サマーフェスティバル2009
<MUSIC TODAY 21>
より
今日は2007年、2008年の新作管弦楽曲を2曲ずつ。
.
2009年8月25日(火)7:00pm
サントリーホール
.
●
管弦楽といっても協奏曲が3曲。オーケストラ曲は3曲目の≪花輪≫だけだ。
いかにも不毛な現在の音楽の代表格的曲たちかなぁ。
はじまる前に、ロビーをうろうろしているダジャレ王池辺を発見。なんとなくやな感じがする。席も2階のごく近くで後半は空き席へ移動。
現在に生きる人たちの曲だか、池辺と今日の4人とは方針が全く異なると思いますよ。感想をちょっとだけ聞いてみたい気もする。
.
●一曲目 21分
サルヴァドーレ・シャリーノ/
リコーダーとオーケストラのための4つのアダージョ
リコーダー、鈴木俊哉
沼尻竜典 指揮 東京都交響楽団
.
凡作を越えた駄作と思う。楽器をこすっているだけの伴奏が音楽とは思えない。このような表現に至るそのプロセスを生んだ脳みそを見てみることにこそ意義があるのではないか。
リコーダーはまるで尺八のような吹きぶりであり、これはこれで何か意味があるのだろうか。スタッカート風に切れる音楽ではなく粘着質のリコーダー。それにこするだけの伴奏。
この曲の世界初演は昨年、ダニエル・ハーディング指揮スカラ・フィルというから、なんだか、彼の本意なのかどうか知らないが、このような一瞬の閃きもない曲を彼がどう表現したのかあえて聴いてみたいとは思わない。
21分以上はかけられない音楽だろう。もたないと思う。
.
●二曲目 20分
オーガスタ・リード・トーマス/
ヴァイオリン協奏曲≪楽園の曲芸師≫
ヴァイオリン、千々岩英一
沼尻竜典 指揮 東京都交響楽団
.
曲芸師ヴァイオリン、オーケストラは楽園。そんなイメージなのだそうだ。
ヴァイオリンの音が弱いのが気になる。それとも鳴りの悪い曲なのか。
長い文章をかけて本人解説をしなければならない曲、説明が饒舌であれば饒舌であるほど現実の曲とのかい離はひろがるだけだ。
それでも一曲目よりはましだ。少なからず閃きは感じる。オーケストラの横の広がりもあるように思える。広がりのあるオーケストラに乗るようにヴァイオリン。
楽想に限界があり、これもやっぱりこれ以上時間をかけるのは無理。展開がなくもたない。
.
●
休憩 20分
●
.
●三曲目 18分
ルーク・ベッドフォード/
オーケストラのための≪花輪≫
沼尻竜典 指揮 東京都交響楽団
.
この曲は本格的オーケストラ曲だ。
なんというか、‘節(ふし)’は一つだけ。展開もなにもあったものではないが、イメージの親近性ではリストのファウスト交響曲みたいなもんだ。
フル・オーケストラ曲は飽きないが、それでもあまりにも透けて見えるというか、現在の音楽でこれだけ透けて見える音楽というのはむしろ貴重?
単調な中にも単調さあり。やることに意味がるのだろう。
それでも瞬間の閃きはある。作曲家としての才能の開花はこれからだろうが、どちらの方向にいくのだろうか。
.
●四曲目 19分
ペーター・エトヴェシュ/
2台のピアノとオーケストラのための協奏曲
ピアノデュオ、瀬尾久仁&加藤真一郎
沼尻竜典 指揮 東京都交響楽団
.
バルトークへのオマージュ。
ドラムから始まる音楽は明らかにバルトークの響き。第5楽章まであるが音の動きはそれぞれ明確。わかりやすい。バルトークのイメージがあるからだろう。
2台のピアノの動きは激しいが、大管弦楽曲と思ったほうがいいだろう。弦チェレほど主張は大きくないし。
沼尻はようやく水を得た魚状態になり、得意げにオーケストラをドライブ。指揮者の活躍もよく見える。
この曲もこの長さ以上はもたないだろう。
.
●
ということで、前日のような心地よい緊張感を得るまでには至らなかった。総じて曲があまり考え抜かれたものとは言い難い。展開はふんづまり、音楽の開花がない。
四曲とも忘れ去られてしまうだろう。
おわり