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「徳川記 巻六」の解読 6

(牧之原公園、カタクリ園のヤマユリ)

ヤマユリは、いうなればカサブランカに斑点を付けたような、日本特産の大型のユリである。山歩きをしていた時代には、あちこちで目にした花である。

午後、はりはら塾の古文書講座で、榛原に行く途中、少し早く出たので、牧之原公園に立ち寄った所、かたくりに今を盛りに咲いていた。金網越しには、余り良い写真にはならなかった。

4回目の今日は、中止になった5月分として実施した。受講者9名、全員参加してくれて、それが何よりも嬉しいことであった。帰りにKさんと牧之原市史料館に寄り、新たな資料の影本写真を頂いた。

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「徳川記 巻六」の解読を続ける。

家康公、下知し給いて、打ち追うべからず。逃がすべし、と云々。一揆ら這々(ほうほう)、針崎へ逃げ入る。家康公の曰く、寺内は立て置き、張本人は免(ゆる)すべからずとなり。大久保浄玄入道曰く、これを宥(ゆる)し、酒井、東条、荒川を誅戮(ちゅうりく)されるべしと、強いてこれを諫(いさ)めるに依り、これに同じられ、上和田に於いて、成就院誓紙(せいし)を書き、降人ら案内として、針崎に向かう。石川伯耆守をして、高須口より軍勢到らしめ、寺内に入りて放火す。小閣(しょうかく)狼煙(ろうえん)天に上り、途(みち)を失い、進退狼狽(ろうばい)す。石川、高声(たかごえ)に呼びて、一命を助けらる。迅(はや)く散ずべし、と云々。徒党ら一同に首を抛(なげう)ちて拜降(はいこう)す。
※ 這々(ほうほう)➜ 這うようにしてやっと進むさま。
※ 誅戮(ちゅうりく)➜ 罪ある者を殺すこと。
※ 誓紙(せいし)➜ 誓いの言葉を記した紙。起請文。
※ 小閣(しょうかく)➜ 小さい高殿(たかどの)。
※ 狼狽(ろうばい)➜ あわてふためくこと。うろたえること。


家康公、岡崎に皈(き)城。これに於いて、張本人鳥井四郎左衛門、渡辺八郎三郎、同源蔵、本多弥八郎、同三弥浪切孫七郎逐電(ちくでん)す。渡辺半蔵、同平六、平岩善十郎ら降参なり。これを聞き、松平監物、降(こう)を請く。荒川甲斐守、縁者の好(よし)みを忘れ、両度返(反)逆、その罪、遁(のが)れ難くに依り、参州を離れ河州(かしゅう)漂泊(ひょうはく)す。吉良東條義照、城を出て、江州佐々木承禎が領地に奔(はし)る。(摂州に於いて、芥川の城、討ち死にす)松平七郎、前非を恥じ逐電(ちくでん)す。
※ 河州(かしゅう)➜ 河内(かわち)国の別名。
※ 漂泊(ひょうはく)➜ 所を定めずさまよい歩くこと。さすらうこと。流浪。
※ 摂州(せつしゅう)➜ 摂津(せっつ)国の異称。

(「徳川記 巻六」の解読つづく)
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