また聴きたくなるCD2
●
ハイドン 十字架上の七つの言葉
.
リッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィル
.
テンポの緩い曲には七つの言葉がふさわしい。器楽的というより声楽的に。
神父のこのような助言は横に置くとしても。
.
1. 序奏 マエストーソ・エダダージョ
2. ラルゴ
3. グラーヴェ・エ・カンタービレ
4. グラーヴェ
5. ラルゴ
6. アダージョ
7. レント
8. ラルゴ
9. 地震 プレスト・エ・コン・トゥッタ・ラ・フォルツァ
.
最初の序奏からそのあとの七曲目のラルゴまで、早い話が全部スローな音楽だ。最後の地震だけとってつけたように締められる。
静かで清らかな音楽がせせらぎのように流れる。いつものハイドン独特のドライで少し埃っぽい音楽がここではかなりウェットな響きに様変わりしている。タイトルの意味合いを重ね合わせながら聴き進めばブレンドの味わいがさらに深まると思われるが、宗教の世界は個人的には無縁。響きのあやを楽しむだけ。それで十分。
熱血漢としないムーティの心のひだに触れるいい演奏。そしてベルリン・フィルの圧倒的な技術と精神の安定が音楽をさらに高みにのぼらせる。素晴らしい演奏だ。
●