河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2709- ブラームス、運命の歌、哀悼の歌、ドイツ・レクイエム、ベルトラン・ド・ビリー、栗友会合唱団、新日フィル、2019.7.4

2019-07-04 23:28:55 | コンサート

2019年7月4日(木) 7pm サントリー

ブラームス 運命の歌op.54  8-4-2

ブラームス 哀悼の歌op.82  13

Int

ブラームス ドイツ・レクイエムop.45  10-13-8-6-6-11-10
 ソプラノ、高橋絵理
 バリトン、与那城敬


ベルトラン・ド・ビリー 指揮 栗友会合唱団、新日本フィルハーモニー交響楽団


ブラームスのオーケストラ伴奏による大規模合唱曲を一晩で三つ、充実した内容で大満足。
オペラオーソリティのド・ビリーはオーケストラのみならず合唱のコントロールにも長けている。冴えた棒には惚れ惚れする。運命の歌の後奏で魅せた味わい深いオケ、その前の合唱の波動をしっかりと受けとめた押しとどめるように深い呼吸の余韻。こういったことがいたるところにあらわれる。音の空気が全てに伝播していく。心地よい緊張感が全身を包む。実に気持ちの良い演奏。重くない演奏はむしろ爽やかな空気となり、いわゆるブラームス的な暗さは無くて、どういうマジックなんだろうと驚くばかりなり。

歌詞対訳を見ながら演奏を眺める。運命の歌の歌詞対訳は、ヘルダーリン配置を踏襲していて、原語、対訳日本語ともに一行ずつ行頭が下がっている。だからどうなんだ、という話しはあるかもしれないがこういった事のひとつひとつが歌へのこだわりを感じさせてくれるものだ。さりげなく充実感がそこはかとなく広がっていく。

次のネーニエは運命の歌と同規模で、これは昨年2018年に飯守、東京シティフィル&コアで接していて、聴くほうもなんだか余裕がある。リブレットをみながら味わい尽くす。ド・ビリー、特に左腕が段々と雄弁になってくる。

休憩を挟んで大曲のブラレク。
むしろさわやか。それはこの大作でも同じで、ブラームスの重力がなにやら空中浮遊でもしたかのような、ピッチが清涼に揃い一段持ち上げられたような合唱の美ニュアンスや力感の色々な表情が見事に冴える。しみじみとしたアトモスフィアから切れ良くピュアな森林浴の様まで、まあたしかに聴くほうは思いっきり浴びるだけで、もうなにも言う事はない。
歌詞対訳でさわりを見ながら聴く。ダーク透明、という響きの前進する力感。素晴らしい。ソリスト二人の歌唱もコーラスに溶け込んでいる。出番が沢山あるわけではないがナチュラルでシームレスに忍び寄るレクイエムの歌。
ド・ビリーのコントロールは抜群、限りなく素晴らしいもので、完璧な咀嚼と表現、きっとあの左腕にも魔法が漂っているのだろう。ド・ビリーのタクトはオペラ、オーケストラル演奏会で何度か観ている。この日の演奏も納得のもので大家と言うにふさわしい。と思うのだが、日本にたまにしか来ない指揮者だと、オペラビッグな指揮者来ても、ああこんな感じ、てなもんで、なんだかもったいない気もする。たびたび感じる。ちょっと残念。
充実の演奏会、大満足でした。ありがとうございました。
おわり