ケント・ナガノ、モントリオールの組み合わせによる今年の録音ホヤホヤのがでた。
.
マーラー/大地の歌
テノール、クラウス・フローリアン・ヴォト
バリトン、クリスチャン・ゲルハーヘル
ケント・ナガノ指揮
モントリオール交響楽団
.
内容は聴いてのお楽しみだが、ちょっとだけ。
メロウというのではない。ソフト、やわらかい、やわらかすぎる、透明すぎる。声は両方とも男だが、全くオーケストラと音色の面で同化しつくしている。こんなに柔らかくて角がとれて透明で美しい演奏の大地の歌なんて聴いたことがない。
全てが同じ方向を向いている。
●
今年の録音だが、録音日がバラバラ。
2009年
1月13日ライヴ、モントリオール
1月14日ライヴ、モントリオール
1月15日スタジオ、モントリオール
2月スタジオ、ミュンヘン(ヴォト重ねどり録音)
.
ということであまり感心しない。テノールとバリトンで歌う場合、ライヴであればお互いの違いを際立たせるべく触発し合い、発熱した演奏となるところであろう。
この録音はライブとセッションからよりどりみどり、さらにヴォトの声は多重録音によりテイク。オーケストラの伴奏の録音を聴きながら歌ったということだろう。
でも、
お互いに触発し合い、丁々発止の演奏をもともと求めていなかったのではないか。失敗演奏ではない。発熱しない、それでいてやたらと美しい、意識された当世感覚の演奏と評したい。
むしろ、つぎはぎだらけで別々のところで歌っている、だから、成功した。
.
思わず2回聴いてしまった。。
おわり