【by googlemap】
一般社団法人日本建設機械施工協会主催の現地見学会に参加して、三笠氏の石炭露天掘りを行っている砂子炭鉱を見学しました。
以前から北海道には何か所か石炭の露天掘りが残っているとは聞いていたのですが、実際に現場を見るのは今日が初めてです。
石炭の露天掘りというと、映像としてはオーストラリアでものすごく広い荒野で巨大な重機が平らな土地をガンガン削ってゆくというようなシーンがあったことを思い出します。
しかしここ北海道での露天掘りはそういうものとはかなり様相が違いました。
炭鉱の場所は三笠市から富良野に抜ける道道116号線を桂沢湖へ行く途中で北へ入った山の中です。
見学会は25人が参加して大型バスで向かったのですが、炭鉱の現場は大型バスでは入れないとのことで、炭鉱を経営する砂子組さんの車に分乗して現地へ向かいました。
現場が近づいてくると始めは沢沿いの道が急な斜面のつづら折りに変わります。
そして出てきたのは長大な斜面の周りを巨大な重機が動き回る広大な現場でした。
初めに基礎知識として理解しておきたいのは、炭鉱の炭層というのは石炭の部分と石炭ではない岩の層が交互に重なっているという事。
そのため岩の層を崩して石炭層を露出させるためには岩はどこか別な場所に一時退席しておいて、炭層の部分を露出させてこれを掘り取るのが露天掘りというわけです。
ただこの手の石炭層はしばしば地層全体が斜めになっていたりもします。
ここ三笠の砂子炭鉱も東側から西側に深くなるような地層になっているのだそう。
そのため土を水平に掘り下げてゆくと、敷地の東側でまず炭層が現れてきます。
そこで石炭を掘りながら西側の部分を次第に掘り下げて行き順番により深い石炭層を掘り崩してゆきます。
さらに地層を掘り下げると次には数メートル下に次の炭層が現れてくるのですが、これをまた上と同様に西側へと深く掘り進んで石炭を算出し、これを炭層ごとに繰り返します。
こちらでは全部で5つの炭層を掘るのだそうですが、下へ行くほど地層の密度によって良質の石炭が採れるそう。
石炭を採掘するためにはその何倍もの石炭ではない岩を削っては動かすのですからなかなかに大変です。
こちらでは全体の敷地を5工区に分けて今はその最後の5工区めで採掘をしているそう。
聞けばあと4年ほどで掘り下げる限界になるので採掘はそこで終了。
併せて、こちらの石炭で発電をしている北海道電力砂川火力発電所も老朽化を見越して2027年3月で廃止を予定しているとのことです。
この背景には発電時のCO2排出が問題となる石炭火発への風当たりの強さもあるようですが、ウクライナ問題で露呈した我が国のエネルギーの海外依存度の強さを考えると、国内で算出できる安価なエネルギー源としての石炭は結構重要な資源です。
最近は石炭火力発電でも、石炭を燃焼させて作る蒸気を従来よりもさらに高温、高圧にして発電する『超々臨界圧発電方式(USC)』と呼ばれる技術が確立しています。
これによれば、熱効率が高いため従来に比べて燃料使用量が少なくてすみ、世界の石炭火力発電によるCO2排出量を大幅に削減できることも期待されます。
エネルギー源は、多様な場所から多様な形でしかも安定的で安価に使えるという事が求められるので、石炭はそういう面では有望な資源です。
北海道には約100億トンの石炭の埋蔵量があると推定されているそうですが、明治以来これまで北海道で採掘された石炭はまだ9億トンにとどまっていると聞いてびっくり。
もう掘りつくしてしまって終わるのかと思いきや、まだまだ余力がある資源。
まあ未来のために取っておくという選択もあるのかもしれませんが。
◆
こちらの現場は国有林の土地を借り受けて石炭の採掘許可を受けているそうで、採掘が終わったところは埋め戻して緑化をする義務を負うています。
既に1、2工区は埋め戻されて白樺やハンノキなどの植樹も行われて緑化復元工事がなされていました。
石炭も掘るだけではなくその後の始末まで責任を持つのですから大変です。
エネルギーをもっと大切に使わなくてはいけないな、という思いに至る大変な現場でした。
見学会の最後には石炭層を砕くための発破の様子も見せてもらいました。
目の前の爆発よりも先に足元に衝撃が来て驚きました。
【発破直前】
【発破直後】
北海道のエネルギー貢献の一面を知る貴重な見学会でした。
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