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「徳川記 巻五」の解読 1

(田沼意次公もマスク/牧之原市史料館前)

午後、はりはら塾「古文書解読を楽しむ」講座、第三回で、牧之原市の榛原文化センターに行く。講座の後、牧之原市のH氏と約束が取り付けてあったので、受講者のKHさんを誘って牧之原市史料館に出掛けた。色々お話をした後、講座のテキストになりそうな古文書のコピー(デジカメ写真)を10数枚いただき、帰宅した。

「古文書解読を楽しむ」講座は5月中止した分を、今月22日(水)に実施することに決めて、会場を予約してきた。

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「徳川記 巻五」の解読を始める。

    徳川記 巻第五目録
  石瀬合戦
  石瀬重ねて合戦
  元康卿、信長卿和睦、附り、板倉糟谷敗北
  井伊討たれる
  一向宗一揆
  原本坂一戦
  針崎佐崎合戦

 徳川記巻第五
  石瀬合戦

ここに小川、苅屋の城主、水野下野守は、元康卿の伯父たるといえども、尾州に属し、去る弘治三年(1557)より已来(いらい)、石瀬に於いて度々に及び合戦す。今年また彼を撃滅のため、軍勢を発し、石瀬に到らしめ、敵味方、或いは一族、或いは昵近(じっきん)、互いに恥を思うにより、進むといえども、卿退かず、終日合戦す。粉骨を砕き、武勇に励み、ここに於いて、鳥井四郎左衛門、大久保七郎右衛門、同治右衛門、石川新九郎、大原左近右衛門、杉浦八郎三郎、松平勘四郎、鑓(やり)を合わせ、苅屋方には、矢田作十郎、水野藤介、同藤四郎、滝見弥平二、高木主水、梶川五左衛門、久米金左衛門、清水権佐、神谷新七郎など、鑓を合わせ、矢田作十郎、蜂屋半之丞、杉浦鑓を入れ(こう)。夕日に及び、互いに陣を引き取り、その後また一戦に及ぶ。杉浦八郎三郎、毎度先登(せんとう)に進み、敵陣の中へ駈け入り、組討ちして則(そく)討ち死にす。
※ 昵近(じっきん)➜ なれ親しむこと。また、なれ親しんでいる相手の人。懇意。昵懇 (じっこん) 。
※ 高ず(こうず)➜ 程度がはなはだしくなる。


  石瀬重ねて合戦
永禄四年(1561)、去年小川に働き、敵追い入れるといえども、精兵(せいへい)あり、威を振う。これに依り、一戦を遂げ押し寄せ、小川勢出で、石瀬に向う。晴れなる軍なり。この日、石川伯耆守と名乗り、先を駈け、小川方より高木主水、路に出合いて、由々(ゆゆ)しき見物(みもの)なり。去年石瀬の戦いに、小川方、鯉のかぶり物を着て出る者、抜郡(群)に見えければ、矢田作十郎、使いを以ってこれを請け、則これを送る。蜂屋半之丞、またこれを得、今日の軍、石川先登を進み、これにより小川方よりこれを嘲(あざけ)る。蜂屋無念に思い、毎度先に進み、遂に下地合戦に於いて討死す。
※ 精兵(せいへい)➜ えりすぐった強い兵士
※ 威を振う(いをふるう)➜ 勢威を示す。
※ 晴れなる(はれなる)➜ 晴れがましい。
※ 由々しい(ゆゆしい)➜ すばらしい。りっぱである。

(「徳川記 巻五」の解読つづく)

読書:「わるじい秘剣帖 7 やっこらせ」 風野真知雄 著
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