北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

今年もししゃもの親魚漁はじまる

2011-11-29 23:45:58 | Weblog
 昨夜からししゃもの親魚(しんぎょ)の捕獲作業が始まった。

 ししゃもはキュウリウオ科の小魚で北海道の太平洋側だけで獲れる日本固有の魚。ノルウェーシシャモ(カペリン)などと称して売られているのは、同じキュウリウオ科の魚でもシシャモとは別なので注意してくださいね。

 さて、ししゃもはこの時期になると新釧路川や白糠の庶路川へ遡上をして上流域で自然産卵をして稚魚になります。

 しかしそれではこころもとないということで、地元釧路漁協では新釧路川と庶路川においてふ化放流事業をしています。

 ふ化事業の目標は、ふたつの河川のふ化場のためにそれぞれ三億粒を採卵すること。なんといっても欲しいのはメスの数ですが、昨年はオスばかりで目標に大きく届きませんでした。

 そのせいか、今年のししゃも漁も冴えない日が続いています。

 資源を守るために漁期を10月25日から11月30日までの期間として、さらに釧路海域での漁獲割り当てを600トンとするなど、厳格な漁の管理を行っていますが、今年は水揚げがその割り当てに遠く及んでいないのだそう。

 せっかく市役所でも魚のブランド化事業として釧路ししゃもとトキシラズを取り上げて、一匹の単価を上げて付加価値を高らしめようという取り組みを行っているところなのですが、肝心のシシャモが獲れていないとなると残念なことです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 今日は親魚捕獲のための仮設の事務所が川のほとりに開所されたことにともなうお祝いの挨拶に来ましたが、せっかくなので最初の一網の成果を見せてもらうことにしました。


   【網をそろそろ巻き上げます】


「今年は随分あったかいなあ」と漁業関係者が声を上げました。そういえば昨年はもっと寒かったような気がします。

 親魚の捕獲は、小舟で川の真ん中まで網を張り、それを岸で巻き上げて取り込むという形で行われます。

 冷たい川の中へドライスーツに身を包んだ男たちが入っていき網を次第に絞り込んでゆくと、ぴちぴちと銀色の魚が跳ねるのが見えてきます。


   【おら、もう少しだ】


 時折混ざっている40センチくらいのアメマスはぼんぼんと川の中へ放り込んで返します。

 やがて「バケツもってこい!」「生簀(いけす)!、生簀!」と怒号が響きます。

 バケツですくわれた魚はすぐに調査台に運ばれてそこでオスとメスの比率を調査します。


   【元気のよいししゃもが暴れています】


「どうですか?」と訊いてみると、「八割がたメスですね」と幸先の良い成績。この比率と獲れた量をパソコンで管理しながら、全部で6億粒の卵の確保を目的に一晩に数度の網入れを行って漁が続きます。

 
 寒い中で冷たい水の中での作業が続きます。関係の皆さんの無事故と安全、そして所期の目標が達せられるようにお祈りします。

 こうやってとれたししゃもなのです。どうぞおいしく召し上がってくださいね。 


   【手早いオスメス調査は職人芸です】 
コメント
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