河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1266- 山下洋輔=4= スペシャル・イヴェント1985.8.27 ニューヨーク・タイムズの評

2011-06-30 00:10:00 | インポート

1263-1264-1265- の続きです。
1985年8月27日(火)に山下洋輔がスイート・ベイジルでピアノ・ソロ演奏会を行った時の評が、二日後29日のニューヨーク・タイムズに掲載されました。どうぞ。
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THE NEW YORK TIMES, THURSDAY, AUGUST 29, 1985
Music: Yamashita’s Jazz
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The piano at Sweet Basil (88 Seventh Avenue South, at Bleecker Street) quaked visibly Tuesday under the assault of Yousuke Yamashita’s solo concert. Mr. Yamashita performed in a Village Jazz Festival special free event; he is a leading Japanese jazz musician, and his concert was video-taped for documentary and recorded for live album.
Mr. Yamashita tore into a set of standards and classical adaptations ? among them “A Night in Tunisia” and Ravel’s “Bolero” ? by veering back and forth between tonal harmonies and percussive, dissonant extensions. The pressures of rhythm and harmony would build up, explode into atonal passages that still hinted at the original tune, then subside as Mr. Yamashita returned to ordinary chords.

Mr. Yamashita is clearly familiar with the styles of Art Tatum, Duke Ellington, Bud Powell and Thelonious Monk; he could slip in and out of stride rhythms or be-bop filigree at will. When he moved to atonal pummeling, some of his two-handed techniques derived from Cecil Taylor.
What made his set distinctive was the transitions- he knew just when he had established enough of tune to leave it behind. His wittiest interpretation was a version of “It Don’t Mean a Thing If It Ain’t Got That Swing” ; where the Ellington horn section played repeating, syncopated chords, Mr. Yamashita built thunderous, ever more weighty note clusters. It was aggressive playing tempered with just enough melodic finesse ? a bridge between old and new jazz piano

Jon Pareles
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ニューヨーク・タイムズ
1985年8月29日(木)
山下のジャズ
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山下洋輔のソロ・コンサートの急襲で、スイート・ベイジル(7番街南88番地、ブリーカー・ストリート)のピアノは明らかに震えて揺れた。山下氏はヴィレッジ・ジャズ・フェスティヴァル・特別無料イヴェントで演奏した。彼は優れた日本のジャズ音楽家で、今回の演奏はドキュメンタリーとして録画され、ライヴ・アルバム用に録音された。山下氏は“チュニジアの夜”、ラヴェルの“ボレロ”で、調性和音と打楽器的な不協和音展開の間をあっち行ったりこっち来たりしながら、規範と古典の融合といったものをぶち破った。リズムとハーモニーの圧力で、オリジナルの曲をかろうじて少しだけ感じさせる無調のパッセージを作り上げそして爆発させ、そして正調に回帰して静まり曲を終えた。

山下氏は、アート・テイタム、デューク・エリントン、バド・パウエル、セレニアス・モンクなどに明らかに造詣が深い。彼は意のままに大またぎのリズムやビーバップのフィグリーの出し入れをすることができる。無調のピアノ乱打に移ったときにわかったのは、彼の両手のテクニックはセシル・テイラーから得たものであるということ。
彼の解釈を異色なものにさせているのは、-置き去りにした音が十分に練り上げられたちょうどそのとき本人が認識する-推移や変化といったものである。彼のもっともウィットに富んだ解釈は、山下版“スイングしなけりゃ意味がない”で、エリントンのホルン・セクションがリピート、シンコペーションのコードを演奏するあたりにある。そこで山下氏は雷のような、さらには重量のある音符のクラスターを築けあげる。新旧ジャズ・ピアノの架け橋として、十分なメロディの作戦をもったアグレッシヴな演奏だった。
ジョン・ペアレス
(直訳+意訳、ここまで)
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字面づらからもわかるように非常にいい評価だったと思います。これを毎日続けないとマンハッタンではすぐに落ちていきます。イヴェントやツアーで演奏できる方が気が楽なのかもしれませんが、それはそれで、名前がリストアップされるまでが大変なわけで、どっちにしろ、実力と運とツキ、これがそろえば言うことなしです。山下さんはもちろん全部あったのかもしれませんが、やっぱり実力が段違い。
ここを起点としてこれまでの活躍に耳を傾けるのもよし、この起点前の昔のダイナミックで若々しい時代の破天荒な演奏に随喜するのもよし。「ラヴェルの肘打ち」ストーリーの原点探しなんかもいいかも。興味が尽きません。
おわり
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1985082741