河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

591- 愛聴盤は不思議な演奏

2008-04-14 01:22:36 | 音源
4年前(2004年)にSACDが出たときに、それまでのチープ盤のことはかなたに忘れ去りさっそく買いなおしたのがアップしてあるこれ。

ワーグナー作曲

マイスタージンガー 前奏曲
ラインの黄金 前奏曲
トリスタンとイゾルデ 前奏曲

シュトラウス作曲

ばらの騎士、第1,2幕のワルツ、
ばらの騎士、第3幕のワルツ

ハインツ・レーグナー 指揮 ベルリン放送交響楽団
1977年録音
SACD Avex-classics AVCL-25296

これは2004年発売で、エイヴェックスのレーベルになっているが、早い話が、ドイツ・シャルプラッテンの音源。
アナログ・マスターテープからカッティングされたSACD。音がかなりいい。
SACDの優位は明らかだと思うのだが、DGなどはあまり熱がないようだ。
例えば、せんだってでたハーディングによるマーラーの10番全曲。とろけるようなサウンド。あれがSACDであればもしかして決定版かも、しれなかった。
いきなりそれました。

それで、このレーグナーの棒による不思議な曲。それはトリスタン。
ワーグナーは3曲で全部前奏曲。
そのなかでも、とっても変、というか妙なのが、
トリスタンとイゾルデ 前奏曲

ですね、普通は愛の死とセットで演奏される機会が多い曲ですが、このSACDでは前奏曲だけです。
オペラであれば、前奏曲が終われば第1幕のカーテンがあがる。
しかし、この演奏では前奏曲といいながら、それが終わるとき全てが終わる。
本当に不思議な編曲なんです。
これって、でも、演奏と完全にコラボになっていると思う。
レーグナーの棒は前奏曲中盤あたりから、まるで棒が寝たかのようにうとうとしはじめスピードがなくなり、ついにはとまる。
わけではないが、ほぼとまる。
夜は長くて暗闇が支配しなければならない。まるで第2幕の長丁場にさしかかったような錯覚に陥り、目がまわりくらくらしてきて催眠術にでもかけられたものを見ているような、非常に不思議な音楽が、漂う。
前奏曲はたかだか11分ほどの長さだが、曲、編曲、演奏、サウンドの素晴らしさ、などをうとうとしながら聴いて、はっと気がつくと。
そこにあるのは、愛の死。
実に不思議なんだ。

トリスタンに負けず劣らず面白いのがラインゴールド前奏曲。
例の開始音から始まり、ホルンたちがひたすらハーモニーを繰り返し、そのまま終わる。
約7分。
曲というよりもアンサンブルの練習曲の雰囲気だが、そこは曲者レーグナー、ただでは終わらん。天上にホルンたちが昇天していく。と、いった編曲。
SACDの音質の良さがフルに発揮されていて、なんというか、そこらへんにホルニストがいるようだ。それにしては人数が多いと思うが。。

河童としてはこの2曲で十分なのだが、マイスタージンガーは横に置き、シュトラウスのワルツ。これがまたいい。これは純粋に音楽的にきれいで美しくて諧謔的。
舞台の人間模様をこれだけうまくあらわしている音楽はそうはない。レーグナーは30年後にSACDが出るのをわかっていたみたいに、弦、特に高弦を艶やかにのばす。美しい演奏だ。
全部で52分のSACDだが、これで十分。愛聴盤のSACDは昔のアナログ・ディスクみたいに彫れて白くならないし、これでまたワンランク上のSACDプレイヤーを買えば、今よりきっといい音で再生されると思うし、この不思議な曲をいい音で静かに聴くことがずっと出来るわけで愛聴盤は愛長盤だ。

他人(ひと)が勧めるものは、その人の手垢がついてしまったような気がして、本当は聴きたいのに尻込みしてしまったりするときがある。でも手垢がついているのはその人がもっているCDだけ。お店にいって新しいのを買えば気持も新たになるかもしれない。これ是非みなさん聴いてくださいな。

ということで、日本ではタスキがCDにもついているという、ほぼ文化、になっているわけですが、このSACDのタスキのテンコモリ、もすごいので下にアップしておきました。
お時間あるときに覗いてくださいな。
おわり