2017年10月8日(日) 3:00-5:15pm シンフォニーホール、ミューザ川崎
オール・シュトラウス・プログラム
ツァラ 35
Int
死と浄化 26
ティル 15
(encore)
セヴン・ヴェール 10
リッカルド・シャイー 指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団
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オールスタードリームキャストによる公演。一音目からはっきり、音が違う、物が違う、なのに客は5割。値段設定がクレイジー。これだけのオケを一人2席レベルで味わう聴衆という話。
年数週間のお祭りオケがツアーを行うというのも凄いですね。日本4、中国2、韓国1。計7公演。これをスカラ座の音楽監督が振るというゴージャスぶり。アバド、ムーティ、バレンボイム、シャイー。ラ・スカラのアバド系譜のタクトという事になります。
このお祭りオケの意思表示はまず、その極め付きのうまさ。ビックリ仰天。ツァラの5小節目トランペットから引き継いだアウフタクトからの全奏のきまり具合に、あんぐり。もう、本能的に感じてしまうこのうまさレベル。
やや粘着質で黒光り、濡れて光るアナログの集積回路はぎっしりと詰まっている。18型CB9の布陣でそれだけで巨大だが、なんだか、この何倍も巨大になってもうまさは変わらんだろうなという雰囲気で、腕の鳴る連中の凄味がよくわかった。このようなインパクトある演奏はたぶんあっという間に終わるように感じるんだろうなあと思う間もなくあっという間に終わってしまった。浸って聴くだけ。凄い演奏でした。
仰天二つ目、こういう集団を仕切る棒振りというのはさらに上をいかないといけない。申し分ない指揮者シャイー。ハイスキルレヴェルオケの止まらないうまさの手綱を締める、これは抑えるのではなくさらにテンションをあげるのが正解とシャイーは言っていますね。前へ前へと走らせる。圧倒的牽引力。みんな、向かうところ敵無し。最高。
そして、エンディングの静寂、開いた口が塞がらない聴衆の静けさが心地よかった。
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死と浄化、これがまた凄い。全プレイヤー息をころして作るタメ、その後、一斉フォルテでエネルギー放出、あの呼吸の見事さ、スピード感、立ち上がりの良さ。うまいオケからしか味わうことが出来ないものだ。本能的に、感じる。スーパープレイ。それに、太い音、まるで帯のように流れる。ぶ厚く透明に。
巨大な作品でした。こんなに偉大な曲だったのかな。演奏が作品を越えた瞬間だろう。堪能しました。このエンディングでも静寂が訪れました。素晴らしい。
ティルは立ち上がりの良い機能的オケの切れ味鋭いスタッカート風味の連続妙技にのけぞる。デフォルトな技のようにしか聴こえてこない素晴らしさ。
磨き抜かれた個人技も圧倒的で、音楽の表情が豊か。多彩なシュトラウスのビューティフルサウンドを満喫。
3曲とも巨人芸でした。
アンコールはサロメのセヴン・ヴェール、長いアンコールで白熱テンションへ登り切る。シャイー、フィニッシュは指揮せず。スーパーオケに任せる。まぁ、オーケストラデモンストレーションのようなもんですな。
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1500円プログラム買って読んでみたら全メンバーの名前とそれぞれの所属オケを書いてある。日本語は無いのでどこからかの写しなんでしょうけど、とにかく、壮観。これじゃ、うまいはずだわ。
客席は、一番てっぺん正面13人、その真下は9人といった感じでガラガラ。埋まっているフロアもまだら模様。詰めて座ったら5割程度。とんでもない価格なので、企画会社は自業自得なんだろうが、これでもペイしているのかしら。
最低価格を半分程にして中間価格帯席数を多くすればもっと沢山埋まっていたと思う。
自分としてはこのカタツムリのようなホール、上階席は要らないと思ってるのでこんなもんでいいかという感じはある。
おわり