今日は、「北海道の地域とみちをつなぐネットワーク連携会議(通称:みちネットの会)」の総会に出席しました。
冒頭で、この会の代表を務める、紋別のホテルのお嬢さんである田中夕貴さんが挨拶。
この方、こういうときには「道」という字が織り込まれた着物で登場するのですが、このお姿が中央官庁や政治家の皆さんには大受けで、アピール度満点なのです。
挨拶は、昨年の道路の整備の状況に触れて、現状を憂う言葉がほとばしりました。
「昨年は、日高道と富良野自動車道と後志自動車道の3カ所で高規格道路が一部開通しましたが、平成という時代はもっと道路ができると思っていました。
昨年は東京で「命の道づくりを考える臨時大会」を開催しましたが、もう私たちはこれ以上道路ができるのをじっとは待てない、という思いの発露でした。
北海道の地域の医療や経済を発展させるためにももっと時間距離を短くする地域作りを進めてほしいのです。
もれ聞いたところでは、近年は新規開通は大体10kmごとに進むのだそうです。しかし今北海道に、今後整備すべき道路、つまり残事業がまだ500kmあるのです。
新規路線整備のために私たちは地域の声と要望をまとめて、地元や中央の政官界に要望活動を繰り広げていますが、単純計算であと50回も要望をすることになります。
しかも一カ所の整備が決定するまでには、それぞれ3回ほど計画段階評価をクリアしていかなくてはなりません。
こんなペースでは、今の残事業が完成するのには何百年もかかるわけで、私たちの世代ではその完成の姿を見ることは到底できません。
北海道の農業や観光、産業を発展させるためにも、高速交通ネットワークを早く整備して後世に残したいと思って活動を続けています。
どうぞご支援をよろしくお願いいたします」
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高速道路インフラも、自分の身近な区間では整備されてしまったところではもう関心が薄れてしまいかねません。
それがさらに延伸してこそより大きな経済効果が発露されるのですから、北海道全体を一つとして俯瞰してみる視野の広い視点が必要です。
このような状態では観光振興を語る資格があるとはとてもいえそうにありません。
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総会の後では講演会があって、今日の講師は、㈱北海道二十一世紀総合研究所特任審議役の木本晃さんが「憧れられる北海道を、創る」というお題で話をしてくれました。
話の中で印象に残った点は以下の通りです。
・昨年度末に、楽しい国 日本というビジョンを観光庁が創りました。
・北海道に期待されているものはなに?
・キーワードは、プロダクトアウトからマーケットインへの転換で、求められていることをやりましょう。
・旭川ラーメン村では、外国人が来るとスープを少し薄く出すのですが、これは食べる人の好みに合わせたやりかたで、こういうことが求められている。
・北海道では2045年までに人口は400万人になります(今は約530万人)」
・179市町村のうち120市町村は人口が5000人を切ると言われています。
・娘の代ではなくて、孫の代の社会を創らなくてはなりませんが、そのためには、
◆人口は減っても元気な人を増やしましょう
◆交流人口を増やしましょう
◆関係人口を増やしましょう
・特に、三つ目の「関係人口」というキーワードがこれからの考え方になりそう。
・それは、定住人口を増やそうというのは、単に人の奪い合いになるだけで、それよりは、自分が関わりをもって一年のうちの少しの期間でも訪ねたり遊びに行ったりするような、人と土地との関係性の向上のこと。
・総務省が関係人口を増やす事業に取り組み始めていて、「関係人口を創出するモデル事業」もやっている。
・「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
木本さんから、「関係人口」という新しいキーワードを教えてもらいました。かつては交流人口と言ったものですが、単なる旅行先というよりはもう少しかかわりの深い関係性を期待しているようです。
こういうことのためにも、便利な地域社会でなくてはならず、そのためにも短時間で移動できる高速道路が必要なのですが、インフラなしで理念がなりたつのでしょうか。
頭の片隅に「関係人口」というキーワードを残して、勉強してみたいと思います。