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「江戸繁昌記 ニ篇」 37 神明5

(散歩道のルコウソウ)

花には赤、ピンク、白の三種あるようだ。鮮やかな黄緑の細い葉が鮮やかで、小さいけれど、星型の花が可愛い。

少し日が開いたが、「江戸繁昌記 二編」の解読を再開する。この辺り、中々難しい。何度も読むと、おぼろげながら、見えて来る。

蓋し、前人の悦ぶ所、この所以外、今復た多く観(み)ず。昔者(むかし)は、武王に克つ。軍を散じ、郊射して、貫革の射、息(やす)む。周末の乱、貫革、復た尚(とうと)ぶ。孔子これを嘆き曰う、射は戯方において皮を主とせずと。
※ 武王(ぶおう)- 殷(商)を滅ぼし周を立てた。
※ 商(しょう)- 中国最古の王朝。殷(いん)とも呼ばれ、紀元前11世紀、周によって滅ぼされた。
※ 貫革の射(かんかくのい)- 的(革)を射抜くことを第一とした儀礼的な
射。

今、太平の久しき、貫革を士人肄(なら)わず。余暇、這(この)戯射場内に遊ぶことを得る。豈(あに)昌平ならずや。
※ 昌平(しょうへい)- 中国山東省曲阜県の郷の名。孔子の生地。
※ 沢(たく)- めぐみ。恩恵。


一席の高宴酒(たけなわ)に、人顛ず。三線(しゃみせん)、鼓笛(こてき)、手を並べて列に在り。婆娑(ばさ)たる長袖、紅燭煽払し、翩躚たる軽裾香塵を捲き起こす。左麾(さしまね)き、右眄(ながしめで)み、東に走り西に旋(まわ)る。
※ 酣(たけなわ)- 真っ盛り 。真っ最中。
※ 顛ず(てんず)- ひっくり返る。
※ 婆娑(ばさ)- 舞う人の衣の袖がひるがえるさま。
※ 紅燭(こうしょく)- あかくともるともしび。
※ 煽払(せんふつ)- あおり払うこと。
※ 翩躚(へんせん)- ひらひらとするさま。
※ 軽裾(けいきょ)- 軽い着物のすそ。
※ 香塵(こうじん)- 散り落ちた花。(香気を帯びる)


商笛、急に響きて、綵扇、空に飄り、羽、絃、徐(おもむろ)按じて細腰、地に倒すなり。十六の天魔、歌舞の菩薩、廻翔、態を極め、舞踏、趣を献ず。戯れ、蝶驚く。一人は掌(たなごころ)拊し、一人は盆を鼓(こ)し、二人指を戦わして、傍らに在りて、絶叫す。
※ 綵扇(さいせん)- あやぎぬのおうぎ。
※ 按じる(あんじる)- 手で押さえる。
※ 細腰(さいよう)- 女の腰の細くてしなやかなこと。美人の形容に用いられる。やなぎごし。
※ 十六の天魔 - 十六天魔舞。元代に宮廷で舞われた。蒙古族の特色をもつ宗教的舞踊である。菩薩に扮した十六人の娘たちによる歌舞。
※ 廻翔(れい)- 回りながら空高く飛ぶさま。
※ 禽(きん)- 鳥。
※ 拊す(ふす)- たたく。うつ。
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