2012年9月7日(金)7:15pm
サントリーホール
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フランツ・シュミット 歌劇「ノートル・ダム」Op2より
第1幕:序奏、間奏曲、謝肉祭の音楽
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モーツァルト 交響曲第31番パリ
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ドビュッシー イマージュ
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クリスティアン・アルミンク 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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アルミンクは今シーズンを限りとするようですけれど、彼の業績はなんと言ってもプログラムの幅を大きく広げたこと。ワンパターンのプログラムが多い東京のなかにあって、たくさんの曲の生音に接する機会を作ってくれたことに感謝しなければいけない。
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この日のプログラムも意欲的。
シュミットのノートル・ダムはもちろん初めて聴く。CDでも聴いたことがない。
弦のピッチが今一つでしたが、豊饒な鳴り具合で音がうねる。オペラの音楽ですからまさに場面をあらわしていて饒舌。初めてかじる音楽はいい。気持ちよく音を浴びました。
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二曲目のパリ、このややメタリックな響きも好きです。生だと聴けそうでなかなか聴けないだけに新鮮。だいたい他の指揮者、ここらあたりやらないんですよね、なぜなんだろう。
ウィンドが美しい、ニュアンスをたくさん作っていて、わざとらしさがなく生き生きしている。これも好演。
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プログラム後半のドビュッシーは、ジーグ、イベリア、春のロンド。イベリアがなかぶくれでこれだけで3部構成。バランスがあまりいいとは言えませんが、全部合わせるとそれなりの規模の曲。
ドビュッシーにはウェットな曲が多いけれど、イマージュはわりとドライな響きが多いと思います。新日フィルのウィンドは奥ゆきがありそれだけで多様なバランスを作ってくれる。このように響きで勝負の曲はオーケストラのもつサウンドに魅力がなければ面白さも半減してしまう。このオーケストラはその点クリアされていて、多様な響きを作ってくれて楽しめます。
哲学とか情念といった言葉のあやは横に置いて、純粋に多彩なプログラムを楽しめました。
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個人的に、この日が2012~2013シーズン初日でした。
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2012年9月3日(月)7:00pm
東京文化会館
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松平頼暁 コンフィギュレーションⅠ
松平頼暁 コンフィギュレーションⅡ
松平頼暁 螺旋
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ベリオ 協奏曲第2番エコーイング・カーヴ
ピアノ、岡田博美
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高関健 指揮 東京都交響楽団
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コンフィギュレーションは室内オーケストラの為の作品。Ⅱは本人が忘れていたというものを後に発見ということらしい。
松平の曲はシステマティックで機械的、数学的。良く止まる。
パーカッションの鳴りは日本的。
Ⅰはクラスター音楽。
螺旋は説明を読む限り、もろに数学的なもの。緻密なはずなのに、数式で作ってみたら、結果、こうゆうふうになった、ということであれば、聴く方としてはその時はなるほどとは思うが、末永く心にとめるものでもないと思う。
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ベリオの曲が充実している。一段レベルが違うような気がする。音楽がある。
自分が持っているベリオ・サウンドより艶々している感じ。
ピアノは最初慎重だったがだんだんと火がついてきて音楽の心が現れてきた。
音をこれだけ解体して分解して再創造させて、いろんなことを駆使しているのに、結局作曲家は形式の呪縛から逃れられない。タイトルを見ればそれは明らかだ。
おわり
2012年8月28日(火)7:00pm
サントリーホール
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ケージ エトセトラ2
(4群のオーケストラとテープのための)約30分
指揮:
下野竜也
大河内雅彦
松村秀明
沖澤のどか
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一柳とし
ピアノ協奏曲第5番「フィンランディア」-左手のための(世界初演)
約18分
ピアノ、舘野泉
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一柳とし
交響曲第8番「リヴェレーション2011」(管弦楽版初演)
約33分
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下野竜也 指揮 東京都交響楽団
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最後の「リヴェレーション2011」はプログラムには23分と書いてあったが実際は33分。
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それで、一曲目のケージ。
143発のトゥッティ、これはこれでわかりやすい。
4つのオーケストラとはいいながら、そのオケからなにやらプレイヤーが前の方に歩んできてそこで演奏してまた元の席に戻っていく。これの繰り返し。4群+アンサンブル群という状況になる。
全体は音楽というよりも律動に近い。テープは隙間つなぎ。
何故音楽から音楽が離れていくのか、30分の緊張感を続けるのはすごいと思うけれど、音楽とはなんなのか、これでは意味が解らない。
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フィンランディアはオケ伴が乾いたサウンド。ピアノもそれなりに駆使してますが、全体的にあまりに作為的で、ひらめきのようなものは皆無。
最後の交響曲、これもヒット作にはならないだろう。一部面白いところもありますが、時代との一体感も、問題提起もない。何に根差した音楽なのか、副題がかろうじて3.11を想起させるが、曲とどう結びついているのかわかりませんでした。
おわり
2012年8月27日(月)7:00pm
サントリーホール
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サントリー芸術財団サマーフェスティバル2012<MUSIC TODAY21>
「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」
再演特集<細川俊夫セレクション>
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ヤニス・クセナキス:ホロス(1986) 約11分
サルヴァトーレ・シャリーノ:
シャドウ・オブ・サウンド~オーケストラのための(2005)
約17分
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ラッヘンマンと細川俊夫のトーク 約20分
ヘルムート・ラッヘンマン:書(2003) 約24分
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指揮 秋山和慶
演奏 東京交響楽団
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後半あたまのトークがなければ非常に短いコンサート。長身のラッヘンマンが登場して場はもったが、このような演奏会ピースの限界が見え隠れするものではある。
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クセナキスのホロスは音の密度が高く聴きごたえがある。メシアンからスコアのバーを取り払ったような動きのうねりがあり興味深い音楽。
シャリーノのピースは、これは音楽の流れではなく響きの羅列とそのつながり、音楽とは呼べない代物だと思う。タイトル通り。
ラッヘンマンの曲についてはその前のトークで説明されているので、その分だけわかりやすさはある。なるほどそうか、と思って聴けばそれなりにうなずくところもあります。
おわり
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