北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

長く揺れたら津波が来る

2011-11-28 23:45:04 | Weblog



 北海道新聞が主催する道新政経懇話会。

 今日のテーマは「東日本大震災と地域の備え」で、講師は中央防災会議のメンバーでもあられる東京経済大学教授の吉井博明さん。
 
 東日本大震災で改めて津波による被害の恐ろしさを知ったうえで、北海道東部太平洋沿岸で予想される地震と津波被害を学び、『津波災害文化の定着』について考えようというものです。

 中央防災会議ではすでに平成18年の時点で日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の地震像について、8つの地震パターンを検討の対象としています。

 それらは、十勝沖地震、根室沖地震、それらの連動、色丹島沖地震などがあり、そのなかに既に「500年間隔地震」をも想定しているのです。

 そして特に、、500年間隔地震では津波を伴うために揺れによる被害とは比較にならない大きな被害があるとしています。


【津波ではとにかく逃げろ!】
 500年間隔地震による津波の想定としては津波到達時間が三陸津波と同様に30分とのことですが、道東の人たちは三陸の人たちと違って津波慣れしておらずなかなか逃げないことが考えられると警鐘を鳴らしていました。

 また地震津波の対応原則は非常にシンプルなのだと言います。それは、『強い揺れが長く続いたら即高台に避難しろ』ということ。

 この原則さえ守れれば、人的被害は最小限に食い止められるはずなのですが、様々な要因がそれを妨げます。

 まずは「大変だがまあなんとかなるだろう」という安全に考えたい心理的正常化バイアスというもの。

 また子供や親を助けに行きたいという心情も逃げるのに邪魔になるわけですが、そういうことを振り切ってとにかく生き延びる避難行動として、三陸地方では「津波てんでんこ」という言葉が伝承として伝わっています。

 これは津波が予想されたら、てんでんばらばら(=てんでんこ)に逃げろ、ということですが、まずは津波を予想できるということが肝心。これが行動の第一歩です。





【津波が来ることを予想する】
 地震の規模は大きな揺れがある時間で決まります。阪神淡路大震災のときはマグニチュード7.3でしたがこのときの揺れはわずかに10~15秒でした。

 この揺れが1分続いたらM8で、3分も続いたらそれはM9クラスの大地震ということになります。

 500年間隔地震は揺れが1分以上続くクラスの地震です。「まだ続く…、まだ続く…、もう死ぬんじゃないか…」と思うようなら500年間隔地震と思って欲しい、と吉井先生はおっしゃいます。

 地震が起きたらどんなものでも逃げていたのではオオカミ少年のように逃げるのが馬鹿らしくなってしまいますが、とにかく揺れが長く続いた時は絶対に逃げてほしい。これが津波予想の第一歩。そしてもし空振りだったとしてもそれは「いい訓練だった」と思うようにしてそれを許容する態度が必要なのだ、とも。

 また大津波の情報はしばしば住民全てに届かないことがあるとも。それは地震による停電が起きてしまってテレビやラジオなどのマスメディアが使えなくなることがあるからなのだそう。

 一斉同報無線が便りですが、今日ではたいていの人が持っている携帯電話やメール機能などありとあらゆるチャンネルで情報を提供できる備えも必要でしょう。

 
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 吉井先生は、津波てんでんこが実践出来るための条件を教えてくれました。それは、

 ①揺れたらそれで頭が一杯…なのではなく、揺れたらすぐ津波のことが頭に浮かぶように頭の訓練を続ける
 ②津波に巻き込まれたら命が危ないと考える

 ③津波来襲までに時間がないという認識がある
 ④安全な避難場所や、早くたどり着ける避難路を知っている。訓練でも行ったことがある

 ⑤家族や近所に住んでいる親や親戚、子供はそれぞれ近くの安全な場所に避難するという確信をもつこと
 (そのためには家族などと日頃から避難場所や落ち合う場所を話し合っていること)

   
 災害にあった時は頭がパニックになりがちで、そこから次に起こること、次にしなくてはならないことへと頭を切り換えるのが大変だといいます。

 次に何が起きるかを常に予想し理解しておく、紙に書いて壁に貼っておく、などあらゆる努力を重ねておきたいものです。


 
コメント (1)
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