掛川の知人から、「最近妻が蕎麦打ちを始めたのですが、どうも美味しくないのです(笑)美味しい蕎麦のためにはどのあたりにコツがあるのでしょうか。汁の作り方も教えていただければ幸いです」というメールが来ました。
いろいろとお世話になった方なので、何とかしてあげたいと思うのですが、手の技は目で見て実際にやってみてナンボのところがあるので、文字だけで伝えるのは至難の業です。
それでも文字で書ける数少ないアドバイスと言えば、なんといっても、『美味しい蕎麦粉を手に入れなさい』という一言。
美味しい粉というのは、美味しい産地の蕎麦粉を挽き立ての状態で手に入れるということです。手打ちそばの技といったところで、所詮口に入るものは蕎麦粉を茹でたものなのでこれが不味ければどんな蕎麦打ち名人だって美味しい蕎麦は出せません。
美味しい蕎麦粉さえ手に入れば、美味しい蕎麦の必要条件の80%は超えたと言って良いと思います。
ではどうやってそれを手に入れるか。スーパーで売っている蕎麦粉は論外として、産直市での蕎麦粉も良さそうですがいつ挽いたのかが分からないのでお店の人に確認して買いたいもの。
蕎麦イベントで100人前以上打つようなときは、信頼できる製粉工場から10kgの袋で買ったりしますが、我々素人がちょっと手打ちで食べてみようというくらいなら、食べて美味しかったお蕎麦屋さんと仲良くなって、そこから売ってもらうのが一番確実な方法の一つです。
そういう意味ではまずは「蕎麦が美味しい」ということが分からないといけませんし、やっぱりまずはお蕎麦屋さんを食べ歩かなくてはなりませんね。
美味しいお蕎麦屋さんは粉の産地や挽き立て状態にこだわりがあるので、美味しい蕎麦粉が手に入ります。
本当はそれだけでも良いのですが、蕎麦打ちの技を身につければ、一つのお店の味だけではなく蕎麦粉に浮気をしていろいろなところのいろいろなお蕎麦を食べられるというわけ。そういう技があるとやっぱり便利です。
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それが一つ目のアドバイスとして、二つ目のアドバイスは、『掛川にいるのですから、掛川蕎麦研究会のイベントに参加してコツを教えてもらうと良いですよ』というもの。
徒然草にもある通り、「何事にも先達はあらま欲しきことなり」なのです。
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さらに汁ですが、"かえし"と出汁の組み合わせなので、それに適した材料とその分量で味も千差万別に変化します。このあたりもコツは先達に訊くに限ります。
掛川ならば伊藤鰹節店という良いお店がありますが、札幌で私が頼りにしているのは白石区菊水にある『大熊商店』さん。
こちらは先代が高知県のご出身だそうで、質の高い鰹節が手に入ります。
また北海道蕎麦研究会とも仲が良くて、鰹節だけでなく醤油、みりん、ザラメ砂糖と"かえし"に必要な材料も売っていますし、美味しい汁の作り方レシピも教えてくれます。
こちらの鰹出汁で蕎麦汁を作ってみましたが、やはり格段に美味しくて大満足です。
肝心の大熊商店さんはこの情報時代にホームページひとつなく、商売をする気があるのかね(笑)と心配になりますが、品質は蕎麦研メンバーのお墨付きです。
こういうお店にたどり着くのも実は人の繋がりがあればこそなんだと思います。
お店で商品を買い求めるときでも、蕎麦研の名前を出すだけでお店の方の(なんだそうなの)という笑顔で話が弾み、予期せぬ深い情報なども手に入ったりするのです。
蕎麦打ちでも釣りでも、分からないことはどんどん人に訊いて納得を繰り返しましょう。
人生は案外短いもの、躊躇している暇はありません。
【大熊商店(タウンページより)】 http://bit.ly/SsAXXp