先日ある大学の教授と会って、最近のコロナ下での大学事情について教えてもらいました。
「4月からは新入生も一度も登校しないままにリモート授業というところが多い、と聞いていますが」というと、「あ、それは全くうちも同じです。新入生は可哀想なことにまだ学校に来たことがないんです」とのこと。
「今後はどうするんですか?」
「理系の大学なら実験など、大学に出てこないといけない単位もあって大変しょうね。うちは文系だからそこまでのことはありませんが、それでも後期からは対面のゼミをすることにしました。さすがに学生さんたちもリモートばかりでは飽きがきているように感じますよ」
そもそもリモートで始まった今年の授業に学生さんたちはついてこれたのでしょうか。
「それ以前に教職員もリモートで始めるのに四苦八苦していましたけどね(笑)。はじめは『リモートの授業なんて学生には身に着かない』と言っていた人たちも、『それしかやりようがないんだから、それで成果を出さなきゃ』という声に沈黙して、そこからはどうやったらやれるかを日々苦悶しながら取り組んでいますよ」
はは、なるほど。まずは教職員側の問題でしたか。
「学生たちはこれまでは一生懸命に取り組んでいますよ。パソコンがないという子たちもスマホはありますからそれで視聴していますしね」
「そうか、オンデマンドで録画画面だったら何度も見られるんですね」
「実はそうなんです。語学の授業なんかだったら教科書があるし、繰り返し見られるビデオ授業で真剣に取り組めばかなり身に着くと思いますよ。ただねえ…」
「ただ…なんですか?」
「リモートだと教師の側が課題を出しがちで、学生さんは課題漬けになりがち。まあ『日本の大学生は勉強しない』なんて言われていることを思えば、かなり強制的に勉強しなくちゃいけないのもリモート授業かもしれませんね」
なるほど、悪いことばかりでもないのか…な?
「しかしさすがにその環境にも疲れているのも事実でしょうね。やっぱり若いから友達と集まってバカな話もしたいだろうし、そういう友達との交流が今は難しいというのが可哀想です」
アフターコロナの大学の授業風景はどうなるのでしょうか。リモート授業がなくなることはないんでしょうね。
「良い面を捉えれば、いまここにいなくても授業が受けられますよね。北海道におらず本州の自宅にいたって授業は受けられるんです。なかには引き籠り気味な学生もいたりして、そういう子でも家で授業が受けられる。まだ初めての経験の真っ最中なので教師の側も授業準備が大変ですが、良い面を捉えて生かせばいろいろな可能性が広がると思います。
コロナに対応した授業の在り方や評価の仕方、授業の準備などはまさに今霧の中を走っているようなものでしょうが、その先に落ち着いた時の時代の変化を先取りするような動きがあると言えるでしょう。
ピンチの中にあって、それに対応する変化の芽をいち早く見つけて生かすことが大切なようです。
つい自分が大学生だったころの楽しさを思い返してしまいますが、今の学生さんたちにも楽しくて幸せな学生生活を送ってほしいものです。