2017年6月21日(水) 2:00pm 東京芸術劇場
ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 11′
ダンディ フランスの山人の歌による交響曲 10-6-7′
ピアノ、ロジェ・ムラロ
Int
ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調 12-12-5+4+9′
大野和士 指揮 東京都交響楽団
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硬質できめの細やかなストリングが奥行きを感じさせつつ心地よく鳴る。ウィンドの入念なハーモニーバランス、鉄板吹きさせないブラスセクション。大野の知的で品のあるコントロールは細部にわたっている。他の指揮者ではこうはいかない。美ニュアンスに満ちた演奏。
牧神の肌ざわり。海原のようなたゆたう弦。最上バランスで聴かせるウィンドのハーモニー。美しい。この美バランス、最高ですね。
ダンディでは美弦の表現がさらに広がる。
ピアノは横向きではなく指揮者の奥に正面向き。折角の鍵盤側シートへの努力が水泡に帰した。シンフォニーだからいたしかたないか。
長身痩躯ムラロの音はそれほど聴こえてくるわけではなくて、耳をすませばクリスタルのような響きが垣間見える程度。席が前過ぎたのかもしれない。今回リサイタルもあるが都合によりそれは聴けないので残念。
山人は大野の棒でなければこれほど魅力的に響くことはなかったと思う。演奏が作品を上回ったものでしたね。ビューティフル。
この日はツートップのパートが目につきました。相応な態勢でおこなっていたように見える。内容も良いものでした。
田園でも大野の美意識はいたるところにある。最後のホルンのソロをウルトラピアニシモで吹かせるあたりバランスに非常に気を使っているのがよくわかる。
びっしりと敷き詰められて歌う弦。1,2Vlnをはじめとして体の動きがみなさん激しい。没頭プレイで歌い尽くしている。渾身の演奏。
1,2楽章のコッテリとしたウィンド、味わい深い。ウィンドへのバランス配慮は特に洒落ている。
深彫り、彫刻された田園、豊に流れるベートーヴェン。素晴らしいものでした。
おわり