北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

農業の行く末~阿寒野菜組合50周年

2011-11-19 23:45:16 | Weblog
 阿寒野菜組合が設立50周年を迎える記念の式典に出席してきました。

 阿寒地区の野菜組合は昭和37年に設立されて、それまで個人の農家単位でやっていた農業を、組合として共同化し、種子などの共同購入、共同販売、自主検査などから事業を始めたのだそう。

 セリもかつてはだんだん値下げする方式だったのを値上げする方式に変えるなど、市場の改善にも取り組むなど、創業当時の苦労話がいろいろと聞けて勉強になりました。

 中でも、「昭和40年代は、作っても作っても赤字という年が続いて本当に悩んだ。やがて東京へ直接送り込むという事業などもやってみて神田市場で釧路物産展をやったのが思い出に残っている」という苦労談を聞くと、先人達のご苦労がしのばれるというものです。



   【歴代組合長さんたちへの感謝状贈呈】


 来賓祝辞に立った地元農協の幹部の方からは、「野菜というのは、米や酪農など他の農業品目に比べると、実に奨励金や補助制度などが少ないのです。それなのにこの野菜組合さんたちは多品種にわたって、その特徴を生かして経営を維持されておられます。だからいつも私は、『経営は野菜に学べ』と言っているのです」と述べられました。

 家庭菜園などで野菜なんか簡単に作れそうに思われそうですが、ビニールハウスなどの装置の助けを借りながら経営を安定化させ、家庭を維持するというのは容易ではありません。

 ハウスのホウレンソウなどは年に4回も収穫するのだとか。プロはやはり違います。


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 食料の国内自給率が低いのは周知の事実ですが、それを改善する目標がある中でのTPP交渉に参加するという野田総理の決断。

 安い海外の農産品が入ってくると日本の農業は壊滅的な影響を受けるという立場から北海道内では各自治体とも一体となって交渉参加に反対してきましたが、もはやサイは投げられたとなると、交渉によってどれだけの物が守られるかということに視点を移した運動を展開してゆかなくてはなりますまい。

 ネットでは「コメ『高くても国産』89%…読売新聞世論調査」などという記事も出ていますが、(http://bit.ly/vBxGRI)家庭で買い物をするときは気をつけても、ひとたび外食やお弁当などの中食になったときに、米だけでなく野菜など他の食材も国産であるという表示が義務付けられていないなかで割安な提供価格にどれだけ私たちは耐えられるでしょうか。
  

 これまで4千円の飲み会が3千円でできるとしたらそのカラクリにどれだけ不安を感じるでしょう?

 またその消費が国内産業育成に正しく回っているのかどうかなどに頭が回るでしょうか。少なくとも私自身、会食の際に今日の国産率がどれくらいか、などと考えることはありません。

 国産率を選べるメニューだって見たことはありません。

 
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 かつてドイツを訪ねた時に、スーパーに牛肉は高いものと安いものの二種類の価格帯で売られていることを知りました。

 通訳の方にそのわけを尋ねてみると、「高いのは国産の牛肉で、安いのは輸入です。どんなものか分からないので私たちは国産しか食べません」ということでした。

「では安い牛肉は誰が食べるのですか?」と訊いてみたところ、「それはトルコあたりから来た移民の人たちですね」とのこと。

 国内での経済格差が購入する食材をも分けているということでしたが、今の日本であえて国産を買うべきという世間の良識を形成することができるでしょうか。

 今後の行く末を見つめながら、農の問題を考えてゆかなくてはならない、と野菜組合さんの会合で考えるのでした。

 大変な時代が到来することになりそうですが、それをまた活力に転換できるでしょうか。よく考えてみたいものです。
コメント
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