駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

スタジオライフ『アンナ・カレーニナ』

2018年06月08日 | 観劇記/タイトルあ行
 あうるすぽっと、2018年6月5日18時半。

 1870年代の帝政ロシア。政府高官のカレーニン(船戸慎士)の妻であるアンナ(この日は曽世海司)は、兄のスティーヴァ(楢原秀佳)の浮気に怒り狂っている義姉ダリヤ(石飛幸治)をなだめるよう兄に頼まれ、モスクワを訪れる。そこでアンナは若い貴族の将校ヴロンスキー(笠原浩夫)と出会い、恋に落ちる…
 原作/レフ・トルストイ、脚本/ジョー・クリフォード、翻訳/阿部のぞみ、演出/倉田淳。全2幕。

 この劇団は漫画原作ものを何度か観ましたが、映像で見た『lilies』といい、普通の戯曲のものの方がいいのではないかしらん…と思いました。イヤ、単に私がこの劇団が原作に選ぶ漫画のド世代すぎて、かえって点が辛くなっているせいもあるのかもしれませんが。でも私は『アンカレ』も大好きで、でも今回の舞台はとてもおもしろく観ました。原作小説からのおもしろい改変も含め、ここをこう切り取ったか…!といった見方が楽しかったし、シンプルなセット(美術/乗峯雅寛)も良かったし、ベタな音楽の使い方もとても良かったです。
 でも逆に言うと、これをオールメールでやる意味は私はあまり感じなかったかな…私はこの作品のことを、男女の俳優で演じるにはちょっとしょっぱすぎる内容だ、とは特に考えていないのでした。
 ただ、ドリーというキャラクターは私は不美人なんだと解釈しているので、大柄な男優が演じることでとてもそれっぽかったのはよかったかもしれません。ただ逆にアンナには美人でいてほしかったので、今回は見た目が残念だったかな…キティ(この日は久保優二)がめっちゃ美人でキュートで背が高くてスタイルが良かったのはたぎりました、とてもよかったです!
 てかみんな芝居はめっちゃ上手いよね…! だからこそすんなり楽しめました。
 作品としては、もともと原作にも都会と田舎の対比の意図はあったと思うけれど、そこをより強く押し出していて、かつアンナとヴロンスキーのカップルに対してキティとリョーヴィン(この日は山本芳樹)のカップル、という構造を強く押し出していたのが印象的でした。破滅に終わったアンナたちに対してキティたちは幸せで…という単純な見せ方にはなっていなくて、でもキティたちには子供が恵まれて、「生きねば…!」みたいになっていたのが印象的でした。逆にアンナには、本当ならヴロンスキーとの間に女の子が生まれるんだけれど、この舞台ではそれはなくて養女を迎えていることになっていて、かつ家族としての関係はあまり上手く構築できていないことになっていて、だからこそいろいろ崩壊していってしまう、という形になっているのが効果的でした。
 でもだからこそカレーニン・ファンの私としては、ラストに彼へのフォローはないの!?と泣きそうになったんですけれど、舞台には出てこなかったけれど彼の元にはセリョージャがいて、彼もまた息子のために「生きねば…!」と思っていたはずなので、ベズボワ伯爵夫人(宇佐見輝。ヴロンスキーの母親役も淑女役もめっちゃ良くて超印象に残りました!)に妬きつつも、よかったよかったと思うことにしますね…

 セルプコフスコイ(岩崎大)の人がめっちゃ声がいいな!?と思っていたら、これがダブルキャストでもうひとりのアンナだったんですね。こちらのパターンも観てみたかったです。
 そして宝塚歌劇版も再演してほしいなーと思います。いい方の景子先生作品だと思ってるんですよねー。イヤ『ラスパ』も楽しみだけどさ…
 いい戯曲でした。他の作品も観てみたいです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続・はるかなる一族によせてーー | トップ | 『おっさんずラブ』第8話を... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

観劇記/タイトルあ行」カテゴリの最新記事