2006-2007シーズンがもうすぐ始まろうとしているが、ラスト・シーズンを振り返ってみて、河童の想像聴きで秀逸定期を一つだけあげておく。
2006年5月3日(水)
・モーツァルト/皇帝ティトの慈悲 序曲
・モーツァルト/レシタティーヴォ「どうしてあなたが忘れられましょう」とアリア「心配しないで、愛する人よ」
ソプラノ、ソイレ・イソコスキ
・モーツアルト/ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」
ピアノ、内田光子
・シベリウス/大気の精ルオンノタル
ソプラノ、ソイレ・イソコスキ
・シベリウス/交響曲第3番
コリン・デイヴィス指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
シベリウスの第3番の第1,2楽章における丁寧なアンサンブルとハーモニーが素晴らしかった。フィナーレ第3楽章はぶ厚い弦でありながら一糸乱れぬ音楽を構築していくあたりさすがにトップワンである。また、このシンプルにして偉大なメロディーを緩急自在に操る指揮者もさすがにシベリウスのスペシャリスト。譜面的にはとりたてて盛り上がりのあまりないフィナーレであるが、線のぶ厚さとスピード感を高めることによりコーダ感をだしうまく締めくくった。久しぶりに第3番の巨大演奏に接した。
戴冠式は内田のこれまたオケに負けぬぐらいの太めサウンド。そしていいたいことは全部いいつくすといった過去の経験を自由自在に生かし切ることがひとつの楽しみにとなった偉大な人物がいる。彼女は日本語でも英語でもしゃべりたいこと書きたいことを話しまくる書きまくると言った感じで、その場で考えているような雰囲気がなく、頭の中に全部はいっておりあとは吐き出すだけ。やっぱし超一流はちがうなぁ。
イソコスキは特別柔らかいサウンドの声と言うこともないが、その均質性が手堅さ以上のものを感じさせる。1986年ヘルシンキでコンサート・デビューしたということだから、今が脂の乗り切った年齢であろう。
前半がモーツァルト、後半がシベリウスとプログラム・ビルディングとしては明確なものを感じるが、イソコスキが歌うルオンノタルもいいが、何か別の曲を聴きたかった。
彼女の歌はオンディーヌ・レーベルからでているシュトラウスの「4つの最後の歌」がいい。
このオンディーヌ・レーベル。シベリウスの曲など非常にいい感じのCDがポツポツとでていて好感が持てる。
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