北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

情報源の世代間ギャップ

2009-11-12 22:57:31 | Weblog
 最近の朝日新聞系列はときどき、ええ?朝日が?と思わせるような記事を提供してくれます。

 ネットではよく語られている話題ですが、固定電話による各種調査はそもそも対象が全体を代表していないのではないか、という問題です。

 日中に固定電話に出られる人たちというのは、どうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなり、そういう層は、ネットの世界に触れていない率が高く、若者やネットユーザーの声を代表していないのではないか、というのです。

 情報源の世代間ギャップが拡大しつつあるようです。

---------- 【ここから引用】 ----------
【ネット】鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」 
                          2009年11月10日 筆者 萩原雅之
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY200911050306.html





 鳩山内閣発足を受けた新聞社・テレビ局の世論調査では、内閣支持率が軒並み70%を超えた。小泉内閣に次ぐ「歴代2位」という見出しがあふれ、その報道をみて多くの国民や政治家も圧倒的な期待と支持があるように感じたことだろう。

 一方、前回(2009年8月号)のコラムでもとりあげたニコニコ動画上で実施されたアンケートでは、支持25%、不支持36%と、全く異なる結果になっている。

 新内閣が発足した翌日夜11時にすべての動画をストップして回答協力を要請するという方法で、約3分間に約6万人が回答した。マスメディアで結果が報道されることはなかったが、ブログやツイッターなどで一気に広がった。特徴的だったのは支持・不支持について「どちらともいえない」が約4割を占めたことだ。新聞・テレビの熱狂的な報道の中で冷静な対応をみせるネットユーザーの姿が浮かぶ。9割が支持・不支持の態度を明確にしている大手メディアの世論調査の方がむしろ不自然に思えてくる。

 この調査で注目されたのは、「政治に関する情報をどの媒体から多く入手しているか」という設問への回答別支持状況に無視できない違いがあるという分析だ。結果は次の通り。

・「新聞報道」から入手

 →支持37%〉不支持25%

・「TV報道」から入手

 →支持38%〉不支持14%

・「インターネット」から入手

 →支持14%〈不支持56%

 深夜にニコニコ動画を見ているようなネットユーザーでも、政治に関する情報源として新聞・テレビの報道を主にする人と、ネットを主にする人になぜこれほどの大きな違いが出るのかを考えることは価値があろう。

 例えば内閣発足の翌日、ブログ論壇では、鳩山首相が以前から、政権をとったら首相記者会見をフリージャーナリストやネットメディアにも開放すると言っていた約束が実現されなかったことに対して、「最初の公約破り」であるとの批判があふれた。私も当日、ツイッターで「民主党」のリアルタイム検索を行ったが、膨大なエントリーがこの問題に言及していた。個別の閣僚に関しても、期待も失望も、絶賛も酷評も、ごった煮のように流通していた。

 ネットの政治情報も新聞記事が元になっているケースは多い。同時に、ネットでは新聞などの報道内容に対する他人の反応も判断材料になる。それはアルファブロガーとよばれるネット論壇の著名人たちの投稿だったり、ミクシィやツイッターに流れる友人の日記だったりする。ネットのコミュニケーション空間では、新聞やテレビの情報をそのまま信じるのではなく、批判的にみるというフレームが自然に形成されており、それが態度保留という反応をもたらしているのではないだろうか。

 多くの新聞愛読者は購読している1紙しか読まないだろうし、そこに書いてあることが本当と思っている人は多い。新聞は信頼性の高いメディアであるとよくいわれるが、それが批評的に読む力を削いでいるとしたら皮肉である。

 テレビ報道もまた時代の主流に沿った情緒的なムードを増幅する機能がある。読売新聞の継続的な研究では、テレビ視聴時間が長い人ほど、郵政民営化を争点に自民党が大勝した前回の総選挙では自民を支持し、政権交代が争点の今回の総選挙では民主を支持する傾向がみられたそうだ。

◆若年層と高齢層との情報ギャップの顕在化

 情報源の変化についてはさまざまな調査で検証されている。カタカナ言葉の浸透や慣用句の意味の取り違いなどを毎年調査している文化庁「国語に関する世論調査」では、メディアの影響も継続的に測定している。9月に発表された最新の調査レポートでは、「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか」という設問について、01年と08年のデータが比較されていた。掲載した図は、01年と08年の比較を年齢別にみたもので、ネットが上昇するのは当然としても、新聞の減少ボリュームがネットの増加分のボリュームと同じくらい大きい。若年層ではその変動がより大きいため、結果的に01年時点よりも情報源に関する世代間ギャップが拡大している。

 新聞記者出身のジャーナリスト佐々木俊尚氏は近著『2011年 新聞・テレビ消滅』(文春新書)のなかで、新聞の抱える問題を「どんどん読者が高齢化し、紙面もそれにあわせて高齢者向けになり、それがさらに若い読者の離反を招くという縮小再生産のスパイラル」と指摘した。文化庁の調査結果をみても、新聞読者は急速に高齢化しているのが現実だろう。若年層は新聞に何が書かれているかわからず、高齢層はネットで何が議論になっているかがわからないというケースが、今後さらに顕在化するだろう。

 電話世論調査(RDD調査)という手法はどうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなる。鳩山内閣の高支持率は、情報を批評的に読めるネット上のリテラシーの高いグループを把握できていないためではないだろうか。ネットアンケートに表れたような、民主党政権に対して厳しくチェックする人たちの動向も継続的に把握していくべきだろう。(「ジャーナリズム」09年11月号掲載)

   ◇

萩原雅之(はぎはら・まさし)

トランスコスモス株式会社エグゼクティブリサーチャー。

1961年宮崎県生まれ。84年東京大学教育学部卒。日経リサーチなどを経て、99年から約10年間ネットレイティングス代表取締役社長を務める。2009年8月より現職。

・「ジャーナリズム」最新号の目次はこちら
http://www.asahi.com/shimbun/jschool/report/new.html

---------- 【引用ここまで】 ----------

 今日、ネットが嫌いという人は、パソコンを買ったりネットとの契約がよく分からなかったり、ウィルスや詐欺などのデメリットなどのハードルを越えてまでそんな世界に行きたくない、という方が多いのでは。

 そんなネットの向こう側の世界を知らないことで、いろいろ損をしているどころか、情報源が限られると情報の質が偏ってしまうために判断を間違えていることさえあるのです。

 釣りが出来る人は、海や川からいろいろな魚を手に入れて楽しむことが出来ますが、それが出来ない人は魚屋さんで売っている魚を買うしかないということです。

 釣りができれば、どこにどんな魚がいるか分かる眼力も育ちますが、できなければそうした眼力も育ちません。

 現代の変化について行くのは大変ですが、これもまた生涯学習の実践です。
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