以前伺った地方都市での農業の話。
どこの町も同じでしょうが、人口が減り農業人口も減っています。
ただその分は機械化と大面積化で効率を図り、大規模農業への変貌を図ろうとしているとのことでした。
「ところが、農業用機械はどんどん大型化しているのに、道路や橋などのインフラは昔のままです。機械は海外製で必ずしも日本の規格を意識するわけではありません」
「ははあ、なるほど」
「それに作業をするときは、ホースを背負ったり、薬剤を噴霧するようなスプレイヤーと呼ばれるような付属機器を装着して移動します。するとますます移動するときに幅が必要になります。狭い橋だと欄干にぶつかったりするからです」
「どうするんですか?」
「もちろん、その橋は通れないので、ぐるっと遠回りをすることになります。すぐそこにある圃場に行けずに遠回りをせざるを得ない。機械力で効率化をしようとすると、非効率が増すというのは矛盾ですね(笑)」
「効率化を古いインフラが阻害しているというのでしょうか」
「すでに出来上がっているインフラも時代遅れになることはありますよね。ただ維持管理をするだけではなく、やはり積極的な投資によって効率化を促進するインフラに衣替えをするようなことも考えるべきだと思います」
既に多くの道路や橋が出来上がっていて、もう新しい施設はいらないのではないか、という声をよく聞きます。
しかし時代が発展するためには、常に新しい時代に即したインフラが必要となります。時代遅れのレガシーになってしまっているのだとしたら、どうあるべきでしょうか。
人口減少をイノベーションと効率化で乗り越えなくてはならない我が国のありようとして、いろいろと考えさせられました。
産業の現場もそうですが、一人一人も時代の進歩についていこうという強い意志が必要になるのだと思います。今何が必要か、を考えて実践をする「生涯学習」は生き方の作法として必要なんだと思います。