北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

宮崎駿監督の引退

2013-09-02 22:54:22 | Weblog

 宮崎駿監督が引退する、という衝撃的なニュースが世界を駆け巡っています。

 ロイター通信は、「『日本のウォルト・ディズニー』とも評される監督」と伝え、AP通信は「アニメ界で最も成功した監督」と報道したとのこと。

 ネットには、「引退と言ったのはこれで五回目。また次があるのでは」と考えているファンの声も多いようです。

 72歳という年齢が高齢で、もう絵コンテを描き台詞を考え、期待や批判を全て背負うにはもう気力がない、ということなのかも知れません。

 しかしそれにしても、ジブリアニメをここまでブランド化させた稀代の名アニメ監督と多くのファンが賞賛していて、引退を惜しむ声が止む様子はありません。

     ◆   

 宮崎監督ほどアニメ映画のことばかり心底まで考えていると、我々が考えるような無難で安心できる映画はもう気に入らないようで、今回の「風立ちぬ」では、主人公、堀越二郎役の声優として映画監督の庵野秀明監督(53)が起用されました。

 私も映画を実際に観て、本業ではないだけに庵野さんのちょっと棒読みっぽい台詞に、一瞬違和感を感じましたが、世間でも賛否は両論で、「聞いていると味わいが出てくる」という人もいれば、「本業じゃないだけに下手だ」という声もあります。

 しかし、そうやって何かにつけて世間が関心を持って騒ぐところにこそ、もはや芸術としての、一人一人の鑑賞の楽しみがあります。

 そしてそれこそが芸術家として、「俺の作ったモノを勝手に評価してくれ」と言った孤高の高みがありそうです。

     ◆   
 
 かつて、大学入試の国語の問題で、「この文章で作者が言いたかったことは何でしょう」という問題に、出題された文章の作者が不正解だった、という笑い話があったのですが、映画で宮崎監督が何を伝えたかったのか、などという問いには答えはなくて、「まあただ感じるままに作った」ということで良いのかも知れません。

 「お疲れ様でした」と言いたい反面、まだまだ活躍して欲しいものですし、「長編アニメからは引退」という言い方が、「まだ短編ならアリですよね」とか、「総監督として、若手の作品をチェックするだけでも良いのでは」という期待が残るのは当然と言えるでしょう。


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 絵師による一品モノの肉筆画もあるという浮世絵ですが、浮世絵と言えば大方のイメージとしては多色刷りの木版画となるでしょう。

 これは江戸時代中期に技術的に多色刷りに耐えられる和紙が確立したことと、経済の発展と共に分業体制ができあがったことが背景としてあげられていますが、良い絵師が描く絵を、下絵師、彫師、摺師と複雑な工程にわけて多くの職人が支えたのが工房の実態だったようです。

 もっとも、有名な絵師が描く絵だからこそ売れたということなので、宮崎駿さんもそうした有名絵師に相当するのでしょうか。

 しかし、ディズニーアニメだって、ウォルト・ディズニーがいなくなったあとでも技術やノウハウ、クリエイターたちの才能を駆使して今日でもなお、良質のアニメ映画を配給する集団として活躍しています。

 スタジオジブリも、宮崎さんの引退で消えてゆくのではなく、多くの才能がよってたかって支えて、いつまでも日本を代表するアニメ映画製作会社として活躍し続けて欲しいものです。

 まだまだ夢を見させて欲しいジブリファンは多いのです。

 

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