マンフレッドをいれないとすれば、マーカルのチェコ・フィルによるチャイコフスキーの交響曲はこの第3番が最後。
チェコ・フィルのクリスタルなサウンドによるチャイコはSACDでさらに光を増し、網を縫うような一筋まで見える弦、そして言うまでもなくやや細いながらひたすら輝くブラス、素晴らしい全集が完成したことになる。
この第3番は、思いのほか謙虚というか、割とおとなしい。そのかわりといってはなんだが、異常にていねいな弦さばき、ブラスさばき、パーカッションさばき、が、音楽に余裕を与えている。聴いてのお楽しみ。
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このポーリッシュですが、最後のプレストからの、これでもか、シリーズ。チャイコフスキーのしつこさがブラスファンとしては何ものにも代えがたい魅力をもつ。
4分の三拍子とはいいながら事実上の八分の六拍子であり、換言すると三連符の塊なわけですが、その一小節を一ととらえた場合の4の倍数的音楽の広がり。これはフレーズ、メロディーの拡大とは異なり、いわばリズムの拡大であり、その倍数的区切りは、チャイコフスキーの感性から発する区切りが来るところまでリズム拡大を続ける。
また、これまたお家芸のシンコペーションですが、この三拍子でもバーをまたいだシンコペーションがトリッキーであり、やる方のやる気をそそるなぁ。
いずれにしても、このしつこさですが、スラブ行進曲とか1812年のだらだらとしたそれこそ執拗な繰り返しと異なり、チャイコフスキーの作曲感性が透けて見えてくるいい曲だ。
しつこさご遠慮、だけどチャイコフスキー好きになりたい、ならナッツクラッカーだろうね。シンプル・イズ・ベストの音楽。
おわり