライダー100人に対してそれを問うたサイトがありました。 

 
【バイクで左カーブよりも右カーブの方が曲がりにくいか】
 http://bit.ly/137bIs7


 アンケートの結果は、左カーブよりも右カーブの方が曲がりにくいと考えている人が多く、なんとなく正しいようにも思えますが、右利きの人にとってそうなのか左利きの人でもそうなのか、といった細かい分析まではされていなくて、もやもや感が漂います。

 
 ただ少なくとも私の感覚としては、明らかに左カーブはすっと曲がれるのに対して、右カーブの際は「おっとっと」とややおぼつかない感じがしていました。

 またバイクの事故の新聞報道を注意していると、右カーブで起きている事例が多いようにも感じています。

 日本は左側通行なので、左カーブは回転半径が小さく、右カーブは回転半径が大きいからでは、という意見もありますが、どうもそれ以上に生理学的な右カーブのおぼつかなさが印象的です。

 スキーで曲がるときは重心移動だけではなく膝やエッジの使い方の方が影響が大きいような気がして右カーブが難しいという印象はありませんが、自転車だったらどうでしょう?

 まさかここにも神様の力が及んでいるとは思えませんが、人体の不思議の一つなのでしょうか。

 どっちがどっちだったか、右往左往しませんように。

 

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