北海道の鉄道関係ではもビッグネームの一人である永山茂さんをお訪ねしました。
永山さんは大手旅行代理店の(株)日本旅行のグループ企業である(株)日本旅行北海道で新規事業室長と地方創生推進室長という立場でお仕事をする傍ら、鉄道愛好家団体である「北海道鉄道観光資源研究会」の代表を務め、鉄道による地域振興活動を行っています。
永山さんとはもう何年も前にお会いして以来、それほど深いおつきあいでもないのですが、SNSでは繋がっていて、お互いになんとなく知り合っているという仲でした。
それが、今回都市計画学会北海道支部で、「鉄道遺産・鉄道資産を生かしたまちづくり」というテーマでセミナーを行おうという段になって、(これは一度、北海道鉄道観光資源研究会の代表の永山さんにご相談してみよう)と思い立ったのです。
永山さんは旅行代理店でいながら鉄道ファンとしての鉄道と地域を盛り立てる活動を長くされていて、「趣味と実益を兼ねています」と笑います。
地域活動の原点は、鉄道が廃線になった跡地を観光対象として見て廻るツアーである「廃線探訪シリーズ」を作ったところ、これが大人気を博し、鉄道オブザイヤーでルーキー賞を取るほどに注目されたことだったのだそう。
地域の方にとってみれば、もうなくなってしまった鉄道の痕跡にわざわざ見に来るような価値があると考えられないところですが、鉄道ファンならば立派に観光対象となる魅力があるということでした。
北海道鉄道観光資源研究会は任意団体として、鉄道を残せれば嬉しいけれど、無くなってしまったものでも価値を生かせるのではないか、という視点で活動する団体です。
かつて国鉄がJRに変わった時に継承されなかった様々な資料でも、関係者の遺族などから寄せられて、それが希少な資料だったりすることもあるようで、まさに素人ではわからなくても鉄道ファンならばその価値に気が付くということがあるのでしょう。
今日は都市計画学会として進めたいセミナー計画をお話して、いろいろなアドバイスをいただいたのと共に、お互いに協力できるところはしていきましょう、というお話もできました。
永山さんが調べたところでは、道内179自治体のうち実に9割の自治体が、なにかしら鉄道にゆかりがあるのだそう。
道内に残る鉄道遺産、鉄道資産を上手に生かしてそこに少しでも新しい価値を見出したいところです。
実は永山さんは、海外の鉄道事情にも詳しくて、台湾ではかつての鉄道路線が一度廃線になったものの、それが今やまた観光資源として注目されて再興を果たしているのだとか。
「台湾の事例なども面白いと思いますよ」と言う永山さんから、いつかそうしたお話も伺ってみたいところです。
鉄道がなくなってもできるまちづくりとは何か。
鉄道ファンの皆さんからも協力をいただいて、これから大いに考えてみようと思います。