そういえば、北海道をバイクで旅行する人たちの姿がめっきり減りました。
実は私も30年ほど前の20代半ば頃に、エンジン排気量400CCまで乗れる自動二輪中型免許を取得して、さらにヤマハのXSという250CCのアメリカンタイプのバイクに乗っていた時期がありました。
もっぱら通勤などでしか使っていませんでしたが、ある夏に思い切って3泊4日で道東方面を旅するバイクツアーを敢行。
宿泊は民宿や職場が保有する宿泊施設として、テントで野宿をするようなワイルドな旅ではありませんでしたが、それなりに冒険でした。
当時は本州からも夏休みを利用してバイクの集団で道内ツアーをする人たちが多く、ブンブン言いながら走ることから「ミツバチ族」などと言われていたものです。
私の場合は単独での走行でしたが、バイク同士がすれ違う際には右手を斜めに挙げて挨拶をするのが慣例となっていて、初めて走ったときに皆そうやって挨拶してくれるのが嬉しかった思い出があります。
すれ違うバイクに皆挨拶をしていたら、あるバイクは魚箱をくくりつけた地元のおじさんで、無視されたのも笑い話です。
トイレのある駐車場などはバイクのたまり場で、景色が良いところだったりするとお互いに声を掛け合って一緒に写真を撮り、互いに送ったり送られたりもしました。
しかし最近は、ドライブをしていてもとんとバイクでのツーリングを見かけなくなりました。世間の人たちのバイク離れが進んでいるようです。
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バイクも売れなくなったようで、日本自動車工業界による二輪車の販売台数は、1980年に237万台だったのが2012年には40万台になりました。
そのうち原付に限ると、1980年は198万台だったのが2012年には24万6千台と8分の1、250CC以上の小型二輪車に限ると、1980年に10万3千台だったのが、2012年には2万6千台と4分の1に減りました。
若者人口の減少、若者の収入の減少、パソコンやゲームなど室内活動の増加、駐輪場の減少、免許取得の煩雑さなど要因は様々でしょうけれど、まあ世間全体がやんちゃなエネルギーを無くしておとなしくなっているとも言えそうです。
かくいう私も結婚と同時にバイクからは離れ、物置の奥に眠っていたバイクも数年後に廃棄され、それ以来乗ることもありません。
時代は、エンジン動力を使うようなレジャーがなんだか恥ずかしくなってきているような気がします。
サイクリングやカヌー、マラソンに登山や釣りなど、静かで自らの人力を頼りに行えるようなものは、LOHAS(ロハス、ローハス=Lifestyles Of Health And Sustainability)として人々の心をつかんでいるようです。
そういうことに反発して爆発しようとするのはまた昔青年だった中年ばかり。
日本という国全体が熱いエネルギーをもつ時代はもう来ないのかも知れません。
ちょっと寂しいような気もしますが、それが成熟した国ということで良いのかどうか。