大阪松竹座、2025年5月17日14時半(第二部)。二等席7,000円(2階6列正面)。
紗武利矢王(中村鴈治郎)に謀反を疑われた弟の冤罪を晴らすため、咲薔薇王妃(市川笑也)は千夜に渡って毎晩一話ずつ物語を語り、王が少しでも退屈を覚えたなら弟はその時点で死罪とされることになった。千夜目、王の御前で王妃は語り始める。その昔、長安の花街で、安羅仁(中村虎之介)という若者が遊女たちを相手に遊んでいた。父親が亡くなり家業を継いだが、仕事を放り出して放蕩三昧の日々だ。そこへ亡父の兄と名乗る摩拘吏部(市川中車)が現れ、妓楼の酒代を肩代わりするから頼みを聞いてくれ、と都の外れにある呪いの森に行くよう持ちかける。そこの洞窟から洋燈を持ってきてほしいというのだ…
脚本/今井豊茂、演出・振付/藤間勘十郎。説話集『千夜一夜物語』のうちの『アラジンと魔法のランプ』を原作にした新作歌舞伎。全2幕。
アラジン歌舞伎、しかも洋燈の魔神(市川猿弥)が猿弥さんと聞いて、「フレンド・ライク・ミー」歌っちゃう!?と出かけてきました。ちなみにジャスミンは茉莉花姫(中村壱太郎)で、小猿のアブーはいませんでした(笑)。
残念ながら壱太郎さんはお腹を出しておらず、猿弥さんも肌を青くはしていませんでしたが、キラキラメイク(…なのかアレは?)で装置なのか衣装なのかよくわからない(美術/前田剛)ランプと一体化してノリノリのご活躍、変な呪文含めて満足しました。というかアバンの王妃役の笑也さんが麗しすぎて、そこでもう元が取れた気になりました(笑)。
開演前の劇場内BGMはアラビアンな感じでしたが、幕が開いたら荘重なクラシック音楽になって、オペラかバレエが始まりそうでした。市場のセットなんかは新国立バレエの『アラジン』とイメージが近かった気がします。虎之介さんのお衣装はディズニーアニメまんまで、歌舞伎であまり二の腕とか脛とかこういうふうには見ない気がするな…となかなか新鮮でした。
呪いの森の洞窟には清い心の持ち主だけが入れるようなのですが、この時点でのアラジンは親不孝な放蕩者なので、ややナゾです。その後も、指輪の精(市川笑三郎)や洋燈の魔神には何度もお願いごとができちゃうようで、アニメのような三度までという決まりがなく、何ができて何ができないのかのルールをもっと上手く説明してほしいな、とは思いました。魔法とか超能力とかは上手く制限を作らないと、なんでもありになっちゃうんじゃあお話はむしろつまらなくなってしまうものです。終盤、アラジンが魔法で架空の国の王子に化けて王宮に乗り込み、王(市川青虎)に拝謁して姫に求婚しますが、そこで魔法が解けちゃうのも、すでにふたりが相思相愛なので魔法は効かないのだ、という理屈らしいんですが、筋書きにはそんなようなことが書いてあっても観劇中はよくわかりませんでした。もうちょっと説明の工夫をしてほしかったかな、とは思います。ともあれ、歌舞伎あるあるの母親(中村扇雀)の説教自刃だのいろいろあって、アラジンは予言?どおりの真人間に成長する…という物語なのでしょう。ラストの空飛ぶ絨毯にもうちょっと浮遊感が出るとよかったなとは思いましたが、楽しく見ました。
ザッツ悪役の中車さんが頼もしいし、でも意外にすぐ退場しゃうんだけど、兄思いの弟の(中村福之助)役の福之助さんがすぐ出てきてくれて、これがまたいい悪役でシビれました。拾った手形を届けに医者(中村歌之介)を訪ねてそのままバッサリ、偽医者になりすまして御殿医として王宮に上がり込み、姫様に無体を…というランボーな展開、たまらん! あ、お医者の助手役の中村橋光さんが、ジェンヌかな?みたいな小顔ですらりんとタッパがあって、美しゅうございました。で、福之助さんは良き従者役とかも素敵なんだけどでももっと色悪とかバリバリやってーーー! キャーーーー!!
虎之介さんのザッツ・ヒーローな主人公感、壱太郎さんのヒロイン力、鴈治郎さんや扇雀さん、中車さんの頼もしさ、笑也さんの美麗さなどなど堪能ポイントが私にもわかってきて、楽しい観劇となりました。まあもうちょっとコンパクトにして休憩なし二時間弱に仕立て直してもいいし、二幕ならもうひとつふたつエピソードなり場面なり趣向なりを足してもいいかな、とも思いましたが、新作をブラッシュアップして大事に育てていくことも必要だと思いますし、松竹さんには期待しています。大阪・関西万博開催記念公演ということで、どの程度インバウンド効果があるのかはわかりませんが、良きとっかかりになっているなら何よりです。
個人的にも、関西のお友達とたまたま観劇が被り、いろいろおしゃべりできて楽しかったです。
紗武利矢王(中村鴈治郎)に謀反を疑われた弟の冤罪を晴らすため、咲薔薇王妃(市川笑也)は千夜に渡って毎晩一話ずつ物語を語り、王が少しでも退屈を覚えたなら弟はその時点で死罪とされることになった。千夜目、王の御前で王妃は語り始める。その昔、長安の花街で、安羅仁(中村虎之介)という若者が遊女たちを相手に遊んでいた。父親が亡くなり家業を継いだが、仕事を放り出して放蕩三昧の日々だ。そこへ亡父の兄と名乗る摩拘吏部(市川中車)が現れ、妓楼の酒代を肩代わりするから頼みを聞いてくれ、と都の外れにある呪いの森に行くよう持ちかける。そこの洞窟から洋燈を持ってきてほしいというのだ…
脚本/今井豊茂、演出・振付/藤間勘十郎。説話集『千夜一夜物語』のうちの『アラジンと魔法のランプ』を原作にした新作歌舞伎。全2幕。
アラジン歌舞伎、しかも洋燈の魔神(市川猿弥)が猿弥さんと聞いて、「フレンド・ライク・ミー」歌っちゃう!?と出かけてきました。ちなみにジャスミンは茉莉花姫(中村壱太郎)で、小猿のアブーはいませんでした(笑)。
残念ながら壱太郎さんはお腹を出しておらず、猿弥さんも肌を青くはしていませんでしたが、キラキラメイク(…なのかアレは?)で装置なのか衣装なのかよくわからない(美術/前田剛)ランプと一体化してノリノリのご活躍、変な呪文含めて満足しました。というかアバンの王妃役の笑也さんが麗しすぎて、そこでもう元が取れた気になりました(笑)。
開演前の劇場内BGMはアラビアンな感じでしたが、幕が開いたら荘重なクラシック音楽になって、オペラかバレエが始まりそうでした。市場のセットなんかは新国立バレエの『アラジン』とイメージが近かった気がします。虎之介さんのお衣装はディズニーアニメまんまで、歌舞伎であまり二の腕とか脛とかこういうふうには見ない気がするな…となかなか新鮮でした。
呪いの森の洞窟には清い心の持ち主だけが入れるようなのですが、この時点でのアラジンは親不孝な放蕩者なので、ややナゾです。その後も、指輪の精(市川笑三郎)や洋燈の魔神には何度もお願いごとができちゃうようで、アニメのような三度までという決まりがなく、何ができて何ができないのかのルールをもっと上手く説明してほしいな、とは思いました。魔法とか超能力とかは上手く制限を作らないと、なんでもありになっちゃうんじゃあお話はむしろつまらなくなってしまうものです。終盤、アラジンが魔法で架空の国の王子に化けて王宮に乗り込み、王(市川青虎)に拝謁して姫に求婚しますが、そこで魔法が解けちゃうのも、すでにふたりが相思相愛なので魔法は効かないのだ、という理屈らしいんですが、筋書きにはそんなようなことが書いてあっても観劇中はよくわかりませんでした。もうちょっと説明の工夫をしてほしかったかな、とは思います。ともあれ、歌舞伎あるあるの母親(中村扇雀)の説教自刃だのいろいろあって、アラジンは予言?どおりの真人間に成長する…という物語なのでしょう。ラストの空飛ぶ絨毯にもうちょっと浮遊感が出るとよかったなとは思いましたが、楽しく見ました。
ザッツ悪役の中車さんが頼もしいし、でも意外にすぐ退場しゃうんだけど、兄思いの弟の(中村福之助)役の福之助さんがすぐ出てきてくれて、これがまたいい悪役でシビれました。拾った手形を届けに医者(中村歌之介)を訪ねてそのままバッサリ、偽医者になりすまして御殿医として王宮に上がり込み、姫様に無体を…というランボーな展開、たまらん! あ、お医者の助手役の中村橋光さんが、ジェンヌかな?みたいな小顔ですらりんとタッパがあって、美しゅうございました。で、福之助さんは良き従者役とかも素敵なんだけどでももっと色悪とかバリバリやってーーー! キャーーーー!!
虎之介さんのザッツ・ヒーローな主人公感、壱太郎さんのヒロイン力、鴈治郎さんや扇雀さん、中車さんの頼もしさ、笑也さんの美麗さなどなど堪能ポイントが私にもわかってきて、楽しい観劇となりました。まあもうちょっとコンパクトにして休憩なし二時間弱に仕立て直してもいいし、二幕ならもうひとつふたつエピソードなり場面なり趣向なりを足してもいいかな、とも思いましたが、新作をブラッシュアップして大事に育てていくことも必要だと思いますし、松竹さんには期待しています。大阪・関西万博開催記念公演ということで、どの程度インバウンド効果があるのかはわかりませんが、良きとっかかりになっているなら何よりです。
個人的にも、関西のお友達とたまたま観劇が被り、いろいろおしゃべりできて楽しかったです。
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