河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2186- モーツァルト33、Pfcon27、ケフェレック、ブラームスpf四1、上岡、新日フィル、2016.9.16

2016-09-16 23:58:20 | コンサート

2016年9月16日(金) 7:00pm トリフォニー

モーツァルト 交響曲第33番変ロ長調K.319  6′4′2′5′

モーツァルト ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595  14′7′9′
  ピアノ、アンヌ・ケフェレック

(encore)
ヘンデル(ケンプ編曲) メヌエット ト短調  4′

Int

ブラームス(シェーンベルク編曲) ピアノ四重奏曲第1番ト短調 13′7′9′9′

(encore)
ブラームス ハンガリー舞曲第1番  3′

上岡敏之 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


変ロ長調を並べたピュアな雰囲気漂う前半モーツァルト、一転してダイナミックで起伏のある後半ブラームス、対照的な作品と演奏。対比の妙がよく出ていて、さらに、このコンビの可能性の振幅の広がりまで感じさせてくれるエキサイティングな快演となりました。いい演奏会でした。

後半のブラームスは各パートを思いっきり目立つように歌わせ、中太の線を明確に響かせてシェーンベルクの編曲にくまなく光を当てる。骨太のブラームスで秋モードも感じさせてくれる味わい深い演奏。
自席は1階ほぼ中央席で、これまでだと、ベースは下手(しもて)にセットアップしてあって音は完全に上手(かみて)から聴こえてくる、と、前に書きました。
この日、上岡の指示なのかどうか、ベースは上手にセットアップ。不思議なことに音も上手から聴こえてくる。という、一般的には当たり前の話かもしれないことに軽い驚き。さらにそのベースの締まりがいい。ぎゅっと音が締まっていてクリアなサウンドが聴かれた。何かが刷新されたような雰囲気。メンバーが心地よい緊張感でプレイしているのがよくわかりました。
楽章毎にきっちりとポーズを取り、音がたくさん詰まった演奏、充実の演奏でオーケストラの醍醐味を味わい尽くしました。全楽章出色のできで、構成感、バランスも整ったもの。
ブラームスのハーモニーと巧妙精緻なシェーンベルクの編曲、大いに楽しめました。
また、指揮者上岡の耳の良さを実感できる演奏で、耳の良さはこれからプレイヤーにとってはもうひとつの緊張感につながっていくような気もします。精度はさらに増すと思います。
アンコールのハンガリアン・ダンス、滑るような波立つようなビューティフルな演奏もベストな雰囲気で秀逸。

この前(2016.9.9)の標題系の曲のときは大げさな身振りもあまりなく音楽と一体化した棒にうなりました。
今日の前半モーツァルトは、過剰な身振りが邪魔。標題系ではなくシンフォニーで振りが過剰。振っているというより音楽の線の尾根を示しているだけで、これはもはや音楽に合わせているのではないのかとさえ思いたくなる。線振りは相応な味わいはあるのですが、出てくる音楽は流れるものではなくて、そこに漂っているという感じ。これはこれで見た目と出てくる音は別々で、出てきた音だけ聴いていればユニークなパフォーマンスで、道端のタンポポのような思わず見たくなるそんな雰囲気をよく醸しだしているものではありました。コンパクトなオケ編成でなによりもメンバーが音楽を実感してプレイしているのがヒタヒタと伝わってくる佳演でした。CDなど「聴くだけメディア」で、あとで聴ければ良さが実感できると思う。

2曲目のコンチェルト。ピアノのケフェレックは華奢で見た目がそのまま音楽になっている。ナイーブな神経がそのまま透けて見えるような演奏。叩き無用というよりそれは音楽の外、それ以外の事で音楽は出来ている。流れる演奏というわけでもない。なにか、音をひとつずつ置いていくような点の音。ひとつずつの音がポツポツと点がつながっていく。そんな演奏でとても不思議。それに、トリルとか装飾音を短いフレーズの中に一気にクルンと束にして響かせながら伸縮というよりここは切れ味を感じさせてくれる。
淡く今にも消えてしまいそうなプレイ。それが残る。不思議な味わい。アンコールはそういたものがさらに増す。いつくしむような演奏でした。
伴奏のオーケストラも秀逸でした。いい演奏でしたね。

トリフォニーは前シーズンまでとはやや異なった収録マイクセッティング。マイク数が多くて、そのマイクの形状もこれまでとは異なる。支えているスティックも黒くなってます。(色が関係あるかわかりませんが)
それに、9列10列目あたりの真上からも左右2本ぶら下げている。会場雰囲気まで収録するのかしら。と。
といった具合で、雰囲気はセッション並みのセッティングでした。かなり本格的なもの。こういったあたりも新指揮者上岡の意気込みと、当然メンバーの方にも相応なやる気が出てくると思います。いい流れですね。

次回はさらに凄い演奏をお願いします。と、気楽な聴衆はわがままが絶えませんです。
おわり