先日北海道開発局から研修講師の依頼の封書が届きました。
中には依頼する研修の内容や使用する資料の取り扱いについてなどの事務的な文書が入っていたのですが、そのなかに承諾書の様式が一枚入っていました。
基本的には講師依頼が承諾されることはわかっているのですが、形式的に承諾書を返送しなくてはなりません。
開発局の事務方が作成した文書に当方の支店長の印鑑を押して承諾書が完成。
「小松さん、決済がおりましたのでこの形で送りますね」とうちの事務の若手社員が承諾書を見せてくれました。
「おお、ありがとう、どれどれ…、お、おいおい~」
ふと見ると、大事なことが抜け落ちています。
先方からの文書は承諾書の宛先である局長の名前のあとに「開発局長…あて」とされたひな形になっていました。
「これは、『あて』のところを二重線で消して『様』に書き換えなくちゃいけないじゃないか」
「あ、そ、そうですね」
大丈夫かなあ、とさらに見ていると、承諾書を発送する当方ことを慮って、「御所属」「御氏名」とありました。
「ここは『御』を消さないといけないよね」
「ああ、すみません、すっかり見落としていました」
承諾書を返信する封筒も見てみると、研修室「行」になっていて、「これも御中に書き直しだな」
こうやってじっくり見ると、開発局の事務方は実に丁寧なビジネス文書の型にのっとった形の公文書を作成して送ってくれました。
元公務員の私から見ても(ちゃんとしているなあ)と思う反面、もしかしたら受け取る側にこういうビジネス文書に対する備えがもう欠けているかもしれないと感じました。
さらには、このような公文書も見方によっては丁寧に見える反面、そこは二重線で消さないと失礼だ、などというのは非効率に見えるかもしれません。
デジタル時代には「ご承諾いただけますか」「承諾します」というやりとりのメールで良いという時代にならないのでしょうか。
ビジネス文書などと言うものが死語になるときも近いのか、いや、新たなデジタル時代のビジネス文書の型というものができる時代なのかもしれませんね。