北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

事業仕分け~弁護士無き裁判

2009-11-17 23:49:35 | Weblog
 現政権が新しく設置した行政刷新会議。事業仕分けの前半が終わり、予算のムダをカットするという謳い文句で硬直化した予算の世界に連日鋭い切り込みを見せています。

 内容は基本的にインターネット上で公開されています。映像は固定カメラなので関係者がテーブルに座っている粗い風景しか見えませんが、配布資料はネットで取得できますし、コーディネーターが指名する名前や声で誰が話しているのかは概ね想像がつきます。

 我が国の財政は、それぞれ担当する部所にも事業や制度を作り予算を要求してきた長い歴史があって、それぞれに正義があるので、これを廃止したり予算を削減したりするということは確かになかなか容易ではありません。なぜならそれぞれが「国家の意志」の積み上げであるからです。

 
---------- 【ここから引用】 ----------
【事業仕分け】最先端科学も“敗北” 「スパコン世界一」を否定 ノーベル賞受賞の野依氏憤慨  2009.11.13 19:14
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091113/stt0911131914010-n1.htm

 政府の行政刷新会議の13日の仕分け作業は、次世代スーパーコンピューターの開発予算に事実上の「ノー」を突きつけた。議論の方向性を決定づけたのは「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」という仕分け人の発言。結局、「科学技術立国日本」を否定しかねない結論が導かれ、文科省幹部は「日本の科学技術振興政策は終わった」と吐き捨てた。

 次世代スパコンは最先端の半導体技術を利用。ウイルス解析や気候変動問題のシミュレーションなど広範な研究での活用が期待されている。「1秒あたり1京回」という計算速度が売りで、現在、世界一とされる米国製の10倍の速度になる算段だ。平成24年度から本格稼働の予定だが、総額約700億円の国費が今後必要なため、財務省は見直しを求めている。

 この日、口火を切ったのは蓮舫参院議員。その後も「一時的にトップを取る意味はどれくらいあるか」(泉健太内閣府政務官)「一番だから良いわけではない」(金田康正東大院教授)「ハードで世界一になればソフトにも波及というが分野で違う」(松井孝典・千葉工業大惑星探査研究センター所長)などと、同調者が相次いだ。

 文科省側は「技術開発が遅れると、すべてで背中を見ることになる」と防戦したが、圧倒的な「世界一不要論」を前に敗北。同研究所の理事長でノーベル化学賞受賞者の野依(のより)良治氏は「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」と憤慨していた。

---------- 【引用ここまで】 ----------

 科学技術において世界の中で最先端を走り、資源小国を国民の素養と世界への貢献で国家間競争を生き抜くということこそ、日本が果たさなくてはならないテーマの一つです。

 それが「確実にビジネスになるのか?」という問いに答えきれないだけで削減や廃止の憂き目を見るというのはなんとも悲しいことですし、野依先生が憤慨するのも当然と言えるでしょう。それは国の意志だったのですから。

 そもそも各分野の最前線を生きる人たちは、そこでの厳しい雰囲気を体で感じながら全力で前進しているわけで、その雰囲気を「私たち(素人)が分かるように説明してください。我々が理解出来なければ説明責任はあなたたちにあるのです」というのはいかにも乱暴です。

 理解されないと言うことは、①説明が下手、ということもあれば②説明されても理解するだけの素養に欠けている、ということもあるのです。インターネットでこのやりとりを生で聞いた人たちはどのように感じたでしょうか。
 
 役人がいじめられるのを見て快哉を叫び、小気味よい快感を感じた人も多いことでしょうね。

    ※    ※    ※    ※

 麻生前総理は「公開裁判のようで釈然としない」というようなことを言っていましたが、ネットでは「裁判にたとえる人がいるけれど、検事が十五人で弁護士もいない裁判ってあるのかね」という意見も。

 中世の魔女裁判も、我が国の敗戦後の東京裁判もそうでしたが、攻める側という片方にだけ正義がある裁判というものの実相がよく見えたような気がしました。

 
コメント (2)
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