北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

活イカの会 ~ 志は千里にあり

2011-09-22 23:45:06 | Weblog
 釧路にいるといろいろな会合に出席させてもらえるのですが、昨夜は『活イカでイカした街を創ろう会』という会に出席しました。

 この会合、今年で六回目となるもので、文字通り地元産の美味しい活イカにひっかけて、イカした街をつくろうという呼びかけに、市内各界の同好の士約70人が集まってくれました。




 要は活イカとサンマをさかなに一杯飲みながら友好を深めようというものですが、単に飲もうと言うだけではなかなかこれだけの人たちは集まれないものです。

 ちょっとしたコツですが、人を集めるにはしゃれっ気が必要ということでしょうか。

 元々は漁組の親分と商工会議所の幹部が意気投合して始まったということですが、地元の産物の良さを改めて感じながら知らない同士が名刺交換もできるという場になっています。

 この活イカの会、ただでさえ九月に入ってからイカもやや不漁だったのに加えて、台風15号の影響で船が漁に出られず、満足な活イカが手に入るのが危ぶまれた中で開催されましたが、「活イカに準ずるイカ」でも十分に美味しさを堪能できました。

 この活イカの会には会友の掟というのがあって、①は「活イカを普及させること」、に始まって、③には、「ちょっとイカした男女(おとな)になることを心がけること、と来て、最後の⑥には「郷土を愛すること」とされています。

 しゃれでもなんでも大の大人が集まってワイワイやるのは楽しいものです。




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 …で、なんということもないのですが、思い出したのが漢詩の一節。

 三国時代の魏で活躍した曹操(そうそう)の詩で『歩出夏門行(ほしゅつかもんこう)』という詩の一節です。武人として、兵法化として、また詩人として知られている彼ですが、なかでも秀逸な一節は、


神亀雖寿 神亀は寿(いのちなが)しといえども
猶有竟時 なお終る時あり
騰蛇乗霧 騰蛇は霧に乗ずるも
終為土灰 終には土灰となる

老驥伏櫪 老驥は櫪に伏すも
志在千里 志は千里にあり
烈士暮年 烈士暮年にして
壮心不已 壮心やまず

 実はこれ、本当はもっともっと長い全体からの一部の抜粋。西暦207年、当時曹操32歳、。

 北方の大敵袁紹をすでに破り、その残党を攻めていたときに創った詩だそうですが、どこを取っても秀逸な出来栄えです。

「老驥は櫪に伏すも 志は千里にあり」とは、老いた馬は厩に寝ていても志は千里の先を見据えている、という意味。

「烈士暮年にして 壮心やまず」とは、思いの強い人は晩年になっても意欲が衰えないものだ、というような意味。

 素晴らしい一節でずっと覚えておきたいものです。


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 この詩の中の他の一節には「故郷を離れて北の地は寒い」などという部分もあって、釧路で単身生活をする身には余計にぐっとくるものがあります。

 しかしそれでも節の最後は、

辛甚至哉 幸甚に至るかな
歌以詠志 歌を持って志を詠まん

 で締められていて、前向きでいたいという作者の性格も良くあらわれていて実に共感できるのです。

 こういう良い作品は暗誦できるように覚えておきたいものです。
コメント
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